【完結】推しを死亡フラグから救済したら溺愛ルートに入りました⁉︎

白(しろ)

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第二章

聖女エスタ

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「それで私のところに来たの?」
「だってこんなの相談できるのオレ、エスタしかいねえもん!」
「そうよねぇ、リアスの友達って私しかいないものね」
「だから、いる! 友達くらい! いる!」
「誰?」
「……」

 オレは押し黙った。
 そんなオレを見てエスタはふふん、と楽しそうに笑うのだった。
 ここは王都の貴族街にある王太子管轄の屋敷である。今は婚約者であるエスタの持ち物になっていて、オレは今そこで幼馴染であるエスタに泣きついていた。

「でも嬉しいわ。リアスと恋のお話ができるようになるなんて!」
「エスタの話は聞いてたじゃん」
「違うわ。リアスの恋のお話ってこと! 私の時たくさん助けてくれたんだもの。だからリアスが恋をした時は絶対に協力しようって決めてたの」

 太陽の光を集めたようなふわりと柔らかな金髪を風に靡かせ、エスタが笑う。さすが恋愛ゲームの主人公だと思うほど、エスタの笑顔はとてもかわいい。
 けれどそんなかわいいエスタの発言に聞き捨てならないことがあり、オレは首を振った。

「こ、恋とかじゃねえし」
「……リアス、それは往生際が悪いと思うわ」

 形のいい眉を下げ、エスタが可哀想なものを見るような視線でオレを見た。

「だから、恋じゃねえの! 確かに好きだし大事だけど、それは推しだからだし。ていうかそもそも推しからの過剰ファンサが耐えられないって話で」
「リアスって昔から変なこと言うけど、今日は何を言っているのかさっぱりだわ」
「……」

 のんびりとしたエスタの口調に、無意識に前のめりになっていた姿勢を戻す。
 用意してくれていた紅茶に手を伸ばし、少し冷めたそれを口に含んでほっと息を吐いた。

「落ち着いた? じゃあゆっくりでいいから教えてちょうだい。リアスの好きな人について」

 だから好きとかじゃない、と反射的に返しそうになったが深呼吸をして言葉を飲み込んだ。

「……オレは確かにその人が好きだけど、恋愛的な意味じゃない。笑っててほしいし、幸せにもなってほしい。本当に心からそう思ってる」
「うんうん」
「できれば豪邸に住んでほしいし怪我もしてほしくねえし一生食うのも着るのも困ってほしくないし、変なやつにも引っ掛かってほしくもないし、悲しい思いとかもしてほしくない」
「……親なの?」

 その言葉にオレはがばっと顔を上げた。立ち上がるような勢いで前のめりになってエスタに訴える。

「そうだよ! そんな感じなんだよ! 幸せを見守っときてえの!」
「でもキスされるの嫌じゃないのでしょう?」
「そ、れは、その……」

 急激に勢いがなくなって椅子にこぢんまりと納まった。

「すぐに否定できないのが答えね」

 得意げに笑ったエスタに、オレは自己嫌悪に陥った。

「嘘だろ……、推しを好きになるとか、嘘だ」
「……」

 両手で顔を覆って息を吐く。
 悲しいかな、オレは前世も今世も恋愛経験がない。だから今オレの中で大騒ぎを起こしている感情が恋愛なのか友愛なのかすら、オレにはわからない。

「ねえリアス、何があなたをそんなに悩ませているの?」

 エスタが可愛らしく首を傾げている。

「今のお話だけ聞いたら、あなたはもうその方のことを愛しているように思えるわ」
「……愛って、なに」
「その人のために命を賭けられるかどうか」

 すぱん、と言われた言葉にオレは自分でも驚く程悩まなかった。

「オレよりその人の方が大事」
「なら答えは出ているじゃない」

 ますますわからないと言うようにエスタが眉を寄せる。

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