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第四章 西の国の救国の聖女編
ステラにもっと精神的ダメージ!
いくつか回ってようやく見つけたのは一番大きな広場からいくつか離れた通りの小さな宿屋だった。ペタルの街と同じような構造だが、広さや内装の感じは昨日泊まった港町のものとよく似ている。首都での祭りとあって目についた宿屋はほぼ満席になっていたから仕方がないと三人は納得していた。
が、ステラは珍しくてぷよりも先にベッドに突っ伏した。
『どうしたんだぞ?』
「どうしたもこうしたもありません……! 何が、何が起きているんですか!」
ダブルベッドよりも少し小さなベッドに顔だけを埋めてステラは切に訴えた。そんなステラにてぷはよくわからないとばかりに首を傾げていたが、リヴィウスだけは事情を察しているのか呆れたように息を吐く。
「だから言っただろう、駄目だと」
「だって、だってこんなことになっているなんて思わないじゃないですか!」
ステラは夢ならいっそ醒めてくれと叫びたくなるような心地だった。それくらいリュミールで起きている現象がとてもではないが受け入れ難かった。今までにないステラの様子にてぷが目を白黒させ、子供の姿のままリヴィウスの服を引っ張る。
『ど、どうしたんだぞ、あれ』
「魚が美味かった街を覚えているか」
『塩漬け!』
「そこだ。あの街でおかしな男がいただろう、ステラの目の色を見せろと言っていた男だ」
『そういえばそんなのいたんだぞ』
その会話を聞きながらステラはかつての己の迂闊さを恨んでいた。もし時間が戻るのならばステラはあの日に戻って自分を殴ってでも止めたはずだ。
「あの時俺が選んだ石と似たような色のものが出回っている。それも聖女の慈愛だとかいう名前で」
『……ああ』
少し沈黙したあと、てぷは合点がいったのか声を上げた。それと同じタイミングでステラは唸った。「ぐふぅ…!」自分の像を発見した時よりもダメージは上かもしれないそれほどまでの破壊力がそれにはあった。
「い、居た堪れません……! どうして私の目の色というだけであんなにも商品が出回っているのですか…!」
「人間の考えることが俺にわかるとでも思うのか」
『同じくだぞ』
「うぐうううう」
ステラは唸った。そうなった理由はとてもはっきりしている。広場から離れたステラたちは宿屋を探すと同時にちょうど空腹を訴えていた小腹を満たそうと屋台を回ることにしたのだ。そこでムッカロッソという牛鬼に似たモンスターの肉を使った赤ワイン煮込みやチーズをふんだんに使用したサンドイッチを楽しんでいる時、ふと気がついたのだ。
街行く住民はおろか、他国からやってきているであろう人たちもデザインこそ違えどそのほとんどが同じ色合いの石を使ったアクセサリーを身につけていることに。
一見すると黒に見えるが、光に透かせば濃い青色にも見えるその石はアクセサリーとして身につけるのには随分と地味だ。けれど誰も彼もが身に付けているのが気になって、ステラはサンドイッチを販売している屋台の店主に聞いてみたのだ。
「その色の石は今流行っているんですか? みなさん身に付けているような気がして」
「なんだあんた知らないのかい? モグリだねえ!」
サンドイッチ屋台の恰幅の良い女性はブローチになっている青い石を自慢げに見せながら茶目っ気たっぷりにステラにウィンクをして見せた。
「こいつはね、氷の聖女様の慈愛の涙なのさ」
「……はい?」
ステラは思わず聞き返した。絶対に聞き間違いだからと思ったからだ。
「だから、聖女様の慈愛の涙! 本当は聖女の慈愛って石なんだけどね、この形なんか涙みたいだろう? だからあたしは涙って呼んでんのさ。この大きさの石は中々無くってねえ、見つけた時はもう一も二もなくすぐに有り金叩いて買っちまったさ! なんてったって救国の聖女様と同じ目の色だって言うじゃないか。魔除けにもなるっていうし、なんだかこれを買ってから運も良くなったようが気がするんだよ! いやほんと、聖女様は素晴らしいお方だねえ」
その言葉の半分もステラは理解できていなかった。
が、ステラは珍しくてぷよりも先にベッドに突っ伏した。
『どうしたんだぞ?』
「どうしたもこうしたもありません……! 何が、何が起きているんですか!」
ダブルベッドよりも少し小さなベッドに顔だけを埋めてステラは切に訴えた。そんなステラにてぷはよくわからないとばかりに首を傾げていたが、リヴィウスだけは事情を察しているのか呆れたように息を吐く。
「だから言っただろう、駄目だと」
「だって、だってこんなことになっているなんて思わないじゃないですか!」
ステラは夢ならいっそ醒めてくれと叫びたくなるような心地だった。それくらいリュミールで起きている現象がとてもではないが受け入れ難かった。今までにないステラの様子にてぷが目を白黒させ、子供の姿のままリヴィウスの服を引っ張る。
『ど、どうしたんだぞ、あれ』
「魚が美味かった街を覚えているか」
『塩漬け!』
「そこだ。あの街でおかしな男がいただろう、ステラの目の色を見せろと言っていた男だ」
『そういえばそんなのいたんだぞ』
その会話を聞きながらステラはかつての己の迂闊さを恨んでいた。もし時間が戻るのならばステラはあの日に戻って自分を殴ってでも止めたはずだ。
「あの時俺が選んだ石と似たような色のものが出回っている。それも聖女の慈愛だとかいう名前で」
『……ああ』
少し沈黙したあと、てぷは合点がいったのか声を上げた。それと同じタイミングでステラは唸った。「ぐふぅ…!」自分の像を発見した時よりもダメージは上かもしれないそれほどまでの破壊力がそれにはあった。
「い、居た堪れません……! どうして私の目の色というだけであんなにも商品が出回っているのですか…!」
「人間の考えることが俺にわかるとでも思うのか」
『同じくだぞ』
「うぐうううう」
ステラは唸った。そうなった理由はとてもはっきりしている。広場から離れたステラたちは宿屋を探すと同時にちょうど空腹を訴えていた小腹を満たそうと屋台を回ることにしたのだ。そこでムッカロッソという牛鬼に似たモンスターの肉を使った赤ワイン煮込みやチーズをふんだんに使用したサンドイッチを楽しんでいる時、ふと気がついたのだ。
街行く住民はおろか、他国からやってきているであろう人たちもデザインこそ違えどそのほとんどが同じ色合いの石を使ったアクセサリーを身につけていることに。
一見すると黒に見えるが、光に透かせば濃い青色にも見えるその石はアクセサリーとして身につけるのには随分と地味だ。けれど誰も彼もが身に付けているのが気になって、ステラはサンドイッチを販売している屋台の店主に聞いてみたのだ。
「その色の石は今流行っているんですか? みなさん身に付けているような気がして」
「なんだあんた知らないのかい? モグリだねえ!」
サンドイッチ屋台の恰幅の良い女性はブローチになっている青い石を自慢げに見せながら茶目っ気たっぷりにステラにウィンクをして見せた。
「こいつはね、氷の聖女様の慈愛の涙なのさ」
「……はい?」
ステラは思わず聞き返した。絶対に聞き間違いだからと思ったからだ。
「だから、聖女様の慈愛の涙! 本当は聖女の慈愛って石なんだけどね、この形なんか涙みたいだろう? だからあたしは涙って呼んでんのさ。この大きさの石は中々無くってねえ、見つけた時はもう一も二もなくすぐに有り金叩いて買っちまったさ! なんてったって救国の聖女様と同じ目の色だって言うじゃないか。魔除けにもなるっていうし、なんだかこれを買ってから運も良くなったようが気がするんだよ! いやほんと、聖女様は素晴らしいお方だねえ」
その言葉の半分もステラは理解できていなかった。
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