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4 ほぼ毎日が最終決戦
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勇者を名乗る輩も、最初のヤツらはカワイイものだったのだ。自分が出なくとも、ゴーレムたちで仕事が済んだ。
しかも魔物退治にかこつけて儲けようってな不届き者が多かったので、容赦なく懲らしめられてやれた。檻に入れたそいつ等を町に引き渡すと、大抵がお尋ね者で、結構な金稼ぎになったのである。換金は侍女ちゃんたちに、魔物の護衛を付けて行ってもらっている。
リリカも変なやつに嫁ぐ羽目にならずに済むし、一石二鳥だったのだ。
が。
こんな、ならず者たちでは太刀打ちできないと悟ったのか? 段々「勇者様」のレベルが上がってきているのだ。
何しろ先日の「勇者」たちで、丸1日仕事だった。その前でも半日かかったし、何しろ向こうは複数人なので、矢継ぎ早に襲ってくる。
とはいえ「勇者様」のレベルは、技や体力だけでない。知力、人格のスキルも高くなっている。中には、こずるい男もいるが、おおむねリリカを嫁がせても良いぐらいには、いい男がやって来るようになった。
なんて言ったら、リリカが怒るかな?
「何を余所見している!」
勇者に叫ばれ、振り下ろされる剣の音に、ハッとする。考え事してる場合ではない。慌てて避けた。勇者の剣が背後の木を切り倒した。
新規ご一行様との真っ最中である。
供は不要! と、パヤパたちを魔宮に残して森に来たものの、ゴーレムたちには手伝ってもらったら良かったかなぁ。今からでも召喚できるよなぁ。
と思うも、気が乗らない。
何しろ本当に清々しい男で、仲間たちにも「手出しをするな」と言うぐらいなのだ。
勇者と私の、一騎打ちだ。
ドラ○エでもF○でも、魔王にはパーティで向かうものだというのに。
「これは失礼」
つい上の空になってしまったことを謝ったら、笑いが漏れた。とはいえ、キッツイ悪魔メイクの微笑みだ。馬鹿にされたと思ったらしい勇者の激昂を煽っただけだった。
「何がおかしい!」
と叫ばれて、本当のことを言ったら更に怒るだろうなぁ。
怒りに任せて空を切る太刀筋は、最初こそ鋭かったが、今となってはヘロヘロだ。そりゃそうだろう、こっちだってヘロヘロだ。武器が扱えないので風を起こしたり岩を飛ばしたりと頑張ってたら、魔力も尽きるというものだ。
太陽はちゃんと一個で、東から登り西に沈みゆく。もうすぐ日暮れである。
が、この間の「勇者」より強い勇者様は、まだまだ倒れてくれそうにない。停戦と行きたいが、きっとこのまま夜まで戦うことだろう。
なんかもう、負けてもいいかな。
などと弱音が脳裏をよぎった。
魔物たちが全滅させられるとは限らない。そこは交渉次第だろう。
どうせ魔王は滅びたら、次の魔王が生まれ変わるシステムだ。私もそうやって、いきなり「魔王」として君臨していた。
この勇者なら、リリカが嫁ぐにも良いだろうと思える。鎧を着込んでいるので顔が分からないものの、身体つきは細マッチョ、身長差も申し分なく何より仲間を思う様子と、森に入ったとて手当たり次第に魔物を殺しまくるような阿呆でもなかったところが良い。
自分も疲れているし、勇者の剣もヘロヘロだ。もう休ませてやりたい気分になっている。
汗が目に入るのを拭う。マントの端に、メイクがべっとり貼り付いた。この世界じゃ品質の悪い白粉しかない。汗でも落ちないウォータープ○ーフもないので、ひょっとしたらマスカラも落ちまくりだ。
普通のメイクよりスゴい顔になっているかも知れない。
「お前は……」
勇者が呟く。
「?」
私の顔を見て、勇者が固まっていた。
しかも魔物退治にかこつけて儲けようってな不届き者が多かったので、容赦なく懲らしめられてやれた。檻に入れたそいつ等を町に引き渡すと、大抵がお尋ね者で、結構な金稼ぎになったのである。換金は侍女ちゃんたちに、魔物の護衛を付けて行ってもらっている。
リリカも変なやつに嫁ぐ羽目にならずに済むし、一石二鳥だったのだ。
が。
こんな、ならず者たちでは太刀打ちできないと悟ったのか? 段々「勇者様」のレベルが上がってきているのだ。
何しろ先日の「勇者」たちで、丸1日仕事だった。その前でも半日かかったし、何しろ向こうは複数人なので、矢継ぎ早に襲ってくる。
とはいえ「勇者様」のレベルは、技や体力だけでない。知力、人格のスキルも高くなっている。中には、こずるい男もいるが、おおむねリリカを嫁がせても良いぐらいには、いい男がやって来るようになった。
なんて言ったら、リリカが怒るかな?
「何を余所見している!」
勇者に叫ばれ、振り下ろされる剣の音に、ハッとする。考え事してる場合ではない。慌てて避けた。勇者の剣が背後の木を切り倒した。
新規ご一行様との真っ最中である。
供は不要! と、パヤパたちを魔宮に残して森に来たものの、ゴーレムたちには手伝ってもらったら良かったかなぁ。今からでも召喚できるよなぁ。
と思うも、気が乗らない。
何しろ本当に清々しい男で、仲間たちにも「手出しをするな」と言うぐらいなのだ。
勇者と私の、一騎打ちだ。
ドラ○エでもF○でも、魔王にはパーティで向かうものだというのに。
「これは失礼」
つい上の空になってしまったことを謝ったら、笑いが漏れた。とはいえ、キッツイ悪魔メイクの微笑みだ。馬鹿にされたと思ったらしい勇者の激昂を煽っただけだった。
「何がおかしい!」
と叫ばれて、本当のことを言ったら更に怒るだろうなぁ。
怒りに任せて空を切る太刀筋は、最初こそ鋭かったが、今となってはヘロヘロだ。そりゃそうだろう、こっちだってヘロヘロだ。武器が扱えないので風を起こしたり岩を飛ばしたりと頑張ってたら、魔力も尽きるというものだ。
太陽はちゃんと一個で、東から登り西に沈みゆく。もうすぐ日暮れである。
が、この間の「勇者」より強い勇者様は、まだまだ倒れてくれそうにない。停戦と行きたいが、きっとこのまま夜まで戦うことだろう。
なんかもう、負けてもいいかな。
などと弱音が脳裏をよぎった。
魔物たちが全滅させられるとは限らない。そこは交渉次第だろう。
どうせ魔王は滅びたら、次の魔王が生まれ変わるシステムだ。私もそうやって、いきなり「魔王」として君臨していた。
この勇者なら、リリカが嫁ぐにも良いだろうと思える。鎧を着込んでいるので顔が分からないものの、身体つきは細マッチョ、身長差も申し分なく何より仲間を思う様子と、森に入ったとて手当たり次第に魔物を殺しまくるような阿呆でもなかったところが良い。
自分も疲れているし、勇者の剣もヘロヘロだ。もう休ませてやりたい気分になっている。
汗が目に入るのを拭う。マントの端に、メイクがべっとり貼り付いた。この世界じゃ品質の悪い白粉しかない。汗でも落ちないウォータープ○ーフもないので、ひょっとしたらマスカラも落ちまくりだ。
普通のメイクよりスゴい顔になっているかも知れない。
「お前は……」
勇者が呟く。
「?」
私の顔を見て、勇者が固まっていた。
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