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第四章 西の国の救国の聖女編
氷の聖女の由来と再びの精神的ダメージ
ステラはリュミールで行われる祭りをいくつも経験してきた。聖女という立場もあり普通に屋台を回ったり楽しんだりはとても出来なかったが、それでもその賑わいを肌で感じる機会はそれなりにあったと思う。
けれども祭りを遠くから眺めるのと、その渦中に参加するのでは全く違う。ペタルの花祭りでも思ったが、祭りの賑わいといのは人を元気にする力でもあるのだろうか。そこここで人を呼び込む元気な声が響き、子供が走り、色とりどりの服装を身に付けた人たちが街の中を歩いている。
その景色自体はやはりペタルの花祭りとあまり変わりはない。だが規模と盛り上がりが桁違いなのでは、とステラは思っていた。
「ステラ絶対に手を離すなよ」
『そうだぞ。ずっとリヴィの手を握っておくんだぞ』
ステラの右手は現在リヴィウスの左手と強く結ばれている。絶対に離さないという強い意志を感じられる力に普段のステラなら苦笑していただろうが、今のステラはただただ力無く頷くほかなかった。
これが普通の祭りならステラも楽しめていただろう。だがしかしこの祭りは魔王を討伐して一年になる祝祭、という名の救国の聖女を崇める祭りだ。つまりステラを祭り上げる為の儀式なのである。昨日ある程度の覚悟は決められたと思っていたのに、現場を目の前にしてステラの精神力はゴリゴリと削られていた。
「どうして歌劇なんてあるんですかどうして私が当時着ていた服のレプリカが出回っているんですか、どうして私の顔を模した仮面が売っているんですか……!」
ステラは今羞恥心で殺されそうになっていた。祭りにはご飯物の屋台が非常に多く並んでいる。けれどそれよりも目立つのが勇者一行をモチーフにした商品たちだ。
勇者の使用していた剣のレプリカ、仲間たちの似顔絵、魔法使いが書いた伝記などが販売されているのはわかる。むしろ彼らの活躍がこうして後世にまで伝わっていくのだろうと思えばステラも嬉しい。だがしかし、比重がおかしいのだ。どう考えてもステラの商品が一番多いのだ。
「聖女が一番話題にし易いからだろうな」
『多分そうだと思うぞ』
「うぐうう」
ステラは歯噛みした。ステラも分かってはいるのだ。これが自分ではなく他人で考えた場合、こうなるというのは現象として理解できるが当事者となれば話は別なのだ。ただただ恥ずかしいし、きちんとした劇場で開催されているらしい歌劇の内容はわからないが、広場で舞台的に展開されていた聖女の物語はあまりにも恥ずかしくてステラはもう泣いてしまいそうだった。
「そういえば気になったんだが、どうして氷の聖女なんだ?」
「ぐふぅ」
ステラは左手で心臓のあたりを押さえた。泣いてしまいそうだった。
けれど聞かれたならば答えなくてはとステラは渋々口を開いた。
「……男だと悟られないように、出来るだけ距離を取っていたんです。教皇様以外の方とは」
当時のことを思い出してステラは遠い目をする。
ステラは男性にしては背が低く、体も細い。けれどどうしたって体は男性だし、骨格や声など至る所で女性とは違う部分が見えてしまう。だからこそステラは必要以上に人と関わるのを避けてきた。それは魔王を倒すために一緒に旅をしてきた仲間だって例外ではない。
「私の声は女性にしたら多少低く感じるでしょうし、いくら細いといっても胸もなければ女性らしい曲線もありません。それに距離が近いとバレてしまうと思ったから、意図的にどんな方でも仲を深めることも避けていました」
その結果聖女の表情は常に無で、言葉数も少なく何を考えているのかわからないという印象を与えてしまうことになったのだ。
「……ずっと心を動かさないまま過ごしていたら、いつの間にかそのような二つ名が広がっていて……」
氷の聖女、と初めて聞かされた時ステラは今と同じように羞恥心で死にそうになっていた。それくらい衝撃だった。だがしかしそれを払拭しようと動けば女性でないことがバレてしまうかもしれない。それの板挟みにあって、ステラは仕方なくその二つ名を受け入れることにしたのだ。
「氷の聖女といわれていたのは、それが理由ですね……」
ステラは苦笑するしかなかった。その様子を見ていたリヴィウスとてぷは同じように首を傾げる。
「……人間はわからん」
『本当にそうなんだぞ……』
けれども祭りを遠くから眺めるのと、その渦中に参加するのでは全く違う。ペタルの花祭りでも思ったが、祭りの賑わいといのは人を元気にする力でもあるのだろうか。そこここで人を呼び込む元気な声が響き、子供が走り、色とりどりの服装を身に付けた人たちが街の中を歩いている。
その景色自体はやはりペタルの花祭りとあまり変わりはない。だが規模と盛り上がりが桁違いなのでは、とステラは思っていた。
「ステラ絶対に手を離すなよ」
『そうだぞ。ずっとリヴィの手を握っておくんだぞ』
ステラの右手は現在リヴィウスの左手と強く結ばれている。絶対に離さないという強い意志を感じられる力に普段のステラなら苦笑していただろうが、今のステラはただただ力無く頷くほかなかった。
これが普通の祭りならステラも楽しめていただろう。だがしかしこの祭りは魔王を討伐して一年になる祝祭、という名の救国の聖女を崇める祭りだ。つまりステラを祭り上げる為の儀式なのである。昨日ある程度の覚悟は決められたと思っていたのに、現場を目の前にしてステラの精神力はゴリゴリと削られていた。
「どうして歌劇なんてあるんですかどうして私が当時着ていた服のレプリカが出回っているんですか、どうして私の顔を模した仮面が売っているんですか……!」
ステラは今羞恥心で殺されそうになっていた。祭りにはご飯物の屋台が非常に多く並んでいる。けれどそれよりも目立つのが勇者一行をモチーフにした商品たちだ。
勇者の使用していた剣のレプリカ、仲間たちの似顔絵、魔法使いが書いた伝記などが販売されているのはわかる。むしろ彼らの活躍がこうして後世にまで伝わっていくのだろうと思えばステラも嬉しい。だがしかし、比重がおかしいのだ。どう考えてもステラの商品が一番多いのだ。
「聖女が一番話題にし易いからだろうな」
『多分そうだと思うぞ』
「うぐうう」
ステラは歯噛みした。ステラも分かってはいるのだ。これが自分ではなく他人で考えた場合、こうなるというのは現象として理解できるが当事者となれば話は別なのだ。ただただ恥ずかしいし、きちんとした劇場で開催されているらしい歌劇の内容はわからないが、広場で舞台的に展開されていた聖女の物語はあまりにも恥ずかしくてステラはもう泣いてしまいそうだった。
「そういえば気になったんだが、どうして氷の聖女なんだ?」
「ぐふぅ」
ステラは左手で心臓のあたりを押さえた。泣いてしまいそうだった。
けれど聞かれたならば答えなくてはとステラは渋々口を開いた。
「……男だと悟られないように、出来るだけ距離を取っていたんです。教皇様以外の方とは」
当時のことを思い出してステラは遠い目をする。
ステラは男性にしては背が低く、体も細い。けれどどうしたって体は男性だし、骨格や声など至る所で女性とは違う部分が見えてしまう。だからこそステラは必要以上に人と関わるのを避けてきた。それは魔王を倒すために一緒に旅をしてきた仲間だって例外ではない。
「私の声は女性にしたら多少低く感じるでしょうし、いくら細いといっても胸もなければ女性らしい曲線もありません。それに距離が近いとバレてしまうと思ったから、意図的にどんな方でも仲を深めることも避けていました」
その結果聖女の表情は常に無で、言葉数も少なく何を考えているのかわからないという印象を与えてしまうことになったのだ。
「……ずっと心を動かさないまま過ごしていたら、いつの間にかそのような二つ名が広がっていて……」
氷の聖女、と初めて聞かされた時ステラは今と同じように羞恥心で死にそうになっていた。それくらい衝撃だった。だがしかしそれを払拭しようと動けば女性でないことがバレてしまうかもしれない。それの板挟みにあって、ステラは仕方なくその二つ名を受け入れることにしたのだ。
「氷の聖女といわれていたのは、それが理由ですね……」
ステラは苦笑するしかなかった。その様子を見ていたリヴィウスとてぷは同じように首を傾げる。
「……人間はわからん」
『本当にそうなんだぞ……』
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