【完結】推しを死亡フラグから救済したら溺愛ルートに入りました⁉︎

白(しろ)

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第四章

乾杯

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「……ノクトじゃん」
「おはよう。もうこんばんはだけどね」

 どうしてここにノクトがいるのだろうと一瞬悩んだがすぐに思い出して目を見開いた。

「オレめちゃくちゃ寝過ごした⁉︎」
「いや、僕も今来たところだよ。それより、疲れているなら別の日にしようか? オルロンがこんなところで寝るのは珍しいし」
「そのおかげでだいぶすっきりしてる。今日めちゃくちゃ忙しかったんだよなぁ。見ろよ回復系の棚、全滅」
「あー、本当だ。君のアイテムは効き目がいい上に安価だからね」

 椅子から降りると案の定腰に鈍い痛みが走った。それはそうだ、ずっと変な姿勢で眠っていたのだから関節が軋みもする。

「あいててて、よっしゃそろそろ行くか。途中なんか食い物とか買ってく?」
「そうしようか。オルロンは何が好きなんだ?」

 そんな話をしながらノクトと店を出る。
 こんな時間までルークがいないということは、今日も帰ってこないということだ。それに一抹の寂しさを覚えながら店の扉に鍵を掛け、ノクトの部屋に向かって歩き出した。

「そういえばお前隊長なのにまだ兵舎に住んでんの?」
「必要ないからね、個人的な屋敷は。その代わり兵舎の中でも大きな部屋に移動になったんだ」
「そりゃ隊長なんだからそうだろうよ……」

 飲食店が多く並ぶ道を選んで歩き、興味があるものは買っていく。男が二人だとしても結構な量になってしまったが大丈夫だろうかと、ノクトが持っている袋を見ながら思っていると笑う気配がして顔を上げる。

「余ったら部下に分けるよ」
「お、その手があったか。じゃあ他にも買うか」
「そういう無駄遣いは感心しないな」
「はーい」

 道を歩いていくと飲食街を抜け、それから貴族街に着く。ノクトの住む兵舎は王城と貴族街の中間にあるからか、下町とは違って随分と静かだ。
 街を歩いているのは業者や使用人ばかりで、たまに馬車が通り過ぎるくらいだ。その中をノクトについていっていると兵舎に辿り着いた。

「ノクト隊長! お疲れ様です!」
「ああ、君も。彼は友人だ。名前はリアス・オルロン。下町のアイテム職人だと言えば通じるか?」
「はい! あのオルロンさんですね! どうぞ!」

 兵舎に入るのだから身分の提示があるのは仕方がないと思っていたけれど、なんだか釈然としない門兵の言葉にオレは前を歩くノクトに声を掛けた。

「あのってなんだよ。あのって」
「聖女の旅に無断で同行したアイテム職人だからね、君は。あの、と呼ばれても仕方がないよ」
「……言い返せる言葉もねえな」

 残念ながら全て事実だった。
 そんな感じで名前が広まっているのが少し複雑ではあったものの、仕方がないかとすぐに諦めてノクトの部屋に入る。

「おおっ」

 やはり隊長ともなると部屋のグレードが高いなと思った。
 まず一部屋だけじゃないのがすごい。扉から中に入った部屋は応接間と呼んでもいいくらいの格式高い作りだし、きっと違う扉の奥が寝室や日常的なスペースになっているのだろう。

「すげえじゃん。確かにこの部屋あったら屋敷とかいらねえわ」
「だろう? それにここの方が伝令が早く届くからね」
「さすが仕事人間」

 苦笑したノクトに促されるままに対面式のソファに座る。
 ローテーブルに買ってきた料理を並べつつ、飲み物の準備はノクトがしてくれた。

「……やっぱここまでつまみがあると酒が」
「何か言ったかい?」
「いえ何も」

 笑顔の圧に屈してオレはお茶の入ったグラスを手に持った。ノクトが持っているのもアルコールは入っておらず、なんとも健康的な食事会だと思いながらグラスを掲げた。

「乾杯」

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