君に真理を問う。

SHIKA

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――「オースティン、君は本当に出来る子だ!」
 オースティンと僕はその後も何日か練習を続けていて、1週間経った頃だ。オースティンはもう自由自在に飛ぶことができるようになっていた。
 
 僕がそう声をかければ、オースティンは降り立って僕を見る。
「オースティン、君はもっと自分に自信を持つべきだ。
 ……君は本当は上の学年で習ってもいいくらいなんじゃないかな?」
 この学校では推薦して教育長の試験を受ければ飛び級する事ができる。
 僕がそう言えば、オースティンは眉を顰めて浮かない表情をする。
「……俺はそこまでできない…。」
 オースティンは素晴らしい生徒だと思う。元々持っているポテンシャルは高く、努力する力もある。
 どうして自信がないのか僕には分からなかった。
 
「オースティン…君は出来る子だと思うけれど、
 どうしてそんなに自信がなさそうなのかな?」
 そう言って僕が問い掛ければ、オースティンは浮かない表情で答える。
「……母さんは俺を出来損ないって…。」
 オースティンの家庭環境は正直良くなさそうだと、僕も気にしていた。
「……君のお母さんはどうしてそんな事を?」
 僕はそう聞いてみる。
 
「……母さんは、父さんを探してるんだ…。」
 オースティンは暗い表情で静かに話す。
「……探してる?」
 
「…俺の父さんはアルファの魔法使いだったらしいんだけど、発情期に妊娠させてそのまま消えたらしい。
 ……母さんは俺が出来る子になれば父さんが戻ってくると思っているんだ。」

 オースティンの母はどうやらオメガのようだ。
 オメガで発情期に番がいないのは相当辛いんじゃないかと僕は同情したけれど、子供にそれを押し付けるのは間違っていると思った。
 
「……そうか。オースティン、話してくれてありがとう
 君は魔術師の血が入っているんだね…。
 お父さんが帰ってくるかは分からないけど、君は努力してきちんと成果がでる子だ。」
 そう言えば、オースティンは驚いた様子で僕をみる。
 身体的接触はあんまり生徒には良くないんだろうけど、
 僕はそっとオースティンを抱きしめた。
 愛情が足りていない彼の自信の一つになれたらと思った。
「……オースティン、大丈夫。君は出来る子だよ。」

 中庭には穏やかな風が吹いていて、僕は季節の変わり目を感じた。
 何だか体が少しだるい様な気がして、発情期が近いのかなぁなんて思った。
 14歳の僕は、発情期を初めて経験したのはつい最近で、今回はそろそろ2回目の発情期だと思った。
 
「……先生、いい匂いがする。」
「え?」
 オースティンがそう言ったので慌てて体を離す。
 子供達にはオメガだと伝えたことはなかったが、そんなに分かってしまうものなのかと少し焦った。
 僕はオースティンに別れを告げると、そのまままっすぐ家に帰った。
 
 案の定発情が本格的に来そうで、僕は帰ってきた父に伝えた。
 父は理解して、僕に何日も付き合ってくれた。
 父はベータだから間違って番う事はないけれど、アフターピルは飲んだ。

 僕が学校に戻ったのは、その日から1週間後だった。


 

 
 
 
 
 
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