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終章 辺鄙な土地でのこれから編
あの日の聖女と二人と一匹の今
籠には野菜と肉の他にも日用品や、飲食店で買った甘味と軽食も入っている。多い訳でも少ない訳でもない荷物だがこれだけあれば数日は問題ないだろう。
そんなことを考えながらステラは街の中を歩き、ふらりと人の気配のない道に入った。賑やかな通りから一転、暗く少し湿った匂いのする道を更に進んで人の声すら聞こえない場所になったとき口の中で呪文を唱えた。一瞬閃光が迸ったと思えば次の瞬間には光は消え去り、それと同時に人影も消える。
閉じていた目を開けると眩い光が飛び込んできて目を細める。それまであった暗い道はなくなり、眼前には豊かな緑が広がり濃い植物の匂いが鼻腔を擽る。
ほんの数時間しか離れていなかったのに懐かしく感じる匂いに頬を緩めながらさくりと草を踏みしめて足を踏み出す。
ステラが降り立ったのは街から随分離れた森の中。森、と言うよりは山と言った方がいいかもしれない。山をいくつか越えて、その先にある森の中の更に奥。周囲には当然自然しかなく、たまに動物の声とモンスターの気配を感じながら歩くとやがて視界がふわりと開ける。
それまで目の前にはただ森が続くだけだったのに、一歩足を踏み入れるとそこにはステラの肩程度の高さの石垣に囲まれた土地が見えた。
細い鉄製の柵を開けて中に入ると四角く切り取られたその土地には二階建ての木造の家と、いくつかの果樹と、小さいながらに畑があるのも見える。畑のそばには井戸もあり、家の側にある日当たりの良い庭では洗濯物が干されていた。
『ステラっ!』
いつもなら視界に映るのはそんな穏やかな景色だけなのに、今日はその家の前に紫色が見えてステラは目を丸くした。慌てて籠を地面に置いて駆け寄ると両手を伸ばす。
「てぷ様っ!」
手のひらにすっぽりと収まる体は今日も変わらず愛らしく、てっぷりとしたお腹も健在だ。仄かに温かな体に頬を擦り寄せるとてぷも短い両手を伸ばしてステラに寄り添ってくれる。その可愛らしさに頬をだらしがない程に緩め、ちゃっかり匂いも堪能してから顔を離すと紫色の大きな目と視線が合った。
「お久しぶりです、てぷ様。お元気ですか?」
『すごく元気なんだぞ! ステラは元気か? リヴィに意地悪されてないんだぞ?』
「する訳ないだろう」
『のわぁっ!』
ステラの手のひらからひょい、とてぷの姿が消える。それと同時に聞こえた声に顔を上げると丁度背後に不満げな顔をしたリヴィウスがいて眉を下げる。手には無造作にてぷが掴まれていて、ジタバタと暴れていた。
『こらリヴィ離すんだぞ!』
「リヴィ、てぷ様に乱暴しないでください」
「どうしてステラはいつもこれの味方をするんだ」
「可愛いからです」
リヴィウスの眉がこれ以上ない程深く刻まれてぷを掴む手に力が入る。『ぐえ』とカエルが潰れたような声を上げたのにステラが慌てて手を伸ばすとなんとかリヴィウスの手から抜け出したてぷがステラの胸元に飛び込んでくる。
それをしっかりと抱き締めてからリヴィウスを見れば、鬼のような形相をしたリヴィウスがいてステラは目を丸くした後に笑った。
「離れろトカゲ」
『嫌なんだぞ』
「そう言ってステラを独占するつもりだろう」
『リヴィは毎日独り占めしてるんだから今日くらい譲るんだぞ!』
二人の賑やかな言い争いにステラは目を細める。この感じも久しぶりだなと思ったからだ。
「俺のものなんだから独占するのは当然だろう。何を言っているんだ」
『ぎー! ステラ、こいつどうにかするんだぞ!』
悔しそうに顔を歪めて、リヴィウスに見せつけるようにステラの胸元にぐりぐりと顔を押し付けるてぷの頭を撫でていればまたしてもリヴィウスの「おい」という低い声が頭上から聞こえる。
それでもステラはてぷを離さず、てぷも離れようとしないためリヴィウスは眉間に深く皺を刻んだまま深く息を吐いた。こうなるとリヴィウスが根負けしたのが丸分かりで、ステラとてぷは顔を見合わせて笑う。
背後から離れたリヴィウスが地面に置いたままの籠を持ち、ステラたちの方を見る。
「いつまでそこでそうしてるつもりだ。中に入れ」
不機嫌な表情のまま、けれどてぷを締め出そうとはしない様子に『やっぱりリヴィはボクのこと好きなんだぞ』と耳打ちされたステラは笑って「当然です」と返した。そのやり取りは幸いにも聞かれていなかったけれど、家の中へと入っていく後ろ姿はやはり不機嫌そのものだった。
『二人での生活には慣れたんだぞ?』
家の中へと入り、ステラの側からてぷが離れて籠の中身を片付けているリヴィウスの頭へと乗る。腹這いになってぺたんとくっついている姿とリヴィウスの不満気な顔がどうにもミスマッチで笑ってしまいそうになりながらステラはお湯を沸かし始めた。
「何ヶ月経ってると思ってるんだ」
「そろそろ一年ですかね?」
リヴィウスとステラは顔を見合わせて頷いた。そうか、もう一年近いのかと自分に言い聞かせるようにステラはもう一度頷く。
「あの日から一年か……」
浮かんだのはあの祭りでの出来事。あまりに衝撃すぎて昨日の事のように思い出せるあの日からもうそろそろ一年が経とうとしていた。
───
あの日、どうにかしなくてはと慌てて聖女の服に着替えたステラはなりふり構わず転移魔法を展開させた。祖父(仮)にはたった一言「お元気で」とだけ伝え、ステラはリヴィウスの魔力を頼りに座標を設定した。
転移した先で真っ先に見えたのは華やかな街が戦場と化している様子で、その次に逃げ惑う住民たちの姿が見えた。それだけでもステラは焦りで冷や汗が背中を伝ったのに、リヴィウスは勇者リヒトと交戦中と来た。
どうにか勇者たちとリヴィウスを分断することが出来たステラは、本当を言えばあのまま何もせずリヴィウスとてぷを連れて消え去るつもりだった。けれどそれを止めたのは勇者の慟哭だ。
あんまり悲しそうな声でステラを呼ぶから、思わず顔を見てしまった。見てしまったからわかってしまった。脳裏に浮かんだのはリヴィウスとてぷの顔だった。
(ああ、私はなんてひどいことをしたんだろう)
ステラは仲間の様子を気に掛け続けていた。随分と酷いことをさせてしまったから気に病んではいないだろうかと、そんなところばかりを気に掛けていた。けれど勇者の顔を見て、そんな浅い問題ではなかったのだと痛感した。
きちんと仲間だと思われていたのだとこの時になってようやく理解した。ステラは、聖女は彼らにとって大切な仲間で、失いたくなかった人なのだと。
(本当に、ひどいことをしてしまった)
こんなに悲しませているなんて知らなかった。こんなにも自分を大切にしてくれていただなんて、夢にも思わなかった。でも、それを今わかったところでステラに出来ることは何もないのだ。
「……」
ただ、嬉しくはあった。
魔王城で盾になった時笑ったのは何故だっただろうか、終わりにできると思ったからだ。でも今笑っているのは、不謹慎にも嬉しいと思ってしまったからだ。
「勇者リヒト、あとはお願いします」
良き仲間に恵まれたと思う。とても楽しい二年間だったと心から言える。今でもとても大事な人たちだと迷いなく答えることができる。けれどステラはもうそちらを選べない。だからあの時と全く同じ言葉で全てを勇者に託して、ステラはリヴィウスを見た。
何処までも澄んだ赤い宝石のような目がステラを見るだけで柔らかな光を帯びた。その穏やかさが、リヴィウスという存在がやはりどうしたって愛おしいと思った。
「リヴィ」
一歩足を踏み出した。この一歩は、ステラにとってとても大きな意味を持つ。
「──私と一緒に生きてくれますか?」
返事は差し出された手のひら。それだけで十分だった。
その手を取って、ステラは魔法を使った。
転移魔法というにはあまりに大きな力で二人の姿がかき消えたあの瞬間、魔王と聖女はもう一度死んだのだ。
そんなことを考えながらステラは街の中を歩き、ふらりと人の気配のない道に入った。賑やかな通りから一転、暗く少し湿った匂いのする道を更に進んで人の声すら聞こえない場所になったとき口の中で呪文を唱えた。一瞬閃光が迸ったと思えば次の瞬間には光は消え去り、それと同時に人影も消える。
閉じていた目を開けると眩い光が飛び込んできて目を細める。それまであった暗い道はなくなり、眼前には豊かな緑が広がり濃い植物の匂いが鼻腔を擽る。
ほんの数時間しか離れていなかったのに懐かしく感じる匂いに頬を緩めながらさくりと草を踏みしめて足を踏み出す。
ステラが降り立ったのは街から随分離れた森の中。森、と言うよりは山と言った方がいいかもしれない。山をいくつか越えて、その先にある森の中の更に奥。周囲には当然自然しかなく、たまに動物の声とモンスターの気配を感じながら歩くとやがて視界がふわりと開ける。
それまで目の前にはただ森が続くだけだったのに、一歩足を踏み入れるとそこにはステラの肩程度の高さの石垣に囲まれた土地が見えた。
細い鉄製の柵を開けて中に入ると四角く切り取られたその土地には二階建ての木造の家と、いくつかの果樹と、小さいながらに畑があるのも見える。畑のそばには井戸もあり、家の側にある日当たりの良い庭では洗濯物が干されていた。
『ステラっ!』
いつもなら視界に映るのはそんな穏やかな景色だけなのに、今日はその家の前に紫色が見えてステラは目を丸くした。慌てて籠を地面に置いて駆け寄ると両手を伸ばす。
「てぷ様っ!」
手のひらにすっぽりと収まる体は今日も変わらず愛らしく、てっぷりとしたお腹も健在だ。仄かに温かな体に頬を擦り寄せるとてぷも短い両手を伸ばしてステラに寄り添ってくれる。その可愛らしさに頬をだらしがない程に緩め、ちゃっかり匂いも堪能してから顔を離すと紫色の大きな目と視線が合った。
「お久しぶりです、てぷ様。お元気ですか?」
『すごく元気なんだぞ! ステラは元気か? リヴィに意地悪されてないんだぞ?』
「する訳ないだろう」
『のわぁっ!』
ステラの手のひらからひょい、とてぷの姿が消える。それと同時に聞こえた声に顔を上げると丁度背後に不満げな顔をしたリヴィウスがいて眉を下げる。手には無造作にてぷが掴まれていて、ジタバタと暴れていた。
『こらリヴィ離すんだぞ!』
「リヴィ、てぷ様に乱暴しないでください」
「どうしてステラはいつもこれの味方をするんだ」
「可愛いからです」
リヴィウスの眉がこれ以上ない程深く刻まれてぷを掴む手に力が入る。『ぐえ』とカエルが潰れたような声を上げたのにステラが慌てて手を伸ばすとなんとかリヴィウスの手から抜け出したてぷがステラの胸元に飛び込んでくる。
それをしっかりと抱き締めてからリヴィウスを見れば、鬼のような形相をしたリヴィウスがいてステラは目を丸くした後に笑った。
「離れろトカゲ」
『嫌なんだぞ』
「そう言ってステラを独占するつもりだろう」
『リヴィは毎日独り占めしてるんだから今日くらい譲るんだぞ!』
二人の賑やかな言い争いにステラは目を細める。この感じも久しぶりだなと思ったからだ。
「俺のものなんだから独占するのは当然だろう。何を言っているんだ」
『ぎー! ステラ、こいつどうにかするんだぞ!』
悔しそうに顔を歪めて、リヴィウスに見せつけるようにステラの胸元にぐりぐりと顔を押し付けるてぷの頭を撫でていればまたしてもリヴィウスの「おい」という低い声が頭上から聞こえる。
それでもステラはてぷを離さず、てぷも離れようとしないためリヴィウスは眉間に深く皺を刻んだまま深く息を吐いた。こうなるとリヴィウスが根負けしたのが丸分かりで、ステラとてぷは顔を見合わせて笑う。
背後から離れたリヴィウスが地面に置いたままの籠を持ち、ステラたちの方を見る。
「いつまでそこでそうしてるつもりだ。中に入れ」
不機嫌な表情のまま、けれどてぷを締め出そうとはしない様子に『やっぱりリヴィはボクのこと好きなんだぞ』と耳打ちされたステラは笑って「当然です」と返した。そのやり取りは幸いにも聞かれていなかったけれど、家の中へと入っていく後ろ姿はやはり不機嫌そのものだった。
『二人での生活には慣れたんだぞ?』
家の中へと入り、ステラの側からてぷが離れて籠の中身を片付けているリヴィウスの頭へと乗る。腹這いになってぺたんとくっついている姿とリヴィウスの不満気な顔がどうにもミスマッチで笑ってしまいそうになりながらステラはお湯を沸かし始めた。
「何ヶ月経ってると思ってるんだ」
「そろそろ一年ですかね?」
リヴィウスとステラは顔を見合わせて頷いた。そうか、もう一年近いのかと自分に言い聞かせるようにステラはもう一度頷く。
「あの日から一年か……」
浮かんだのはあの祭りでの出来事。あまりに衝撃すぎて昨日の事のように思い出せるあの日からもうそろそろ一年が経とうとしていた。
───
あの日、どうにかしなくてはと慌てて聖女の服に着替えたステラはなりふり構わず転移魔法を展開させた。祖父(仮)にはたった一言「お元気で」とだけ伝え、ステラはリヴィウスの魔力を頼りに座標を設定した。
転移した先で真っ先に見えたのは華やかな街が戦場と化している様子で、その次に逃げ惑う住民たちの姿が見えた。それだけでもステラは焦りで冷や汗が背中を伝ったのに、リヴィウスは勇者リヒトと交戦中と来た。
どうにか勇者たちとリヴィウスを分断することが出来たステラは、本当を言えばあのまま何もせずリヴィウスとてぷを連れて消え去るつもりだった。けれどそれを止めたのは勇者の慟哭だ。
あんまり悲しそうな声でステラを呼ぶから、思わず顔を見てしまった。見てしまったからわかってしまった。脳裏に浮かんだのはリヴィウスとてぷの顔だった。
(ああ、私はなんてひどいことをしたんだろう)
ステラは仲間の様子を気に掛け続けていた。随分と酷いことをさせてしまったから気に病んではいないだろうかと、そんなところばかりを気に掛けていた。けれど勇者の顔を見て、そんな浅い問題ではなかったのだと痛感した。
きちんと仲間だと思われていたのだとこの時になってようやく理解した。ステラは、聖女は彼らにとって大切な仲間で、失いたくなかった人なのだと。
(本当に、ひどいことをしてしまった)
こんなに悲しませているなんて知らなかった。こんなにも自分を大切にしてくれていただなんて、夢にも思わなかった。でも、それを今わかったところでステラに出来ることは何もないのだ。
「……」
ただ、嬉しくはあった。
魔王城で盾になった時笑ったのは何故だっただろうか、終わりにできると思ったからだ。でも今笑っているのは、不謹慎にも嬉しいと思ってしまったからだ。
「勇者リヒト、あとはお願いします」
良き仲間に恵まれたと思う。とても楽しい二年間だったと心から言える。今でもとても大事な人たちだと迷いなく答えることができる。けれどステラはもうそちらを選べない。だからあの時と全く同じ言葉で全てを勇者に託して、ステラはリヴィウスを見た。
何処までも澄んだ赤い宝石のような目がステラを見るだけで柔らかな光を帯びた。その穏やかさが、リヴィウスという存在がやはりどうしたって愛おしいと思った。
「リヴィ」
一歩足を踏み出した。この一歩は、ステラにとってとても大きな意味を持つ。
「──私と一緒に生きてくれますか?」
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