ただいま

越知 学

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1章

4話

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 僕はいつも通り5時50分にベッドから起き上がる。6時にセットした目覚ましが全く役割をなしていない。
 僕は母と一言も会話せず、家を出る。いつもの通学路を歩き、いつもの学校生活を送る。
 そして昼食の時間。弁当箱を開けると、そこには真っ白なご飯と数種類のおかずがある。何の変哲もない弁当。しかし、なぜかおかずの詰め方や位置関係に見覚えがあった。僕は違和感を覚える。
 ……ん?なんでだ?
 母は朝から働きに出るため時間がないうえに、料理があまり好きではない。だから弁当のおかずの半分は冷凍食品である。それに対して、いつも同じおかずだとか、手抜きだとか思った事は一度たりともない。弁当を作ってくれているだけで十分感謝に値するからだ。
 ……気のせいかな?
 僕はそれ以上深く考えることは止めて、箸を手に取り食べ始める。その弁当は、冷たいはずなのにどこか温かみを感じる不思議なものだった。

 僕は学校を終えると、近くの公園に向かった。一人になるのに最適な場所。しかし、その日は先客がいた。
 ショートカットの女の子。少女は僕がいつも座るブランコに乗り、体幹と地面が平行になるぐらいまで漕いでいた。
 ……あんなに高くまで行って怖くないのかな?
 僕も一度だけ全力で漕いだことがあるが、角度が45°ぐらいになると、怖くなってそれ以上の重心移動は止めてしまう。それ以来、ブランコは漕ぐものではなく、座るものだと自分に言い聞かせていた。
 その少女は恐れる様子もなく、満面の笑みで体を動かしている。その姿は、空を翔ける天馬
のように美しかった。
 僕はその少女に声をかけることなく、入り口近くのベンチに腰を据えた。そして改めて少女に目を向ける。
 ……どこかで会ったことがあるような?
 僕は少女を見たことがある。しかしいつ出会ったのか、どこで見たのかが思い出せない。昼食の時と言い今と言い、この既視感は何だろう?
 様々な考えを整理するために、僕はゆっくりと下を向きながら瞼を閉じた。
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