俺のユニバーサルライフは要するにあまりいいものではなく青春的な展開などあり得ない

ゴリラ・ゴリラ・ゴリラ

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第3章  時には夢を見たいと思うことがある

015  時には夢を見たいと思うことがあるⅦ

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「それはどうもありがとう。俺は単に集中力を高めながら何も考えずに打っただけだけどな。それに右腕の力はあまり入れないように手だけに集中してたな」
「なるほどね。天道君だからこそできたスキルなのね」
「これを夏目に今すぐやれと言っても無理があるが練習あるのみだがそれとも別に違う案がないとも言えないんだが……」
「え、他にも方法はあるの」
 夏目は他の方法もあるならそれも教えるよと目が言っているようであった。冬月は冷たい目線めせんで「あなた、何か隠していたわね」と言っているようであった。
「それって、この事とは別に改善される策があるって言うことよね」
「ああ、でも、この練習を毎日やりながらだけどな」
 俺は威張いばりながら冬月に笑い名が言う。
「夏目がどうしても改善したいなら今すぐにでもその人にアポを取るがどうする?自分自身で決めろ」
「天道君にも何かそれなりの理由があるならそれに挑戦してみたい。だから、その案に挑戦させて」
 夏目は頭を下げながら、俺に強い意志を向けてくる。
「いいんだな」
「うん」
「分かった。それなら少し時間はかかるがその日になったら必ず連絡を入れる。それまでは冬月のメニューをこなすこと。いいな」
「本当にうまくいくのかしら」
 自分だけ仲間外れにされたのがあまりにも気に入らなかったのかふて腐れて冬月は小言で言う。夏目は目を光らせながら期待の眼差しをこちらに向けてきた。
 なあーに、俺にかかればお茶の子さいさいさ。ま、俺も一緒にやらないといけないが欠点だけどな。
「あ、もしもし。今度のことについて何ですけど。ああ、そうです。決まったのでよろしくお願いします。名前?夏目未帆なつめみほと言うんですけど……。あ、はい。そうですか。では、よろしくお願いします」
 俺は電話越しでぺこりぺこりと頭を下げながら電話の主に頼んだ。
 全ては整った。ショーはこれからだ。
 なんとなく中二くさいことを思った俺はニヤッと笑った。


 それから約二週間たった土曜日。朝から夏目未帆の所に電話を入れ、テニスコートに金と道具を持って来いと連絡を入れた。もちろん、その後に冬月と藤原先生の電話にも連絡を入れた。
 二週間前来た時は、人はあまりいなかったが今日は約百人くらいの人々で賑やかになっていた。俺は場所を確保して、三人が来るのを待ちながら今日のコートの状況を把握していた。
 しばらくすると、三人が揃って俺の目の前に現れた。
「ねぇ、朝っぱらから電話をしてきてすぐにここに来いって言っていたけど……。これは一体何なの?」
 冬月は機嫌きげんが悪そうに俺の方を見てくる。その隣できょとんと首を傾げながら疑問に思っている夏目が何か言いたそうにしている。
「うわぁー、何これ。テニスをしている人がいっぱいいるんだけど。今日は何かの試合でもあるの?それに私には試合ができる格好をして来いとか。意味が分からないんだけど……」
 意味わからないんじゃないんだよ。お前のために俺がわざわざ用意したんだよ。そんな引かなくてもいいだろ。
「そうだ。今日は混合ダブルスの試合だ」
「混合ダブルス?」
 冬月はあまり反応なしで何を言っているんだ?こいつとしか思っていないだろう。それもそうだ。だって、話していないし。
「それで誰と誰がその大会に出るってわけ?」
「俺と夏目だよ」
「え?私?……ちょっ、待ってよ。私はまだ出るって言ったわけじゃ……」
 夏目は困惑しながら口を開く。冬月はああ、なるほどと頷いた。
「夏目さん。まずは天道君の言う通りにしてみなさい。彼には彼なりの考えがあるらしいから。ま、それでも何も得られなかったときはあなたのせいではない。社会が悪いのよ」
 冬月は夏目の方を向いて、温かい目で優しく声をかけた。
 あのね、社会が悪いって言うのはあんまりじゃないですか?神様もそれは困りますよ。絶対に……。
「まあ、ともかくお前は俺とペアを組んでA・B級の優勝を目指す。これが最短で最高の対策だ」
 夏目はええーと言いたそうな気分でいる。そして、なんでお前とペアを組まないといけないの?と思いながら口を開こうとする。
「え、いきなり優勝目指すの?それに私、ダブルスは基本苦手だし、もっとも男子とのペアなんか組んだことない」
 と疑問を言い出した後、不満と文句しか言わない。それから、俺の方をじっと睨みつけてくる。
 冬月は何も言わないでただ俺を見続けながら、本当に何かあるんでしょと目で言っているようだった。
「大丈夫だ。俺もシングルス派だ。ダブルスなんてあまりやったことはない。安心しろ」
「安心できないから」
 夏目は俺にツッコミを入れてくる。
「まあ、ともあれ郷に入ってはごうに従えだ。腹をくくれ。そして、これが今日のトーナメント表だ。後、料金は千百円きっちりと支払ってもらうぞ」
「そこはしっかりしているんだ」
 夏目は呆れてしぶしぶと財布を取り出して、俺に料金を支払うとトーナメント表を受け取って俺たちの名前を探し始めた。
「え—と、男女混合ミックスダブルスはAブロックからFブロックまでで一ブロックに四組入っているんだ」
「そうだ。そして、決勝トーナメントに進めるのは各ブロック二組まで俺たちはCブロックに入っているがまあ、他のペアを見たところ余裕で予選は通過できるだろう。問題は本選だ。お前が失敗しないこと。俺から言えるのはこれだけだ」
 俺は平然と言うと、夏目は俯いて首を傾げる。
「準備運動はしっかりやっておけよ」
 そう言って俺は自動販売機の方へ向かった。
「ちょっと、待ちなさい」
 冬月は俺を呼び止める。
「……なんだよ」
「私も着いて行くわ」
 冬月は俺のそでをつかんだまま、視線をこっちに向ける。何か訳アリでもあるのだろう。夏目には聞かれたくないことを……。

「それで何を企んでいるの?」
「別に何も……」
 自動販売機の前で缶コーヒーを飲みながら手すりに寄り掛かる。それにしても駐車場には人が多く。近くのグラウンドでは少年サッカーの試合があるらしい。
「別に何もじゃないでしょ。何か考えがあるからこんな手の込んだ計画を企んだでしょ。いいから話しなさい」
 睨みつけながら俺を見る冬月は今にも殴り掛かりそうな勢いだった。どうやら、怪しいと疑っていたらしい。
「この大会で夏目には自信を無くしてもらう」
 冬月は不機嫌そうに舌打ちしながら貧乏ゆすりをする。
「何でそんなことをするの?あなたに任せた私がバカだったわ」
「まあ、待て。話は終わっていない。自信を無くしてもらうのは間違ってはいないが責任感、つまり、彼女自身にプレッシャーを与え続ける。俺が存在することでな」
 俺は腕を組み、目をつぶりながら話す。
「では、ダブルスとは何なのか。冬月は知っているか?」
「……」
 冬月が無言で首を横に振る。その時、彼女の髪からふんわりとしたシャンプーのいい匂いがした。冬月のくせに……。
「ダブルスペアは一人は完璧に仕事をして、一人は足手まとい。いわゆる弱肉強食だ。ペアの一人がダメだとどんどん落ち込んでいき人より多く頭の回転が速くなる。どうすればいいか。絶体絶命のピンチをどう乗り越えるのか。そればかしを考えるだろ。その時、そいつはどのように立ち直すか、俺はそれを確かめたい」
 ふっと冬月は少し笑った。俺の話のどこにツボがあったのだろうか。おかしなことを言ったのだろうか。
 俺は彼女の顔を見た。少し微笑みながら次に口を開き何かを言い出す。
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