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第十一章 文明開化
第333話 シメイ風焼き肉
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――七月二十日。
アリーさん、ウォーカー船長、じいと行った木炭自動車視察は好感触を得た。
続いて蒸気機関車の視察を行ったが、前回の事故、すなわちホレックのおっちゃんが、酒を飲んでブレーキを取り付け忘れた件が、アリーさんにバレてしまった。
『グンマー連合王国総長を危険にさらすとは何事ですか! それも深酒が原因だなんて! ホレックさんは、一月禁酒です!』
アリーさんは烈火のごとく怒り、ホレックのおっちゃんに禁酒を申し渡した。
『アンジェロの兄ちゃんは、大丈夫か? アリーの姉ちゃんは、怒るとメチャクチャ怖いぞ! 俺はしばらく酒を控えるよ……』
かくして、アリーさんは、酒好きのドワーフに禁酒をさせるという偉業を成し遂げた。
さて、俺はメロビクス王大国貴族たちの不満を抑えるために、鉄道の敷設と木炭自動車の販売を決めた。
ギュイーズ侯爵とフォーワ辺境伯が買い取った軽便鉄道がキーとなり、好景気に沸いているのなら、似た製品を投入すれば好景気になる可能性は高いだろう。
計画の発表は来月だ。
メロビクス王大国貴族たちを、キャランフィールドに呼び寄せて発表する。
八月なら避暑にもなるから、キャランフィールドに呼び寄せても嫌な顔をされないだろう。
さて!
計画発表の準備をしなくてはならない。
その為に用事があり、俺はシメイ伯爵領に転移魔法で転移した。
護衛はルーナ先生と黒丸師匠である。
ルーナ先生の希望でシメイ伯爵領領都カイタックにある市場近くに転移した。
市場では威勢の良い声が飛び交う。
「さあ! いらっしゃい! 新鮮なオークの肉だよ!」
「腸詰め! パリッと美味しい腸詰めだよ!」
「果物! 山でとれたベリーはいかが!」
市場は狭苦しくギチギチだが、活気があって良い。
俺、ルーナ先生、黒丸師匠は、冒険者としてあちこちの町に出向いた経験がある。
だから、こういう肩のこらない下町っぽい雰囲気は、嫌いじゃない。
「おー! 景気が良さそうである!」
「こういう感じ良いですよね!」
ルーナ先生は、早速買い食いを始めた。
「ルーナ先生、それは?」
「オークの耳焼き」
「「あ~」」
俺と黒丸師匠の苦手なヤツだ。
前世沖縄ではミミガーとして豚の耳が食されていたので理解は出来るが、オークの顔の近くを食べるのは抵抗があるんだよな。
「コリコリして美味しい」
「お肌に良さそうですよね」
コラーゲンがタップリ入ってそうだ。
シメイ伯爵領は、魔物の肉をよく食べる土地柄だ。
旧フリージア王国内では、異色のエリアで、領民ひっくるめて南部騎士団と呼ばれていた。
シメイ伯爵領の領民たちは、日常的に魔物を狩っているので、戦闘力が図抜けているのだ。男性だけでなく、おばちゃん、老人、子供に至るまでだ。
こうして露天に魔物の肉が食用として沢山並んでいるのを見ると、南部騎士団の健在ぶりを感じざるを得ない。
「良い匂いがするのである!」
「焼き肉の匂い!」
黒丸師匠が鼻をひくつかせ、ルーナ先生が食べたそうな顔をする。
肉の焼ける良い匂いがする方へ歩いて行くと、ゴツイ男が露天を出していた。
シメイ伯爵である。
「さあ、さあ、いらっしゃい! 殺れたてのオーク肉だよ!」
シメイ伯爵は腕まくりをして、ジュウジュウ肉を焼いている。
「領主に見えないのである!」
「焼き肉屋のオヤジですね!」
「美味しそう。食べたい」
黒丸師匠、俺、ルーナ先生が、それぞれ感想を述べた。
相変わらずルーナ先生だけが、フリーダムだ。
「シメイ伯爵!」
「おお! アンジェロ陛下! 食べていって下さいよ! ちょうど肉が焼けましたよ!」
「おっ……おう!」
俺たちは、用があってきたのだが……。
まあ、ルーナ先生も食べたそうにしているし、ご馳走になるか。
「「「いただきます!」」」
木の皿とフォークを渡され、立ったままいただく。
脂ののった肉が旨い!
炭火で炙った香ばしさに加え、口の中で甘く溶けて行く。
これはオーク肉だな。
甘辛いタレが、よくあう。
この『こげ目』がたまらん!
「シメイ風焼き肉は、いかがですか?」
「「「美味しい!」」」
シメイ伯爵の焼き肉は、炭火網焼きだ。
タレの味は、日本の焼き肉に近い。
俺と共に戦っている間に、ちゃっかり料理法やタレの製法を覚えて、シメイ伯爵領の名物にしてしまった。
シメイ風焼き肉という名で、徐々に知名度を上げている。
俺、ルーナ先生、黒丸師匠が、競い合うように肉を平らげていく。
シメイ伯爵は、絶妙な焼き加減で肉を皿に載せてくる。
肉のわんこそば状態だ!
「ふー! 食ったのである!」
「美味しかったですね!」
「お腹いっぱい。満足」
俺たちが腹をさすっていると、シメイ伯爵が手を開いてニュッと太い腕を伸ばしてきた。
「毎度あり~♪」
「えっ!?」
「お代をちょうだいしま~す♪」
おごりじゃないんだ……。
普通、一国の代表者が貴族の領地を訪問したら、貴族は代表者をもてなすものではないだろうか?
金……とるんだ……!
シメイ伯爵の満面の笑みを見ていると、『おごれ!』とは言いにくい。
「アンジェロ少年! ご馳走様なのである!」
「私はアンジェロの婚約者。だから、アンジェロが支払う」
黒丸師匠とルーナ先生は、例によって例のごとく、俺に支払いを押しつけた!
「わかった。払うよ……」
用事があってシメイ伯爵領に来たのに、金を使わされてしまった。
まるで悪質なキャッチだ!
シメイ伯爵の見た目からして反社っぽいし!
俺は料金を支払うと、シメイ伯爵に本来の用事を切り出した。
「シメイ伯爵。木から紙は出来たか?」
「バッチリですよ!」
「ヨシ! 見せてくれ!」
アリーさん、ウォーカー船長、じいと行った木炭自動車視察は好感触を得た。
続いて蒸気機関車の視察を行ったが、前回の事故、すなわちホレックのおっちゃんが、酒を飲んでブレーキを取り付け忘れた件が、アリーさんにバレてしまった。
『グンマー連合王国総長を危険にさらすとは何事ですか! それも深酒が原因だなんて! ホレックさんは、一月禁酒です!』
アリーさんは烈火のごとく怒り、ホレックのおっちゃんに禁酒を申し渡した。
『アンジェロの兄ちゃんは、大丈夫か? アリーの姉ちゃんは、怒るとメチャクチャ怖いぞ! 俺はしばらく酒を控えるよ……』
かくして、アリーさんは、酒好きのドワーフに禁酒をさせるという偉業を成し遂げた。
さて、俺はメロビクス王大国貴族たちの不満を抑えるために、鉄道の敷設と木炭自動車の販売を決めた。
ギュイーズ侯爵とフォーワ辺境伯が買い取った軽便鉄道がキーとなり、好景気に沸いているのなら、似た製品を投入すれば好景気になる可能性は高いだろう。
計画の発表は来月だ。
メロビクス王大国貴族たちを、キャランフィールドに呼び寄せて発表する。
八月なら避暑にもなるから、キャランフィールドに呼び寄せても嫌な顔をされないだろう。
さて!
計画発表の準備をしなくてはならない。
その為に用事があり、俺はシメイ伯爵領に転移魔法で転移した。
護衛はルーナ先生と黒丸師匠である。
ルーナ先生の希望でシメイ伯爵領領都カイタックにある市場近くに転移した。
市場では威勢の良い声が飛び交う。
「さあ! いらっしゃい! 新鮮なオークの肉だよ!」
「腸詰め! パリッと美味しい腸詰めだよ!」
「果物! 山でとれたベリーはいかが!」
市場は狭苦しくギチギチだが、活気があって良い。
俺、ルーナ先生、黒丸師匠は、冒険者としてあちこちの町に出向いた経験がある。
だから、こういう肩のこらない下町っぽい雰囲気は、嫌いじゃない。
「おー! 景気が良さそうである!」
「こういう感じ良いですよね!」
ルーナ先生は、早速買い食いを始めた。
「ルーナ先生、それは?」
「オークの耳焼き」
「「あ~」」
俺と黒丸師匠の苦手なヤツだ。
前世沖縄ではミミガーとして豚の耳が食されていたので理解は出来るが、オークの顔の近くを食べるのは抵抗があるんだよな。
「コリコリして美味しい」
「お肌に良さそうですよね」
コラーゲンがタップリ入ってそうだ。
シメイ伯爵領は、魔物の肉をよく食べる土地柄だ。
旧フリージア王国内では、異色のエリアで、領民ひっくるめて南部騎士団と呼ばれていた。
シメイ伯爵領の領民たちは、日常的に魔物を狩っているので、戦闘力が図抜けているのだ。男性だけでなく、おばちゃん、老人、子供に至るまでだ。
こうして露天に魔物の肉が食用として沢山並んでいるのを見ると、南部騎士団の健在ぶりを感じざるを得ない。
「良い匂いがするのである!」
「焼き肉の匂い!」
黒丸師匠が鼻をひくつかせ、ルーナ先生が食べたそうな顔をする。
肉の焼ける良い匂いがする方へ歩いて行くと、ゴツイ男が露天を出していた。
シメイ伯爵である。
「さあ、さあ、いらっしゃい! 殺れたてのオーク肉だよ!」
シメイ伯爵は腕まくりをして、ジュウジュウ肉を焼いている。
「領主に見えないのである!」
「焼き肉屋のオヤジですね!」
「美味しそう。食べたい」
黒丸師匠、俺、ルーナ先生が、それぞれ感想を述べた。
相変わらずルーナ先生だけが、フリーダムだ。
「シメイ伯爵!」
「おお! アンジェロ陛下! 食べていって下さいよ! ちょうど肉が焼けましたよ!」
「おっ……おう!」
俺たちは、用があってきたのだが……。
まあ、ルーナ先生も食べたそうにしているし、ご馳走になるか。
「「「いただきます!」」」
木の皿とフォークを渡され、立ったままいただく。
脂ののった肉が旨い!
炭火で炙った香ばしさに加え、口の中で甘く溶けて行く。
これはオーク肉だな。
甘辛いタレが、よくあう。
この『こげ目』がたまらん!
「シメイ風焼き肉は、いかがですか?」
「「「美味しい!」」」
シメイ伯爵の焼き肉は、炭火網焼きだ。
タレの味は、日本の焼き肉に近い。
俺と共に戦っている間に、ちゃっかり料理法やタレの製法を覚えて、シメイ伯爵領の名物にしてしまった。
シメイ風焼き肉という名で、徐々に知名度を上げている。
俺、ルーナ先生、黒丸師匠が、競い合うように肉を平らげていく。
シメイ伯爵は、絶妙な焼き加減で肉を皿に載せてくる。
肉のわんこそば状態だ!
「ふー! 食ったのである!」
「美味しかったですね!」
「お腹いっぱい。満足」
俺たちが腹をさすっていると、シメイ伯爵が手を開いてニュッと太い腕を伸ばしてきた。
「毎度あり~♪」
「えっ!?」
「お代をちょうだいしま~す♪」
おごりじゃないんだ……。
普通、一国の代表者が貴族の領地を訪問したら、貴族は代表者をもてなすものではないだろうか?
金……とるんだ……!
シメイ伯爵の満面の笑みを見ていると、『おごれ!』とは言いにくい。
「アンジェロ少年! ご馳走様なのである!」
「私はアンジェロの婚約者。だから、アンジェロが支払う」
黒丸師匠とルーナ先生は、例によって例のごとく、俺に支払いを押しつけた!
「わかった。払うよ……」
用事があってシメイ伯爵領に来たのに、金を使わされてしまった。
まるで悪質なキャッチだ!
シメイ伯爵の見た目からして反社っぽいし!
俺は料金を支払うと、シメイ伯爵に本来の用事を切り出した。
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「バッチリですよ!」
「ヨシ! 見せてくれ!」
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