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第二章
確認と腹を括るということ
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──事態が落ち着いたのは、夜も深くなった頃だった。
町の医者に罹り、ルークは治療された。傷は深いが命に別状はなく、最初に飲ませた回復薬のおかげで大事にも至らなかったらしい。
今は宿屋の一室を借りて、ルークを休ませている。
ベッドの中で眠っている姿を見て、唇を噛んだ。
顔色はもう戻っている。ルークはもう大丈夫。そうわかっていても、心が全く落ち着かない。
「……」
ベッドの傍らに置いていた椅子から立ち上がって、側にいく。
そのまま床に座り込んで、ベッドに上半身を預けた。
呼吸をしている。胸が上下している。ルークは生きている。
「……ルーク」
でも、名前を呼んでも返事はない。
医者曰く、今日一日は目を覚さないとのことだった。
生きてくれているだけで十分なのに、今は声が聞きたくてしょうがなかった。目を開けてほしい、声を聞かせてほしい。また、大きな手で触ってほしい。
オレはそっと手を伸ばして、ルークの手に触れた。
大きな手だ。オレよりもずっと大きくて、そして努力している手だった。
「早く、よくなりますように」
祈るように呟くと、控えめなノックの音がした。こんな深夜に誰だと一瞬思ったが、今部屋を訪ねてくる人物に心当たりがあった。
ゆっくりとルークの側から離れて、ドアの方に向かう。
その先に待っていたのは、やっぱりノクトだった。
「まだ起きてたんだな」
「知ってて部屋に来ただろ」
「……うん」
それから少しの間沈黙が流れた。
窓を打つ雨の音がして、それが夜の静寂を際立たせた。
「少し話せないか」
ノクトの言葉にオレは首を振った。
「今側から離れたくねえから無理」
今日はもう目を覚まさないとわかっていても、この状態のルークからオレは少しだって離れたくなかった。
オレの言葉に、ノクトが眉を寄せる。その表情が何を意味するかはわからないけれど、いい意味ではないというのはなんとなくわかった。
「なら、ここで聞こう」
ノクトの視線がオレを捕らえる。眼光の鋭さは知人に向けるそれではなかった。
「あの男は何者だ」
「同居人」
「名前は?」
こういう時、騎士という身分はずるいなと思う。
これは尋問みたいなものだ。公的機関で働く人間の追求をどうやったらはぐらかせるというのだろう。
けれどオレは、この時すでに腹を括っていた。
「ルーク」
ノクトの目がゆっくりと見開かれる。
ルークがノクトを覚えているように、ノクトもまたルークを覚えている。それも当然だ。だって彼らは命のやり取りをしていた敵同士なのだから。
「オルロン、君は」
「どこにでもある名前だろ」
「……確かに、そうだが」
ノクトの表情が複雑そうに歪む。その顔を見ながら、オレは口を開いた。
「そろそろ寝るわ。今日は助けてくれてありがとう。本当に助かった」
「待てオルロン、もう少し話を」
「ノクト」
ノクトの声を遮った。少し声を張っただけで、廊下にまで響く。
「おやすみ。お前もあんま夜更かしすんなよ」
町の医者に罹り、ルークは治療された。傷は深いが命に別状はなく、最初に飲ませた回復薬のおかげで大事にも至らなかったらしい。
今は宿屋の一室を借りて、ルークを休ませている。
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「……」
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大きな手だ。オレよりもずっと大きくて、そして努力している手だった。
「早く、よくなりますように」
祈るように呟くと、控えめなノックの音がした。こんな深夜に誰だと一瞬思ったが、今部屋を訪ねてくる人物に心当たりがあった。
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「知ってて部屋に来ただろ」
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ノクトの言葉にオレは首を振った。
「今側から離れたくねえから無理」
今日はもう目を覚まさないとわかっていても、この状態のルークからオレは少しだって離れたくなかった。
オレの言葉に、ノクトが眉を寄せる。その表情が何を意味するかはわからないけれど、いい意味ではないというのはなんとなくわかった。
「なら、ここで聞こう」
ノクトの視線がオレを捕らえる。眼光の鋭さは知人に向けるそれではなかった。
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ノクトの声を遮った。少し声を張っただけで、廊下にまで響く。
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