実らなかった啜を

安馬川 隠

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時雨に

鯉厘/1

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 「…大丈夫、良い子。教えた通りに俺のを咥えたまま舐めて吸って、飲め」


 広い家の一室に敷かれた布団一式。
そこで毎晩のように行われるは、男女の営みとはまた違う。

 銀色の長い髪の男は全裸で朱い紐にて四肢の動きを封じられ、ベッドの際に首を落とす形で横たわる。
黒髪の男は銀髪の男の顔に自身の其れを宛がえば、銀髪の男は瞬間として雌になる。

 まるで玩具などの物のように扱われ、黒髪の男の其れを喉奥で扱き奉仕する。
嗚咽は止まらず涎と先走りが混じり流れる液が顔を通り、髪を汚していく。

 黒髪の男が首を絞めれば、息苦しさで視界がパチパチと星が流れ始める。そのままに大きく痙攣し銀髪の男は射精した。
痙攣と同時に一瞬でも大きく息を吸うために力が入る身体、そして喉の締め付けに黒髪の男はその日一番の快楽を得て射精する。
 吐き出すことも許されず、必死に飲み込み最後の一滴すらも舐め吸い上げ飲み込んだ。

 黒髪の男の其れが口から離れ、大きく息を吸い込み生を感じて銀髪の男は幸福となる。
その幸福そのままに、黒髪の男からの落とされる視線をオカズに自慰行為に耽る。

 「ぅん…あ…ふぅ…、んんぅ…ふ…ぅん」

 ぐちゅぐちゅと銀髪の男の其れは先程一度射精したとは思えない速度で再度の勃起、自身の精液を潤滑剤として動かす手を緩めることなく動かす。

 その様を見下す黒髪の男は、絶対に銀髪の男の目を逸らしたりはせず一心に欲情した瞳を冷たい視線でい続けた。


 この関係が歪と知っていても、止められない。
それを支配するのは劣情か、恐怖か、それとも愛か。


「景厘、逝け」









 彼らに残る記憶の最期は身分の差ゆえに従者と主人であった侍すら世に歩いていた時代のもの。
前世の記憶を有しているなんて、現実離れし過ぎていて誰かに言うことなど馬鹿馬鹿しくて出来やしない。

 ただ、思い出すように毎晩夢の中で彼は自分を犯す。それを繰り返し、性を知り知識がつき始めた高校生程度の年になる。そうすると夢精が止まらなくなる。悪循環過ぎた。


「…なんの偶然なんだろう、景って名前変わらないし…現実味強くて駄目なんだよなぁ」


 夢の中で自分が甘い嬌声に混じって呼ぶ鯉昂という名前、現代では彼はなんという名前なのだろう。
そもそもこの現代に生きているのだろうか、生きているのなら記憶は……、考えるだけ無駄とわかりながらも、あれだけ生々しい夢を見ていれば知りたくもなる。


「パン咥えて曲がり角曲がったらぶつかったりして」


 なんちゃって、と気持ちを切り替え学校の制服に腕を通し荷物を持てば誰も居ない暗い部屋に向かって「行ってきます」と声をかける。
今日も当たり前の一日を過ごすんだ。

 高校手前のコンビニでいつも買うウイダーゼリーを手に持ちレジへと向かう道中、ふと目に入った雑誌の表紙に時が止まる。


『大手企業センタールーブ社長の一日密着取材』


 柔らかな笑みを浮かべる彼は、夢で自分をいたぶり楽しむ彼と同じ顔で。
 金に余裕があるというわけではなかった、それでも雑誌を掴みウイダーゼリーと共にレジに向かった。
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