【完結】推しを死亡フラグから救済したら溺愛ルートに入りました⁉︎

白(しろ)

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第五章

軽蔑と脊髄反射

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 思わず持っていたフライ返しを床に落とすところだった。

「す、全てって」

 けれど動揺は収まらず、出した声が震えているし不安で心臓がばくばくと激しく動いている。多分表情にも不安がありありと現れていたのだろう。ルークが眉尻を下げながらオレの頭を撫でた。

「リアスが心配するようなことにはなっていない。食事にしよう、腹が減った」
「確かに、捕まってはねえけどさぁ」

 ルークの言葉には嘘がないし、あの正義感の塊のようなノクトがルークの身の上を知っても捕まえていないということは、きっと両者が納得するような話し合いが行われたのだと思う。
 それでも不安なものは不安だ。
 テーブルに料理を乗せ、二人で食べている間も頭の中は悶々としている。

「そもそもあいつは元から俺が何者か気付いている様子だったしな」
「え」

 食事中にこぼされた言葉に目を丸くする。

「で、でも初めて顔合わせた時何とも」
「確実に殺したはずの敵が生きていて、それも知人と親しくしているとなれば初手では誰もが動揺する。二回目はさすがに通じなかったな」

 なんてことない、みたいな様子で語る姿にもう何と言ったらいいかわからず溜息すら出る。

「……じゃあノクトの言ってた確認ってそれのことだったのか」
「主な部分はな。それ以外にもあったが」
「それ以外?」
「ダリアの残党について情報を渡した」

 穏やかではない言葉に食事の手が止まる。
 残党ということは、かつての仲間ではないのか。

「……軽蔑するか?」

 穏やかだが、少し悲しみの色も乗った表情でルークが問い掛ける。その問いに答えられずにいると、ルークが小さく笑った。

「俺にとってあいつらは仲間という高尚なものではない。そもそも、俺に仲間などいたことはなかった。俺はダリアの傀儡に過ぎなかったからな」

 紅い目がほのかに暗くなる。声が鋭利になり、雰囲気が重たくなった。

「俺を復讐の印として担ぎ上げようとしているのも、ただ単にあいつらがダリアのおかげで得た権力が奮えなくなったせいだ。そんな人間の集まりの情報を渡すことに、俺は一切の躊躇はない」

 この重たく鋭い空気はゲームの中で見たルークそのものだ。
 感情が読めなくて、触れたら切れてしまいそうなくらい張り詰めた緊張感を孕んだ存在だった。
 けれどそれが、オレを見たことではらりと緩む。

「こんな俺は嫌いか?」
「そんなことねえけど」

 脊髄反射みたいな速度で答えた。するとルークが笑い、食事が再開する。
 正直料理の味なんてほとんどわからなかったけれど、ルークがどこか吹っ切れたような雰囲気だったのが印象的だった。それでもオレの方には不安が残る。

 だってユウの町でリリアを見ていたルークの顔には、そんな冷徹な感情はなかったように思えたから。
 そんなことを一人浴槽に浸かりながら悶々と考え、風呂を上がっても考え、そしてベッドに潜り込んでからも考えていると、頭上からルークの声がした。

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