散る花火と現れた星

くるみ

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13日 再会

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 翌朝、目を覚ますと、陽奈は昨日の事を思い返した。不思議な体験だったが、夢ではない。
 今でも疑わしい。風馬の父の中に、空が入っている事を。
 
 「からかってる様子はないけど。風馬の兄の記憶がないから、何とも言えない。てか、何で風馬の兄の記憶がないんだろう?」

 陽奈は、クローゼットにあるアルバムを開いた。よく見ると、ほとんどのページに空との写真が綴じられていた。
 陽奈は、脳みそを雑巾のように絞るように頭を捻ったが。

 「こんなに、風馬の兄の写真があるのに、全く思い出せない!」

 何となく、また風馬の家に行く事にした。

 「幽体が入っているとしたら、今日もまた話せるのかな?話せなかったら、昨日の事は奇跡だね」

 風馬の家に着くと、風馬の父が車庫の中を整理していた。 
 陽奈が視線を向けると、風馬の父は陽奈に気づいた。

 「陽奈ちゃん。今日はどうした?また、空の事かい?」

 陽奈は、風馬の父の様子を見て、瞬時に空ではないと察した。

 「あ…風馬は?」
 「風馬か?昼前には着くって、連絡があったけど、そろそろ着くんでねぇかな」

 風馬の父は腕時計を見た。
 陽奈は一礼をして、慌てて引き返した。
 
 「あれは、多分おじさんだ。じゃあ、昨日のは、一体なんなんだ?もう、話せないとしたら、空さんは…もうこの世にはいない?あー!もう、訳わかんない!あっついし、訳分かんない!」
 
 気温が上昇し、じとっとした熱気が体にまとわりついた。
 暑さにバテながら、帰路の途中、前方から、キャップ帽を被った男が歩いて来た。お互い顔をチラッと見ると、声が出た。
 
 「陽奈!」
 「風馬⁈」
 「久しぶり!帰ってきてたんだ!て事は、成人式出るの⁈」
 「まあね。嫌だけど」
 「こっちから歩いて来て、何したの?陽奈ん家、逆だよな」
 「あ…空さんの事聞きに、風馬の家に行ったの。聞かずに戻って来ちゃったけど」
 「兄貴の事思い出したのか⁈」

 風馬は血相を変えて、陽奈に近づいた。陽奈は、風馬の反応に驚き、無言で首を横に振った。
 
 「思い出さなくていいよ。それより、今日暇?」
 「別に、用事はないよ」
 「じゃあ、どっか遊びに行こうよ。荷物置いたら、陽奈ん家行くから待ってて」
 「うん」

 二人は、それぞれ帰路に戻った。風馬と最後に会ったのは、高校卒業式の日だった。
 卒業式が終わって、陽奈が自宅に着いた時、風馬が家の前に立っていた。
 お互い進学の為、地元を離れた。それ以来、連絡は取り合っていたが、会う事はなかった。
 久しぶりに会った風馬は、髪が茶髪になった位であまり変わっていなかった。
 陽奈が家で30分位待っていると、携帯に連絡が入った。
 外に出ると、白の軽自動車の運転席に風馬が座っていた。

 「風馬、運転できるの⁈」
 「バカにすんなよ。たまに帰ってきて、運転してたよ。乗って」

 風馬は、助手席を指さした。陽奈が車に乗り込むと、車はゆっくり動き出した。

 「どこ行くの?」
 「うーん。どこ行きたい?」
 「えー⁈どこでもいいよ」
 「じゃあ、海浜公園行ってみる?あそこ、バスケのコート出来たらしいよ」
 「へー、行ってみる」

 海浜公園に向かう途中、中学校の前を通った。お盆で、人気は全くなく、静まり返っている。

 「中学校懐かしいー。そういえば、俺、恵に告られたなぁ。」
 「え⁈嘘!いつ⁈」

 風馬の突然の告白に陽奈は驚いた。
 
 「中3の時。でも断ったよ」
 「えぇ⁈どうして⁈恵、気は強いけど、顔は可愛い方だったじゃん!」
 「好きでもないのに、付き合いたくないし。それに、あいつの兄貴シスコンだから、恵の近くに居ただけで殺されるぞ」
 「シスコンは怖いねぇ。高校の時は、彼女とか作らなかったの?風馬の学校、共学だったのに、そうゆう話なかったよね?」
 「告られたりはしたけど、断った」
 「また⁈てか、あんたモテモテだな!」
 「別にモテてないし。気になる人がいるから、断っただけだよ」
 「気になる人って?誰々?」
 
 陽奈は、風馬の恋バナが楽しくて、一人盛り上がっていた。

 「今、聞く?」
 
 風馬は、都合が悪そうな顔をした。

 「え?うん?」
 「近くにいたのに、全然気づいてくれなくて。たまに、連絡は取ってるけど…」
 「それ、モヤモヤするね。風馬の気持ちに気づいてくれなくて」
 「陽奈は彼氏いるの?いたら、めっちゃ悲しいけど」

 陽奈は、間を置いて笑顔で答えた。
 
 「何で悲しくなるの?彼氏なんてできっこないし。私にそんな事聞く?」
 「やっぱり、まだだめなのか?」

 陽奈の顔からゆっくり笑みが消えた。

 
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