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邪魔するつもりはないけど
しおりを挟む「……鈴木から何もらったんだよ」
「え?」
俺が学校に行くと、その話で持ちきりだった。
横田が目撃したらしく、教室へ入る前に情報が回ってきたんだよ。だったら、本人に聞かなきゃな。
「あ、眞田くんおはよう」
「はよー……って、青葉! 顔真っ青だぞ」
「……そんなに? 鈴木さんにも言われた」
わかるも何も。どうやったらそんな顔色になんだよ!
それに、なんかやつれてねえか? 目力もねえ。
びっくりした俺は、ちょうど通りかかった東雲に声をかける。
「東雲、青葉の顔色やばくね?」
「え、そう? いつもそんなもんじゃん。体調悪いの?」
「そんなことないよ」
「体調悪くないなら良いけどさ……」
俺の気のせいか?
でも、鈴木も言ってたんだもんな。どっちが正しいんだ?
東雲は、青葉に「無理すんなよ、セーター着てんだから」って言って笑いながら廊下へ行ってしまった。
「鈴木さんにも顔色悪いって言われて、おにぎりもらったんだ」
「……朝飯食ってねえの?」
「いつも食べてないよ」
包装的に、手作りだぞ? 鈴木の握ったおにぎりか!?
欲しい! もらって食べ……いや、家宝にする!
でも、青葉の顔色見たら「欲しい」なんて言えないわ。
何なら、カバンの中にあるチョコレートをこいつに渡したい。うん、渡そう。
「……ちゃんと食えよ」
「うん、ありがとう」
「これも食え」
「良いの?」
俺がチョコレートを渡すと、嬉しそうな顔して受け取ってくれた。……ビターじゃなくて、ミルク買っておけば良かったな。青葉、甘いもの好きだから。
倒れたら大変だし、今日は近くで見ていてやろう。
***
昼休みになった。
青葉くん、顔色はそのままなんだけど、おにぎり食べてから少し元気出たみたい。今も、眞田くんたちとおしゃべりしてるわ。
……お昼、持ってきてるのかな。私のお弁当、あげたら食べてくれるかな。
いやいや。仮に持ってきてなくても、学食でも売店でも買えるでしょう。
朝一緒に教室行っちゃったし、あまり話しかけない方がいいよね。
なんて考えていると、教室の前の出入り口に理花の姿を見つけた。
「青葉ー。佐渡が呼んでる」
「……わかった。ありがとう」
そういえば朝、用事ある的な話してたな。
青葉くんに何の用だろう。また、生徒会関連?
「お待たせ、佐渡さん」
「五月くん、呼び出してごめんね」
私は、自分の席からチラッと2人を見た。
うーん、やっぱり青葉くん怯えてる。ほら、肩が上がって震えてるわ。理花は普通なんだけど、本当どうしたんだろう。
私は、4限の準備を机の中にしまいながら、2人の会話に耳を傾けた。……うん、ギリ聞こえる。
「大丈夫だよ。昼休みにやる仕事あった?」
「ううん。そういうのじゃなくてね……」
「……?」
「梓ー、学食行こう~」
「わっ!?」
「ほぇ!? ど、どうしたの?」
青葉くんたちの会話に集中していた私は、マリたちが近くへ来たことに気づけなかった。
そっか、昼休みだから学食行かないとね。
「ごめんごめん。下向いてたから、気づかなくてびっくりしちゃったの」
「こっちもびっくりしたよ~。今日もお弁当?」
「うん。マリの好きなハンバーグあるよ」
「本当!? もらう!」
「いいよ。ふみかと詩織には、唐揚げね。由利ちゃんには、チーズ入りタコさん……ウィンナー…………」
「ありがとう!」
「お礼に、ゼリーあげる。小さいやつ」
「私は、今日のAランチで好きなやつあげる!」
「とりあえず梓、行こう。……梓?」
マリたちと会話していた私は、急いで立ち上がって教室の出入り口へ向かう。何故かって、
『青葉くん、聞いて欲しいことがあるんだけど』
『……え』
『あのね、突然でごめんね。私、青葉くんのことが……えっと』
って、会話が聞こえたから。
その後に続く言葉は、男子に良く言われるからすぐにわかったわ。
青葉くんもわかってるのかな。肩だけじゃなくて足も震えてて、今にでも倒れちゃいそう。
やっぱり、告白されるのはまだ怖いんだ。
理花に応援するって言ったけど、今はそんなこと言ってられない。
……でも、どうやって止めさせよう?
自然な感じで……自然な。
……そうだ、嘘も方便ってやつよ!!
「青葉くん!」
「青葉!」
「「先生が呼んでたよ!!」」
……ん?
今、誰かと台詞が被ったような?
私が後ろを向くと、慌てた様子の眞田くんと目が合った。
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