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第四章 西の国の救国の聖女編
祖父に助けを求めたい
その日はやってきた港町で一泊することにした三人は早速宿を探すことにした。首都が近いと言ってもモンスターが出現する森が近くにあるからか町の規模は小さく、歩く場所もただ地面を平らにならしただけの土地だ。
港だけは整備されているがそれ以外は建物もぽつぽつとしか建っていない田舎町だからか、今日は野宿かもなと覚悟もしたけれど飲食店兼宿屋を見つけて迷わずそこで一泊することに決めた。一階が飲食店で二階に行けば宿屋になる作りになっている。
「懐かしい。冒険の最初はこういう場所に宿を取っていました」
飲食店というよりは酒場の方がニュアンスは近く、その上に建てられた宿屋は壁も薄くベッドもふかふかとは言い難い。安宿、といえば聞こえは悪いがまさしくそんな作りの室内にステラは目を細めた。
当時は冒険を始めたばかりで勝手が分からず無駄にアイテムや防具などを買ってしまってお金が無く、更には冒険者ギルドでもまともな依頼もなく稼げもしない時期だった。唯一の冒険経験者のフェルゼンが幾度となく苦言を呈したのだが勇者になりたてのリヒトがはしゃいでしまって言うことを聞かず散財したのがきっかけだった。
その頃に比べたら随分と冒険というものに慣れたなと思いながら必要なものをインベントリから取り出していたら不意に背後から抱き着かれた。
「‼︎」
『ボク空の散歩に行ってくるんだぞ~』
「てぷ様っ⁉︎」
いつの間にか元の姿に戻ったてぷが窓から飛び去る瞬間、二人の視界が交差した。『あとは若い二人で頑張るんだぞ』みたいな生暖かい目をしたてぷがぴゅーんと空に舞い上がったのをステラは捨てられた子犬のような心境で見ていた。
「ステラ」
「はいっ」
すぐ側で聞こえた豊かな低音に上擦った声で返事をすると耳元で微かに笑う声が聞こえた。
「り、りり、リヴィっ、近い、近いですっ」
「今までと変わらん」
「変わります、わああっ」
膝裏を掬われて簡単に横抱きされてしまいステラは目を丸くする。リヴィウスはステラの混乱なんて意に介さずそのままベッドに腰掛けて、自分の膝の上にステラを下ろす。一息つく暇もなくまた抱き締められてステラの頭はもういっぱいいっぱいだった。
「り、リヴィっ」
「なんだ」
「なんでこんな急にっ」
「急に、なんだ」
神様が作ったような美貌がじっとステラを見つめている。前までは、体を重ねる前までは普通に見れていた筈なのに今はこの顔面が光り輝いているように見えて眩しくてしょうがない。またじわじわと顔に熱が集中して行くのを感じてステラは堪らず両手で顔を覆った。
「さ、触ってくるようになったんですか…?」
わけもわからず返した言葉は我ながらなんて稚拙だろうと羞恥がさらに加速する。心の底から穴があったら入りたいと思う程に恥ずかしいし、叶うのであれば消えてしまいたい。だがリヴィウスはそんなステラの葛藤なんてお構い無しに片手で簡単にステラの手首を掴んで顔から引き剥がしてしまう。
「見ないでくださ」
「お前を見ていると無性に触りたくなる」
そうして今度はステラが顔を隠せないようにリヴィウスの手がステラの頬を包んだ。親指の腹が目元を、輪郭を謎って、唇にまで至る。その間リヴィウスはとても楽しそうで、ステラの心臓は壊れそうなくらい脈打っていた。
「そ、れは、私に面と向かって言っていい言葉ですか……?」
「ステラ以外の誰に言うんだ」
さらりと告げられた言葉にステラは言葉を失う。目を丸くして固まる様子を見てリヴィウスがふ、と小さく口角を上げた。
「んんっ!」
あ、という間もなく唇が重なって強く抱き締められる。反射で体を硬くするステラを安心させるようにリヴィウスの長い指が耳の後ろを擦り、啄むように唇を触れ合わせる。ただ唇が触れ合っているだけなのに簡単に体から力が抜けて、十数秒と経たずしてステラは全身をリヴィウスに預けることになる。
「鼻で息をしろと言っただろう」
「リヴィの馬鹿……!」
息も切れ切れに訴えるといたずらっ子のように目を細めたリヴィウスにまた唇を奪われる。
こんな触れ合いは体を重ねたあの日から日常茶飯事になりつつある。あれ以降一線を越えるようなことはしていないけれど、キスはもう数え切れない程している。朝起きた時、寝る前、なぜだかてぷが気を利かせて出て行った時、様々だ。
当然ステラは慣れない。慣れるはずがない。こんな経験が全くないからだ。
「ステラ、口を開けろ」
「いや、ぁ、んんっ」
けれど嫌ではないのである。むしろ触れてもらえることには相変わらず嬉しさを感じている始末なのである。「愛の雫」なんてものがなくてもステラはリヴィウスから触れられることを嬉しく感じてしまっているのである。
だがしかしステラはこれが何故なのかわからない。こんな勉強は一切して来なかったからだ。あまりにもわからなすぎて、脳裏に懐かしい顔が浮かんだ。いつでも柔らかな笑みを浮かべているはしゃぎ癖のある祖父(仮)の顔だ。
(おじいちゃん、これは一体なんですか……!)
想像で祖父(仮)が泣いているのが見える。泣いていないで教えてくれと心から思うが、僅かに唇が離れたその刹那にリヴィウスの宝石の目が妖しく光った。
「考え事か、余裕だな」
「ちがっ」
優しかった触れ合いが激しいものに代わり、ステラは涙目になった。
(理不尽だ…‼︎)
そんな心の声はリヴィウスに届くことはなく、結局ステラは唇が赤くなるまでリヴィウスから離してもらえなかった。
港だけは整備されているがそれ以外は建物もぽつぽつとしか建っていない田舎町だからか、今日は野宿かもなと覚悟もしたけれど飲食店兼宿屋を見つけて迷わずそこで一泊することに決めた。一階が飲食店で二階に行けば宿屋になる作りになっている。
「懐かしい。冒険の最初はこういう場所に宿を取っていました」
飲食店というよりは酒場の方がニュアンスは近く、その上に建てられた宿屋は壁も薄くベッドもふかふかとは言い難い。安宿、といえば聞こえは悪いがまさしくそんな作りの室内にステラは目を細めた。
当時は冒険を始めたばかりで勝手が分からず無駄にアイテムや防具などを買ってしまってお金が無く、更には冒険者ギルドでもまともな依頼もなく稼げもしない時期だった。唯一の冒険経験者のフェルゼンが幾度となく苦言を呈したのだが勇者になりたてのリヒトがはしゃいでしまって言うことを聞かず散財したのがきっかけだった。
その頃に比べたら随分と冒険というものに慣れたなと思いながら必要なものをインベントリから取り出していたら不意に背後から抱き着かれた。
「‼︎」
『ボク空の散歩に行ってくるんだぞ~』
「てぷ様っ⁉︎」
いつの間にか元の姿に戻ったてぷが窓から飛び去る瞬間、二人の視界が交差した。『あとは若い二人で頑張るんだぞ』みたいな生暖かい目をしたてぷがぴゅーんと空に舞い上がったのをステラは捨てられた子犬のような心境で見ていた。
「ステラ」
「はいっ」
すぐ側で聞こえた豊かな低音に上擦った声で返事をすると耳元で微かに笑う声が聞こえた。
「り、りり、リヴィっ、近い、近いですっ」
「今までと変わらん」
「変わります、わああっ」
膝裏を掬われて簡単に横抱きされてしまいステラは目を丸くする。リヴィウスはステラの混乱なんて意に介さずそのままベッドに腰掛けて、自分の膝の上にステラを下ろす。一息つく暇もなくまた抱き締められてステラの頭はもういっぱいいっぱいだった。
「り、リヴィっ」
「なんだ」
「なんでこんな急にっ」
「急に、なんだ」
神様が作ったような美貌がじっとステラを見つめている。前までは、体を重ねる前までは普通に見れていた筈なのに今はこの顔面が光り輝いているように見えて眩しくてしょうがない。またじわじわと顔に熱が集中して行くのを感じてステラは堪らず両手で顔を覆った。
「さ、触ってくるようになったんですか…?」
わけもわからず返した言葉は我ながらなんて稚拙だろうと羞恥がさらに加速する。心の底から穴があったら入りたいと思う程に恥ずかしいし、叶うのであれば消えてしまいたい。だがリヴィウスはそんなステラの葛藤なんてお構い無しに片手で簡単にステラの手首を掴んで顔から引き剥がしてしまう。
「見ないでくださ」
「お前を見ていると無性に触りたくなる」
そうして今度はステラが顔を隠せないようにリヴィウスの手がステラの頬を包んだ。親指の腹が目元を、輪郭を謎って、唇にまで至る。その間リヴィウスはとても楽しそうで、ステラの心臓は壊れそうなくらい脈打っていた。
「そ、れは、私に面と向かって言っていい言葉ですか……?」
「ステラ以外の誰に言うんだ」
さらりと告げられた言葉にステラは言葉を失う。目を丸くして固まる様子を見てリヴィウスがふ、と小さく口角を上げた。
「んんっ!」
あ、という間もなく唇が重なって強く抱き締められる。反射で体を硬くするステラを安心させるようにリヴィウスの長い指が耳の後ろを擦り、啄むように唇を触れ合わせる。ただ唇が触れ合っているだけなのに簡単に体から力が抜けて、十数秒と経たずしてステラは全身をリヴィウスに預けることになる。
「鼻で息をしろと言っただろう」
「リヴィの馬鹿……!」
息も切れ切れに訴えるといたずらっ子のように目を細めたリヴィウスにまた唇を奪われる。
こんな触れ合いは体を重ねたあの日から日常茶飯事になりつつある。あれ以降一線を越えるようなことはしていないけれど、キスはもう数え切れない程している。朝起きた時、寝る前、なぜだかてぷが気を利かせて出て行った時、様々だ。
当然ステラは慣れない。慣れるはずがない。こんな経験が全くないからだ。
「ステラ、口を開けろ」
「いや、ぁ、んんっ」
けれど嫌ではないのである。むしろ触れてもらえることには相変わらず嬉しさを感じている始末なのである。「愛の雫」なんてものがなくてもステラはリヴィウスから触れられることを嬉しく感じてしまっているのである。
だがしかしステラはこれが何故なのかわからない。こんな勉強は一切して来なかったからだ。あまりにもわからなすぎて、脳裏に懐かしい顔が浮かんだ。いつでも柔らかな笑みを浮かべているはしゃぎ癖のある祖父(仮)の顔だ。
(おじいちゃん、これは一体なんですか……!)
想像で祖父(仮)が泣いているのが見える。泣いていないで教えてくれと心から思うが、僅かに唇が離れたその刹那にリヴィウスの宝石の目が妖しく光った。
「考え事か、余裕だな」
「ちがっ」
優しかった触れ合いが激しいものに代わり、ステラは涙目になった。
(理不尽だ…‼︎)
そんな心の声はリヴィウスに届くことはなく、結局ステラは唇が赤くなるまでリヴィウスから離してもらえなかった。
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