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10 相談しましょ、そうしましょ
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片付けるべき問題は2つ。
リリカの今後と、次々送られてくる勇者ご一行をどうするか、だ。
リリカはここが居心地が良いと言ってくれてるし、勇者が襲ってくることも、それで市場が潤っているのだからと言われれば、やる価値はあった。
が、今だけの話だ。
しびれを切らした王都から、軍隊が来ないとも限らない。そうなったら全面戦争だ。
ベンジャミンが言う。
「いったん私は王都に戻り、王に報告をします。リリカ王女はさらわれたのでなく、匿われているのだと。魔王様が辺境の町を襲ったのは悪徳商人を諌めるためであり、その後の復興には尽力している。むしろ手を取り合って、この国と魔界で協定を結ぶべきだと」
「そう上手く行けば良いけど」
愚直な男だけに信じたいけど、人間、そう簡単なモンじゃない。相手はあくまで魔物だ。私のような人間体なら受け入れられようものの、そうでなければ同じ土俵などとは考えられないものではないか。
前世がそうであったように。
だが、この世界の魔物が人間を食糧にするタイプじゃないだけでも、突破口は大きい。こちらには広大な森、人間たちには文化がある。交流できれば補い合える。
くすんだ金髪は短く揃えられて、戦いの邪魔にならない。
鋭い眼光は深く暗いが、ふと微笑むと目尻が下がる。
通った鼻筋、引き結んだ薄い唇。鎧を着ていた割に、顔にも無数の傷がある。
「何か?」
ベンジャミンが目を背けたので、我に返った。すっかり凝視してた!
「いえ……鎧を着ていたのに、顔にも傷があるので、つい」
と、どもる。
執務室で良かった。王の間なら衛兵が立ち並ぶ上に距離もあって、こんなにまじまじとは見つめられない。いや、ある意味、王の間の方にしておくべきだったかも知れないが。
私の顔も上気した。
王の化粧も、今日はしていない。施したのは、普通の化粧だ。白粉と赤い口紅。どうせ素顔を見られてるのだから、それでいいやと思ってのことである。赤い頬が隠せない。
「魔王様とは思えませんな」
「なっ」
「まるで人間の娘だ」
上気が冷めた。
「人らしからぬ力で、くびり殺してくれようか」
「お望みなら」
と、ベンジャミンが頭を上げて、首をさらす。
「私は一度あなたに破れた身。仲間の謀略をも見逃して下さった魔王様に、これ以上の不義を働く訳には参りません」
どこまでも真面目だ。
いったん引き上げて鍛え直して、また挑む……という道もあるだろうに。まぁまた来られたら次は勝てるか分からないし、これ以上強い勇者に攻め入られても困るので、協定が結べるなら、そうしたい。
ドアを叩く音がした。
「魔王様」
リリカの声だ。
入室を許すとリリカは「2つ、案があります」と言い出した。
「一つは、ずっと考えていたことです。私が王都に行かないと、と」
「あっ」
思わず口から漏れてしまい、二人ともが目をパチクリした。
「考えてなかったんですか?!」
改めて聞かれると、自分でもビックリだ。本当に考えていなかった。だって嫌がってたし。リリカを王に返して済む話じゃないと思ってたし。
リリカは髪を撫で上げ、はぁ~と大きな溜め息をついた。
「魔王様、お人好し」
まぁ仕事できない魔王なんで。
「ちなみに王都には、魔王様も一緒に来て下さい。私が逆賊に狙われたりしたら元も子もないので」
その可能性はあるよね。
私はリリカに頷いた。
「もう一つの案ですが」
魔王も王都に行くことが、2つ目の案じゃなかったんだ?
「魔王様と勇者様が、結婚するのです」
今度は私と、ベンジャミンが固まった。
「はぁあぁ?!」
リリカの今後と、次々送られてくる勇者ご一行をどうするか、だ。
リリカはここが居心地が良いと言ってくれてるし、勇者が襲ってくることも、それで市場が潤っているのだからと言われれば、やる価値はあった。
が、今だけの話だ。
しびれを切らした王都から、軍隊が来ないとも限らない。そうなったら全面戦争だ。
ベンジャミンが言う。
「いったん私は王都に戻り、王に報告をします。リリカ王女はさらわれたのでなく、匿われているのだと。魔王様が辺境の町を襲ったのは悪徳商人を諌めるためであり、その後の復興には尽力している。むしろ手を取り合って、この国と魔界で協定を結ぶべきだと」
「そう上手く行けば良いけど」
愚直な男だけに信じたいけど、人間、そう簡単なモンじゃない。相手はあくまで魔物だ。私のような人間体なら受け入れられようものの、そうでなければ同じ土俵などとは考えられないものではないか。
前世がそうであったように。
だが、この世界の魔物が人間を食糧にするタイプじゃないだけでも、突破口は大きい。こちらには広大な森、人間たちには文化がある。交流できれば補い合える。
くすんだ金髪は短く揃えられて、戦いの邪魔にならない。
鋭い眼光は深く暗いが、ふと微笑むと目尻が下がる。
通った鼻筋、引き結んだ薄い唇。鎧を着ていた割に、顔にも無数の傷がある。
「何か?」
ベンジャミンが目を背けたので、我に返った。すっかり凝視してた!
「いえ……鎧を着ていたのに、顔にも傷があるので、つい」
と、どもる。
執務室で良かった。王の間なら衛兵が立ち並ぶ上に距離もあって、こんなにまじまじとは見つめられない。いや、ある意味、王の間の方にしておくべきだったかも知れないが。
私の顔も上気した。
王の化粧も、今日はしていない。施したのは、普通の化粧だ。白粉と赤い口紅。どうせ素顔を見られてるのだから、それでいいやと思ってのことである。赤い頬が隠せない。
「魔王様とは思えませんな」
「なっ」
「まるで人間の娘だ」
上気が冷めた。
「人らしからぬ力で、くびり殺してくれようか」
「お望みなら」
と、ベンジャミンが頭を上げて、首をさらす。
「私は一度あなたに破れた身。仲間の謀略をも見逃して下さった魔王様に、これ以上の不義を働く訳には参りません」
どこまでも真面目だ。
いったん引き上げて鍛え直して、また挑む……という道もあるだろうに。まぁまた来られたら次は勝てるか分からないし、これ以上強い勇者に攻め入られても困るので、協定が結べるなら、そうしたい。
ドアを叩く音がした。
「魔王様」
リリカの声だ。
入室を許すとリリカは「2つ、案があります」と言い出した。
「一つは、ずっと考えていたことです。私が王都に行かないと、と」
「あっ」
思わず口から漏れてしまい、二人ともが目をパチクリした。
「考えてなかったんですか?!」
改めて聞かれると、自分でもビックリだ。本当に考えていなかった。だって嫌がってたし。リリカを王に返して済む話じゃないと思ってたし。
リリカは髪を撫で上げ、はぁ~と大きな溜め息をついた。
「魔王様、お人好し」
まぁ仕事できない魔王なんで。
「ちなみに王都には、魔王様も一緒に来て下さい。私が逆賊に狙われたりしたら元も子もないので」
その可能性はあるよね。
私はリリカに頷いた。
「もう一つの案ですが」
魔王も王都に行くことが、2つ目の案じゃなかったんだ?
「魔王様と勇者様が、結婚するのです」
今度は私と、ベンジャミンが固まった。
「はぁあぁ?!」
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