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第二章 学園編

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* * *

(な、なんで……)

 授業が終わり、私はヘンリー殿下と共に生徒会室までやって来た。

(なんでこうなった!?)

 生徒会室には生徒会長のアルフ義兄様を筆頭に役員メンバーが揃っていた。
 しかし、そのメンバーはどれもよく知る顔ばかり。

 アルフ義兄様、アーサー様、マリア様……って攻略対象者にヒロインじゃない!!

 唯一の救いは、乙女ゲームの登場人物ではないクロエ様と、顧問としてリュカ先生がいることだ。

 まさか、生徒会はゲームの舞台だったの!?

 こんな事なら勉強なんて頑張らなきゃ良かった、と激しく後悔していると、私の隣で優雅にお茶を飲んでいるヘンリー殿下にアルフ義兄様が突っ込みを入れた。

「おい、ヘンリー。何、優雅に茶を飲んでいるんだ。お前は部外者なんだから早く出ていけよ」
「失礼な。私はイザベル嬢の婚約者だから部外者などではないぞ」
「生徒会とそれは関係ないだろうが! さっさと出て行け!」
「おや? 私は王族だぞ。生徒会長とはいえ、お前から指図される覚えはないが」
「くっ、そんな時ばかり王族の権利を主張しやがって」
「それはお前もだろう」
「はいはいはーい☆ 二人とも喧嘩しないの!」

 リュカ先生はパンパンッと手を叩きながら二人の間に割り入った。

「イザベル君が好きな気持ちは分かるけどね、本人の前で争ったら困っちゃうでしょ? ああ、しかし、青春とは良いものだねぇ☆ ぐふ、ぐふふ」

 す、好きって……。

「ふふっ、お姉さ……イザベル様、お顔が赤くなっていますわ。こんなに美しいのに、ウブな反応をするイザベル様に殿方が夢中になるのは良く分かりますが、私のおね、イザベル様はそう簡単に渡しませんことよ?」
「ク、クロエ様」
「あのぅ、私もイザベル様の事が好きなので、仲間に入れて貰いたいです」

 マ、マリア様まで!? 
 みんな何言ってるの!?

「おいおい、そんな事を言うために今日集まったわけじゃないのだろう? 気持ちは分かるが、みんな落ち着けよ」
「これは負けられない戦いなのです! ヘタレなお兄様は黙っていて下さいな!」
「ク、クロエ」

 これは一体何の会なの。
 そして、私はどうしたら良いの?

 この場を収めないと、と思いつつもどうしたら良いか分からずに固まっていると、リュカ先生が助け舟を出してきた。

「みんな落ち着いてー! 話が進まないから、とりあえず役決めから始めない?」

 リュカ先生、ナイスフォロー!
 リュカ先生の提案にアルフ義兄様が反応した。

「それもそうだな。では、早速役決めに移ろう」

 アルフ義兄様の言葉に皆は言い争いをやめ、役決めを行うことになった。
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