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第五章
そんなことのために助けたわけじゃない。
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「……ありえないって言えたらいいのに、リアスの行動を考えたらそう言えないのが悔しいわ」
「だろうな」
「未来を知っていないとできない動きだったもの」
エスタの手が襟から離れ、深く長い溜息を吐く。
納得してしまった自分が悔しいのか、オレへの怒りが収まらないのかエスタが眉間に深く皺を寄せたままオレを見ている。
「……どうして言ってくれなかったの。未来が視えていたのも、ルークのことも」
「言ったら未来が変わるかもしれないと思って。怖くて言えなかった」
「何が怖かったの」
「未来が変わったらルークを助けられないかもしれないから」
その言葉にエスタが一瞬ひどく悲しそうな顔をした。多分俺が恐怖を覚えた理由の一番が自分じゃなかったことに対してエスタは悲しんだのかもしれないなと思った。
「それに、どこかで未来が変わるとエスタのことも幸せにできなくなると思ったから」
こっちも本心だ。
俺はこの世界に転生したとき、ルークを助けることとあともう一つ決めていたことがある。それがエスタを幸せにすることだった。
「エスタに未来が視えるなんて言えなかった。言ったら多分、オレが知っている未来は全部消えていくと思った」
「……リアスの思い通りに動かされていたっていうの?」
「いや全然。全く。お前はとんだじゃじゃ馬だったよ」
悲しくて苦しくて今にも泣き出しそうだったエスタの顔が鳩が豆鉄砲を食らったようなそれに変わる。
「記憶にあるのよりずっとエスタはお転婆だった。行動力鬼だし、あんまり深く考えねえし、それなのに才能はピカイチだからマジでお手上げだったよ。何回眠れぬ夜を過ごしたかわかったもんじゃねえわ」
「そ、それでも結果的にリアスが望んだ未来になったんでしょ⁉︎」
「うん。大体は」
素直に頷いて見せると、エスタはまた表情を歪めた。
きっと何を言っても納得はしてもらえないだろうなと思う。だって今オレは虫のいい話をしている。
結果的に幸せになったんだからそれでいいだろ。というわけにはいかないのだ。
「……全部嘘っぽく聞こえると思うんだけどさ、オレ本当にエスタにも幸せになってほしかったんだ。好きな人と結ばれて、あったかい家庭とか持ってさ。いつでも美味しいものとか食べてほしいと思ってる」
「……」
眉間にぐっと力を入れて泣くまいと堪えている表情に胸が痛くなる。
それでもエスタには本当のことを言おうと思ったのは、オレのエゴだ。
「リアスは、ルークが何をしたか知ってるでしょ?」
「うん」
「あいつは罪人よ」
「うん」
「罪はちゃんと償うべきだわ」
「それはオレもそう思うよ。でもルークを騎士団には渡せない」
「どうしてっ」
「そうしたら確実に死刑じゃん、あいつ。殺させるために助けたんじゃねえんだよ」
「そんなのわからないじゃない!」
「わかるよ」
「どうしてそんなのがリアスにわかるのよ!」
「ルークが王の息子だからだよ」
徐々に大きくなっていた声が、その一言で完全に沈黙した。
信じられないと目を見開くエスタがゆっくりとオレから視線を外し、口元に指を触れさせて視線を彷徨わせた。きっと今必死にルークのことを思い出しているのだろう。
けれど王との関係を欠片でも匂わせるものは出てくる筈がない。それは数え切れない程この世界を攻略したオレが保証する。
「……醜聞もいいところだろ。騎士団に捕まったら遅かれ早かれ王の耳に入る。そしたら確実にルークは殺される。そんなのはオレが許さない」
重たい沈黙が流れて、エスタが両手で顔を覆った。
「だろうな」
「未来を知っていないとできない動きだったもの」
エスタの手が襟から離れ、深く長い溜息を吐く。
納得してしまった自分が悔しいのか、オレへの怒りが収まらないのかエスタが眉間に深く皺を寄せたままオレを見ている。
「……どうして言ってくれなかったの。未来が視えていたのも、ルークのことも」
「言ったら未来が変わるかもしれないと思って。怖くて言えなかった」
「何が怖かったの」
「未来が変わったらルークを助けられないかもしれないから」
その言葉にエスタが一瞬ひどく悲しそうな顔をした。多分俺が恐怖を覚えた理由の一番が自分じゃなかったことに対してエスタは悲しんだのかもしれないなと思った。
「それに、どこかで未来が変わるとエスタのことも幸せにできなくなると思ったから」
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「そ、それでも結果的にリアスが望んだ未来になったんでしょ⁉︎」
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きっと何を言っても納得はしてもらえないだろうなと思う。だって今オレは虫のいい話をしている。
結果的に幸せになったんだからそれでいいだろ。というわけにはいかないのだ。
「……全部嘘っぽく聞こえると思うんだけどさ、オレ本当にエスタにも幸せになってほしかったんだ。好きな人と結ばれて、あったかい家庭とか持ってさ。いつでも美味しいものとか食べてほしいと思ってる」
「……」
眉間にぐっと力を入れて泣くまいと堪えている表情に胸が痛くなる。
それでもエスタには本当のことを言おうと思ったのは、オレのエゴだ。
「リアスは、ルークが何をしたか知ってるでしょ?」
「うん」
「あいつは罪人よ」
「うん」
「罪はちゃんと償うべきだわ」
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「そんなのわからないじゃない!」
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「……醜聞もいいところだろ。騎士団に捕まったら遅かれ早かれ王の耳に入る。そしたら確実にルークは殺される。そんなのはオレが許さない」
重たい沈黙が流れて、エスタが両手で顔を覆った。
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