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一章
あたし、何でこんなことしてるの⁉
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小山内真梨子は心の底から不愉快だった。
『島村武雄弁護士事務所』につとめる弁護士である彼女の前にはいま、裁判で勝利したばかりの依頼人がほくほく顔で立っている。
小太りで頭のはげかかった五〇代の男で、油っぽい皮膚が妙にエネルギッシュな印象。いかにも金のかかっていそうなスーツに包まれた全身からはたしかに若々しい生気が発散されている。しかし、さわやかさとは程遠い。むしろ、いやらしい男の欲望がそのまま放たれているかのよう。悪い意味で若く見える、などという人間がいるとしたらまさしくこの男のことだった。
真梨子の印象ははじめて会ったときからいままでずっと同じ。『お姫さまに向かってベッド入りを強要するガマガエル』である。その第一印象は知ればしるほどかわるどころかますます強くなっていく。これが童話なら壁に向かって思いきり叩きつけてやれば若くて素敵な王子さまになるところだが、この男はたとえ首を切り落としても変身したりはしないのだから救いがない。
とはいえ、真梨子が不愉快なのは男の容姿が原因ではなかった。容姿で人間を判断しないようつとめる程度には礼儀正しく、節度もある。第一、他人の容姿をうんねんできるほど自分がいい女だとは思っていない。
「いやあ、ほんとにありがとう。助かったよ」
男はひたすら上機嫌でにこにこしている。真梨子にきらわれているなどとは思ってもいない。というより、女が自分をきらうことがあるなどということ自体、考えもつかないのだろう。自分に自信があるというより、女を最初から人間扱いしていないタイプ。
太い手で真梨子の手をぎゅっと握りしめ、激しく上下に揺さぶっている。本人は好意の握手のつもりだろうが、真梨子にとってはちょっとした拷問だ。脂っぽい手のひらは汗でべっとりぬれていて気色悪い。すぐに手を振りほどいて石鹸でごしごし洗いたいところだが、報酬を支払ってくれる相手を不機嫌にさせることはできない。真梨子は『これも仕事のうちよ』と必死で自分に言い聞かせ、嫌悪の表情を仮面の裏側に押しかくし、精一杯の営業用スマイルを浮かべていた。
だが、真梨子が不愉快なのはそのせいでもない。彼女の不愉快の真の原因。それは男の持ちこんだ裁判の内容にあった。
この男、実はれっきとした会社の社長。有名な会社というわけではないがそれなりに業績は安定しているらしい。いまどき、中小企業なのに毎年きちんと新卒者を採用しているというのだから大したものだ。問題なのはその採用基準。採用されるのはほとんど女性。それも『容姿で選んでいる』というのが社内の評判。それも、『自分の趣味にあった容姿』をだ。
『経営手腕は立派だと思うけどね』
真梨子が調査のために会社に出かけたとき、質問した男性社員はいまいましさとそれ以上の、おそらくはやっかみの念を込めて吐きすてたものだ。
『会社とハーレムの区別がついてないんじゃないか?』
つまりは女性社員にやたらと手を出していたのだ。一〇〇万歩ゆずって、合意の上ならそれもよしとしよう。社長と社員という立場のちがいが大いに影響するにせよ。だが、この男、『女の意志』などという言葉は最初から脳に刻まれていないタイプ。合意の上か否かなど関係なしにやりたい放題やっていた。そして、今年、新入社員にセクハラで訴えられた。
もちろん、それで反省したり、うろたえたりするような殊勝な人間ではない。『自分こそ好意を歪曲され、おとしめられた被害者だ』と言い放ち、『島村武雄弁護士事務所』に転がり込んだ。
あつかましい礼儀知らずではあってもケチではなかったようだ。少なくとも、自分の利益のためなら出資は惜しまないタイプらしい。報酬はふんだんに用意したと見え、金の亡者な所長の島村武雄はふたつ返事で弁護を引き受けた。そして、その役目を真梨子に任せたのだ。
「セクハラ否定は女がやったほうが効果があるだろ?」
というのがその理由。
「弁護士のいやらしさを存分に発揮して裁判長を言いくるめてやってくれ」
と言い放ったものである。
「いやです」
真梨子は大して形のよくない眉を吊り上げて答えた。
「何でセクハラ野郎のネアンデルタール人の弁護なんかしなくちゃいけないんです?」
「そうだな。多分、君の給料はおれが払っていて、その給料は依頼人の報酬から出るからだろうな。それと、クビになったら再就職はなかなかむずかしいからじゃない?」
その一言で勝負はついた。
しょせん、真梨子は雇われ人。雇い主には逆らえない。真梨子だって今の不況がどれだけ深刻で、いつまでつづくかもわからないということは承知している。蓄えも大してないし、すぐに再就職先を見つけ出せるという自信もない。女をなめているガマガエルの弁護などもちろんしたくはない。しかし、路上生活者になるのもいやだ。第一、弁護士は子供の頃から目指してきた職業。手放したくはない。たとえ、あの頃の情熱はとうにすり切れ、薄くなり、残っているのはほんの上っぱりのひとかけらに過ぎないとしても……。
そうして、真梨子は心ならずも弁護を行うことになった。そして、引き受けたからには勝たなければ金にならない。勝って評判を上げなければ次の依頼もない。そうなれば自分だけではなく、事務所全員が路頭に迷う。所長の島村はいいとして、同僚の弁護士や気のいい事務職のおじさんたちまで困らせるわけにはいかない。
彼女は全力を尽くした。
所長の言うとおり、彼女は裁判所で『弁護士のいやらしさ』を存分に発揮した。自分がとくに有能だとは思っていないが、悪徳弁護士のイロハについてだけはこの八年間で島村からたっぷりと仕込まれた。弁護中、自分はいったい弁護士になったのか詐欺師になったのかわからなくなったのは一度や二度ではないし、三度や四度でもない。
そして、彼女は勝った。
『島村流』は倫理はともかく、効果は抜群だ。依頼人は裁判所のなかで奇声を上げての大喜び。そして、真梨子はいままでになく苦い思いをかみしめていた。
横目でちらりと『敗北者』を見た。この春、大学を出たばかりの、とてもかわいらしいお嬢さん。いかにも清楚な感じで痛々しいほどういういしい。名前はたしか工藤葵。その彼女が頬を真っ赤に染めて、涙をためた目で上目使いに自分を見ている。いかにもおとなしそうな彼女にとっていくらセクハラされたとはいえ、それを裁判に持ち込むのはどれだけ勇気が必要だったろう。まして、その相手が勤め先の社長とあっては。
いったい、どれだけの履歴書を書き、何十社に送り、何度面接を受けたのだろう。その末にやっと手にいれた就職先。下手をしたらそれを棒に振ることになるかも知れない。それでも彼女は戦うことを選んだ。そこにはきっと『世の中は自分の正しさを認めてくれるはず』という信頼感があったはずだ。
――あたしがその信頼を叩きつぶしてしまった。それも、根こそぎ……。
そう思うと真梨子の心は果てしなく落ち込んだ。分厚い岩の扉で何重にも閉ざされた地下牢にとじこもり、残る一生、ずっとうじうじして暮らしていたいくらいだった。
『同じ女なのになんでそんなやつの味方をするのよ?』
そうなじる葵の視線が痛かった。
その裏で、
『どうせ、もう若くもなくて美人でもないから、セクハラされることすらなくて、若くてかわいい女にひがんでるんでしょ』
と、言われているように感じたのはたしかに、自分のひがみだと思うけど。
――でも、何を言われたって仕方ないしね。
真梨子は心の底でため息をついた。
第一、『若くてかわいい女にひがんでいる』と言われれば、『それはちがう』と言い切る自信もない。三〇代、独身、子なし。しかも、非美女。若くてかわいい女がまぶしく見える年頃だった。
――あの子、これからどうなるんだろう? もう会社にはいられないと思うけど……でも、そう気軽にやめられる時代じゃないし。残ったらどんなにつらいだろう……。
その痛みは依頼人が調子に乗って葵を罵倒しはじめたときに最高潮に達した。
『恩知らず!』
『自意識過剰!』
『卑劣な小娘!』
言いたい放題だ。
葵はかわいらしい顔を下に向け、唇をかみしめてじっと耐えている。皮膚が青くなるまで強く握りしめられた拳とその上に落ちる涙が見えるようだ。小刻みにふるえる体がそのくやしさを物語っていた。
真梨子はいたたまれなくなった。これ以上はもう耐えられない。
「帰りましょう! 祝賀会を開くのがうちの事務所の恒例なんです」
あわてて口からでまかせを言って小太りの体を押して裁判所から出た。葵がこれから先もどうか人間に対する信頼を失わず、力強く生きていってくれることを祈りながら……。
『島村武雄弁護士事務所』につとめる弁護士である彼女の前にはいま、裁判で勝利したばかりの依頼人がほくほく顔で立っている。
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「いやあ、ほんとにありがとう。助かったよ」
男はひたすら上機嫌でにこにこしている。真梨子にきらわれているなどとは思ってもいない。というより、女が自分をきらうことがあるなどということ自体、考えもつかないのだろう。自分に自信があるというより、女を最初から人間扱いしていないタイプ。
太い手で真梨子の手をぎゅっと握りしめ、激しく上下に揺さぶっている。本人は好意の握手のつもりだろうが、真梨子にとってはちょっとした拷問だ。脂っぽい手のひらは汗でべっとりぬれていて気色悪い。すぐに手を振りほどいて石鹸でごしごし洗いたいところだが、報酬を支払ってくれる相手を不機嫌にさせることはできない。真梨子は『これも仕事のうちよ』と必死で自分に言い聞かせ、嫌悪の表情を仮面の裏側に押しかくし、精一杯の営業用スマイルを浮かべていた。
だが、真梨子が不愉快なのはそのせいでもない。彼女の不愉快の真の原因。それは男の持ちこんだ裁判の内容にあった。
この男、実はれっきとした会社の社長。有名な会社というわけではないがそれなりに業績は安定しているらしい。いまどき、中小企業なのに毎年きちんと新卒者を採用しているというのだから大したものだ。問題なのはその採用基準。採用されるのはほとんど女性。それも『容姿で選んでいる』というのが社内の評判。それも、『自分の趣味にあった容姿』をだ。
『経営手腕は立派だと思うけどね』
真梨子が調査のために会社に出かけたとき、質問した男性社員はいまいましさとそれ以上の、おそらくはやっかみの念を込めて吐きすてたものだ。
『会社とハーレムの区別がついてないんじゃないか?』
つまりは女性社員にやたらと手を出していたのだ。一〇〇万歩ゆずって、合意の上ならそれもよしとしよう。社長と社員という立場のちがいが大いに影響するにせよ。だが、この男、『女の意志』などという言葉は最初から脳に刻まれていないタイプ。合意の上か否かなど関係なしにやりたい放題やっていた。そして、今年、新入社員にセクハラで訴えられた。
もちろん、それで反省したり、うろたえたりするような殊勝な人間ではない。『自分こそ好意を歪曲され、おとしめられた被害者だ』と言い放ち、『島村武雄弁護士事務所』に転がり込んだ。
あつかましい礼儀知らずではあってもケチではなかったようだ。少なくとも、自分の利益のためなら出資は惜しまないタイプらしい。報酬はふんだんに用意したと見え、金の亡者な所長の島村武雄はふたつ返事で弁護を引き受けた。そして、その役目を真梨子に任せたのだ。
「セクハラ否定は女がやったほうが効果があるだろ?」
というのがその理由。
「弁護士のいやらしさを存分に発揮して裁判長を言いくるめてやってくれ」
と言い放ったものである。
「いやです」
真梨子は大して形のよくない眉を吊り上げて答えた。
「何でセクハラ野郎のネアンデルタール人の弁護なんかしなくちゃいけないんです?」
「そうだな。多分、君の給料はおれが払っていて、その給料は依頼人の報酬から出るからだろうな。それと、クビになったら再就職はなかなかむずかしいからじゃない?」
その一言で勝負はついた。
しょせん、真梨子は雇われ人。雇い主には逆らえない。真梨子だって今の不況がどれだけ深刻で、いつまでつづくかもわからないということは承知している。蓄えも大してないし、すぐに再就職先を見つけ出せるという自信もない。女をなめているガマガエルの弁護などもちろんしたくはない。しかし、路上生活者になるのもいやだ。第一、弁護士は子供の頃から目指してきた職業。手放したくはない。たとえ、あの頃の情熱はとうにすり切れ、薄くなり、残っているのはほんの上っぱりのひとかけらに過ぎないとしても……。
そうして、真梨子は心ならずも弁護を行うことになった。そして、引き受けたからには勝たなければ金にならない。勝って評判を上げなければ次の依頼もない。そうなれば自分だけではなく、事務所全員が路頭に迷う。所長の島村はいいとして、同僚の弁護士や気のいい事務職のおじさんたちまで困らせるわけにはいかない。
彼女は全力を尽くした。
所長の言うとおり、彼女は裁判所で『弁護士のいやらしさ』を存分に発揮した。自分がとくに有能だとは思っていないが、悪徳弁護士のイロハについてだけはこの八年間で島村からたっぷりと仕込まれた。弁護中、自分はいったい弁護士になったのか詐欺師になったのかわからなくなったのは一度や二度ではないし、三度や四度でもない。
そして、彼女は勝った。
『島村流』は倫理はともかく、効果は抜群だ。依頼人は裁判所のなかで奇声を上げての大喜び。そして、真梨子はいままでになく苦い思いをかみしめていた。
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――でも、何を言われたって仕方ないしね。
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――あの子、これからどうなるんだろう? もう会社にはいられないと思うけど……でも、そう気軽にやめられる時代じゃないし。残ったらどんなにつらいだろう……。
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言いたい放題だ。
葵はかわいらしい顔を下に向け、唇をかみしめてじっと耐えている。皮膚が青くなるまで強く握りしめられた拳とその上に落ちる涙が見えるようだ。小刻みにふるえる体がそのくやしさを物語っていた。
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