防遏の恋──ぼうあつのこい──

六菖十菊

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決断

011

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「明日からまたお仕事だと思うとやんなっちゃう」

玄関を入った瞬間に現実に戻された母は憂鬱そうに呟く。

「洗濯物は後で私がするからカゴに入れておいてね」

母と海都に告げて簡単なご飯でも作ろうかとキッチンに入る。

「姉さん、もう夕飯の準備するの?」

「夜、ちょっと出掛けるからオムライスとサラダ作っておくね」

「そんなの俺がするからいいよ──ハルと会うの?」

海都は何も思わず聞いたきただけなのに自分でハルに会う約束をしていながら勝手に後ろめたくなる。

「うん」

冷蔵庫から玉ねぎを取り出しながら視線を逸らす。
ピーマンとマッシュルームを取り出す。
よかった。大丈夫だと思ったけど傷んでいない。

「あら、ハル君と会うの?なら偶には海都も行ってきたら?」

トイレから帰ってきた母が口を挟む。

「お母さん⁉︎」

母にとってハルは私の恋人でもあるが海都の友人の感覚が強いのだろう。

「たまには三人で話したいんじゃないかと思って。お姉ちゃんもハルさんと二人っきりで会いたいかもしれないけれど、海都も友達を盗られて寂しいかもしれないじゃない」

そうなの⁈
思わず海都を見てしまうが無表情で感情が読めない。

「や、でも……」

ハルを信用できない。
海都の前で何をするか分からない。
ハルは一言多いし私自身もどんな態度を取ればいいのか分からない。
ハルと海都が仲良くない方が私にとってはありがたい。
二人が私の知らない場所で会っていたら疑心暗鬼で心を病みそうだ。

「お土産の葡萄を渡したらすぐに帰るから」

「じゃあここに呼んだら?一緒にご飯食べましょうよ」

「こんな──何も用意してないもの」

「わかったわ。でもハルさんと付き合ってもう長いんでしょう?一度ゆっくりお話したいわ」

何を話すのか。
──やめてほしい。

「海都──ごめん。やっぱり時間なさそうだからご飯作りは任せていい?」

「いいよ。でも姉さん疲れてるなら会うのをやめたら?今日でなくてもいいじゃん」

会おうと伝えていたのに断ればハルが心配するし、
これ以上話を長引かせれば面倒なことになりそうだ。
ブドウが傷むからと理由をつけて足早に家を出る。

結婚なんて──考えられない。

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