没落貴族の異世界領地経営!~生産スキルでガンガン成り上がります!

武蔵野純平

文字の大きさ
54 / 92
第三章 ノエル南部に立つ!

第54話 建物探訪

しおりを挟む
 冒険者ギルドから派遣された調査隊を執事のセバスチャンが案内する。
 俺、妹のマリー、ネコネコ騎士のみーちゃん、エルフのシューさんは、後ろからついていく。

「こちらが領主屋敷でございます。何かございましたら、遠慮なくご訪問下さい」

「ほお~! いや、これは趣味の良い建物だ!」
「南向きの良い立地だな! 日当たりが良く落ち着いた雰囲気だ」
「成金趣味じゃなくて良いね!」

 最初は領主屋敷の紹介だ。
 調査隊は好意的な反応を見せた。俺がスキルで生成した南欧風の建物は、この世界の人たちにも受け入れられホッとする。
 国王が住んでいたピカピカ金ピカ屋敷にしないで良かった。

 執事のセバスチャンのガイドは続く。
 開拓村の中央広場を抜けて、魔の森に近い南側のエリアに向かう。

「冒険者ギルドと宿泊施設は、魔の森に近いエリアに建てました。あちらが冒険者ギルドの建物です」

「「「「「ほー!」」」」」

 調査隊から感嘆の声が上がった。
 冒険者ギルドは木造二階建て。日本の木造小学校のような外観だ。この世界ではかなり大きな建物になる。

「冒険者ギルドは大きな二階建ての建物にいたしました。建物横には、木造の尖塔。尖塔は三階の高さになりますので、魔の森の奥まで見通せます。裏には馬車を止めるスペース、馬房、騎竜舎が備えてあります。魔物の解体スペースもございます」

「外は満点だな! 文句なし! 尖塔があるのは嬉しい。何かあった時に見張りをおけるからな」

 執事セバスチャンの案内に、ベテラン風の冒険者が嬉しがる。
 ちらりとアミーさんを見るとウンウンとうなずいているので、建物外側は合格だろう。
 俺が生産スキル【マルチクラフト】で生成したとは誰も思うまい。

 執事のセバスチャンが、建物の中へと案内する。

「ホールは広めに作りました。左手に依頼を掲示する大型のボード。右手は打ち合わせの出来るオープンスペースで、テーブルと椅子は頑丈な物を用意しました。重装備の戦士が座っても壊れません」

 体格の良い男性戦士が、椅子に腰掛け座り心地を確かめている。
 この椅子はパーツを太くこしらえた。大柄な戦士が座っているが、ギシリとも言わない。

 続いてテーブルをバンバンと手で叩いている。テーブルも頑丈な作りだ。大男が二人で腕相撲をしても壊れることはないだろう。
 大柄な戦士は、ニュッと拳を出すと親指を立てた。

「いいな! 合格だ!」

 よし!
 着実に点を稼いでいるぞ。

「ホールの奥は木製カウンターを用意しました。カウンターの裏は、ギルドスタッフの皆さんが執務するスペースです。こちらも広めにとってあります。書棚をご用意いたしましたので、ご自由にお使い下さい」

 アミーさんが、カウンターの中に入る。
 カウンター、テーブル、椅子、書棚をチェックして、満足そうにうなずいた。

「一階、二階には、大小十二のお部屋を用意してあります。会議室、倉庫など、ご自由にお使い下さい。家具がご入り用でしたら準備いたしますので、遠慮なくお申し付け下さい」

「ありがとうございます。これだけの広さと設備があれば、冒険者ギルドとして十分機能します」

 よし! アミーさんが太鼓判を押してくれた!
 冒険者ギルド用の建物は合格だ。

 妹のマリーが、背伸びをして顔を寄せそっと耳元でささやく。

「お兄様。良かったですね!」

「うん。ホッとしたよ」

「宿を見たら、もっとビックリするニャ」

 続いて宿の案内だ。
 宿は冒険者ギルドの向かいに建てた。
 こちらも木造二階建ての大型施設で、『コ』の字に建築した。

 一階は受付、食堂、調理場。二階が客室となっている。客室は二段ベッドの入ったドミトリーで六人部屋がメインだ。個室、二人部屋もある。

「最大宿泊人数は二百人。五人の冒険者パーティーなら四十組を同時にお迎え出来ます。調理場は出入り自由ですので、自炊も可能です。別料金ですが、一階にはお風呂もございますよ」

 執事のセバスチャンが、サラサラと立て板に聖水を振りまくがごとく案内を続ける。
 だが、実はスタッフが足りない。箱はあるが働く人がいないのだ。開拓村の住民には、農作業をしてもらう。
 今日のところは、臨時で住民に働いて貰っているが、どこからか人を調達してこないとな……。

 エルフのシューさんが、ジトッと俺を見てボソボソと話しかけてくる。

「どうするの? 空っぽの宿だよ?」

「審査を通ったら、何とかするよ」

「いい加減」

「腹が据わっていると言って欲しいね」

「ふーん」

 人手不足。これに尽きる。
 妹マリーのドライフルーツ工房。加えて俺の実験工房は、しばらくしたら馬車工房にする予定だ。働き手はいくらでも欲しい。

 一方で、食糧不足でもある。
 人は増やしたいが、食料は足らない。
 開拓村を成長させるためのバランスが非常に難しい。

 一通り案内が終わり宿の方も好評。
 冒険者ギルドの調査隊は、そのまま宿に泊まった。
しおりを挟む
感想 46

あなたにおすすめの小説

猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る

マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・ 何かを拾う度にトラブルに巻き込まれるけど、結果成り上がってしまう。 異世界転生者のユートは、バルトフェル帝国の山奥に一人で住んでいた。  ある日、盗賊に襲われている公爵令嬢を助けたことによって、勇者パーティーに推薦されることになる。  断ると角が立つと思い仕方なしに引き受けるが、このパーティーが最悪だった。  勇者ギアベルは皇帝の息子でやりたい放題。活躍すれば咎められ、上手く行かなければユートのせいにされ、パーティーに入った初日から後悔するのだった。そして他の仲間達は全て女性で、ギアベルに絶対服従していたため、味方は誰もいない。  ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。  勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。  プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。  しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。  それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。  そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。  これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。

魔力0の貴族次男に転生しましたが、気功スキルで補った魔力で強い魔法を使い無双します

burazu
ファンタジー
事故で命を落とした青年はジュン・ラオールという貴族の次男として生まれ変わるが魔力0という鑑定を受け次男であるにもかかわらず継承権最下位へと降格してしまう。事実上継承権を失ったジュンは騎士団長メイルより剣の指導を受け、剣に気を込める気功スキルを学ぶ。 その気功スキルの才能が開花し、自然界より魔力を吸収し強力な魔法のような力を次から次へと使用し父達を驚愕させる。

異世界あるある 転生物語  たった一つのスキルで無双する!え?【土魔法】じゃなくって【土】スキル?

よっしぃ
ファンタジー
農民が土魔法を使って何が悪い?異世界あるある?前世の謎知識で無双する! 土砂 剛史(どしゃ つよし)24歳、独身。自宅のパソコンでネットをしていた所、突然轟音がしたと思うと窓が破壊され何かがぶつかってきた。 自宅付近で高所作業車が電線付近を作業中、トラックが高所作業車に突っ込み運悪く剛史の部屋に高所作業車のアームの先端がぶつかり、そのまま窓から剛史に一直線。 『あ、やべ!』 そして・・・・ 【あれ?ここは何処だ?】 気が付けば真っ白な世界。 気を失ったのか?だがなんか聞こえた気がしたんだが何だったんだ? ・・・・ ・・・ ・・ ・ 【ふう・・・・何とか間に合ったか。たった一つのスキルか・・・・しかもあ奴の元の名からすれば土関連になりそうじゃが。済まぬが異世界あるあるのチートはない。】 こうして剛史は新た生を異世界で受けた。 そして何も思い出す事なく10歳に。 そしてこの世界は10歳でスキルを確認する。 スキルによって一生が決まるからだ。 最低1、最高でも10。平均すると概ね5。 そんな中剛史はたった1しかスキルがなかった。 しかも土木魔法と揶揄される【土魔法】のみ、と思い込んでいたが【土魔法】ですらない【土】スキルと言う謎スキルだった。 そんな中頑張って開拓を手伝っていたらどうやら領主の意に添わなかったようで ゴウツク領主によって領地を追放されてしまう。 追放先でも土魔法は土木魔法とバカにされる。 だがここで剛史は前世の記憶を徐々に取り戻す。 『土魔法を土木魔法ってバカにすんなよ?異世界あるあるな前世の謎知識で無双する!』 不屈の精神で土魔法を極めていく剛史。 そしてそんな剛史に同じような境遇の人々が集い、やがて大きなうねりとなってこの世界を席巻していく。 その中には同じく一つスキルしか得られず、公爵家や侯爵家を追放された令嬢も。 前世の記憶を活用しつつ、やがて土木魔法と揶揄されていた土魔法を世界一のスキルに押し上げていく。 但し剛史のスキルは【土魔法】ですらない【土】スキル。 転生時にチートはなかったと思われたが、努力の末にチートと言われるほどスキルを活用していく事になる。 これは所持スキルの少なさから世間から見放された人々が集い、ギルド『ワンチャンス』を結成、努力の末に世界一と言われる事となる物語・・・・だよな? 何故か追放された公爵令嬢や他の貴族の令嬢が集まってくるんだが? 俺は農家の4男だぞ?

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

捨てられた前世【大賢者】の少年、魔物を食べて世界最強に、そして日本へ

月城 友麻
ファンタジー
辺境伯の三男坊として転生した大賢者は、無能を装ったがために暗黒の森へと捨てられてしまう。次々と魔物に襲われる大賢者だったが、魔物を食べて生き残る。 こうして大賢者は魔物の力を次々と獲得しながら強くなり、最後には暗黒の森の王者、暗黒龍に挑み、手下に従えることに成功した。しかし、この暗黒龍、人化すると人懐っこい銀髪の少女になる。そして、ポーチから出したのはなんとiPhone。明かされる世界の真実に大賢者もビックリ。 そして、ある日、生まれ故郷がスタンピードに襲われる。大賢者は自分を捨てた父に引導を渡し、街の英雄として凱旋を果たすが、それは物語の始まりに過ぎなかった。 太陽系最果ての地で壮絶な戦闘を超え、愛する人を救うために目指したのはなんと日本。 テンプレを超えた壮大なファンタジーが今、始まる。

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

処理中です...