みんなの心の傷になる死にキャラなのに、執着重めの皇太子が俺を死なせてくれない

兎束作哉

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第4部1章 死にキャラは留学します

05 新たな地にて早々トラブル発生

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 先ほどの地震はぴたりと収まり、俺たちは近くにあった広場のベンチに腰を下ろし、目の前で鳥たちに餌をあげる子どもたちを見守っていた。


「ニル、先ほどは大丈夫だったか?」
「うん、びっくりしたけど。大丈夫だよ。けど、すごいね……忘れてたのもあったけど、地震も噴火も。火山を近くで見たいって思った」
「危険だからやめておけ。そもそも、火山はここから少し遠いだろ」
「真面目に返してきた……セシルこそ大丈夫?」


 前世では、小さい地震はよく体験してきた。けれど、こっちの世界にきて地震は一度も出くわさなかったので正直驚いたといえば驚いた。
 それと、火山が近くで動いているっていうのもなんだか不思議な感覚で、活火山だってわかっているからこそ、噴火のことをみんな恐れているんじゃないかと思ったが、そんな感じでもない。噴火するときは、噴火する。だから、今を生きているという感じだろうか。
 セシルに尋ねると、セシルは目の前で餌を食べる鳥を見ながら、俺の質問に対し答えた。


「俺は平気だが。日常的にこういった地震は起きるのだろうな。地殻変動……驚く様子はなかったし、まわりの人間の様子を見ていたらこれが普通なのだろうと」
「そうだね。サテリート帝国にいたときとは、やっぱり違うなーって」
「もう、ホームシックか?」
「ん-かもしれない」


 新しい場所になれるまでは、時間がかかると思う。適応力張るとは思っていたけど、やっぱり、二人だけで全く知らない土地に投げ出されるのは少し心細い感じもする。
 セシルとだからまだちょっとは安心できるけど、それでも、自分たちのことを全く知らない人達に囲まれ、知らない風や草木、建物に囲まれているというのはまだ肌感覚的になれないというか。
 ファルファラ王国はいいところだとは思うけど、やっていけるかなーという心配はないわけじゃない。


「アルチュールもこんな気持ちだったのかな」
「アルチュールか? どうなんだろうな。あいつも、あまりそういったことは表に出さないやつだったから」
「アルカンシエル王国に戻ってホッとしてるか、サテリート帝国に戻りたいって寂しくなってるか。アルチュールにもまた会いたいよね」
「……そうだな。だが、また近いうちに会えるだろう」


 セシルはそう言って俺の肩を抱き寄せた。
 また、違う男の話をしたから焼きもちでも焼いたのだろうか。それとも、セシルも同じ気持ちでサテリート帝国が恋しくなったのか。

 今回の留学は、留学寸前で行かないほうがいいのではないかと止められた。それは、俺が魔塔の人間に狙われているからっていうのもあるし、セシルは卒業後皇帝に即位することが決まっているので、大切な時期だからサテリート帝国にいたほうがいいのではないかとの二点。
 それでも、前々から決まっていたことだし、今頃口を出すのもおかしいと反対を押し切って、半分以上黙らせて留学に来たのだが、最近は俺たちの仲を怪しむというか、引き裂こうとしている輩がいるのは確かだった。
 セシルのもとに婚約者候補となる令嬢たちの資料が送られてきているのも、もはや嫌がらせの域に達している。
 もちろん、セシルは皇帝となり、サテリート帝国の新たな未来を築いていく人間で、そしてその次の代を受け継ぐ子供を授からなければならない立場である。そのため、早めに相手を見つけなければならないし、相手も皇后になるのだからそのための教育が必要となる。だから、早めにと念を押されているのだ。
 過去に、皇帝になってから相手が見つかって結婚した事例もあるが、最近は何事も早めにという風潮なため、セシルの代も例にもれずという感じだ。
 まあ、それも嫌だから逃げるように留学に来たっていったら、そうなるのかもだけど。

 セシルは、その話を聞かされるたび頭が痛いと呻いていた。
 セシルの父である現皇帝陛下がせかしているわけでも、ハイマート伯爵が口酸っぱく言っているわけでもない。現宰相が皇太子であるセシルの結婚相手をーと言っているのだ。
 現宰相は、とにかく歴史や規律を重んじる厳格な人間で、サテリート帝国を今後もよりいっそ発展させたいと考えている人間だ。そこまではいい宰相だとは思うのだが、如何せん、古くからの風習やらなんやらを重んじすぎているというか、ここまでくると、頭の固い頑固じじぃといってもいいくらいには話が通じない人だ。昔はこうだったから、それを大切にするべきだっていう過去にとらわれた人というか。
 だからこそ、セシルの結婚は早急に、そして女性でなければならないと口うるさく言っている。


(まあ、そのせいで、今、俺が目の敵にされてるんだよなー……)


 というか、昔からか。


「はあ……」
「どうした、ため息なんてついて」
「ああ、ごめん。口に出ちゃってたかぁ」
「ばっちりな。何か困りごとでもあるのか?」
「うーん、宰相のこと」
「ツァーンラート宰相のことか」
「あーうん。うん……まあね」


 息子であるフィリップはあんなちゃらんぽらんというか、チャラいというか、ノリ軽すぎるのに。どうして、その親である宰相はあんなに堅い人なんだろうか、というため息が出た。
 いや、こんなことでため息をついても仕方がないのだが。
 蛙の子は蛙……でも、突然変異だってあり得るわけで。逆に、フィリップが宰相と同じタイプの人間じゃなかったって、今になって心底思うというか。
 家族関係について深く考えるのはやめようと思った。この間から、それに巻き込まれてばかりだし、俺の家族を引き合いに出して比べても、それぞれの家庭の事情があるわけで。
 セシルも、最初の名前を聞いただけで、はぁ~~~~~~と長いため息をついていた。


「あの男が何と言おうと、俺はニルとの未来しか考えていない。しかし、バレると面倒なのも分かっている」
「一応、疑っているというか、今もなお、俺とセシルのこと特に俺のこと睨んでるって感じだよね。あの頑固じじぃ」
「ニルも、よく言うようになったな。まったくだ……だが、いずれは衝突するだろう。そうなったとき、俺はお前をしっかり守ってやれるかわからない」
「国の意向ってやつだよね。大丈夫。俺は、自分自身、守れるようにしておくから。酷い言葉を浴びせられてもね、君への忠義は揺るがないよ。この心も、全部君のものなんだから」
「ニル……」
「ごめん、ごめん。俺が暗い話したからだよね。今は、この留学で、たっくさん学んで、宰相黙らせられるくらい成長しようよ」


 そうだな、とセシルは微笑んでくれ、それだけで胸が温かくなった。
 これでいいんだ、と俺は少し先の未来のことを見ないふりをする。
 それでも、現実にぶち当たって、苦しむことになるだろうけど、そのときが来るまでは、目を瞑っていたいのだ。
 そんなことを考えていると、公園で餌をもらっていた鳥たちがバタバタと一斉にとび立ち、次の瞬間キャー! という誰かの悲鳴が響いた。
 反射的にベンチから立ち上がり、悲鳴と人の視線の先を追う。


「ひったくり、ひったくりよー!」
「……え、ひったくり」


 殺人事件でも起きたような声だったので、警戒したが、ひったくりかあ……と少し拍子抜けした。
 だが、それもれっきとした犯罪なので、俺はこちらに走ってくるバッグを持った男を見据えた。後ろからひったくりにあった女性が追いかけてきていたが、到底追いつけるような早さじゃなかった。バッグを持った男は、窃盗になれている感じでもないが、何度かこういった犯罪ごとをしていそうな雰囲気は感じた。
 ズボンからナイフを取り出すと、退け退けといかにもといった感じで、周りを蹴散らし走ってくる。
 明日から学校だというのに、なんて災難。
 まあ、思い出にはなりそうだし、とっとと捕まえて治安隊にでも突き出すか、と俺は息を吐く。そして、トントンと靴がしっかり履けているのを確認したのち、もう少しで俺たちの座っていたベンチの前まで来る男を凝視する。まだもう少し、飛び掛かってナイフに当たったら、せっかくの制服が酷いことになりそうだ。


「ニル」
「大丈夫、セシルが出る幕はないよ。というか、こういうのは俺の――え?」


 あともう少し、といったところで、俺たちの座っていたベンチを踏みつけ、俺とセシルの頭上を黒い何かが飛んでいった。それが何であるか目でゆっくり追っていると、ぐあああっ! と、痛みに悶える男の声が前から聞こえた。


「――はい、確保!」


 凛とした少年の声が響き、ざわついていた公園の声が一気に消える。その後、大きな拍手が巻き起こり、男を捕らえた人物が顔を上げえる。
 ベビーピンクの髪がさらりと揺れ、夜明け色の少し大きめの瞳が輝く。周りを安心させるような、弾ける笑顔を浮かべたのは少女……いや、少年だった。背はそこまで高くないように見えるし、体格もがっしりしているとは言えない。俺よりも細身で、しかし、窃盗犯を押さえている腕は、その男よりも細いのに、片手でしめられるくらいには怪力らしい。


(あ、制服……ルミノーソカレッジの)


 一瞬の出来事だった。
 俺たちの上を飛び越えて、男を制圧するまでにかかった時間は。
 騒ぎを聞きつけて、近くにいた治安隊がやってくると、少年は窃盗犯を治安隊にスムーズに引き渡した。治安隊が来るまでに、すでに窃盗犯を縛り上げていたため、窃盗犯も戦意喪失しており暴れる心配はなくなっていた。


「すごい……」
「あれほど、臨機応変に動ける人間が、モントフォーゼンカレッジの騎士科にいどれほどいるだろうな」
「セシルも、そう思う?」


 一応、実習で街を一日見回る巡回や、敵を制圧するための訓練も受けている。だが、こういった現場に居合わせた際、すぐに動ける人間はどれだけいるだろうか。現役の学生であれば、普通であればそう簡単に体が動かないだろう。
 セシルも、一連の動きを見ていたらしく、感心したように顎に手を当てていた。
 俺が反応するよりも早く少年は動いているように見えた。というか、身体能力もかなり高いように見える。ベンチを踏みつけていたとはいえ、俺たちの上を軽々く飛び越えて、相手の攻撃を受けることなく制圧したんだ。相当の手練れだろう。


(世界には、もっと強い人がいるんだろうな……)


 セシルが強いの早く知っている。でも、剣魔大会で魔法科のくせに初出場して決勝まで残ったゼラフに、魔法の才能に溢れていながらも剣術もそこそこに身に着けているアルチュール。三人の動きを見ても、自分はまだまだかもしれないって思わされたのに、それテオ同等の動きを見せられちゃ、ちっぽけなプライドは砂で作った城のようにサラサラと崩れ落ちていく。
 同時に、もっと強くなりたい、戦いたいという気持ちもわいてくる。そう思えるうちはまだまだ強くなれるって、父も言っていた気がする。
 少年は窃盗犯からバッグを取り上げ、持ち主に返すと、あっという間に公園にいた人たちに取り囲まれていた。
 みんなが恐怖し、悲鳴を上げる中颯爽と現れ、窃盗犯を捕らえたんだ。そりゃ、ヒーローのように見えるだろうし、実際にヒーローのようだった。
 俺より小さいのにすごいなーなんて、思っていると、少年の夜明け色の不思議な瞳と目があった。


「君たち!」


 少年は俺たちに気づいてこちらへ駆け寄ってきた。
 夜明けの瞳がキラキラと輝いていて、俺たちに興味があるようにも見えた。


「それ、うちの制服だよね。紋章は騎士科の……うーん、でも、見たことないなあ。新入生?」
「えっと、俺たちは――」


 自己紹介をしようと思ったところで、治安隊の一人がこちらに戻ってきこそこそと、少年に耳打ちをした。少年はそれを聞くと、どことなく肩を落として、治安隊の隊員にすぐ戻ると伝え、こちらを見た。


「ごめん、自己紹介は明日にでも! ちょっと、用事ができたから。君たちとまた学園であえるの楽しみにしてる。それじゃっ」


 と、颯爽と少年は先ほどの治安隊の人を追いかけるように走っていってしまった。まるで、風のようだな、と俺は少年が見えなくなるまで彼の背中を追っていた。

 その背格好からじゃ、彼が何年生まで突き止めることはできなかったが、口ぶりからして三年生か四年生じゃないだろうか。どの学年の人間も知っているような感じだったし。だからこそ、俺たちを新入生と間違えたのではないかと。


「この制服で街を歩くの、やめよっか……」
「そうか? 何かあったら、学園のほうに連絡が行くから便利じゃないか?」
「そ、そうだけど」
「それと聞こえたか?」
「え……ああ、うん。聞いちゃった」


 セシルは、公園を見渡して、先ほどひったくりにあった女性や、その一部始終を見ていた人たちが少年に対して向けている目に注目していた。
 公園にいた人たちは、彼のことをよく知っているようで、さすが、と胸に手を当てときめいているようだった。
 まあ、その感謝と尊敬の目だけではなく、先ほど治安隊の人がこそりといった言葉を聞いて、俺たちはとんでもない人物に出会ってしまったなあ、と思ったのだ。


「ファルファラ王国第二王子――レッテリオ・アルコバレーノ王子……か」
「そんな、街中歩いていてほいほい会えるような人じゃないんだけどねぇ」


 しかも、俺たちの留学先であるルミノーソカレッジの学生。
 明日、俺たちの顔を覚えているか分からないけど、前日からすごい人に会っちゃったなあ、と俺とセシルは互いに顔を見合わせた。


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