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あの日から1週間が経って、僕はいつも通り学校に戻って子供たちに授業を教えた。
放課後にいつもの様にオースティンと会うけど、何となく彼と会うのは少し気まずかった。
――オースティンはいつもの様に中庭にいた。
「――先生、もう大丈夫なの?」
「……大丈夫だよ。ごめんね。」
そうオースティンに言えば、彼はホッとしたような表情をする。
僕は持ってきた分厚い本を置く。今日は風と火の魔法の応用を一緒に学ぼうと思っていた。
魔力を持たない人のために魔法をエネルギーとして変容させて物質を発明するための議論と実践を考えていた。
オースティンは12歳だけど、とても賢いし魔力量が高く、魔力の調整が上手い。
彼の考えと実践させる力は今後、間違いなく僕を凌駕すると思っていた。
「…先生、この間の人は先生の番になる人?」
僕は驚いた。恐らく父の事を言っているんだろうと思った。
「…違うよ、あの人は僕の父だ。
…教育界の偉い人で、僕がとても尊敬している人だよ。」
オースティンにそう言えば、オースティンは金の瞳をまっすぐに見つめてくる。
僕は12歳の少年が今何を考えているのか分からなかった。
「…オースティン、君は飛び級できると思うけどな…。
試験を受ける気はない?」
この学校は、推薦を受けて教育長の試験に合格できれば飛び級できる仕組みになっていて、僕は父の推薦を受けてずっと飛び級してきた。
オースティンも僕の推薦があれば、確実に飛び級する事ができると思っていた。
「……ない。」
オースティンはいつもの様に答える。僕は以前も何度かこの質問をしたけれど、返事はいつも一緒だった。
「……そうか。」
僕は落胆する。
「……先生、あのさ…先生の事、イリスって呼んでいい?」
僕は突然の質問に驚いたけれど、オースティンを見れば、彼はまっすぐ僕を見ている。僕は狼狽えた。
オースティンはいつか僕を超える存在になると思っている。
だから、彼の質問の意図は分からないけれど、僕はいつまでも彼の師を名乗ることは出来ないだろうと思った。
「……分かった。……じゃあ、君が僕を超えたらいいよ。
僕が中等部を卒業した時の点数を超えれるかい?」
オースティンは12歳だ。
この学校では9歳までが小等部、12歳までが中等部、15歳の卒業までが高等部になっていた。
等部ごとに卒業の試験があり、試験はとても難しく作られている。落第点は低く見積もっているけれども、落第したらまた学年を下げなければならなかった。
僕が中等部を卒業したのは9歳の時で、ほぼ満点で卒業しており、今までその記録を超えられた者はいなかった。
「……分かった。」
オースティンは金の瞳を力強く僕に向けると、頷く。
僕もにっこり笑って、オースティンに頷くと、分厚い本を開く。
今日の議題をオースティンと話始めれば、時間はあっという間で僕は彼との学びが楽しかった。
――その年の中等部の試験結果にみんなは驚いた。
満点を取った生徒がいたからだ。
彼の名はオースティン・アルド
――僕は結果を見て、思わず笑った。
僕の見る目に間違いはなかったと思った。
放課後にいつもの様にオースティンと会うけど、何となく彼と会うのは少し気まずかった。
――オースティンはいつもの様に中庭にいた。
「――先生、もう大丈夫なの?」
「……大丈夫だよ。ごめんね。」
そうオースティンに言えば、彼はホッとしたような表情をする。
僕は持ってきた分厚い本を置く。今日は風と火の魔法の応用を一緒に学ぼうと思っていた。
魔力を持たない人のために魔法をエネルギーとして変容させて物質を発明するための議論と実践を考えていた。
オースティンは12歳だけど、とても賢いし魔力量が高く、魔力の調整が上手い。
彼の考えと実践させる力は今後、間違いなく僕を凌駕すると思っていた。
「…先生、この間の人は先生の番になる人?」
僕は驚いた。恐らく父の事を言っているんだろうと思った。
「…違うよ、あの人は僕の父だ。
…教育界の偉い人で、僕がとても尊敬している人だよ。」
オースティンにそう言えば、オースティンは金の瞳をまっすぐに見つめてくる。
僕は12歳の少年が今何を考えているのか分からなかった。
「…オースティン、君は飛び級できると思うけどな…。
試験を受ける気はない?」
この学校は、推薦を受けて教育長の試験に合格できれば飛び級できる仕組みになっていて、僕は父の推薦を受けてずっと飛び級してきた。
オースティンも僕の推薦があれば、確実に飛び級する事ができると思っていた。
「……ない。」
オースティンはいつもの様に答える。僕は以前も何度かこの質問をしたけれど、返事はいつも一緒だった。
「……そうか。」
僕は落胆する。
「……先生、あのさ…先生の事、イリスって呼んでいい?」
僕は突然の質問に驚いたけれど、オースティンを見れば、彼はまっすぐ僕を見ている。僕は狼狽えた。
オースティンはいつか僕を超える存在になると思っている。
だから、彼の質問の意図は分からないけれど、僕はいつまでも彼の師を名乗ることは出来ないだろうと思った。
「……分かった。……じゃあ、君が僕を超えたらいいよ。
僕が中等部を卒業した時の点数を超えれるかい?」
オースティンは12歳だ。
この学校では9歳までが小等部、12歳までが中等部、15歳の卒業までが高等部になっていた。
等部ごとに卒業の試験があり、試験はとても難しく作られている。落第点は低く見積もっているけれども、落第したらまた学年を下げなければならなかった。
僕が中等部を卒業したのは9歳の時で、ほぼ満点で卒業しており、今までその記録を超えられた者はいなかった。
「……分かった。」
オースティンは金の瞳を力強く僕に向けると、頷く。
僕もにっこり笑って、オースティンに頷くと、分厚い本を開く。
今日の議題をオースティンと話始めれば、時間はあっという間で僕は彼との学びが楽しかった。
――その年の中等部の試験結果にみんなは驚いた。
満点を取った生徒がいたからだ。
彼の名はオースティン・アルド
――僕は結果を見て、思わず笑った。
僕の見る目に間違いはなかったと思った。
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