わたしたち、いまさら恋ができますか?

樹沙都

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§ 恋は試案のほか。

02

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「いい眺めだな……」

 ボソッと呟かれた声に振り返り、私の身体を見下ろしている俊輔のニヤついた顔を見てはたと気づく。マズイ。背面は隙だらけだった。

「馬鹿! 変態! どこ見てんのよっ! あっ……?!」

 慌ててクルッと向きを変え数歩後ずさったところで、布団に足を取られ尻餅をつく。

「なにやってんだ? 大丈夫か?」

 私の目の前に跪いた俊輔が、何処か怪我しなかったかと心配顔で身体に絡みついた布団を剥ごうとする動作に驚き、布団ごと胸を抱き身を固くした。

「ちょっ……なにすんのよ! エッチ!」

 一瞬呆れたように目を見開いた後、クシャッと顔を歪めて笑われた。

「馬鹿。いまさらなに恥ずかしがってんだよ」

 愉快そうにぐしゃぐしゃと頭を強く撫でられ言葉も出ない。確かに、いまさらではある、の、かも知れない。

「その顔なら大丈夫だな。さてっと、飯食いに行くぞ。 せっかく朝食付きにしたのに食いっぱぐれたら大損だからな」

 俊輔はクローゼットから昨日着ていたワンピースを取り出しぽんっとベッドに放り投げると、自分はさっさとバスローブを脱ぎ、服を着始めた。

 曝け出された奴の引き締まった肉体を目の当たりにし、否応なしに昨夜の肌の感触が思い出されて頭がクラクラするが、今はそんな場合ではない。いつまでも裸でいるわけにはいかないのだから、さっさと身支度を整えなければ。

 しかし、まさか泊まりデートとは思っていなかったので着替えが無い。上はいいとしても、昨日着けていた下着を今日もまたというのには抵抗がある。どうにかして調達しなければならないが、方法はひとつしか考えつかない。

「あのさ……頼みがあるんだけど」
「なんだよ?」
「下着の替えが……」
「はぁ? おまえ……何日も風呂入んなくても平気なのに、そーゆーのは気にすんの?」

 それを言われたら返す言葉が無いけれど、ひとつだけ訂正したい。

「何日もじゃないよ。二日が限度だってば!」

 ジャケットを羽織りながらわざとらしくニタリと笑う俊輔を、睨みつけている私の顔はきっと真っ赤だ。

「わかったよ。コンビニ行ってパンツ買ってきてやるって。但し、ブラジャーはさすがに売ってないだろうから諦めろ」

 意地悪を言いながらも平然と女物のパンツを買いに行ける俊輔を頼もしいと思ってしまう。だが、奴が出ていき、パタンと閉まるドアの音を聞いた瞬間、尋常ではない疲労を感じ、盛大に溜め息を吐いてしまった。


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