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第二章
闇と光
そのまま握られて、されるがままにリュシアンの口元へと導かれる。リュシアンが少し背を丸め、フォークの先端に刺さっていた料理を食べるのを俺はただ呆然と見ていた。
いつの間にか周りが静かになった気がする。
けれどそれとは反対に俺の心臓はとてもうるさい。近い距離でリュシアンの姿を見ていれば、やがて喉が動いたのがわかった。
それではっとして顔色を見たが、そこには以前のような青白さはなかった。
「……リュシアン?」
俺はもちろんだが、リュシアン本人も驚いているのが伝わる。
自分の口元に手をやり、何かを考えるように視線を彷徨わせた。
やがて噛み締めるように口から手を離したと思ったら、ゴードンの方に顔を向ける。
「ゴードン」
「はい」
リュシアンの表情がふわりと弛んだ。
「いい味だ。美味い」
一瞬の間のあと、ゴードンが両手を突き上げた。
「よっしゃあ!」
「声が大きいですぞ」
「こんな時に大声出さねえでいつ出すんですか! うおおお! やったぜええ!」
勝利の雄叫びと言っても過言ではない喜びように呆気に取られる。だが、ゴードンにとってはそれほど嬉しいことが今起きたのだ。
「……苦しいとか、ないのか?」
隣を見上げながら問いかけるとリュシアンが小さく頷いた。
「ありません」
「そうか」
よかった。そう言って笑うと、リュシアンが俺のことをじっと見ているのがわかった。睨まれているわけではないが、それでも強い目力で見られていると緊張する。
「えと、どうした?」
ぎこちなく問い掛けるもリュシアンはすぐには答えてくれない。だが目が何かを訴えてきているようでそのまま待っていたら、やがて小さく口が開く。
「あな」
「兄様―っ!」
どん、と重たい音と一緒にリュシアンの体が少し揺れた。
「ぼくサラダ食べ終わったよ! えらい?」
太陽の申し子のような笑顔で突撃してきたリオルの眩しさに目を細めた。
それはリュシアンも同じだったようで、俺と同じように目を細めて柔らかな髪を撫でていた。
「えらいな」
リオルが嬉しそうに笑って、小動物のように手のひらに頭を擦り付ける。
その姿を微笑ましく見ていれば、今度はゴードンが皿に様々な料理を盛ってやってきた。
「リュシアン様、この調子でどんどん挑戦しましょう! これとかどうですか!」
「待ちなさいゴードン、そう急ぐものではありませんよ」
「ぼくも一緒に食べる!」
「リオル様、まだ先程のお料理が残っています」
ぞろぞろと人が集まり、一気に賑やかになる。話題の中心となっているリュシアンは少し困ったように、だけどどこか嬉しそうにみんなの話を聞いている。
慕われているというのがとてもよくわかる。
それを羨ましいと思うと同時に、やはり寂しくも思った。
強い光に照らされたように眩しくて、足元が真っ暗な闇に飲まれていくような感覚がした。
これがこの先一生俺が抱えていく感情だ。
ここにいる人たちを好ましく思えば思うほど、この寂しさも一層強くなっていくんだろう。
詮無いことだ。これが俺への罰なのだから。
それでもやはりこの光は俺には強すぎて一歩離れようとした時、足元に光が差し込んだ。
「フィリアス様」
いつの間にか周りが静かになった気がする。
けれどそれとは反対に俺の心臓はとてもうるさい。近い距離でリュシアンの姿を見ていれば、やがて喉が動いたのがわかった。
それではっとして顔色を見たが、そこには以前のような青白さはなかった。
「……リュシアン?」
俺はもちろんだが、リュシアン本人も驚いているのが伝わる。
自分の口元に手をやり、何かを考えるように視線を彷徨わせた。
やがて噛み締めるように口から手を離したと思ったら、ゴードンの方に顔を向ける。
「ゴードン」
「はい」
リュシアンの表情がふわりと弛んだ。
「いい味だ。美味い」
一瞬の間のあと、ゴードンが両手を突き上げた。
「よっしゃあ!」
「声が大きいですぞ」
「こんな時に大声出さねえでいつ出すんですか! うおおお! やったぜええ!」
勝利の雄叫びと言っても過言ではない喜びように呆気に取られる。だが、ゴードンにとってはそれほど嬉しいことが今起きたのだ。
「……苦しいとか、ないのか?」
隣を見上げながら問いかけるとリュシアンが小さく頷いた。
「ありません」
「そうか」
よかった。そう言って笑うと、リュシアンが俺のことをじっと見ているのがわかった。睨まれているわけではないが、それでも強い目力で見られていると緊張する。
「えと、どうした?」
ぎこちなく問い掛けるもリュシアンはすぐには答えてくれない。だが目が何かを訴えてきているようでそのまま待っていたら、やがて小さく口が開く。
「あな」
「兄様―っ!」
どん、と重たい音と一緒にリュシアンの体が少し揺れた。
「ぼくサラダ食べ終わったよ! えらい?」
太陽の申し子のような笑顔で突撃してきたリオルの眩しさに目を細めた。
それはリュシアンも同じだったようで、俺と同じように目を細めて柔らかな髪を撫でていた。
「えらいな」
リオルが嬉しそうに笑って、小動物のように手のひらに頭を擦り付ける。
その姿を微笑ましく見ていれば、今度はゴードンが皿に様々な料理を盛ってやってきた。
「リュシアン様、この調子でどんどん挑戦しましょう! これとかどうですか!」
「待ちなさいゴードン、そう急ぐものではありませんよ」
「ぼくも一緒に食べる!」
「リオル様、まだ先程のお料理が残っています」
ぞろぞろと人が集まり、一気に賑やかになる。話題の中心となっているリュシアンは少し困ったように、だけどどこか嬉しそうにみんなの話を聞いている。
慕われているというのがとてもよくわかる。
それを羨ましいと思うと同時に、やはり寂しくも思った。
強い光に照らされたように眩しくて、足元が真っ暗な闇に飲まれていくような感覚がした。
これがこの先一生俺が抱えていく感情だ。
ここにいる人たちを好ましく思えば思うほど、この寂しさも一層強くなっていくんだろう。
詮無いことだ。これが俺への罰なのだから。
それでもやはりこの光は俺には強すぎて一歩離れようとした時、足元に光が差し込んだ。
「フィリアス様」
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