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第三章 ノエル南部に立つ!
第36話 新領地の情報
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俺たちを乗せた馬車は、キラキラ輝く海を右手に見ながら進む。
南部の領地――新エトワール伯爵領に向かっているのだ。
俺は馬車に揺られながら、出発前にフォー辺境伯と交した会話を思い出していた……。
俺はダークエルフのエクレールにエリクサーを渡した。
エクレールは北へ、ダークエルフの里へ向かった。
俺たちは、いよいよ新領地入りだ。
ジロンド子爵たち南部貴族は、新領地まで護衛すると言う。
フォー辺境伯も一緒に行くと言い出した。
フォー辺境伯が来てくれるなら道案内にもなるし、色々と情報を得られるだろう。
非常に助かる。
フォー辺境伯の屋敷の前は出発を待つ竜騎兵でごった返していた。
フォー辺境伯は、自分の騎竜の前で俺に尋ねる。
『それで、新しい領地は、どこなんだ?』
『ここですね』
俺は懐から地図を取り出して見せた。
俺の新領地は地図に赤丸がついている。
フォー辺境伯は、地図を見て舌打ちした。
『よりによってここか!』
何だろう?
良くない場所なのだろうか?
俺はフォー辺境伯に、情報提供を求めた。
フォー辺境伯によれば、ルナール王国南部に王領はいくつかある。
いくつかある王領の中で、もっとも条件が悪いのが、俺の新領地らしい。
『あそこは魔の森の中に作った開拓村がいくつかあるはずだ。三年前に国王の命令で魔の森を開拓しようとしたのだが、二年前に代官が逃げ出したよ』
『かなり厳しい場所のようですね……。強い魔物が出るのでしょうか?』
『わからない。だが、あそこの魔の森は大森林地帯と呼ばれている。ずっと南まで広がっているんだ。どこまで大森林地帯が広がっているのかわからない。大陸でも最大規模の魔の森だろう』
俺は首をひねる。
条件が非常に悪い場所だということはわかった。
なぜ、そんな場所を開拓しようとしたのだろう?
『国王は、そんな場所をなぜ開拓しようとしたのでしょう?』
『誰も手をつけていない場所だからな。ひょっとしたら鉄鉱石とか価値のある資源が見つかるかもしれない。上手く開拓できれば儲けものと考えたんじゃないか?』
ハイリスクハイリターンを狙ったってことか……。
だが、代官が逃げ出したということは、開拓に失敗したのでは?
開拓に失敗した場所だから、俺に押しつけた。
いや……。
国王と宰相は、流刑のつもりで、このとんでもない領地を渡したのかもしれない。
『フォー辺境伯。情報提供をありがとうございます。とにかく行ってみましょう』
『そうだな。これだけ竜騎兵がいれば、強い魔物が出ても大丈夫だろう。俺が案内するよ!』
こうして俺たちは、フォー辺境伯の領都デバラスを出発した。
新領地は領都デバラスの南にあるが、ちょっとした山があり、山の麓には魔の森が広がっていて馬車は通行できない。
領都デバラスから西へ。
海岸に出たら南へ。
そして道は東へ続いていた。
道は山にそってグルッと回り込んでいる。
俺の馬車に騎竜を並ばせているフォー辺境伯が、大声で領地入りを告げた。
「もう、この辺りは、エトワール伯爵の領地だ!」
領地の境界線も曖昧なのだろう。
ある程度領地が発展したら、フォー辺境伯と協議しなくてはならないな。
妹のマリーが、窓の外を指さした。
「お兄様! 見て! オレンジですわ!」
マリーが指さす先には、オレンジが沢山なっていた。
南向き斜面にオレンジの木が沢山あり、太陽の日差しを受けて光り輝いている。
「フォー辺境伯! あのオレンジは自生したのでしょうか?」
「いや。開拓しに来た連中が植えていた。他にオリーブも植えていたぞ!」
開拓をした連中がオレンジとオリーブを植え、収穫できるくらいに育っている。
俺はプラス材料を見つけて、少し明るい気持ちになった。
オレンジはドライフルーツに加工出来るし、オリーブからオリーブオイルが作れるぞ!
海が近いから、オリーブオイルを使って魚のカルパッチョとか、魚介のパスタとか、地中海料理っぽいのが作れるかもしれない。
妹のマリーが喜ぶかな……『お兄様! 美味しい!』って……。
俺はマリーの喜ぶ姿を想像してニンマリと笑った。
ネコネコ騎士のみーちゃんが、進行方向を肉球で指した。
「ニャ? 冒険者がオレンジをもいでいるニャ。いいのかニャ?」
みーちゃんの肉球の先では、革鎧を着た若い冒険者四人がオレンジを収穫していた。
「フォー辺境伯! あの冒険者たちは?」
「デバラスの町から来た冒険者だろう。獲物がゼロなので、オレンジを持ち帰ろうってことだろう。まあ、デバラスでもオレンジを作っているから高くは売れんがね」
「ゼロよりマシってことですね」
これはデバラスの町の冒険者ギルドと話し合う必要があるな。
領地の農作物を勝手に持って行くのは、勘弁して欲しい。
「泥棒ニャ!」
「収穫する人がいないだけじゃない?」
みーちゃんが憤ったが、エルフのシューさんが発した言葉で、気まずい空気が馬車の中に流れた。
俺はみーちゃんと顔を見合わせる。
そうか……オレンジを収穫する人がいないから、冒険者たちがオレンジを勝手に持ち帰るのかもしれない。
開拓村の村人は生きているのかな……?
南部の領地――新エトワール伯爵領に向かっているのだ。
俺は馬車に揺られながら、出発前にフォー辺境伯と交した会話を思い出していた……。
俺はダークエルフのエクレールにエリクサーを渡した。
エクレールは北へ、ダークエルフの里へ向かった。
俺たちは、いよいよ新領地入りだ。
ジロンド子爵たち南部貴族は、新領地まで護衛すると言う。
フォー辺境伯も一緒に行くと言い出した。
フォー辺境伯が来てくれるなら道案内にもなるし、色々と情報を得られるだろう。
非常に助かる。
フォー辺境伯の屋敷の前は出発を待つ竜騎兵でごった返していた。
フォー辺境伯は、自分の騎竜の前で俺に尋ねる。
『それで、新しい領地は、どこなんだ?』
『ここですね』
俺は懐から地図を取り出して見せた。
俺の新領地は地図に赤丸がついている。
フォー辺境伯は、地図を見て舌打ちした。
『よりによってここか!』
何だろう?
良くない場所なのだろうか?
俺はフォー辺境伯に、情報提供を求めた。
フォー辺境伯によれば、ルナール王国南部に王領はいくつかある。
いくつかある王領の中で、もっとも条件が悪いのが、俺の新領地らしい。
『あそこは魔の森の中に作った開拓村がいくつかあるはずだ。三年前に国王の命令で魔の森を開拓しようとしたのだが、二年前に代官が逃げ出したよ』
『かなり厳しい場所のようですね……。強い魔物が出るのでしょうか?』
『わからない。だが、あそこの魔の森は大森林地帯と呼ばれている。ずっと南まで広がっているんだ。どこまで大森林地帯が広がっているのかわからない。大陸でも最大規模の魔の森だろう』
俺は首をひねる。
条件が非常に悪い場所だということはわかった。
なぜ、そんな場所を開拓しようとしたのだろう?
『国王は、そんな場所をなぜ開拓しようとしたのでしょう?』
『誰も手をつけていない場所だからな。ひょっとしたら鉄鉱石とか価値のある資源が見つかるかもしれない。上手く開拓できれば儲けものと考えたんじゃないか?』
ハイリスクハイリターンを狙ったってことか……。
だが、代官が逃げ出したということは、開拓に失敗したのでは?
開拓に失敗した場所だから、俺に押しつけた。
いや……。
国王と宰相は、流刑のつもりで、このとんでもない領地を渡したのかもしれない。
『フォー辺境伯。情報提供をありがとうございます。とにかく行ってみましょう』
『そうだな。これだけ竜騎兵がいれば、強い魔物が出ても大丈夫だろう。俺が案内するよ!』
こうして俺たちは、フォー辺境伯の領都デバラスを出発した。
新領地は領都デバラスの南にあるが、ちょっとした山があり、山の麓には魔の森が広がっていて馬車は通行できない。
領都デバラスから西へ。
海岸に出たら南へ。
そして道は東へ続いていた。
道は山にそってグルッと回り込んでいる。
俺の馬車に騎竜を並ばせているフォー辺境伯が、大声で領地入りを告げた。
「もう、この辺りは、エトワール伯爵の領地だ!」
領地の境界線も曖昧なのだろう。
ある程度領地が発展したら、フォー辺境伯と協議しなくてはならないな。
妹のマリーが、窓の外を指さした。
「お兄様! 見て! オレンジですわ!」
マリーが指さす先には、オレンジが沢山なっていた。
南向き斜面にオレンジの木が沢山あり、太陽の日差しを受けて光り輝いている。
「フォー辺境伯! あのオレンジは自生したのでしょうか?」
「いや。開拓しに来た連中が植えていた。他にオリーブも植えていたぞ!」
開拓をした連中がオレンジとオリーブを植え、収穫できるくらいに育っている。
俺はプラス材料を見つけて、少し明るい気持ちになった。
オレンジはドライフルーツに加工出来るし、オリーブからオリーブオイルが作れるぞ!
海が近いから、オリーブオイルを使って魚のカルパッチョとか、魚介のパスタとか、地中海料理っぽいのが作れるかもしれない。
妹のマリーが喜ぶかな……『お兄様! 美味しい!』って……。
俺はマリーの喜ぶ姿を想像してニンマリと笑った。
ネコネコ騎士のみーちゃんが、進行方向を肉球で指した。
「ニャ? 冒険者がオレンジをもいでいるニャ。いいのかニャ?」
みーちゃんの肉球の先では、革鎧を着た若い冒険者四人がオレンジを収穫していた。
「フォー辺境伯! あの冒険者たちは?」
「デバラスの町から来た冒険者だろう。獲物がゼロなので、オレンジを持ち帰ろうってことだろう。まあ、デバラスでもオレンジを作っているから高くは売れんがね」
「ゼロよりマシってことですね」
これはデバラスの町の冒険者ギルドと話し合う必要があるな。
領地の農作物を勝手に持って行くのは、勘弁して欲しい。
「泥棒ニャ!」
「収穫する人がいないだけじゃない?」
みーちゃんが憤ったが、エルフのシューさんが発した言葉で、気まずい空気が馬車の中に流れた。
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