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第3部1章 死にキャラとひと肌恋しい季節
01 ひと肌恋しくなるね◆
しおりを挟む北風が吹き付ける。
少し伸びた黒髪が風で揺らされ、俺は耳に手を当てる。耳は氷のように冷たくなっており、俺は指先でにじにじと弄ってみた。
季節は十一月の中旬。城下町のあちらこちらに植えてある街路樹は紅葉しはじめており、すっかりと空も秋らしくなっていた。
「――ニル」
透き通った声を聴くのは心地いい。大好きな人に、お気に入りの自分の名前を呼んでもらうこの瞬間が好きだ。そして、俺もまた、愛しい人の名前を呼ぶ瞬間が好き。
「セシル。どうしたの?」
皇宮の廊下。振り返ればそこにはセシルがこちらに向かって走ってくるのが見えた。先ほど騎士団長である俺の父との手合わせをしていたためか、息が上がっている。額から汗が流れて顎を伝って落ちていく。そんな汗だくのセシルもかっこいいな、と惚けていればすぐにも距離が縮まって目の前まで来た。
ちなみに俺は、サマーホリデー前の事件で心臓を負傷したせいもあり、今日も定期的な健診の日だった。この間の収穫祭前の出来事もあり、最近はその頻度も増えている。
しかし、おかしなことに寒くなればなるほど俺の身体は元気になっていっている気がするのだ。
「いや、ニルがいたから体が勝手に動いてな。これといって用事はないが、そうだな。ニルの名前を呼びたかった」
「何それ。でも、嬉しいよ。セシルに名前を呼ばれるの好きだから」
「俺もそうだ。ニル、俺の名前を呼んでくれるか?」
「……面と向かって恥ずかしいこと言わないでよ。せ……しる。セシル」
俺が恥ずかしがりながらもそういえば、セシルはパッと顔に花を咲かせ、俺に抱き着いてきた。そういえば、最近セシルはヤケに鍛錬に時間を割いているようだがどうしたのだろうか。そのせいで、前よりも体ががっしりとしてきている感じがして、俺はちょっと不満がある。いつも同じくらい、同じように、足並みそろえていろいろとやってきたのに。ここにきて、一人抜け駆けなんて。
俺は、心臓のこともあって運動量をセーブしているが、問題なのは魔法を使わないことであり、運動量は通常通りでもいいはずなのだ。だが、何が影響するかわからないからと、大事をとって……と、俺は運動も制限されている。一応、心臓がおかしくなる前までの特訓メニューをこなせるまでになったが、それ以上はドクターストップがかかっている。
セシルが遠い存在になってしまうかもしれない、と俺は焦りを感じていた。
俺がセシルを守らなきゃいけないのに、それじゃあ、セシルが俺を守るみたいな。
(分かっている。じたばたしても仕方ないし、セシルの足を引っ張るようなことはしない……)
セシルがそう思ってくれるのなら、俺は俺なりにできることをしよう。この間のことで、焦ったところでぼろが出て行くだけだと分かった。それに、冷静になれば対処できることだってそれなりにあるはずなのだ。
今できることをする、それがこれからの俺の成長につながると。
「父上……団長との手合わせどうだった?」
「あと一歩のところで、一本取られた。さすがは、団長殿だ。隙が無い」
「セシルでもダメかぁ。さすが、父上。無敗の騎士団長」
俺の父親は、帝国騎士団を総括する騎士団長。騎士団長の座についてから長く、その座は揺るがない全勝無敗の最強の父。
獅子のような髪をし、その体はゴリラのようにたくましい……のだが、俺にはまったく遺伝していないようで、いつも親子かどうか疑われてしまう。というのも、俺の容姿の遺伝はほとんど母親譲りだから。
かといって、父の要素が何一つないわけでもなく、剣の太刀筋や、考え方はすべて父そっくりだといわれるのだ。後者は、父の考えや思想が好きだからという後天性のものではあるが、剣の太刀筋は、確かに、と思わなかったりもしない。
それで、そんな父にセシルをもってしても誰も勝てないのだ。
攻略キャラだからといって、ステータスがバグっているわけでもなく、しっかりと勝てない人間がいるというか、人間らしい面があるというか。
セシルは、今度は勝ちたいな、と口にして俺を見た。
「ニルのほうはどうだったんだ。健診は」
「いつも通りだよ。ただ、寒くなってきてから、魔力は安定したみたいで。もしかしたら、氷の魔法が関係しているのかもとか言われた。もっと詳しく調べるか、俺の魔法の遺伝元である母と一緒に健診を受けるかしないと分からないみたいだけど」
「そうか。だが、確かに血色がいいな」
と、セシルは嬉しそうに微笑んでいた。
彼をほっとさせられるならいいや、と俺は深いことは考えず、セシルのほうを見る。銀色の髪は額に張り付いていて、まだ息が上がっている。紅潮した頬に、漂う汗の匂い。くらくらしそうで、俺はちょっとだけ後ろに下がった。
その目や姿が、ベッドの上のセシルをほうふつとさせて、俺の下半身に熱が集まる。
何、昼間から考えてんだよ、と自分にツッコミを入れて、俺はバレないよう笑顔を取り繕う。
「俺も、父上にまた稽古つけてもらいたいな。それでまた、セシルと手合わせしたい」
「いいな。俺も、ニルと久しぶりにやりあいたい」
「や……」
「どうした、ニル」
「何でもないよ。どうする? 汗かいてるみたいだし、お風呂とか?」
煩悩よどこかに行ってくれ、と俺は冷汗をかきつつ、セシルに風呂のあるほうを指さした。セシルは、俺の指の先を見つめたが「いや?」といって、部屋に戻るといったのだ。俺は、迷わずセシルについていき、彼の隣を歩く。
「少しは成長したと騎士団長殿に言われた。だが、力任せの攻撃はすぐに読まれるぞとも、癖だろうなともいわれたな」
「父上は、ああ見えてもちゃんと分析できるし、他の騎士……部下のこともちゃんと見ているからね」
セシルの攻撃は一撃一撃が重い。そして、重量のある攻撃をカバーできるほどのスピードは確かにある。だが、高確率で単調になって読みやすくもあった。これは、手練れであればあるほど気づくセシルの癖だろう。素人では、セシルの攻撃を受け流すこともできないが。それくらい、セシルの攻撃は重い。
セシルは、まだまだだなと言って頭を掻いていた。
父は基本的に忙しい人ではあるが、セシルのことを気にかけているというか、次期皇帝になるセシルに剣を教えるのは自分の使命だというようにセシルの鍛錬に付き合っている。セシルも、誠実で最強な俺の父を好いているし、かなり長い付き合いでもある。
父が引退した後の騎士団長が想像できないほど、父の存在というのは大きいのだ。
父は優しいし、強い。俺の永遠のあこがれだ。
だが、背中を追っているばかりじゃいられない。
「そういえば、今年はちょっとずれたんだよね。体育祭。再来週だっけ」
「ああ、競技の練習などできたものではないな。それと、俺たちが休学している間、いろいろと話が進んでいたようだ」
いつもなら、十一月の上旬か中旬に行われるはずだった体育祭が、下旬へずれた。それは、この間の収穫祭のときのアルカンシエル王国との問題だったり、野外研修で起きた森の異変だったり。とにかく、教師も他の貴族もてんやわんやしていたこともあって、開催が遅れると。
ちなみに、体育祭は想像通りの体育祭で、ゲームのスチルに借り物競争なるものがあったので、きっとそれもあるのだろう。
俺は時々、自分が前世このゲームをプレイしていたことを忘れる。もはや、前世の記憶などおまけ程度にしかない。
(というか、貴族だけじゃないけど、平民も……体育祭で借り物競争ってねえ)
ファンタジー世界にはたしてそれは馴染むのだろうか。無理やり学園要素をいれたいがために、体育祭なるものを作ったのではないかという強引なイベント。だが、俺は前世を思い出すまでは普通に受け入れて楽しんでいたので、今年もこの時期がやってきたかあと思う程度だった。
体育祭は、春に行われた、学科別剣魔大会とは異なり、学科ごちゃまぜになって競い合うものだ。
毎年、二週間前に組み分けが発表される。騎士科、魔法科、商業科と比率が同じぐらいになるよう二つの組に分かれる。ちなみに、俺は二年連続セシルと一緒だった。今年も一緒がいいなと思うが、こればかりは運だ。
(俺は死にキャラだったし、一緒になるとか、わかんないんだけどなあ……)
物語から外れているため、どっちになるかわからない。セシルと一緒がいいと願うことしか俺にはできない。
そんなことを思いながら歩いていれば、すぐにもセシルの部屋にたどり着いた。皇宮は迷路のようになっているが、感覚的に位置は覚えているし、なんとなく歩いていてもその部屋にたどり着ける。セシルの部屋となればなおさら。
「それで、お風呂はいいの? 肌に服が張り付いて気持ち悪い―って顔してるけど」
「そうだな。ニル、一緒に入らないか?」
「いや、何で俺!?」
その汗だく、色気マシマシな姿が目に毒すぎて早く風呂に行ってくれーと思っていたが、まさか風呂に誘われるとは思っていなかった。俺は、今日はまだ剣を握っていないし、夜にでも素振りをしようと考えていたのだが。
セシルは、上着を脱ぎ捨て、シャツ一枚になるとふぅと息を吐いて髪をかきあげた。銀色の髪から汗が落ちる。シャツのボタンを二つ外し、そのシャツの隙間から鎖骨が見えた。首を伝って汗が垂れ、セシルは襟でその汗をぬぐい取った。
ごくりと、俺はつばを飲み込んで、口元を抑える。きっと、俺、ろくでもない顔をしているから。
見慣れているはずなのに、何度だって興奮できてしまう。その色気にあてられて、抱いてほしいと体が疼く。
セシルに開発された体は、セシルのすべてに興奮できるようになってしまった。
(セシルのせい、セシルのせい! 俺は悪くない!)
痛い、下半身痛すぎる。
「見すぎだ。ニル」
「……っ、みて、見てないから。セシルのことなんてちっとも」
くすりと笑われ、その夜色の瞳が俺を射抜く。
もしかして、さっきまでの行動、俺の視線ずっと気づいていた?
恥ずかしすぎる、と俺は顔を覆う。まあ、あれだけ見ていたら、気づかないほうがおかしいけど。
いつもは『俺、鈍感ヒーローです』みたいな振る舞いをしているのに、こういう時に限ってその鈍感さを発動してくれない。むしろ、敏感になって、俺しか見ていないような。
「――ニル」
「ひぅっ……」
顔を覆って、目を離したすきに距離を縮められ、耳元でささやかれてしまう。フッと耳に息を吹きかけられれば、たまらず体が震える。
「これだけ見つめられれば、熱くなる。ニル……」
「んっ……セシル、ダメ」
ダメとは口で言いつつも、本気で跳ね返そうとしないのだから、俺の身体は受け入れる気満々なのだろう。流されてもいい、セシルになら……と、セシルが指を絡め、キスをねだれば、俺は唇を差し出したりもする。
俺の手を握っていないほうの手が、俺の腰に厭らしく絡みつく。
先ほどは少し距離があったが、こんな至近距離で、セシルの匂いを嗅いだら余計におかしくなるに決まっているのだ。
知らぬ間に、俺はスンと、彼の服の匂いを嗅いでいた。
「汗臭いだろ?」
「とかいって、俺に見つめられて風呂直行じゃなくて、部屋に連れ込んだの誰だよ」
「フッ、俺だな。好きなら、好きなだけ嗅げ。ニル」
「俺、犬じゃないんだけど」
そう言いつつも、セシルのシャツをきゅっとつかんで、俺は、彼の首筋に鼻を当てた。臭いが濃い。
そうしているうちに、セシルの手は、俺のズボンの中に入ってき、後孔を弄りだす。汗ばんだ指が、ぬるぬると滑って不思議な感覚がする。
頭がフワフワとして、足も震えだす。いつの間にか、本数は増えてあっという間に、二本、三本と飲み込んでしまっていた。それを、ナカでばらばらに動かされるものだからたまったものじゃない。
このままでは立っていられない。早くにもベッドへといきたいが、セシルは、俺へのキスに集中しているのか、そういう気配を見せないし。ちゅうっと、俺の首筋に痕を残し、時々歯を立てる。それからまた甘噛みして優しくキスを落とす。何度、見えるところにつけるなといったか……だが、今はそれは問題じゃない。
(立ってられない……てか、尻だけでイク……)
どうにか、キスを中断してもらって仕切り直したい。体がビクンビクンとはねて、力が入らない。
俺はどうすればいいのだろうか、と宙をすかすかと切っていた手で、セシルのセシルを思いっきりつかんだ。
「……っ、ニル。さすがに、性急だぞ」
「うわ、ごめん……てか、熱つ…………早くこれ、欲しいからベッドまで運んでくれない? 愛しの恋人様」
「お前は、本当に……余裕があるのか、ないのか分からないな」
俺はないが、とセシルは口にし、俺の尻からようやく手を離した。あと少し遅かったら、腰が砕けていたかもしれない。
セシルは、俺の言う通りに俺をお姫様抱っこすると、ベッドまで運び優しく下ろしてくれた。ご丁寧に、俺の靴も脱がしてくれて。
ここまできたら、逃げられないなあ、と汗とは違うセシルの匂いに包まれる。何度このベッドで抱かれたかわからない。
春休みまでは、違ったのに。
「逃げるか?」
「逃げないし。てか、ここまできたら俺も、辛いから、うん」
「一人で納得するな。ニルもほしいくせに」
「どっちが……うん、欲しいよ。セシルが。それに、ほらさ、ひと肌恋しくなる季節だし」
まあ、今セシルはあっついけど。
セシルは、俺の言葉を受け、満足げに口の端を上げると、俺の頬にするりと手を滑らせた。
その夜色の美しい瞳が、俺しか見ていないのが嬉しい。セシルは、俺のシャツをめくって、ズボンと下着もあっという間に脱がせてしまった。ムードを味わうより、こういう性急なほうがいい。今は、ただセシルの熱を俺にぶつけてほしい。それで、あっためてほしいんだ。
「ニル、好きだ……お前のここも、反応してるな」
指の先で、セシルは俺の勃起したペニスの先端をつついた。すでに先走りがあふれており、セシルが指を離すと糸を引く。見せつけるようにしてくるので、たちが悪いなあ、と俺は羞恥心にかられながらも、セシルだって、と足で蹴ってやる。セシルは、痛そうに顔を歪めたのでさすがに強く蹴りすぎたかも、と俺は謝った。蹴られていたいのは、俺も一緒だ。
「なんだ、酷くされたいのか。ニル」
「そんなつもりじゃないけど、セシルって結構ねちっこいから。時間かかるし、俺ぐずぐずになるし……ほら、まだ両思いだって気づく前は、あんなに性急だったのに」
「……いつのことを言っているんだ」
「学科別剣魔大会のとき」
俺がそういうと、セシルは手を止めて、片手で顔を覆った。
あの時も、試合後の高揚を抑えきれなくて、俺たちは一線を越えた。そこから、両思いだとか付き合うとかとんとん拍子に進んでいって。その間に、俺は死にかけたわけだけど。
だからあの日のことを思い出して、笑えて来てしまうのだ。
「忘れてくれ。あれは、完全に順番を間違えた」
「間違えた自覚あるんだ……でも、いいよ。怒ってないし。それに、何かなきゃ俺たちは気づけなかったし、踏み込めなかったでしょ?」
俺はセシルの銀色に輝く髪に手を伸ばす。サラサラと、俺の指を抜けて、セシルの髪は重力に従って落ちていく。俺はその一束をつかみ、キスをした。
「ああ、そうだな。間違ったが、間違っていなかった……ニル、そろそろおしゃべりはいいか?」
「えーゆっくり話すのも悪くないと思うけど。でも、そうだね。俺もセシルはが早くほしい」
俺は両手を広げて、セシルを誘った。セシルは、俺の足を持ち上げ、肩にかけると自身の昂りを掲げる。先ほど立っているときに解されたので大丈夫だとは思うが。
ちゅっというように、セシルのペニスが俺の後孔にキスをする。入っていいか? と、ぬるぬると自身の先走りを軟膏代わりに擦り付けながら俺に聞く。いいか? と聞かれたら、ダメと答えそうになるが、セシルの熱にあてられ、俺はこくこくと頷くことしかできなかった。早くほしい。
セシルは息を吐くと、グッと腰をおし進めてきた。くぷりと中にセシルが入ってくる感覚がし、身体が粟立つ。だが、次の瞬間セシルは一気に俺を貫いた。
「えっ、きいてない……っ、奥ッ!」
「欲しかったんだろ? 俺も、ニルのナカに入りたかった」
「だ、だからって、いき、いきなり……っ、あっ、ああっ」
一度その枷が外れてしまえば、後は獣のようにセシルは腰を進める。一応、労わってくれているし、こちらの反応を見ながらしてくれるのだが、如何せん、一度に与えられる刺激は毎度許容量を超えている。セシルのは、大きいし、熱いし……そんなもので一気に突かれたらひとたまりもない。
俺は、喉をのけぞらせ腰を浮かせることしかできなかった。
そうしている間にも、一番奥をぐいぐいと押し上げるものだから、目の前に星が散る。意識がとびそうになりつつなんとか保ってはいるが、無理そうだ。
「ニル……ッ……」
「あっ、ああっ……んっ」
ずろろと引き抜かれては押し込まれる。そのたびに、俺の体は震え、頭にも腰にも甘いしびれが走る。
セシルは腰を進めながらも、俺の胸を弄り、きゅっとつまみ上げた。
「気持ちいいか? ニル」
「ひっ、あっ、あぅ……んんん~~~~ッ!!」
「触ったら、きゅっと締まったな。好きか?」
「しらないっ、わかんない! 両方は、ダメッ!」
なんでセックスもそんなに器用なのさ、と俺は文句を言いたかった。いや、R18BLゲームの攻略キャラなんだろうけどさ! ――と、俺はセシルが妙になれている感は才能とか、仕様だとか思うことにして、どうにか意識をそらそうと思った。だって、このままじゃ、もっと乱れて、さらに恥ずかしい姿をセシルに見せることになるから。
きっと、セシルは受け入れてくれるだろうけど、俺が単純に嫌だ。恥ずかしいものは恥ずかしい。
しかし、上からも下からも、耐えきれない刺激に、口からよだれが垂れる。でも、それをぬぐっている暇などなく、ガツガツと奥を突かれて、俺の口からはひっきりなしに喘ぎ声が漏れた。
「うあっ、ああっ……やあっ、ああぁっ!」
「ニルッ」
「……っ、んんぅっ!! いっ、ああぁっ~~~っ!!」
ごちゅんと最奥を突かれた衝撃で俺のペニスから、ぴゅるっと精液が飛び散る。自分の精液で、腹はよごれ、ついでにセシルのシャツにも飛び散っている。
達した直後、俺の中はセシルを搾り取ろうときゅっと締まり、うねった。びくびくと余韻で震えているのもあり、セシルはその刺激に耐えかねてビクッと体を震わせ、俺の中に熱を吐き出した。その熱い飛沫に、俺の身体はまた快楽を享受し小さく震えた。
「せしぅ……」
内側も外側もあったまった。すでに熱いくらい。
けれど、この熱もすぐに引いていくのかと思うと寂しくて、俺は無意識にセシルの腰に足を絡めていた。肩で息をして、まだふわふわと降りてこれないのに、身体はまだいけるなんて強情で。
セシルは、ゆっくりと俺の中から出て行くと、また先ほどのように俺の頬を撫でた。愛おしそうに俺を見下ろすものだから、キュンキュンとお腹が疼く。そんな顔向けられたら、もっとセシルが欲しくなる。
「ニル、舌しまい忘れてるぞ。本当にかわいいな。目もトロンとして……本当にかわいい」
「かぁいくない……」
「ニル、後もう一回付き合ってくれるか?」
「ほんとうに、一回?」
ニル次第だな、といわれ、今度は俺を膝の上にのせるセシル。この体勢さらに深く刺さって意識飛ぶかもしれないんだよなーと、俺の頭は警告する。だが、彼の膝の上に乗って安心した俺は、セシルに抱き着くように首に腕を回した。
「好き、セシル。あっつい……」
「ああ、寒くならないように、熱を与え続けてやるからな」
そういって、堅さを取り戻したセシルのそれが俺の尻にあてがわれる。
この後、絶倫セシルに一回どころか、四回ほど抱かれ、次の日立てなくなった。怒りはしたが、それでもセシルを咎め続けられないのは、俺がセシルに弱いからだろう。
死にかけたサマーホリデーと、初デートをぶっ壊された最悪の収穫祭を経て、ようやく平穏な日常が戻ってきた。それが、どれほど嬉しいか。
(この幸せがずっと、セシルとずっと一緒にいられたら……)
それはささやかな願いである。俺は、愛しい人の腕の中で、この幸せが壊れないよう小さく震え、祈ることしかできなかった。
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