【完結】元つく二人の珍道中!〜(元)魔王と聖女の全国行脚美食旅〜

白(しろ)

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第二章 西の国の花の祭り編

メールアランの塩漬け

 てぷの元気な掛け声と一緒に再び進み出した三人はそれからも景観を楽しんだり、見慣れない建造物を見学したりと石畳の上を歩いていた。途中何度か屋台の誘惑にリヴィウスが負けそうになったがそれをステラが宥め、街の広場で遊んでいる子供たちを見てソワソワしているてぷも宥め、そうして見つけた一件のこじんまりとした店。
 街の大通りからほんの少し逸れてはいるけれど日当たりも良く、水路も見えるいい場所に店を構えているその場所に小さな看板が出ている。『やっと来た! 今日のオススメはメールアランの塩漬け!』その文字の下には簡易的な絵も描かれていて、その柔らかな雰囲気がなんとなくステラ好みだった。

「ここにしませんか?」

 旅の目的は現地の美味しいものを食べること。屋台の料理が美味しいことはステラも知っているけれど、どうせならそこでしか食べられないものを食べてみたい。そう思いながら問いかけるとてぷを抱えたままのリヴィウスが首を傾げた。

「メールアランとはなんだ」
「魚ですね。そういえばお二人はあまり魚を食べたことがないのでは?」
「肉の方が見た目がいい」
『わかる』
「ふふ、それでは今日は魚に挑戦してみましょう」

 二人の表情はどこか不満気で、あまりに素直な様子にステラは笑う。だがしかしステラには旅の目的と同時に使命もあるのだ。気を抜くと自分の好きなものしか食べないこの二人にきちんと栄養の整った食事をさせること。
 健康をきちんと守るというのもこの旅においてステラの大切な使命だ。
 木製の扉を開けて店内を見ると、初老の紳士が朗らかに微笑んだ。

「いらっしゃいませ、何名様ですかな?」
「三人です。大丈夫でしょうか?」
「ええ、ええ。もちろん。あちらの景色のいい席にどうぞ」

 通されたのは日当たりのいい水路の見える席。通路に面しているというのもあって人の往来があるけれど、店内の植物や窓の反射のおかげで店内はそこまで目立たない仕様になっているらしかった。
 テーブルに座り、卓上においてあるメニューを開くと同じタイミングでリヴィウスとてぷが覗き込んでくる。親子というよりは兄弟に近いかもしれないなと思い直しながらステラも目を通すと小さな手が一つのメニューを指差した。

『ボクこれ食べたいぞ!』
「てぷ様は揚げ物がお好きですね」
『揚げたらなんでも美味しい』

 書かれていたのは小麦粉とミルクで作ったソースに挽き肉を入れ、パン粉をまぶして揚げたもの。確かにてぷが好きそうだなとステラは頷いて、とりあえずそれを三つと看板に書かれていたメールアランの塩漬けも三つ頼むことにする。

「これもいる」

 今度はリヴィウスが指差したメニューを見る。名前の下には青豆と野菜のスープと書かれており、ステラは微笑んだ。

「リヴィはスープがお気に入りですか?」
「……あれは悪くない」
「ふふ、そうですか」

 リヴィウスはスープが好きらしい。味覚を覚えて食事を楽しいと思って貰えているのはもちろん、その中でも好きな料理が出来たというのは大変喜ばしいことだ。

「じゃあそれと、あとはパンを頼みましょうか」
『うん、それでいいぞ!』

 魚料理というので少ししょぼくれていたてぷだったが、いざ食事となるとすっかり元気になっている。その様子に目を細めながら初老の紳士を呼ぶと注文を済ませ、三人は料理が来るのを景色を見たり話をしたりしながら待った。
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