【完結】推しを死亡フラグから救済したら溺愛ルートに入りました⁉︎

白(しろ)

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第四章

そういえばモブ

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 翌日も店を休みにして、午前中はもう少しお互いのことを話すことにした。

「……お話をしたいんですけども、この体勢である必要はあるんでしょうか」

 今オレはルークに後ろから抱き締められている。ソファに横並びに座っていたはずなのに、いつの間にか足の間に座らされている。

「ある」

 即答されてしまって思わず黙った。けれど嬉しさで顔がにやけてしまうのが止められない。

「仕方ねえなぁ」

 なんて言うけれど、内心は浮かれまくっている。それくらい戻ってきた日常が嬉しいのだが、これから話す内容を考えると若干緊張はする。

「リリアのことだな」

 間髪入れずに疑惑の人の名前を出され思わず体が緊張する。
 それを宥めるようにルークが耳にキスをした。

「あれは俺の部下だ。かつてのな」
「部下……?」

 聞き慣れない言葉に目を白黒させた。
 部下ということはルークの悪役時代からの知り合い。そこまで考えて俺ははっとした。
 中性的な見た目と声、そして敵。そこまで情報が組み合わさった時、オレの頭の中にある光景が浮かんだ。

「……敵キャラじゃん?」

 RPGにはもちろんモブでも敵キャラが出てくる。そして記憶を遡ってみれば、確かゲームの中でルークと戦う際に側にいた側近みたいなモブキャラが色彩が似ていたように思う。
 ゲーム画面ではモブの顔はわからない。あまり造形に個性はあっても顔にまでそれを求めていないからだ。それでも思い出せば「いたな」となるくらいには、記憶にあるキャラだった。

「知っているのか?」
「顔とか名前は知らなかったけど、存在は知ってた。そうか、あのキャラかー。ゲームの中だと名前で表示されねえんだよな」

 ルークくらいのポジションになれば名前で表示されるが、モブの敵役はその役職でしか表示されない。例えば盗賊Aとか、魔法使いBとかだ。リリアはどれだったかと思考を巡らせていると、腹部に回る腕に力が入った。

「リリアもお前の推しなのか?」

 まるで見当違いな言葉に一瞬何を言われたのか分からず目を丸くしたが、すぐに首をぶんぶんと横に振った。

「違う! オレの推しはルークな! それと特別枠でエスタ」
「……」
「そんな顔すんなって。エスタは幼馴染で妹みたいなやつなんだよ。ルークとはベクトルが違う」

 溜息を吐いて渋々納得してくれたルークだが、やはり面白くはなかったようでそれからすぐに首に吸い付かれた。

「あ、こら」
「お前はもう俺のものだ。印を付けて何が悪い」
「……なんだよもー、かわいいやつだなあ」

 ルークの態度は以前に増してわかりやすくなったけれど、その実あまり変わっていない気もする。行動に言葉が伴っただけだ。
 こんなにわかりやすかったのになぁと今更思いながら体勢を変え、ルークの腰に跨る。それから頭を抱き締めるようにすると背中に腕が回った。

「心配しなくてもオレはもうルークのだよ。あんま信用ねえかもだけど」
「そうだな。お前には前科がある」
「言い返せねえわー」

 拗ねた様子のルークに眉を下げつつ額に口付ける。するとルークが顔を上げたから、迷うことなく唇を触れ合わせた。

「……リアスはもっと恥ずかしがると思っていた」
「今は幸せの方が勝ってんだよ。冷静になったら死ぬ程恥ずかしくなる」

 けらりと笑って抱き締めている腕を離し、ルークの胸元にもたれかかるように座り直す。

「そういうものか」
「おう。……で、なんでリリアさんと会ってたんだよ。しかも花街で。王都でも会ったことあるんだろ?」
「どうして王都でのことも知ってるんだ」
「……だーいぶ前にルークさんが甘い匂い付けて帰ってきたことあったんで覚えてただけですー」

 しまった思わず声がだいぶ拗ねてしまった。
 けれどルークの気持ちがオレにあるとわかった上でも面白くないものは仕方がないのだ。しかもルークは数回その匂いをさせて帰ってきている。思い出すだけで落ち込むし少し腹が立つしで、情緒が乱れる。

「……リリアさんとはどういったご関係なんですか」
「部下だと言っただろう」
「部下の匂いが付くほど近くにいたのかよ。抱き付かれてたし。……もしかしてさ、オレと暮らすようになってからもその、リリアさんと」

 仕方がないとわかっていても不安で自信がなくなっていく。見る間に落ち込んでいくオレを見てルークが何かを理解したように頷き、オレの頭を撫でた。

「抱き付かれはしたがその程度だ。リアスが思うようなことはない」
「……ん」
「お前なら部下に手を出そうと思うか?」
「それは思わねえですね。色々面倒臭そう」
「そういうことだ」

 おお、と簡単に納得したオレを見てルークが軽く口角を上げる。安堵したように息を吐き、抱えるようにオレを抱き締めた。

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