もふもふにゃんこ ゴマくんの冒険記

戸田 猫丸

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第3部〜ニャンバリアンの侵略編〜

第19話〜潰せ、悪の根源〜

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「ライム、あんた……!」
「ライムぅ、久しぶりだねぇ~!」

 三つ子の姉妹の――メルさん、じゅじゅさんが、ライムに呼びかけた瞬間。

「気安く、私の名を呼ぶんじゃねえ!」

 ライムが大声を上げた。
 重く低い声は、突風を巻き起こして、木や葉っぱをざわめかせる。
 耳の中に、圧のある声がビンビンと響いた。

「いやあっ!?」
「わあ~、大きな声出せるようになったんだね~」

 じゅじゅさんは相変わらず呑気な事言ってるが、ライムはニャンだかめちゃくちゃ機嫌が悪そうだ。このままだとメルさんたちが危ねえ。

「クッ……みんな、立てるか?」

 ソールさんたちが立ち上がるが、みんな足をふらつかせていたり、もう一度座り込んだりしてる。動けるようになったものの、まだ万全じゃなさそうだ。“転身”も、まだできねえんだろうか。
 仕方ねえ。ここはボクが――!

「せいなるほしのひかりよ! われにあいのちからをッ!」

 ……ニャンの反応も無え。
 今、“転身”できたとしても、宇宙エネルギーだっけ……その力に、ボクの体がまだ耐えられねえって訳か。確かに、今ボクは疲れでヘトヘトになってる。
 クソ、ここにライムが来るって分かってたんなら、もう少し力をセーブして戦ったのによ……!
 戦える奴はいねえ訳か。このまま全員、ライムにブチ殺されちまうんだろうか。
 ……と思ったら、怒りに満ちていたライムの表情が元に戻る。そして奴は、ニヤリと笑った。
 
「安心しろ、手出しはしねえ。ここで貴様らを始末しても、つまらねえからなぁ?」

 ライムはしゃがれ声で言いながら、母ちゃんの方へ、ゆっくりと地響きを立てながら足を進めた。
 迫るライムの正面に、母ちゃんとメルさんが立ち塞がる。

「ライム。あなた……」
「ねえ、どういう事よライム! 久しぶりに会えたと思ったのに……。さっきの奴らは、あんたの仲間なの!?」

 ライムは眼帯に隠れてない方の目を再び細めて、母ちゃんとメルさんを睨みつけた。

「その名を呼ぶんじゃねえって言っただろう。貴様らはもう、親でも子でも姉妹でもねえんだよ」
「……」
「あんた……」
「そんな事よりも、貴様らも分かるだろう。このネズミの住む世界の、何と素晴らしい事か」

 ライムが視線を、赤い炎と煙が立ち上る街の方へと向けた。

「潤沢な資源と、どもが豊富に存在するこの世界の全ては……、これから私たち“ニャンバリアン”の物となるのだ! ハハハ……!」
「テメェーー!!」
「やめて! ゴマ!?」

 醜く笑うライムの尻尾に噛み付いてやろうと飛び出したが、メルさんに後ろから飛びつかれて止められてしまった。
 クソ、こんな奴がボクらの家族だったってのかよ……。ボクは歯を食いしばりながらフーッと息を吐いて、乱れた息を整えた。
 ライムは反対方向を向いて、ゆっくりと“ワームホール”の方へ足を進め始めた。

「……お?」

 ニャンだ。体に力が戻ってくるぞ。
 全身に涼しい風が通っていくような、気持ちイイ感覚になってきた。もしかして……?
 今なら、イケる気がするぜ!

「せいなるほしのひかりよ! われにあいのちからをッ!」
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