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第3章 闇の奥底
Ⅵ
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と、報告があった。
「そうですね。まだ、動かなくてもいいでしょう。時間はたっぷりあります。我々の目的は、彼の足止めをする事、決して殺してはならない。世界で貴重な人材ですからね……」
男は、暗闇の中で言った。
周りには真っ暗で、今、どこに誰がいるのか把握出来ないほどである。
「でも、戦いは、私一人で行きます。邪魔はしないで、ここで待機しておきなさい」
「はっ!」
男に言われた部下らしき人物は、返事をして姿を消した。
「さて、私も動くとしましょうか。あの方にいい報告が出来るように頑張りましょう……」
男は、小声で笑った。
× × ×
列車はサールバーツから移動を始めて、三時間経っていた。
それまでの区間で十五駅程停車しながら南を目指して、走り続けている。お昼も過ぎ、列車内では車内販売をしており、昼食用に弁当とお茶を買う。
「うーん。この弁当は、まあまあだな。味が薄いのか、濃ゆいのか、分かりずらい……」
ボーデンは、弁当を食べながら文句を言っていた。旅を始めて三時間、座ったままの状態で、何一つも運動しないでいると、イライラは溜まっていく。
「私は、こういう味も好きよ。人間の食べ物は、様々な種類があって面白いわ」
楽しそうに弁当を食べているラミア。
「これ、本当に美味しいか?」
「ええ、美味しいわ。貴方の味覚の方がおかしいんじゃないの?」
「いや、絶対にお前の方がおかしい……」
ボーデンは笑顔を見せるラミアを見て、苦笑いする。
本当にこの弁当は、あまり美味しくないのだ。肉の焼き加減もバラバラで、野菜の味付けも微妙な所である。お茶の方は普通の味で、食べられない事はない。
列車はベルナウで停車し、通過していく。
「この街も懐かしいな……」
「ええ、ここはここで面白かったわ……」
二人共、遠く見た夢のような目で、ベルナウの街の景色を走る列車の中で眺めていた。
ベルナウにある時計塔の鐘がなり、鳥達が音に反応して空へ飛び立つ。
そろそろ、列車の移動も中盤《ちゅうばん》へと差し掛かっていた。
暖かい風が、南に進んで行くたびに車内の温度を少しずつ上げて行く。
「そうですね。まだ、動かなくてもいいでしょう。時間はたっぷりあります。我々の目的は、彼の足止めをする事、決して殺してはならない。世界で貴重な人材ですからね……」
男は、暗闇の中で言った。
周りには真っ暗で、今、どこに誰がいるのか把握出来ないほどである。
「でも、戦いは、私一人で行きます。邪魔はしないで、ここで待機しておきなさい」
「はっ!」
男に言われた部下らしき人物は、返事をして姿を消した。
「さて、私も動くとしましょうか。あの方にいい報告が出来るように頑張りましょう……」
男は、小声で笑った。
× × ×
列車はサールバーツから移動を始めて、三時間経っていた。
それまでの区間で十五駅程停車しながら南を目指して、走り続けている。お昼も過ぎ、列車内では車内販売をしており、昼食用に弁当とお茶を買う。
「うーん。この弁当は、まあまあだな。味が薄いのか、濃ゆいのか、分かりずらい……」
ボーデンは、弁当を食べながら文句を言っていた。旅を始めて三時間、座ったままの状態で、何一つも運動しないでいると、イライラは溜まっていく。
「私は、こういう味も好きよ。人間の食べ物は、様々な種類があって面白いわ」
楽しそうに弁当を食べているラミア。
「これ、本当に美味しいか?」
「ええ、美味しいわ。貴方の味覚の方がおかしいんじゃないの?」
「いや、絶対にお前の方がおかしい……」
ボーデンは笑顔を見せるラミアを見て、苦笑いする。
本当にこの弁当は、あまり美味しくないのだ。肉の焼き加減もバラバラで、野菜の味付けも微妙な所である。お茶の方は普通の味で、食べられない事はない。
列車はベルナウで停車し、通過していく。
「この街も懐かしいな……」
「ええ、ここはここで面白かったわ……」
二人共、遠く見た夢のような目で、ベルナウの街の景色を走る列車の中で眺めていた。
ベルナウにある時計塔の鐘がなり、鳥達が音に反応して空へ飛び立つ。
そろそろ、列車の移動も中盤《ちゅうばん》へと差し掛かっていた。
暖かい風が、南に進んで行くたびに車内の温度を少しずつ上げて行く。
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