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7話
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……さっきのはやっぱり未来予知だよな。
俺は今までにもそういう体験をしたことがある。大体それは、悪いことの前兆として起こるのだ。
唯一俺の障害を知っている天矢に軽く説明したことがあるが、彼は真剣に悩んだ末に答えてくれた。
「僕の意見だけど……よく脳って10%ぐらいしか使ってないって言うじゃん。もしかしたら残りの90%の中に過去や未来を視る力が備わっているかもしれない。目が見えない人が聴覚や触覚が研ぎ澄まされるって言うことも聞いたことあるよね?それと同じで、君の未来予知も障害の代償としての力かもしれないよ」
俺は感心しながらその話を聞いた。以来、その理屈で納得するようにしている。
これはコントロールすることができず、突然やってくる。それに、いつも当たるわけではなく、しっかりとした統計はとってないが、せいぜい50%ってところだ。まあ悪いことが起きなくなるのだから良いに越したことはないが、やはり気分は良くない。
視られるのは数分後の未来だが、起こりうる未来を回避したこともある。それぐらい、俺にとって未来予知は身近な現象なのだ。
俺は男からのメールを確認した後、10回ほど電話をかけ直した。もちろん応答はない。おそらく男が彩の携帯を持っているのだろう。
彼女は未だにガラケーを使っていて、ロックもかけていない。あまりにも不用心すぎると言ったことがあるが、
「携帯はメールと電話で十分じゃない?それに落としたこともないし」
そう言ってスマホに変えたり、パスワードロックをかけたりすることはなかった。
なんで俺のことを彼氏と判断できたのかは分からないが、きっと電話帳にそれと分かる証拠があったのだろう。
彼女の安否が気になり、家に向かうことにした。
しかし、彼女は家にも戻っておらず、どこに行ったかも分からないとご両親から言われた。
よく彼女が散歩しているコースや、学校の周りなども探してみるが見つからない。
時間の経過とともに焦りが募る。
……お前の彼女を殺した。
男は確かにそう言った。彼女を殺したという言葉は全く信じていないが、彼女が見つからないことと矛盾する。
それに男はこうも言い放った。
……次はお前の番だ。
それは根拠のない信憑性があった。次は俺が殺られるという意味を含んだ言葉は、心の動揺を生む。
そこに恐怖や喪失感はない。
あるのは、彼女が見つからないという事実のみ。それが探し回る俺の足に重くのしかかってくる。
2時間ほど歩き回ったが、とうとう彼女は見当たらなかった。もう一度電話を掛けてみるが、やはり応答はない。
やけに大きく響いている呼び出し音は、トンボが網にかかった時の羽音のように、落ち着きのないものだった。
俺は今までにもそういう体験をしたことがある。大体それは、悪いことの前兆として起こるのだ。
唯一俺の障害を知っている天矢に軽く説明したことがあるが、彼は真剣に悩んだ末に答えてくれた。
「僕の意見だけど……よく脳って10%ぐらいしか使ってないって言うじゃん。もしかしたら残りの90%の中に過去や未来を視る力が備わっているかもしれない。目が見えない人が聴覚や触覚が研ぎ澄まされるって言うことも聞いたことあるよね?それと同じで、君の未来予知も障害の代償としての力かもしれないよ」
俺は感心しながらその話を聞いた。以来、その理屈で納得するようにしている。
これはコントロールすることができず、突然やってくる。それに、いつも当たるわけではなく、しっかりとした統計はとってないが、せいぜい50%ってところだ。まあ悪いことが起きなくなるのだから良いに越したことはないが、やはり気分は良くない。
視られるのは数分後の未来だが、起こりうる未来を回避したこともある。それぐらい、俺にとって未来予知は身近な現象なのだ。
俺は男からのメールを確認した後、10回ほど電話をかけ直した。もちろん応答はない。おそらく男が彩の携帯を持っているのだろう。
彼女は未だにガラケーを使っていて、ロックもかけていない。あまりにも不用心すぎると言ったことがあるが、
「携帯はメールと電話で十分じゃない?それに落としたこともないし」
そう言ってスマホに変えたり、パスワードロックをかけたりすることはなかった。
なんで俺のことを彼氏と判断できたのかは分からないが、きっと電話帳にそれと分かる証拠があったのだろう。
彼女の安否が気になり、家に向かうことにした。
しかし、彼女は家にも戻っておらず、どこに行ったかも分からないとご両親から言われた。
よく彼女が散歩しているコースや、学校の周りなども探してみるが見つからない。
時間の経過とともに焦りが募る。
……お前の彼女を殺した。
男は確かにそう言った。彼女を殺したという言葉は全く信じていないが、彼女が見つからないことと矛盾する。
それに男はこうも言い放った。
……次はお前の番だ。
それは根拠のない信憑性があった。次は俺が殺られるという意味を含んだ言葉は、心の動揺を生む。
そこに恐怖や喪失感はない。
あるのは、彼女が見つからないという事実のみ。それが探し回る俺の足に重くのしかかってくる。
2時間ほど歩き回ったが、とうとう彼女は見当たらなかった。もう一度電話を掛けてみるが、やはり応答はない。
やけに大きく響いている呼び出し音は、トンボが網にかかった時の羽音のように、落ち着きのないものだった。
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