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第7部1章 大人になっていく僕らの試練
01 甘えん坊な君◆
しおりを挟む二人なら、どんな困難も乗り越えられる。
だから、俺たちに与えられる試練も、二人なら――
「ニル」
「何? セシル」
二人の寝室は、今日も静かだった。
ほの暗い部屋の中に明かりはなく、窓から差し込む月明かりだけが唯一の頼りだ。
セシルの寝着姿はいつ見ても生えるなあ……なんてバカなことを考えながら、彼が座るベッドサイドへと腰を下ろす。すると、ギュッと彼は俺の腰に抱き着いてきた。
「なーに、セシル。甘えん坊さんなんだから」
「今日は甘えたい気分だ」
「う~ん、いいよ。甘やかしてあげる」
俺の腰に抱き着いたセシルの頭を撫でれば、彼は嬉しそうに目を細めて、頬をほころばせた。暗がりでも、彼の顔ははっきりと分かった。
連日の会議で疲れてしまったセシルを癒すのも、彼の伴侶である俺の役割だ。それに、甘えん坊な俺の愛しい人にキュンとしてしまい、ついつい甘やかしてしまう。
時は二月の中旬。
ようやく、雪は落ち着きを見せ、少しずつ気温が上がってきているこの季節。だが、まだ春の訪れを感じられなかった。
俺の指先は、氷のように冷えて、また、俺の髪の毛は白くなっていっている気がする。それが、寿命を刻んでいると考えると、恐ろしくてたまらないが、もう受け入れているため、いつ死んでもおかしくないと思うようにした。だから、毎日セシルに素直に反応して、セシルに愛を伝えているつもりだ。
二月が終われば、すぐにフィルマメントの一歳の誕生日がやってくる。
彼が生まれてからもう一年も経つのかと思うと、時の流れはとても速く感じ、俺たちも四月になれば二十一になるのかと二人で話していたところだ。
フィルマメントはあれから、すくすくと成長し今では二本足で立てるようになった。てこてことまだおぼつかないながらに俺たちのもとへ向かって歩いてくる様は、あまりにもかわいくてカメラがあったら納めたいくらいだった。この世界にカメラはないので、宮中に画家を呼んで彼の姿を描いてもらった。
歯も生えそろって食べるものも変わった。まだ舌足らずではあるが「にぅー」から「にぅ」に変わったし、「ちぇち」から「せち」に呼び方も変わった。些細な変化でも俺たちは喜びを分かち合い、フィルマメントに一身に愛を注いだ。人見知りはまだまだ激しいが、それでもフィルマメントは俺たちの愛を受けてすくすく育ってくれていると思う。
まあ、困ったことに最近ゼラフの髪を口に入れたらしく、後からゼラフと乳母に報告を受けて参ってしまった。最近は、ゼラフのあの赤い髪がフィルマメントにとってはお気に入りらしい。
その話をセシルにしたところ、あまりにも微妙な顔をされてしまった。ゼラフに懐いているようなので、彼を接触禁止にしてしまうと、またフィルマメントの機嫌を損ねかねない。セシルはそれはもう酷く葛藤したようだった。
当の本人であるゼラフは、まんざらでもなかったが子守は苦手なようで、最近はハーフアップではなく、髪の毛を一つにくくっている。
とにかく、フィルマメントにはこのまま幸せに順調に育って幸せになってほしい。
半年ほど前に別時空の未来から来た彼が、どれほど悲惨で寂しい思いをしたか知ってしまったため、そうはなってほしくないと、俺たちは彼に溢れるばかりの愛を注ぐと決めたのだ。
「ニルの匂いだ」
「俺の匂いじゃなかったらどうすんのさ。でも、そっか……最近一緒にお風呂に入ってないもんね。ああ、でも、石鹸は同じじゃない?」
「それでも、石鹸の匂いとニルの匂いくらい嗅ぎ分けられる」
「何ムキになってんの。てか、それって体臭ってことじゃん。やめてよ。まだ年じゃないのに……」
「そうじゃない。とにかく、お前の匂いが好きだ」
すりすりと、セシルは俺に頭を押し当て駄々をこねる。
今日は一段と甘えたモードに入っているようで、俺から離れてくれそうにない。
別にこのままでもいいんだけど、と思いながらも俺は欠伸を我慢できなかった。
俺も、俺で、皇太子妃としての仕事をそつなくこなしている。
俺は、皇太子妃という身分になったわけだが、男であるためこれまでの皇太子妃とは役割が少し変わっていた。それでも、皇宮で開かれるパーティーの準備やら、社交界に出る回数は増えた気がする。俺が一番苦手なことをしなければならないのは苦痛だったが、セシルと一緒に生きると決めた以上は克服……とまではいかずとも、慣れていこうと上手くやっているつもりだ。
それだけではなく、様々な出来事の後始末やら、政治関係、軍事関係と入ってくる情報は多い。
時々、皇宮内で父上に出会ったとき、心配されてしまった。どうやら俺は顔に疲労が出やすいタイプらしいのだ。
ゆっくり休めと言われたが、休んでいる暇などないくらい常に忙しかった。現皇后陛下は祝福の花にてセシルとネーベル殿下を産んだために、今は寝たきりだが、それまでは俺が今しているようなことを一生懸命していたのだと思うと、頭が上がらない。
ゆくゆくは、皇后になるのだから、今音を上げては先が思いやられると、俺は自分に言い聞かせている。
とはいえ、あのハネムーンからかなり時間が経ち、そして二人の時間が減ったのも事実としてあった。
だからこそ、セシルは俺に甘えてきているのかなとも思う。お互いに疲れを感じている。
「ニルが好きだ」
「うん、知ってるよ。俺も好きだもん。相思相愛だね」
「ああ、相思相愛だ。いい響きだ」
「セシルはお利口だね。爆発する前に、俺に甘えられて……辛かったら、いいよ。今みたいに抱きしめてあげるし、頭を撫でてあげるから。俺の前では、完璧な皇太子を演じなくていいからね」
「……ああ。ニルは本当に、俺のことをよくわかってくれている」
セシルは「好きだ」と呼吸をするかのごとく口にして、よりいっそ俺の腰に強く抱き着いた。
セシルは、モントフォーゼンカレッジを卒業してからさらに皇太子としてのセシル・プログレスに磨きがかかったように思う。それは、子を授かった親としての責任もそうだし、数か月後に行われる即位式によって皇帝になるからという覚悟を持っているからだろう。
皇太子という身分を、がんじがらめにされてきた過去を持ちながらも、彼は皇族としての役割を果たそうと決意し、今ここにいる。
それでも、彼の人間らしい部分が消えるわけでもないし、その人間らしい部分を俺に見せてくれるセシルを、俺は支えていきたい。
(この半年に、いろいろあったもんね……)
まずは、空席だった宰相の座にはハイマート伯爵がついた。もともと、皇帝陛下の右腕として支えてきた実績から彼が選抜され、任期まで宰相として働いてくれるらしかった。
そして、魔塔の体制もようやく決まり、新たに魔塔の管理者が決まった。
それは、とある侯爵で、ディーデリヒ先生に聞いたところ彼がディーデリヒ先生たちのボスだというのだ。別に名の知れていない貴族じゃなかったし、かといって目立つタイプでもなかった。決まったときも、涼しい顔をしていたものだから人ってわからないなと思ったのだ。
ディーデリヒ先生がなぜそれを教えてくれたかと言えば、これまで俺たちが彼らの組織に貢献してきたからだという。
もちろん、この情報を知っているのはごくわずかな人間だ。そもそも、魔塔に対抗する組織が、魔塔から分離していたことを知らない人も多い。混乱を招かないために、この情報は制限されている。
とにかく、魔塔に新たな管理者、統率者が誕生したことで、魔塔のシステムは一新された。
サテリート帝国の魔塔は今や、サテリート帝国の発展に貢献する機関として機能するようになった。要するに、魔塔での研究結果は随時、サテリート帝国の皇室に送られ、必要があれば国民に開示することになっている。
以前の魔塔の体制は、国から分離した独立機関だったが、今の魔塔は国が管理する所属機関となっているというわけだ。
また、新たに職員の募集も始まり、フィリップたちが言っていた魔塔の職員になるという未来もそう遠くないのかもしれない。
(いろいろ、変わったんだよ。その変化に疲れちゃったんだよね……)
俺は、セシルの少し硬い髪の毛を撫でながら他にもいろいろあったなと思い出していた。
ドラーイコルク島については、島を仕切っていたゼー卿とその右腕だったヴォーゲ卿の亡きあと、誰が仕切っていくかともめたらしい。また、神殿の崩壊や、オセアーンという自分たちが信仰してた竜の消失による賠償をサテリート帝国とアルカンシエル王国に求めてきた。これがまた厄介なことに、ドラーイコルク島の島民は一歩も引く気がないらしく、サテリート帝国から独立したいとまで言い出したのだ。
この件に関してはうやむやにして、引き伸ばしているらしいが、賠償金を支払っているというのは聞いている。
そして、サテリート帝国は、サテリート帝国の魔塔が国の所有物になったことにより、他二国の魔塔国有化を目指して支援金を渡しているのだそうだ。
ここ半年の間に大きな変化、お金の流れができ、財政難とはいかずとも、対処すべきことが多いため常にあれこれと追われている状況だ。そのしわ寄せが俺たちに来ており、常に働きっぱなしというわけだ。
そんな中、セシルは皇位を引き継がなければならず、もう少し先延ばしにしようかという話も出たが、セシルの覚悟により数か月後に彼は皇帝に即位することが決まった。
「うん、分かってるよ。セシルのこと。俺のことわかってくれるのは、セシルだけだよ」
「……他にもいるんじゃないか?」
「いないと思うけど。君と一緒にいる時間が一番長いんだから」
「……………………ヴィルベルヴィントは」
「ゼラフ?」
自分でその名前を口にしておきながら、セシルは「この話はやめよう」と口を尖らせた。
そして、腰に抱き着いていた手を、俺の寝着の中に忍ばせ、きゅっと俺の胸をつまみ上げた。
「ひぃあっ」
「感度は変わっていないな」
「か、感度って……あっ、やだ、引っ張らないで……っ」
セシルによってぷっくりと晴れ上がった乳首は、彼がギュッとつまめるほど主張していた。
確かに、最近シていなかったが、感度が落ちるわけもない。さんざん、そこを弄られ、吸われ、舐められたんだ。数週間、一か月空いたところで変わるわけがない。そこは、セシルの熱を覚えているのだから。
「あっ、やだっ……うぅんっ」
「久しぶりに、その声も聴いた。やっぱりいいな、ニルの声は」
「俺の声ッ! それ、喘ぎ声っていうんだけどっ」
「ああ、お前の喘ぎ声は世界一かわいい。もちろん、通常の声も、俺の名前を呼ぶお前の声が俺は好きだっ」
バッと体を起こしたかと思えば、俺の寝着を引きちぎる勢いで掴み、胸が見えるようにと開くと、セシルはためらうことなく俺の胸へ吸い付いた。
先ほどまで甘えたモードだったのに、どこで火がついたのか。だが、俺もすぐにその気になってしまい、彼を受け入れてしまった。
眠たいけれど、こんなんじゃ眠れない。
「んっ、ふぅっん……んんっ」
「俺が、かわいいと言ったからか? 声を、抑えているのは」
「じゃなくてっ、久しぶりだからっ……」
「関係ないだろう。聞かせてくれ。お前が気持ち善がっている声を」
「恥ずかしいこと言わないでっ、よ……ふぁっ」
一か月ぶりの刺激。
羞恥という感情は、何度身体を重ねても消えてくれることのない感情だった。
ちゅうちゅうとセシルは俺の胸を吸い、もう片方の手で俺の胸を弾いた。
たったそれだけの刺激なのに、すでに下半身には熱が集まっており、俺はどうしようもなく身を捩る。すると、体勢が崩れてしまい、そのままベッドへと押し倒されてしまった。
「セシっ、そんなに、俺の胸好きなの?」
「ん? ああ、好きだ。慎ましくもかわいいお前の胸が好きだ」
「セシルは、俺の全部好きじゃん。なんか、赤ちゃんみたいだね」
俺の胸を一生懸命吸うセシルを見ていると、ないはずの母性が刺激されてしまい、俺は彼の頭を撫でた。
しかし、調子に乗ったのか、赤ちゃん発言がまずかったのか、胸を弄っていたほうの手を下へとずらし、俺の勃ち上がったペニスの根元をぎゅっとつかむ。
「んひっ……や、強く掴まないで」
「じゃあ、優しく扱けばいいか? ニルは、先っぽが好きだったな」
「何で、覚えてんのっ」
「好きなやつの気持ちいところぐらい覚えている」
セシルはそう言いながら、器用に片手で俺のペニスを扱き始めた。勃ちあがったペニスからは、先走りがあふれ出し、セシルはそれを潤滑油代わりにちゅこちゅこと扱いた。
親指でぐりぐりと鈴口を刺激し、先っぽ部分を集中的に攻められれば耐えきれるわけもない。
おまけに、胸は赤くなるくらい吸われてじんじんしている。
上からも下からも執拗的に攻められ続け、俺の腰ががくがくと震えていた。
「もう、限界だろう。ニル、イケ」
「あっ、ああああああああっ!」
セシルは、俺の耳元で低く囁くと、すぐに俺の胸に戻って一際強く吸い上げた。その瞬間、せき止めていたものが一気にはじけ飛び、背中を盛大に逸らし、俺は射精した。びゅくうっ!! といつもよりも多い量の白濁液をまき散らしながら、俺はベッドに沈み込んだ。
まだ与えられた快楽の大きさに頭がついていけず、ぴくぴくと身体を動かしながら肩で息をする。
セシルはちゅぱっと口を放し、俺の腹にとんだ精液を指で拭い舐めた。
「ちょっと……エッチなことしないで」
「これがエッチなことか? 濃いな、ニル。一人で抜かないのか?」
「セシルがいるのに」
「ため込むのは良くない」
「じゃあ、セシルはじ……ひ、一人でしたってこと?」
俺が訪ねると、セシルは「いや?」とすぐにも否定した。じゃあ、おあいこじゃないか、と思っていると、あろうことかセシルは、俺の腹を舐め始めたのだ。もっと言うと、腹にかかった精液をだが、彼の長い舌が、俺の腹をべろりと舐めあげる。
腹筋をなぞるように舐めあげ、器用に舌先でツンツンとつつく。そして、彼の舌は、俺のへそ回り舐めるとチュッとお腹のくぼみにキスを落とした。
今までに感じたことのない刺激が身体を駆け巡り、また少量ペニスから吐き出される。
「セ、セシルっ、変なことしないでよ」
「勿体ないから舐めとろうと思ったんだ」
「だとしても! お、俺の性感帯…………増やさないでよ」
自分で言っていて恥ずかしくなり両手で顔を覆った。
すると、セシルは何やら雷に打たれたように動きを止め「ニル」とまた低い声で俺の名前を呼ぶ。
今度はなんだと思って指の隙間から見ると、セシルは自身の口元を覆って笑いがこらえきれないようにくふっと漏らした。
「まだ、開発のしようがあると」
「こ、怖いこと言わないでよ。ダメっ! 俺、胸が擦れるだけでも変な声出るのに……これじゃ、人の前に出られないよ。あと、セシル、たまにすっごく痕つけるから……暑い日に熱い服着なきゃいけなくなるし」
「今は冬だからいいだろう。だから、いつもより多めにつけている」
「季節を利用して! 本当に、もう、セシルは……」
嫌じゃないけど、と言ってしまいそうになったが、言ったら調子に乗るのは目に見えていたので、俺は口をぎゅっと結んだ。
それでもセシルは楽しそうで、能天気だな……なんて俺はほっこりした。
最近、こういうバカみたいな会話をしていなかった気がする。
そんなことを思っていると、セシルは、俺をうつ伏せにさせ、俺の尻にひたりと手を当てた。彼の手は熱くて、少し寒い部屋にちょうどいい。
「今日は、準備していないんだな」
「あ、当たり前じゃん。するって、分かってたらした……けど」
「いや、いい。俺がしたい。全て」
セシルはそういったが、何かを思いついたのか、一瞬俺の尻から手を放し、おもむろに自身の寝着を脱ぐと、熱の剛直を俺の尻にペチンとぶつけた。
「ちょ、っと。さすがに、慣らさずに入れるのは、む、無理だよ。セシル、自分の大きさ分かってる?」
「理解している。だから、今日は挿入しない」
「え?」
体を起こそうとしたが、腰を掴まれてしまい無意識に身体が固まる。彼に何をされるんだろうと期待した身体は、これまた無意識に腰が上がり、彼に挿入を促した。しかし、彼は今日は挿入しないと断言したため、俺の後孔ではなく、俺の股の間に自身のペニスをするりと忍ばせた。
俺のペニスの下に彼の剛直がある。それはドクンドクンと力強く脈打っており、彼のペニスが当たっていると思うだけで、ふるりとすっかり雄の本能をなくした俺のペニスが震える。
「ニル、股を閉じれるか?」
「え、ああ、うん……セシル」
「何だ?」
「いいの? 準備したら、つながれるのに」
「少し、違うことを試してみようと思ったんだ。嫌ならいいが」
「嫌じゃないけど……あっ、もう、動かさないでよ」
彼が少し腰を進めると、俺の下でペニスがずりっと動いた。その刺激に嬌声が漏れ、セシルに文句を言う。
セシルは、すまないと言ったが、早くしめるようにと俺の尻を優しくペチンと叩いた。俺は、従順になって股をきゅっと閉じ、セシルを受け入れる体制をつくる。
いわゆる、素股というやつだろう。
まあ、こういうのも悪くない。初めての経験で、気持ちよくなれるかは分からないけれど、俺も好奇心が勝ってしまった。
「じゃあ、動くぞ」
「う、うん……あっ、んっ」
セシルは申告した後、ずりずりと腰を動かし始めた。そのたび、セシルのペニスが俺のペニスにすり寄せられ、なんとも言えない刺激を受ける。
いつもはナカ側から刺激を受けるため、外から与えられる快楽というのは実に新鮮だった。
彼の熱いペニスによって、俺のペニスも熱を再び持ち始め、タラリと垂れた先走りが彼のペニスにまとわりついてぬめらせていく。
「……はっ、これはいいな。挿入していないのに、いれているみたいで」
「んっ、ああっ、きもちっ……ぬるぬるするっ」
「そうだな。少し激しく動くぞ」
そう言って、セシルは腰を引いて一気に打ち付けた。彼の肌が俺の尻にぶつかったときパンッ! と肉と肉がぶつかる音が聞こえる。先ほどよりも早く、彼のペニスが俺のペニスを擦り上げ、俺は腰を逸らせた。
その後、セシルはコツを掴んだのかだんだんと腰をフルスピードが速くテクニカルになっていく。
「あっ、あんっ、あっ、やあっ、あああっ!! あつぅっ、せしぅっ」
「熱いな。俺のがお前のにすれて、気持ちがいい。ニルのも気持ちよくてびくびくしているな」
「いわっ、ないでっ、ああああっ」
セシルのずっしりとある質量のそれと、俺のがこすれあうたび、脚ががくがくと震えた。四つん這いになって、少し尻を高く上げて。雌猫のように鳴いている。そんな俺に容赦なく彼は腰を打ち付けていた。
股を開いてしまったら、気持ちよくなくなると、俺は快楽に耐えつつきゅっと股を締めた。セシルのが出たり入ったりして、本当にセックスしているみたいだ。
(でも、でも、足りないよ……っ)
お腹も、後ろもキュンキュンと彼のを求め収縮し始める。
それでも、与えられる刺激は確かなもので、俺はひっきりなしに声を上げながら彼の猛攻を受け入れた。
「ニル、出るっ……出すぞっ」
「あぇ? いいよっ、あっ、俺も、出る、イっちゃう……っ、あああっ!!」
俺の下ではじける彼の熱。俺はそれに誘発されるように己の精を吐き出し、倒れ込むようににつっぷした。
後ろの穴が疼いて仕方がない。
でも、今は達したばかりでそれどころじゃなかった。
初めての素股にしては上出来じゃないだろうか。セシルは、俺の股から自身のを引き抜き、出し切れなかった分を俺の尻めがけて放射した。
ぴゅ、ぴゅくっ、と彼の白濁が俺の尻や背中にかけてかけられ、俺は彼の熱い精液を身体に受けただけでまた軽くイってしまった。
(え、え、え? セシルに射精、されただけで?)
達したばかりだから、その余波かと思ったが、どうやらそうじゃないようだった。
自分でも信じられずに、沈んでいると、セシルが、俺の耳を覆っていた髪を、耳に引っ掛ける。そして、かぷりと俺の耳を噛んで囁いた。
「俺に精液をかけられただけでイったのか?」
「……~~~~~~っ!?」
耳元でそう囁かれてしまっため、体力など残っていないのにブンと俺は腕を振り上げてしまった。
それをセシルは身軽にひょいと交わす。
「セ、セセセセセセセセセセ、セシルッ!!」
「俺は聞いただけだが、どうやら本当みたいだな」
「バカ、バカッ、バカセシル!!」
殴ったことを謝ろうと思ったが、それよりも先に暴言が飛び出してしまった。
俺は、自分の身に起こったことが未だ理解できなかったのだ。
(ほ、本当にイっちゃったの? セシルにかけられただけで、え、え、俺、ド変態じゃんっ!!)
カッと顔が熱くなり、俺はもう一度ベッドに突っ伏した。
セシルは、何度も「すまなかった。顔を上げてくれ」と言ったが、あげる気にならなかった。でも、まだ足りない、疼いてしまった。
「……セシル」
「何だ、ニル」
「……………………今日は本当に、本番、しないの?」
「……っ、それは、いいということか?」
「こういう時は、察するものだよ。セシル。俺、疼いて止まんない。全部セシルのせい」
「ああ、俺のせいにしてくれ。かわいいな、ニル」
ちゅ、ちゅ、とセシルは嬉しそうな声色で俺の背中にキスを落とし続けた。
調子に乗っちゃって……と思ったが、指摘する気力はなかった。ただ、彼から受ける一身の愛やキスの雨に俺は「まあ、いいかな」と許してしまうのだった。
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