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このさきのはなし
しおりを挟む明るい、目を閉じていてなにも見えないのに明るいことはわかる。
私はいつになったらその明るい場所へ行けるのだろう。
みんなのようにできない、、、どうして?
私が居るとみんなが不幸になるんじゃないか
だってお母さんもお父さんも______
「…レ…ちゃ」
「レイ…」
「レイ…ちゃ…」
私の名前、、?
まだ呼んでくれる人いたんだ、、
「レイちゃん!」
「レイ!」
目を開けると、私の名前を呼ぶロイドとハーブルさんがいた。
なんだか悲しい顔をしている、どうしたのだろうか。
「…ロイド、ハーブルさん…?」
起きたばかりでカサカサになった声
焦点が定まらないな、そんなことを思いながら目を擦ろうとする。
「私…」
もしかして泣いていた?目から涙がでている。
さっきの夢で泣いたのだろうか。自覚がなかった。
「レイちゃん、ずっとうなされていたよ」
「怖い夢でも見たか?」
心配そうな2人をみて、本当は「大丈夫です」と言わなければいけないのになんだか少し嬉しくなってしまった
「いえ、ありがとうございます。」
私のことを心配して、名前を呼んでくれて、
他の人からしたらそのくらいのこと、と思われるかもしれないが私には本当に嬉しいことだった。
「私の名前を呼んでくれて、私のことを心配してくれて。嘘でもうれしいです。」
こんなに人に対して気持ちを伝えることは初めてだった。
ましてや会ってまだ間もないのに。
自分の口からこんなに素直に伝えられた、、
「レイ、そんなことを言うな。嘘じゃない。」
ロイドが真っ直ぐこちらを向いてそう言う。
会ったばかりのロイドは随分猫を被ってた?ようだった。
言葉遣いがまるで違った。いまはすごく真っ直ぐ
「俺はサクラ、としか聞いてないからレイという名前なんて知らなかったんだ。俺の方が先に会ったのに、ハーブスに知らないんですか?と言われた気持ちも考えてくれ」
拗ねたような顔をしているロイド。
王子、といっても過言ではないくらいにキラキラしていてかっこいい人間なのにこうも可愛く見えるものなのかと驚くレイ。
「えと、ごめんなさい?」
一応謝っておこう、
「それでいったら私も」
そうすると左から次はハーブルさんから声がかかる
「私はずっとハーブルさんと呼ばれています。私も呼び捨てで呼ばれたい」
ハーブルさんが呼び捨てで呼ばれたいなんて思っていたことなんて初めて知った。気にしていたらしい。
「えと、ハーブル?」
「はい」
本当に嬉しい、と伝わるような顔で微笑まれる。
私はずっと1人だったのだから人と話すことはあまり得意ではないしどうしていいかわからなくなる。
そんな私に随分高レベルなことを要求してくる2人に慌てるのだった。
でも、それでも嬉しい。
こんな幸せな気分になれる夢なら目覚めないで欲しい。
そうレイは強く思うのであった。
________________________...
それから騎士団の人たちに助けられ、ここにきて2日が経った。
"安静にすること"とハーブルに強く言われて大人しくベッドにいることにした。
だがそんなに長く居ていいものだろうか、とも思う
迷惑、、ではないだろか?
体調も少しずつ良くなり、話を聞いているとこの世界のこともなんとなくわかってきた。
魔物、騎士団、王都
どれも身近なものではなかった。
本やアニメとかでしか触れたことのない言葉
そしてこの部屋から見える景色
少なからず日本ではないだろう。
レンガ調の街並み、鋭い剣を持って鎧を身につけた騎士たち。
そして極め付けは魔法が使える世界ということ。
私は確実に違う世界にいると理解するしかなかった
でもなんで言葉もわかるのか、
なんでここにいるのか
これからどうしよう。
"コンコン…"
色々なことを考えすぎて暗い気持ちになりそうな時にドアの音がなる
「レイちゃん、いま大丈夫かな?」
ハーブルの声だ
「はい、大丈夫です」
「ありがとうございます、そろそろ1人の時間も増えて色々考え出す時間かなと思って。どうですか?当たりかな?」
なん、で。
なんでわかったんだろう。
「バレバレですよ、そういう時は私に相談してください。なにが心配で、どうしたいのか、それがわからないならどうすればいいのかと。1人で抱え込むのが1番いけないですからね。」
いままで1人で居たから誰かに相談しようなんて1ミリも考えが浮かばなかった。
「私を頼ってくださいね」
出会ってから短いのに、なんでそんなこと言ってくれるんだろう。
なにも持っていないのにどうしたら。
でも、頼り方なんてわからないけど、本当に嬉しい言葉だった。
「はい、ありがとうございます。」
ここにきて嬉しいことばかりだ。
自分の都合のいい夢でもみているのだろうか。
それならずっと醒めなければいいのに。と
「、、あの。これから、どうすればいいでしょうか」
「うん、そうですね__」
人に頼るとはなんとも不思議な気分になるんだな。
あんなにぐるぐる悩んでいたのに、この一言を言っただけで半分くらい軽くなった気分だった
すごいな、
_________...
それからはハーブルさんとこれからについて色々話をした。
記憶が曖昧で遠くから来たことしか覚えていない少女。
そんな危ない者になにができるのか、なにもできないのにこんなよくしてくれていいのだろうか。
「そうですね、この寮には何人かの使用人がいます。
寮のことを色々やってくれているので相談してみようと思いますがレイちゃんはそれで大丈夫?」
寮の使用人
お掃除係のようなものだろうか。
「ぜひ、お願いします、、」
「はい、話を通しておきますね、あそこは年中人手不足なので大丈夫かと。また動きがあればお伝えしますね」
高校生の時はアルバイトとか特に多くやっていたため役に立てばいいなと思うのであった。
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