【完結】推しを死亡フラグから救済したら溺愛ルートに入りました⁉︎

白(しろ)

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第四章

世界が敵に回っても

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「あいつはただ俺を慕っていただけだ。母が倒れもう組織も壊滅したかと思っていたが、まだ動いている奴らもいるらしい」
「え、それ結構まずいんじゃ」
「ダリアの意志を継いで復讐を果たせとも言われたが、もうそんな気はない。あれは母が起こした戦いで、俺には意味のないことだ」

 細く息を吐いたルークが首筋に顔を埋めた。

「俺に罪がないとは言えない。償わなければならないこともわかっている。……だがもうあの時に戻るのも、これ以上罪を重ねるのもごめんだ。何より、リアスと離れたくない」

 どこか疲れた様子で呟かれた言葉にただルークを見ることしかできない。
 これだけ弱っているルークを見るのは初めてだ。オレと離れていた時も弱っていたけれど、この状態はそれとは違う気がした。
 気が付くとオレはルークの頭を撫でながら口を開いていた。

「それならさ、旅にでも出るか」
「?」
「本当ならルークを騎士団に連れて行かなきゃってオレもわかってる。でもオレもそれはしたくないしできない。けどルークが償いたいって思うなら、二人で旅してさ、悪さしてきた町で復興とかの手伝いすればいいんじゃね?」

 ゆっくりとルークの目が見開かれていって、オレはそれを見て笑う。

「建物作るの手伝ってもいいし、金渡すのだっていい。物資が欲しいなら送るし、魔物の退治だってする。多分それじゃ償いきれないかもしれないけどさ、その分はオレも背負うよ。ルークの人生面倒見るって言ったし」

 ルークの眉間に皺が寄った。それに吹き出すように笑うと、ルークがオレを強く抱き締める。ルークの顔が見られなくなってしまったが、それでもなんとなくどんな顔をしているかはわかった。

「お人好しめ」
「ルークにだけだわ。オレさあ、世界かルークか選べって言われたらルークって即答できるくらいにはお前のこと大切なんだよ」

 前世でたまに聞いていた陳腐な言葉があった。
 世界が敵に回っても自分だけはあなたの味方だよというやつだ。
 そんなシチュエーション起こりっこないだろって鼻で笑ってたこともあるし、実際今オレたちを取り巻く環境がそうであるわけじゃないけれど、オレにとってのルークの重さを表す言葉があるとするならば、それが適当だと思ったんだ。

「……ありがとう、リアス」
「なんでお礼言ってんだよ。オレのわがままの延長線上にあるんだから、ルークがお礼言うことなんてねえんだよ」

 軽く笑いながら言葉にして、それからまた目が合う。
 どちらともなくキスをして、ちょっと怪しい雰囲気になりそうになったところで唇を離した。

「なんでだ」
「さすがに仕事しねえとまずいんだって。店の棚見てねえの? すっからかんだっただろ」
「……ああ」
「そういうこと。今日中に補充して明日店開けるんだよ」
「仕方ないな」

 大きく息を吐いてルークがオレから手を離す。
 それを褒めるみたいに髪をぐしゃぐしゃに乱してからルークの上から退いて、それからぐっと伸びをする。

「忙しくなるけどちゃんと着いてこいよー」
「誰に言っているんだ」

 互いに笑い合って軽く拳を突き合わせる。
 結局その日は補充や調合で深夜まで作業することになり、次の日は二人して目の下に隈を作ることになった。睡眠不足のはずなのに満ち足りていて、それがなんだかおかしくて笑うと、ルークも口角を上げていた。

「今日は早く寝ような」
「善処する」
「おい」

 そんな気軽なやり取りができるようになったのが嬉しい。
 元通り、というよりもちゃんとした名前の付いた関係になったおかげか、今までよりもずっとルークのことが大切だと思えるようになった。
 大事にしよう。心の中でそう呟きながら、二日ぶりに俺たちは店を開けるのだった。

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