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終章 辺鄙な土地でのこれから編
ステラはやっぱりてぷに甘い
あれからリュメールの遥か遠方に転移した三人はこれからのことを話し合った。さすがにこれだけの騒ぎになると遅かれ早かれ魔王と聖女の噂は世界中に回るだろう。だから落ち着くまでの間、旅は一旦休憩にしてどこか一処で腰を据えて暮らそうという答えになった。
その結果がこの家だ。ここに至るまでまた紆余曲折あったのだが詳細は割愛する。平たく言ってしまうと教皇リマによる計らいなのだ。
ステラたちが今いる場所は地図にも載っていない。目眩しの結界が張り巡らされているから相当な魔力のある者しか足を踏み入れることが出来ない辺鄙な場所だ。ただでさえ結界で守られていた場所なのに、今ではリヴィウスとステラの魔力で三重の結界を張っているから最早要塞と言っても過言ではないレベルの防御力を誇っている。
そんな安全が保障された場所でステラたちは穏やかな時間を過ごしていた。
「てぷ様の方はどうですか?」
ステラはキッチンでお湯を沸かしながらてぷに問いかけた。
今ステラたちとてぷは離れて暮らしている。それにはどうしようもない事情があってのことだった。
『やっぱりずっと神殿を空けたままにするのは駄目らしいんだぞ。ずっとステラたちと一緒がいいのに、みんなが怒るんだぞ……』
木で出来た素朴なテーブルに乗ったてぷが両手でサンドイッチを持ったまましょぼんと呟いた。リヴィウスはその向かいに腰掛けてクッキーを食べている。
「諦めろ。どうせここへは一瞬で転移出来るんだから別に構わんだろ」
『薄情! リヴィは薄情なんだぞ! 自分はずっとステラと一緒だからって! ボクだってずっとステラといたいんだぞ!』
てぷはもきゅもきゅとサンドイッチを頬張りながら憤慨していた。
忘れがちだがてぷはこの世界を支える大事な精霊の一柱なのだ。そんな高位な存在がずっと自分の拠点である神殿を離れていて良いはずがなく、ついに仲間の精霊たちから居場所を突き止められて怒られてしまったのである。
この世界を支える精霊が一同に会した瞬間はとても荘厳であったけれど、その内容は自分の持ち場を離れて世界を漫遊していたてぷへのお説教である。どうやらてぷは精霊の中でも最年少らしく、面倒見の良い水の精霊にとても怒られていた。
『良いですか闇の精霊。わたくしたちの立場は』
『わかってるんだぞ! でもステラたちと一緒がいいんだぞ!』
まるで母に怒られる子供のように駄々を捏ねるてぷは正直とても可愛らしくてステラは何度も助け舟を出そうとしたがその度にリヴィウスに止められ、最終的には口を手で塞がれてしまっていた。
『お前が魔王と聖女を気に入っているのは知っています。けれど駄目です。今までのように諸国を旅するなら大目に見ることが出来ましたが、一箇所に根を張るのであれば話は別です。世界の均衡が崩れてしまう』
『うう』
この世界に点在する各属性の精霊の神殿は適当にそこにあるべきではない。それぞれがきちんと役割を持ってそこにいるのだ。
だからこそ、精霊として生まれたからにはその責務を果たさなければならないらしい。
『……たまになら会いに来て良いんだぞ?』
『はい、たまになら。それでも滞在は長くて二日です。そして頻度は三月に一度です』
『ええっ⁉︎』
『この一年、いいえ。ここ数百年とお前が後回しにしてきた祭事を忘れましたか』
『うぐっ』
『その間均衡を保ってきた我らに何か言うことは?』
『……ごめんなさい。それとありがとうなんだぞ……』
『許しましょう。さて、魔王と聖女よ』
水の精霊は美しい女性の形をしている。けれど構成する全ては水でできていて、いつ見ても溜息が出る程美しい造形だ。その存在に呼ばれてステラは背筋を伸ばし、口を覆うリヴィウスの手を剥がした。
『……あなたたちの未来に幸があらんことを』
水の精霊の慈愛に満ちた眼差しと声を最後にてぷを残した他の精霊たちは一瞬で姿を消した。
そしてその日から、ステラたちとてぷは別々に暮らすことになったのだ。
『でも三ヶ月に一回は少ないんだぞ!』
てぷはサンドイッチを頬張ったままぷりぷりと怒って訴えた。
「お前からしたら一瞬だろ、そんな時間は」
『……』
てぷはじとりとリヴィウスを見た。
『お前たちと一緒にいる前はそうだったんだぞ。でも今は違うんだぞ。ひとりぼっちでいるのは寂しんだぞ……』
しょぼんと俯いてしまったてぷを見てリヴィウスが珍しく目を丸くした。リヴィウスはステラのことで動揺することは多々あるが、てぷに対してはそうでもない。それはいつでもてぷが元気だからだ。
けれど今のてぷは誰がどう見ても落ち込んでいる。そんな姿を見てリヴィウスは見るからに動揺し、ステラに助けを求めるように視線を向けた。その様子を見ていたステラは頷いて、キッチンに立ったまま口を開けた。
「あの、考えたのですが、私たちがてぷ様のところに遊びに行くのはどうでしょうか
?」
大きな目に涙をいっぱい溜めていたてぷがステラを見る。
「ここから完全に離れるのも頻繁に遊びに行くのも難しいですが、それでもひと月に一度は会えると思うんです。周囲も随分落ち着いてきたし、結構名案だと思っているのですが、どうでしょう?」
笑みを浮かべたままステラが首を傾げるのと、てぷが持っていたサンドイッチを落として飛び付いてくるのにはそう誤差は無かった。飛び込んできた小さな精霊を両手で受け止めて小さな頭を指先で撫でた。
『一ヶ月でも長いんだぞ……』
「ふふ、もう少し落ち着いたら、それこそ魔王と聖女の存在が過去のものになったらもっと会いに行けるかもしれません。それまで我慢してくれますか?」
てぷはずび、と鼻を啜ってしっかりと頷いた。
一連の流れを見ていたリヴィウスは何も言わず、その無言が肯定なのだと知っているステラは笑みを深めててぷの頭をもう一度撫でる。
『絶対、絶対会いに来るんだぞ。もし来なかったら怒るんだぞ。許さないんだぞ』
「はい、絶対に行きます。約束しましょう」
短い手で溢れてくる涙を拭ったてぷがステラを見上げ、ステラも微笑みながらその様子を見つめる。ほとんど永遠と言ってもいい命を有する精霊にする約束は、人間同士がするものよりもずっと重たい。感覚的には契約に近いかもしれない。
『……約束を破ったら、世界中の美味しいもの買って来させるんだぞ』
「もちろん」
「欲張りが。太るぞ」
『ボクは太ってないんだぞ!』
目を吊り上げてリヴィウスに吠える姿は先程までの悲しそうなものとは変わっていた。
「てぷ様、今日は私と一緒にお風呂に入りましょうか。眠るのも一緒にしましょう」
「は?」
『そうするんだぞ! ボク今日はステラから離れないんだぞ!』
「離れろステラは俺のものだ」
『違うんだぞステラはステラのものなんだぞ! そういうのオーボーって言うんだぞ!』
「このトカゲ屁理屈を」
「リヴィ」
ステラからてぷを取り上げようとしたリヴィウスに穏やかだが有無の言わせない声が刺さる。その瞬間伸びていた手は止まり、リヴィウスは眉を寄せたままステラの顔を見た。
「今日はてぷ様が最優先です」
『ステラーっ!』
満面の笑みでステラの頬にぐりぐりと額を押し付ける姿に目を細め、幸せそうにしている一人と一匹とは対照的にリヴィウスは苦虫を百匹ほど噛み潰して飲み込んだような顔をしている。
「……やはりお前はこいつに甘過ぎる」
地獄の底から響くような声にステラは当然だと言うように頷き、てぷは勝ち誇った顔でリヴィウスを見ていた。
その結果がこの家だ。ここに至るまでまた紆余曲折あったのだが詳細は割愛する。平たく言ってしまうと教皇リマによる計らいなのだ。
ステラたちが今いる場所は地図にも載っていない。目眩しの結界が張り巡らされているから相当な魔力のある者しか足を踏み入れることが出来ない辺鄙な場所だ。ただでさえ結界で守られていた場所なのに、今ではリヴィウスとステラの魔力で三重の結界を張っているから最早要塞と言っても過言ではないレベルの防御力を誇っている。
そんな安全が保障された場所でステラたちは穏やかな時間を過ごしていた。
「てぷ様の方はどうですか?」
ステラはキッチンでお湯を沸かしながらてぷに問いかけた。
今ステラたちとてぷは離れて暮らしている。それにはどうしようもない事情があってのことだった。
『やっぱりずっと神殿を空けたままにするのは駄目らしいんだぞ。ずっとステラたちと一緒がいいのに、みんなが怒るんだぞ……』
木で出来た素朴なテーブルに乗ったてぷが両手でサンドイッチを持ったまましょぼんと呟いた。リヴィウスはその向かいに腰掛けてクッキーを食べている。
「諦めろ。どうせここへは一瞬で転移出来るんだから別に構わんだろ」
『薄情! リヴィは薄情なんだぞ! 自分はずっとステラと一緒だからって! ボクだってずっとステラといたいんだぞ!』
てぷはもきゅもきゅとサンドイッチを頬張りながら憤慨していた。
忘れがちだがてぷはこの世界を支える大事な精霊の一柱なのだ。そんな高位な存在がずっと自分の拠点である神殿を離れていて良いはずがなく、ついに仲間の精霊たちから居場所を突き止められて怒られてしまったのである。
この世界を支える精霊が一同に会した瞬間はとても荘厳であったけれど、その内容は自分の持ち場を離れて世界を漫遊していたてぷへのお説教である。どうやらてぷは精霊の中でも最年少らしく、面倒見の良い水の精霊にとても怒られていた。
『良いですか闇の精霊。わたくしたちの立場は』
『わかってるんだぞ! でもステラたちと一緒がいいんだぞ!』
まるで母に怒られる子供のように駄々を捏ねるてぷは正直とても可愛らしくてステラは何度も助け舟を出そうとしたがその度にリヴィウスに止められ、最終的には口を手で塞がれてしまっていた。
『お前が魔王と聖女を気に入っているのは知っています。けれど駄目です。今までのように諸国を旅するなら大目に見ることが出来ましたが、一箇所に根を張るのであれば話は別です。世界の均衡が崩れてしまう』
『うう』
この世界に点在する各属性の精霊の神殿は適当にそこにあるべきではない。それぞれがきちんと役割を持ってそこにいるのだ。
だからこそ、精霊として生まれたからにはその責務を果たさなければならないらしい。
『……たまになら会いに来て良いんだぞ?』
『はい、たまになら。それでも滞在は長くて二日です。そして頻度は三月に一度です』
『ええっ⁉︎』
『この一年、いいえ。ここ数百年とお前が後回しにしてきた祭事を忘れましたか』
『うぐっ』
『その間均衡を保ってきた我らに何か言うことは?』
『……ごめんなさい。それとありがとうなんだぞ……』
『許しましょう。さて、魔王と聖女よ』
水の精霊は美しい女性の形をしている。けれど構成する全ては水でできていて、いつ見ても溜息が出る程美しい造形だ。その存在に呼ばれてステラは背筋を伸ばし、口を覆うリヴィウスの手を剥がした。
『……あなたたちの未来に幸があらんことを』
水の精霊の慈愛に満ちた眼差しと声を最後にてぷを残した他の精霊たちは一瞬で姿を消した。
そしてその日から、ステラたちとてぷは別々に暮らすことになったのだ。
『でも三ヶ月に一回は少ないんだぞ!』
てぷはサンドイッチを頬張ったままぷりぷりと怒って訴えた。
「お前からしたら一瞬だろ、そんな時間は」
『……』
てぷはじとりとリヴィウスを見た。
『お前たちと一緒にいる前はそうだったんだぞ。でも今は違うんだぞ。ひとりぼっちでいるのは寂しんだぞ……』
しょぼんと俯いてしまったてぷを見てリヴィウスが珍しく目を丸くした。リヴィウスはステラのことで動揺することは多々あるが、てぷに対してはそうでもない。それはいつでもてぷが元気だからだ。
けれど今のてぷは誰がどう見ても落ち込んでいる。そんな姿を見てリヴィウスは見るからに動揺し、ステラに助けを求めるように視線を向けた。その様子を見ていたステラは頷いて、キッチンに立ったまま口を開けた。
「あの、考えたのですが、私たちがてぷ様のところに遊びに行くのはどうでしょうか
?」
大きな目に涙をいっぱい溜めていたてぷがステラを見る。
「ここから完全に離れるのも頻繁に遊びに行くのも難しいですが、それでもひと月に一度は会えると思うんです。周囲も随分落ち着いてきたし、結構名案だと思っているのですが、どうでしょう?」
笑みを浮かべたままステラが首を傾げるのと、てぷが持っていたサンドイッチを落として飛び付いてくるのにはそう誤差は無かった。飛び込んできた小さな精霊を両手で受け止めて小さな頭を指先で撫でた。
『一ヶ月でも長いんだぞ……』
「ふふ、もう少し落ち着いたら、それこそ魔王と聖女の存在が過去のものになったらもっと会いに行けるかもしれません。それまで我慢してくれますか?」
てぷはずび、と鼻を啜ってしっかりと頷いた。
一連の流れを見ていたリヴィウスは何も言わず、その無言が肯定なのだと知っているステラは笑みを深めててぷの頭をもう一度撫でる。
『絶対、絶対会いに来るんだぞ。もし来なかったら怒るんだぞ。許さないんだぞ』
「はい、絶対に行きます。約束しましょう」
短い手で溢れてくる涙を拭ったてぷがステラを見上げ、ステラも微笑みながらその様子を見つめる。ほとんど永遠と言ってもいい命を有する精霊にする約束は、人間同士がするものよりもずっと重たい。感覚的には契約に近いかもしれない。
『……約束を破ったら、世界中の美味しいもの買って来させるんだぞ』
「もちろん」
「欲張りが。太るぞ」
『ボクは太ってないんだぞ!』
目を吊り上げてリヴィウスに吠える姿は先程までの悲しそうなものとは変わっていた。
「てぷ様、今日は私と一緒にお風呂に入りましょうか。眠るのも一緒にしましょう」
「は?」
『そうするんだぞ! ボク今日はステラから離れないんだぞ!』
「離れろステラは俺のものだ」
『違うんだぞステラはステラのものなんだぞ! そういうのオーボーって言うんだぞ!』
「このトカゲ屁理屈を」
「リヴィ」
ステラからてぷを取り上げようとしたリヴィウスに穏やかだが有無の言わせない声が刺さる。その瞬間伸びていた手は止まり、リヴィウスは眉を寄せたままステラの顔を見た。
「今日はてぷ様が最優先です」
『ステラーっ!』
満面の笑みでステラの頬にぐりぐりと額を押し付ける姿に目を細め、幸せそうにしている一人と一匹とは対照的にリヴィウスは苦虫を百匹ほど噛み潰して飲み込んだような顔をしている。
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