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一章

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 ダンテオーリオと会う日を心待ちにでも疎ましくでもなく、多忙に任せて待ったラトヤは、当日の朝に着る服はどうしたものか首をかしげた。
 着替えに躊躇した姿を見られたか、ウェチェレがくすくすと笑った。
「化粧だけはしていけば? それに貰った髪飾りだって、首飾りもあったじゃない」
「だってこの服なのよ?」
「ありゃありゃ贅沢になっちゃって。あたしだって同じ服しか持ってないんだよ? いいんじゃない? それが今の状況なんだし。服を今度は買ってもらえばいいのよ」
 ムッと閉口するラトヤに対し、代わりに働く羽目になったウェチェレは上機嫌だ。ダンテオーリオがウェチェレの休みを贈り物で買収したと言ってきた。花を模造したブローチを、普段着の上にあててはにやにやしている。
「どうしてさっさと嫁に行かず働くかねぇ。まあさ、その方があたしは集れるけどさ。男にその気が失せる前に、手を打っておきなよ?」

 嫌味の一つも効いたのか、ダンテオーリオに会うまで微かな不安が胸をざわつかせた。化粧が可笑しくはないか、今回服を寄越さなかったのは既に飽きたからではないか、彼は来るのか。
 いつもの笑顔に、更に、施した化粧に気づいて嬉しそうな笑みを乗せてくるダンテオーリオ。迎えに来た彼の顔が眩しい。
「いつも美しいけれど、今日は思わず帰したくなくなるほど、綺麗だ。丁度良かった」
「冗談も過ぎます、ダンテオーリオ様」
「ん? ああ、行くところがあってね。人に会うから」
「あ、はい」
 帰さない積りだと言い出すのかと潜めた眉が、今度は思い上がりに恥じて眉が寄る。
「どちらに?」
「まあ、お楽しみだ」
 ウェチェレといい、今日の天気は人をにこやかにしてしまうのか。空を見上げれば、確かに暖かい光が分厚い雲を押しのけてでも降りてきている。
 狭い袋小路に連れられ、やや埃っぽい道を進む。石畳も雑に敷かれてか長年の使用にガタがきている。跳ね上がったりで、グラグラと敷石が踏めば動く。
 その先の、ふと新鮮な風が吹き込む十字路へ出た。一塊の家々を左右に見れば、道幅が急に広くなったせいで日の当たる壁面が連なっている。小窓には、この季節にでも無理して草花を育てている家が多い。
 十字路の道をまっすぐに進めば海に出るようだ。家々の壁面で切り取られた前方の風景に、どんよりとした海が覗いている。
 ならば表通りからもここへは来れたはずだ。海に向かって移動し、この十字路まで横道を進めばいい。この十字路に繋がる横道は道幅が広く、馬車でも来れただろうに。
 と、海にまでもう少しという、開けた所へ来た。海とこちらとの間には、市民が憩う公共の休憩所があるだけで、開放感溢れる場所だ。日中の今は、季節もあってか人気もなくひっそりとしている。
 その休憩所を挟んで海を眺めるよう、やや大ぶりの家が海岸線に合わせるように並んでいる。そこの一棟に、ダンテオーリオが向き合った。
「ここだ」
「何方がおいでなのですか?」
「母だ」
「それは、何方の」
「そう。君のね」
 つられて戸に続く段を上がりかけていたラトヤは、先導するダンテオーリオを掴んだ。ぐるぐると目を回しても、呑み込めない。
 母。私に母が? 居ただろう。けれど。
「ここにおいでだ」
 思わずラトヤは首を振った。母が居て、奴隷院へ。事情があったからこそだ。
 ダンテオーリオの得意顔を見れば、大方探し出したといったところか。だが、相手の了承はあるのだろうか。
「待っているよ、さあ」
 手にも足にも感覚がない。頭だって痺れて考えも寄越さない。どうしたものか。ただ、彼に引かれて戸を潜るだけだ。
 やや年を重ねたかと思える、落ち着きある女性が迎え出た。顔に感情は浮かんではない。それどころか、無表情でダンテオーリオに会釈をしている。ラトヤは手の汗を服で拭った。彼女ではない。
 客間だろうと思われる広めの室内へ通される。が、不自然な設えだ。客間に応接用の家具はなく、飾り立てもなく、壁の端には寝台があり、室内の大方は、窓を向いた寝椅子が占拠している。
「来ましたよ。サロナさん」
 窓の方に回るよう、ダンテオーリオが先に挨拶をしつつ、ラトヤを手招く。
 寝椅子に人気がある。ごそごそと布ずれの音がする。ラトヤも回り込んで寝椅子に向き合った。
 皺に埋もれた瞼を開き、キョロと見上げる瞳の色が、老人のそれだと分かる。皮膚に刻まれた皺より細く痩せた髪が、しなびたように顔に掛かっている。か細く吐いた息が、生気のない髪をフワフワと靡かせた。
「ごめんねぇ。恨んでいるでしょう。なのにねぇ、こんなことしてくれるなんて、何故なんだか」
 声色は見た目よりも若い。皺やシミは日差しに晒されての日々の労働の賜物なのだ。瞳も老化が早まっての事なのか、見えているのか勘ぐるほど、空を彷徨っている。涙を流しているのだとは感じるが、直ぐに皺に吸い取られるからか、泣いているように感じ取れるのは、声の方だ。
 ラトヤはダンテオーリオを見た。自分には、この初老の女性が母かは実感がない。が、彼には調べる時間と財力があったからこそ、たどり着いた彼女だろう。真偽は彼の頷きに探るしかない。
 ダンテオーリオは強く頷いた。
「そう。母なの。そうなのね」
 ラトヤは彼女の手を取った。空かさずダンテオーリオが椅子を勧めてくる。その場に座って、黙したまま手を握った。
 窓より入る陽が、彼女の胸あたりを照らしていたのに、窓際まで引き上げたらしい。その陽も鈍い橙色をまとい始めている。
 彼女はあのまま眠りについて、ラトヤは手をさすっていただけだった。
 先ほど迎え出た女性が、室内へ入ってきた。どうやら母を寝台に移すらしい。ダンテオーリオがそれに手を貸している。ラトヤはそれを何もできず眺めるだけ。慌ててお礼を言うと、彼は眩しい笑顔で答えてくれた。
「嬉しいな。漸く自分の母だと認識したかな? 探した甲斐があった」
「探し、たの? 辿って?」
 指を唇に当て、静かにと注意するダンテオーリオ。ラトヤも従って、上の階へと上がった。
 二階は一部屋あるだけの小さな造りだったようだが、その分、海に面した側には、外で過ごせる屋上と連なっていた。
 既に西日が弱弱しく差し込む。海からの風も冷たく吹いている。外の風景に心惹かれながら、部屋にとどまってダンテオーリオに向き直った。
「訊きたいだろうね。色々と」
「はい」
「君の母には、子どもが一人いた。君だ、ラトヤ」
「ええ」
 返答も相槌も困難になりそう。彼が優しく気遣ってくれるから余計にだが。
「続けても平気かな?」
「はい」
「婚姻しての出産だ。が、ご主人が亡くなられたようだね。あなたの父は使用人だったと記録にある。そこで、彼女は君を手放した」
「はい。奴隷院にですね」
 悔し涙が一筋流れる。法の中に籍があったのだ。生れ出た時は。
「その後は彼女一人、つい先日まで働いていたようだ。恐らくだが、君を引き取るほどの蓄えは持てなかったのではないかな」
「いえ、いいんです。気遣いは」
「事実だよ、ラトヤ。気を遣ってなんかいない。彼女は今、五十四歳らしい。随分と出産が遅かったとは思わないか? それが根本だろうね。彼女は重しくなかった。が、働かざるを得なかった」
「そうですか」
「日雇いで働きに出て、既に福祉院に寝泊りをしつつだった」
 ラトヤは目を瞬いた。だって、ここは。
 周囲を見回せば、確かに生活感はない。日々揃えた調度品も見当たらず、急きょ置かれたか、素朴な椅子に二人も座っているだけだ。テーブルもない。部屋に続く屋外にも、ありがちな植栽や椅子も何もない。がらんとしていると、初めて気づいた。
 探した。ダンテオーリオは探して、見つけた。私の母を。福祉院で。
「ここは」
「ん? まあ、そうだね。本来、彼女が得てもよいのではと思う程度の事しか、設えなかったのだがね」
「どういう事ですか? ダンテオーリオ様が?」
「まあ、それもあるけれど。そう声を荒げないで。彼女の主人が勤めていた家をあたったんだ。勤め中に亡くなったのではと思ってね。高齢で赤子を抱くなら、相応の覚悟が男にはあっただろう。病で亡くなる気配でもあったなら、子は作らないよ。案の定だった。使いの途中で強盗にあったそうだ」
「父が。そうですか」
「持っていた物を盗まれたからと言って、使用人が勤め中に亡くなった時の、家族への保障を免れてよいはずはない。遡って請求しておいた」
「それがここですか?」
 でも、何かがおかしい。そんな逃げを打って出た家ならば、請求されたとはいえ、こんな居心地の良い住まいを用意するだろうか。それに該当する額面を出すだろうか。
 ここには思いやりがある。風通しも良く日も当たる、喧騒からは離れて、穏やかな風景が広がる土地に、居心地の良い家。
 用意したのは思いやりのある人物だ。病人に良かれと思っての、この家だ。それは。
「ダンテオーリオ様ですか?」
「何がかな」
「ここを用意されたのは、です」
「私だね」
「あの方を配したのもですよね?」
「ああ、クレアの事かな。ああ、そうだね」
 思わず、ラトヤは席を立っていた。
 言うべきは、感謝の言葉だろう。だが、胸で膨らんだ憤りはどうしたことだろう。娘が居るなら、娘がすべきことだ。だが、私にその手立てはなかった。だからといって、娘を慕う男に頼ってまで、成せばならなかったことか、自分への情けなさ以上に、腹立たしくてならない。
「ここに来れば、君はこの部屋を使えるだろう。私がしたのは、そのくらいの贈り物だけだよ」
「違う! ダンテオーリオ様は、もっと出されているはずよ。あんな女性まで世話につけて。抑々探さなければ、そのままだったはずでしょ!」
「それは縁だから仕方ないよ」
「でも、でも! この部屋だって、この家だってもっと小さくても良かったのだわ! あなたが、あなたがしたんじゃない」
 怒りの矛先を彼にぶつける道理もないと、分かってはいるのだが、何がそうさせるのだろう。
 ダンテオーリオがラトヤを抱き取る。もがいてももがいても、何度も抱き取る力を増してくる。嫌とあがいても、頬は彼の胸に当てがわされたままだ。
「ラトヤ、大丈夫。私は会えて良かったと思っている。君の母に。大事なんだ。大事なことなんだよ、君にとっても。母が居れば、君は娘に戻ることもできるだろう。マケイ家に、子は一人。君だけだ」
 と、ラトヤ自身も驚いた。ダンテオーリオを突き飛ばしていた。彼が男でなかったら、勢いで怪我を負っていたかもしれない。それほど、ラトヤの怒りは激しかった。
「ダンテオーリオ様、お願いがあります。ここへはもう手を貸さないでください」
「何故? できることをしたいまでだ」
「それは、私の母だからですよね? 全ての貧民を救いはできないでしょう?」
「確かにそうだが、私の純粋な気持ちだ」
「感謝はしております。しきれません。今までも、私とで引き起こされた騒動の後処理に手を入れられていました。返せるものなら、この身でも、と思います」
「そうもできないと? 答えは出たと言うのかな?」
「はい。こうやって私の出生を整えてくだされば、少しはダンテオーリオ様の妻と相応しい女性だと、ご家族は受け入れてくれるでしょう」
「整えるだの、私の想いは」
「分かっています! 良く、分かっています。ご自分のためでなく、私のためでもあり、母を労わってだとも。けれど、辛い…。整えても私は奴隷院へ渡された身分です。母でさえ、日雇いの身です。あなたに掛かる負担を和らげる術が見当たりません。お願いです。もうやめてください」
「君が居ればいい。それだけで、いい。君に求めるのは」
「体ですか?」
「違う! 勿論、体でもある。生涯、妻と沿って欲しい。だから、体を厭いたい。愛でもしたい。だが、それだけではない。私を想って欲しい、それは、求めてはいけないのか? 君に愛されたい。僅かでもいい。私の不在を寂しく思うのか、病に伏せれば心配を寄せてくれるのか、そんな程度の気持ちでさえ、君に請いたい」
「だからです。心は買えるか訊いているんです! 私は心を売れるの? 買われたら、この心はあなたのものになるの? 私だってそうしてあげたい!」
「何故、何故こうも…愛しているのに」
「訊かないでください。分かっていたら、原因を取り除いています。あなたのために」
「すまない。違う。対価を求めては無い。もう、いい。ラトヤ、それでもいい。悪かった。離れないで。まだ、待てるさ。今まで通り」
「いいえ、あなたは求めています。見返りを、こうやって、望んでいるわ。だから、やめて。心無い体を欲しいだけなら、他にも欲しがっている人がいます。その人より私へ犠牲を多く払うことで、得ようとしないで!」
「違う。犠牲ではない。君の母は、知人の母なら見過ごせない状態だ。それを混同しないで。今は、母を楽に」
「いいんです! 母に楽な残余をおくらせてあげたいとは私も思います。でも、これは、母の選んだ道です。悔いていても母が下した判断で、今の私の身があります。だから、消さないで、母がした英断を。女を手に入れ易くするために、母を愚弄しないで。私は、恥ずかしくは無いの」
「君の境遇を恥ずかしく思ってだと? そんな気など。ああ、確かに指摘通り、覚悟が足りないようだ。君を奴隷のまま、妻に迎えることは考えなかった。だからと言って、君への愛を、献身だと疑われて、残念だよ」
「ええ。すいません。酷い事を言っています。だけど、お願い…」
「分かった。一端引こう。だが、これ以上は相談してからにするが、このままだけはさせて貰うよ」
「でも」
「君だとて、やはりと母を追い出せるのか? 私にはできない。散々働いて傷んだ体を横たえた身を」
「それは…。ええ、はい」
「出よう。日も暮れてくる。母に挨拶をしておいで。私は外で待つとするから」
 すうすうと眠る母。皮膚の皺が、上質な寝具とで違和感を醸し出している。けれど、安眠を貪るほど披露した、この母という女性を、ラトヤは起こす気にはなれなかった。
「また、来ます。また」
 外へ出れば馬車がある。パンカロッレ家の馬車だ。ダンテオーリオは、ラトヤを乗せると、暗がりを湛えた十字路へと姿を消した。
 ラトヤはその背を見送った。何故、彼は馬車でここへ来なかったのだろう。表通りを何故、避けては来て、避けて帰るのだろう。
 訳が分からなかった。
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