【完結】推しを死亡フラグから救済したら溺愛ルートに入りました⁉︎

白(しろ)

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第二章

どわーー!!

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 ゆっくりと扉を閉めて、そして鍵を掛ける。ノクトの気配が遠くなるのを待ってから、オレはベッドの方へと戻った。
 相変わらずルークは眠っている。
 時折辛そうに表情が歪むのは、痛みを感じているからだろう。
 さっきと同じ位置に座り、ルークの手を握る。泣きたくなるくらい温かい手のひらに鼻の奥がツンと痛くなって、一度大きく呼吸する。

「痛いの痛いの、飛んでけー……」

 できれば痛いの全部オレに来い。そんなことを思いながら、オレはずっとルークを見つめ続けた。痛みがなくなりますように、目を覚ましますように。
 そんなふうに祈っていれば、いつの間にかオレは眠ってしまっていた。
 その日見た夢は、初めてルークと会った時のものだった。

 鮮血の中に倒れる体。血の気のない顔。呼吸の浅い唇。
 完全に力の抜けた体の重さや、あの時の温度は今でも鮮明に夢に見る。そしてこの夢は大抵バッドエンドで終わるのだ。
 まるで画面越しの、前世の時のように、何もできずにルークは散る。
 その度にオレは慟哭する。これ以上ない程後悔して、そして目を覚ますのだ。
 だけど今日は、その夢が完全に終わる前に意識が急浮上した。それはまるで海の底から海面へと引き摺り出されるような感覚で、あまりの苦しさにオレは大きく喘いだ。

「っは、は……、?」
「起きたか」

 軽度な酸欠のように頭がぼうっとする。意識も視界も曖昧な中、聞こえた声に弾けるように顔を上げた。
 加速度的に世界が色付いていくように、輪郭がはっきりとする。
 そこにいる目を覚ましたルークの姿に、オレは唇を引き結んだ。

「、……どうして泣くんだ。リアス、泣くな」

 ルークの声が気遣わしげにオレを呼ぶ。指が顔に触れて、涙を拭ってくれた。
 その温度も感触も、すごくリアルだ。

「これ、夢じゃない?」

 情けないほど震えた声に、ルークは一瞬黙った。
 けれど一拍後には優しく笑って、その顔が近くなる。
 ルークの整った顔が至近距離にあって、紅い瞳と視線が絡んだ。そして目元に柔らかなものが触れて、そして舐められた。

「やはり動かすと痛むな」

 ルークの言葉に何かを言わなければならないのに、オレは固まっていた。

「泣き止んだか。リアス、お前に怪我はないのか」

 あまりにもいつも通りのルークに今あったことこそが夢なのではと思うが、それにしては心臓の音がうるさすぎる。顔に熱が集中しているのもわかるし、何より全身が熱かった。

「リアス?」
「うわーーーーー!」

 叫んだオレは悪くない。絶対。

「怪我はないか。ならいい」
「よくねえよ! なに、何今の! ていうかお前の方が怪我!」
「これくらいならどうということはない。家に戻ってお前の薬を飲めば完治する」
「あ、はい、そうですか……」

 あまりに冷静だ。驚く程いつもと変わらない。オレはこんなにも混乱しているというのに。
 もしかしてオレがおかしいのか? オレが知らないだけで、こんなスキンシップはみんなしているのか? 否、それはない。ないはずだ。

「リアス」
「はい」
「お前の涙は塩辛いな」
「どわーーーー‼︎  夢じゃなかった! うわーー‼︎」

 顔が真っ赤になっている自覚がある。
 それくらい俺には衝撃的だった。もっと聞きたいことがたくさんあるのに、俺の口からは支離滅裂な言葉しか出てこない。
 それにルークが笑うが、振動で痛むのか傷口を押さえている。

「笑うなよ!」
「無理だな。愉快だ」
「馬鹿じゃねえの⁉︎」
「俺はお前の泣き顔が得意じゃない。手っ取り早く泣き止ませただけだ」
「手段が過剰! もっと絶対いい方法あった!」
「知らん。結果的に泣き止んだからいい」
「理不尽! オレの動揺はどうしてくれんだよ!」
「なんだ、嫌だったのか」

 ルークがオレを見ている。どこか楽しそうに、そしてこのあとに続くだろうオレのセリフを確信して、口角すら上げている。
 そんな顔が心底憎らしいと思うのに、オレはルークの望んだ言葉を言ってしまうのだ。

「……嫌じゃ、ない」

 ほらな。そんな顔でルークが笑う。
 心臓がひどくうるさい。これは多分、推しに感じていい動悸じゃない。
 でもその音がしばらく治まりそうになくて、オレはただルークを恨みがましく睨むしかなかった。

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