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第一部 旅立ち篇
八の扉 カーディナル家、奮闘す
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兵士たちの狼藉によって破壊されたカーディナル家の屋敷は、侍女メリッサをはじめとする使用人たちの奮闘によって修復されていた。
とは言え、完全な修復にはほど遠い。
何しろ、王家に目を付けられた貴族と関わるのを嫌がり、大工たちは修復の仕事を引き受けはくれなかったし、修復のための木の板さえ買えなかったので。
それでも、メリッサたちはめげなかった。
――なんとしてでもラベルナさまをお迎えする。
その思いで団結し、屋敷の修復にいそしんだ。
とりあえず、屋敷のなかの目立たない場所から板や石材を取り外し、それで目立つ場所を修復した。それだけでは足りない分は若きフットマン、サーブと筋骨たくましいコーチマンのハザブとが狩猟用の森に出かけ、木を切り倒して調達した。そして、総出で慣れない大工仕事に励んだ。
その甲斐あって、完全に、とはいかないが、貴族の屋敷として見苦しくない程度には修復することができた。
「診療所を開きましょう!」
ひとまずの修復を終え、全員が誇らしい顔付きで自分たちの修復した屋敷を見上げていたとき、メリッサが唐突に叫んだ。
「診療所だと?」
「そうです!」
目を丸くする執事グルックに対し、メリッサは元気いっぱいにうなずいて見せた。
「カーディナル家は代々、薬師として人々の身命を守ることを使命としてまいりました。そのカーディナル家の主さまがご不在のいま、わたしたちがかわってその務めを果たすべきです。それに……」
メリッサは真剣な面持ちで付け加えた。
「そうすれば、町の人たちにも思い出してもらえると思うんです。カーディナル家が、ラベルナさまがどんなに真剣に人々の身命を守るために尽くしたこられたかを。それさえ思い出してもらえればもう誰も、あんな馬鹿げた噂なんか信じなくなります!」
「ふむ……」
グルックは首をひねった。すると、
「やりましょう、グルックさま」
フットマンのサーブも口をそろえた。
「カーディナル家が人々から謂れのない疑いの目を向けられている。そんないまだからこそ、カーディナル家の使命を果たすことで人々に訴えるべきです」
「おいらも賛成です!」
比較的、歳が近いこともあってメリッサと仲の良いボーイのルークスが叫んだ。
「カーディナル家の誇りを見せつけてやりましょう!」
「一理ありますね」
厳格なハウスキーパーのシュレッサが自慢のメガネを直しながら応じた。
「……おれも賛成だ。おれの育てた薬草たちが役に立たずに枯れていくのを見るのは悲しい」
『一度に二言以上は喋らない』とまで言われる、偏屈で、それ以上に寡黙なガーデナーのカントが、かの人にしては記録的な長さの言葉を話した。
「おれも賛成だな」
「わたしも」
「わたしもです!」
コーチマンのハザブが、コックのサマンサが、そして、その他の使用人たちが、こぞって賛意を表した。使用人の長たる執事グルックの決断を促すべく、まっすぐな視線を向けてくる。
いかに慎重なグルックと言えど、こんな視線を集中されてどうして断ることが出来ると言うのだろう。もはや、グルックの言うべき言葉はひとつしかなかった。
「よし。やろう。我々の手でカーディナル家の誇りを守るのだ」
一斉に――。
その場で快哉が叫ばれた。
そして、診療所ははじまった。
カーディナル家は高度な薬物の知識と共に、それと同じぐらい高度な毒物の知識も有していた。そのため、誤用・悪用を防ぐためにその知識は門外不出とし、一般に公開することはなかった。しかし、幸い、何人かの内弟子がおり、その医療技術を受け継いでいた。その奥義とも言える部分は一子相伝であり、当主から次代の当主にのみ伝えられる。現在ではラベルナのみが相伝している。しかし、一般的な診療を行う分には内弟子たちの知識と技術で充分だった。
最初のうちは誰も来なかった。
悪い噂が広まっていたことでやはり、誰もがカーディナル家に疑いの目を向け、警戒していたからだ。何より、王家に目を付けられた家に関わり、同じ目に遭うことを怖れていた。しかし――。
一月、二月と立つうちに徐々に患者が訪れるようになってきた。
結局、日々、食いつなぐだけの金しかもたない貧民たちが医療を受けようと思えば、それをしてくれるのはカーディナル家しかないのだ。いくら、悪い噂を聞いていようが、王家に目を付けられる恐れがあろうが、怪我や病に苦しんでいるとなればカーディナル家を頼るしかなかった。
メリッサをはじめ、カーディナル家のものたちはすべての患者を快く受け入れた。
先代当主から直々に教えを受けた内弟子たちが診療し、ガーデナーのカントが薬草を栽培した。それでも足りない分はフットマンのサーブと雑用係であるボーイのルークスとが森に出向いて採集してきた。コーチマンのハザブが自慢の馬車を操って患者を送り迎えし、ハウスキーパーのシュレッサが指揮するメイドたちが応対した。
侍女メリッサは内弟子たちの診療を手伝いつつ、訪れる患者たちにラベルナのことを語った。
ラベルナがどれほどカーディナル家当主としての地位に誇りを抱いていたか、どれほど真摯に代々、つづいた薬師としての役割を果たそうとしてきたか。そのために、寝る間も惜しんで調合に励み、実験を繰り返していたこと。常に人々の身命を思い、尽くしてきたこと。メリッサはそれらをつぶさに訪れる患者たちに語って聞かせた。
話が途切れる心配はなかった。メリッサは侍女として常にラベルナの側に仕え、その生活のすべてを見てきた。そして、ラベルナの生活とはそのすべてがまさに『薬師としての務めを果たす』ことにあったのだから。
メリッサの語るラベルナの姿はそのどれもが情感に満ちており、実際にその目で見てきたものだけが語ることの出来る迫真さに富んでいた。
メリッサがそれを意図していたわけではない。
かの人はただ、敬愛する主人の本当の姿をみんなに知ってもらいたかっただけ。しかし、メリッサのその思いはたしかに、国王アルフレッドがカーディナル家に疑いの目を向けさせるために展開した噂戦術に対抗する力となった。
メリッサの語る言葉を聞くうちに人々は思い出しはじめた。
カーディナル家がどれほど自分たちのために尽くしてくれたか。
自分たちがどれほどカーディナル家に助けられてきたことかを。
「……そうだよな。やっばり、カーディナル家が裏でコソコソ悪いことしてなんておかしいよな」
「その通りさ。先代のご当主も、いまのラベルナさまも本当にいい方だった。あたしらのことを真剣に考えてくれていた。あの方たちが悪いことなんてするわけがないさ」
「まったくだ。一時とは言え、カーディナル家を疑った自分が恥ずかしい」
そんな声が町中に広がりはじめた。
一度、風向きがかわればやはり、それまでの実績と信頼がものを言う。カーディナル家の世話になってきた人々はもう二度と怪しげな噂などを信じることはなかった。
もちろん、その風潮はカーディナル家にすべての責任を押しつけたい国王アルフレッドにとって忌々しい以外の何物でもない。即座に兵士を送り込み、診療所を破壊させた。しかし――。
壊しても、壊しても、カーディナル家の使用人たちは屋敷を修復し、診療所を再建した。
兵士たちが診療所を荒らし、屋敷を壊す間、決して、それを止めたりはしない。前に立ちふさがり、力で立ち向かったりはしない。ただ、兵士たちが狼藉の限りを尽くして立ち去ったあと、黙々と屋敷を修復し、診療所を立て直し、再び人々の身命を守る仕事に励むのだ。
――壊すなら壊すがいい。
その姿にはその決意が示されていた。
――いくら壊そうと我々が建て直すだけだ。
やがて、兵士たちの方が根負けした。
壊しても壊しても、決してあきらめることなく再建を果たす使用人たちの姿にある種の不気味さと恐れを感じたと言ってもいい。
それは一種、宗教的な恐れであった。
神の社に無礼を働くような、そんな恐れを感じたのだ。
そして、何より――。
この診療所はすでに人々の暮らしにとってなくてはならないものとなっていた。
この診療所がなくなれば他では金がなくて治療してもらえないものが大勢いた。カーディナル家の使用人たちが兵士の前に立ちふさがることはなくても、その人たちが立ちふさがった。兵士たちの狼藉を無言の圧力で制止した。
「うちのお袋はこの診療所のおかげでやっと、病気を診てもえらたんだ」
「うちの弟が靴も履けずにガラスの破片を踏んで怪我したとき、見てくれたのはここだけだった。それどころか、自分たちの古い靴までわけてくれた」
「この診療所をおれたちから奪ったらどうなるか。覚えておけよ。明るい夜ばかりじゃないってことをな」
そんな思いを向けてくる自分たちの何倍、何十倍という男たちに囲まれるのだ。いくら、武装した兵士たちと言えど怯えないわけがない。
当主ラベルナが孤独な戦いをつづけるなか――。
カーディナル家は使用人たちの奮闘によってその信頼を取り戻そうとしていた。
とは言え、完全な修復にはほど遠い。
何しろ、王家に目を付けられた貴族と関わるのを嫌がり、大工たちは修復の仕事を引き受けはくれなかったし、修復のための木の板さえ買えなかったので。
それでも、メリッサたちはめげなかった。
――なんとしてでもラベルナさまをお迎えする。
その思いで団結し、屋敷の修復にいそしんだ。
とりあえず、屋敷のなかの目立たない場所から板や石材を取り外し、それで目立つ場所を修復した。それだけでは足りない分は若きフットマン、サーブと筋骨たくましいコーチマンのハザブとが狩猟用の森に出かけ、木を切り倒して調達した。そして、総出で慣れない大工仕事に励んだ。
その甲斐あって、完全に、とはいかないが、貴族の屋敷として見苦しくない程度には修復することができた。
「診療所を開きましょう!」
ひとまずの修復を終え、全員が誇らしい顔付きで自分たちの修復した屋敷を見上げていたとき、メリッサが唐突に叫んだ。
「診療所だと?」
「そうです!」
目を丸くする執事グルックに対し、メリッサは元気いっぱいにうなずいて見せた。
「カーディナル家は代々、薬師として人々の身命を守ることを使命としてまいりました。そのカーディナル家の主さまがご不在のいま、わたしたちがかわってその務めを果たすべきです。それに……」
メリッサは真剣な面持ちで付け加えた。
「そうすれば、町の人たちにも思い出してもらえると思うんです。カーディナル家が、ラベルナさまがどんなに真剣に人々の身命を守るために尽くしたこられたかを。それさえ思い出してもらえればもう誰も、あんな馬鹿げた噂なんか信じなくなります!」
「ふむ……」
グルックは首をひねった。すると、
「やりましょう、グルックさま」
フットマンのサーブも口をそろえた。
「カーディナル家が人々から謂れのない疑いの目を向けられている。そんないまだからこそ、カーディナル家の使命を果たすことで人々に訴えるべきです」
「おいらも賛成です!」
比較的、歳が近いこともあってメリッサと仲の良いボーイのルークスが叫んだ。
「カーディナル家の誇りを見せつけてやりましょう!」
「一理ありますね」
厳格なハウスキーパーのシュレッサが自慢のメガネを直しながら応じた。
「……おれも賛成だ。おれの育てた薬草たちが役に立たずに枯れていくのを見るのは悲しい」
『一度に二言以上は喋らない』とまで言われる、偏屈で、それ以上に寡黙なガーデナーのカントが、かの人にしては記録的な長さの言葉を話した。
「おれも賛成だな」
「わたしも」
「わたしもです!」
コーチマンのハザブが、コックのサマンサが、そして、その他の使用人たちが、こぞって賛意を表した。使用人の長たる執事グルックの決断を促すべく、まっすぐな視線を向けてくる。
いかに慎重なグルックと言えど、こんな視線を集中されてどうして断ることが出来ると言うのだろう。もはや、グルックの言うべき言葉はひとつしかなかった。
「よし。やろう。我々の手でカーディナル家の誇りを守るのだ」
一斉に――。
その場で快哉が叫ばれた。
そして、診療所ははじまった。
カーディナル家は高度な薬物の知識と共に、それと同じぐらい高度な毒物の知識も有していた。そのため、誤用・悪用を防ぐためにその知識は門外不出とし、一般に公開することはなかった。しかし、幸い、何人かの内弟子がおり、その医療技術を受け継いでいた。その奥義とも言える部分は一子相伝であり、当主から次代の当主にのみ伝えられる。現在ではラベルナのみが相伝している。しかし、一般的な診療を行う分には内弟子たちの知識と技術で充分だった。
最初のうちは誰も来なかった。
悪い噂が広まっていたことでやはり、誰もがカーディナル家に疑いの目を向け、警戒していたからだ。何より、王家に目を付けられた家に関わり、同じ目に遭うことを怖れていた。しかし――。
一月、二月と立つうちに徐々に患者が訪れるようになってきた。
結局、日々、食いつなぐだけの金しかもたない貧民たちが医療を受けようと思えば、それをしてくれるのはカーディナル家しかないのだ。いくら、悪い噂を聞いていようが、王家に目を付けられる恐れがあろうが、怪我や病に苦しんでいるとなればカーディナル家を頼るしかなかった。
メリッサをはじめ、カーディナル家のものたちはすべての患者を快く受け入れた。
先代当主から直々に教えを受けた内弟子たちが診療し、ガーデナーのカントが薬草を栽培した。それでも足りない分はフットマンのサーブと雑用係であるボーイのルークスとが森に出向いて採集してきた。コーチマンのハザブが自慢の馬車を操って患者を送り迎えし、ハウスキーパーのシュレッサが指揮するメイドたちが応対した。
侍女メリッサは内弟子たちの診療を手伝いつつ、訪れる患者たちにラベルナのことを語った。
ラベルナがどれほどカーディナル家当主としての地位に誇りを抱いていたか、どれほど真摯に代々、つづいた薬師としての役割を果たそうとしてきたか。そのために、寝る間も惜しんで調合に励み、実験を繰り返していたこと。常に人々の身命を思い、尽くしてきたこと。メリッサはそれらをつぶさに訪れる患者たちに語って聞かせた。
話が途切れる心配はなかった。メリッサは侍女として常にラベルナの側に仕え、その生活のすべてを見てきた。そして、ラベルナの生活とはそのすべてがまさに『薬師としての務めを果たす』ことにあったのだから。
メリッサの語るラベルナの姿はそのどれもが情感に満ちており、実際にその目で見てきたものだけが語ることの出来る迫真さに富んでいた。
メリッサがそれを意図していたわけではない。
かの人はただ、敬愛する主人の本当の姿をみんなに知ってもらいたかっただけ。しかし、メリッサのその思いはたしかに、国王アルフレッドがカーディナル家に疑いの目を向けさせるために展開した噂戦術に対抗する力となった。
メリッサの語る言葉を聞くうちに人々は思い出しはじめた。
カーディナル家がどれほど自分たちのために尽くしてくれたか。
自分たちがどれほどカーディナル家に助けられてきたことかを。
「……そうだよな。やっばり、カーディナル家が裏でコソコソ悪いことしてなんておかしいよな」
「その通りさ。先代のご当主も、いまのラベルナさまも本当にいい方だった。あたしらのことを真剣に考えてくれていた。あの方たちが悪いことなんてするわけがないさ」
「まったくだ。一時とは言え、カーディナル家を疑った自分が恥ずかしい」
そんな声が町中に広がりはじめた。
一度、風向きがかわればやはり、それまでの実績と信頼がものを言う。カーディナル家の世話になってきた人々はもう二度と怪しげな噂などを信じることはなかった。
もちろん、その風潮はカーディナル家にすべての責任を押しつけたい国王アルフレッドにとって忌々しい以外の何物でもない。即座に兵士を送り込み、診療所を破壊させた。しかし――。
壊しても、壊しても、カーディナル家の使用人たちは屋敷を修復し、診療所を再建した。
兵士たちが診療所を荒らし、屋敷を壊す間、決して、それを止めたりはしない。前に立ちふさがり、力で立ち向かったりはしない。ただ、兵士たちが狼藉の限りを尽くして立ち去ったあと、黙々と屋敷を修復し、診療所を立て直し、再び人々の身命を守る仕事に励むのだ。
――壊すなら壊すがいい。
その姿にはその決意が示されていた。
――いくら壊そうと我々が建て直すだけだ。
やがて、兵士たちの方が根負けした。
壊しても壊しても、決してあきらめることなく再建を果たす使用人たちの姿にある種の不気味さと恐れを感じたと言ってもいい。
それは一種、宗教的な恐れであった。
神の社に無礼を働くような、そんな恐れを感じたのだ。
そして、何より――。
この診療所はすでに人々の暮らしにとってなくてはならないものとなっていた。
この診療所がなくなれば他では金がなくて治療してもらえないものが大勢いた。カーディナル家の使用人たちが兵士の前に立ちふさがることはなくても、その人たちが立ちふさがった。兵士たちの狼藉を無言の圧力で制止した。
「うちのお袋はこの診療所のおかげでやっと、病気を診てもえらたんだ」
「うちの弟が靴も履けずにガラスの破片を踏んで怪我したとき、見てくれたのはここだけだった。それどころか、自分たちの古い靴までわけてくれた」
「この診療所をおれたちから奪ったらどうなるか。覚えておけよ。明るい夜ばかりじゃないってことをな」
そんな思いを向けてくる自分たちの何倍、何十倍という男たちに囲まれるのだ。いくら、武装した兵士たちと言えど怯えないわけがない。
当主ラベルナが孤独な戦いをつづけるなか――。
カーディナル家は使用人たちの奮闘によってその信頼を取り戻そうとしていた。
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