11 / 15
11 女は度胸と誰かが言った
しおりを挟む
「魔王様と勇者様が結婚となれば、両国の絆が強まります。それに王家の血筋にも関係のない勇者様なら、おかしなお家騒動にも巻き込まれません。戦っているうちに愛が芽生えたとか言えば良いでしょう」
それは、まぁ……実際にそうだったりする。
私は。
「魔王様を討ち取ろうとする奸賊も牽制できますし、私も望まない結婚から逃れられて、ウィンウィンです」
さっぱりとした笑顔で紡ぐ言葉には、説得力がある。でも、ここはリリカの立場からすれば、リリカがベンジャミンと結婚するべきなのでは。
「リリカはどうするの」
「魔宮に戻って来たいです」
一辺の曇りもない瞳。本気で気に入ってくれているのだ、今の暮らしを。
「王都に追われず殺される不安もない日々を過ごせている、今が幸せなのです」
「リリカ……」
「このまま、侍女として雇い続けて下さい」
瞳が潤んでいる。涙をこらえてまで訴える言葉が、ここにいたい、などと。上司冥利につきるというものだ。
「魔王様、私どもも!」
と、扉がバーンと開いた。
このパターン、どっかで見たな。
「ここでお仕えしている日々を、私たちを、突き放さないで下さい!」
他の侍女ちゃんたちも、みんなが私に懇願してくれるのを見ていたら、私まで泣けてくる。彼女らを連れてきたこと、ここで働いてもらうことが間違いじゃなかったんだと肯定されて嬉しい。
「しないよ。今まで通り、働いてもらうから。ありがとう」
「魔王様~」
抱きつかれんばかりに喜んでもらえたら、そりゃ嬉しい。うっかり許しちゃう。
でも、王女と結婚とは別!
「とはいえ、あのさ。プラン2は、要らないんじゃないかな。結婚しなくても」
「いえ、要ります!」
と強い返事。
「両国の絆を深めるためにも、婚姻は重要です」
それは分からんでもない。
でもベンジャミンが嫌でしょうよ、こんな見た目が地味な、よりにもよって魔王だし。
と、思ったら。
「私も、私が魔王殿と婚姻を交わすことで物事が上手く運ぶのなら、これに越したことはありません」
どこまでも実直だ。
「いや、結婚なんて、真の愛を誓いあうモンじゃない……の……?」
言う言葉が段々萎んでしまった。
ベンジャミンが、顔を真っ赤にしているせいだ。
「え?」
ベンジャミンを見上げ、リリカを見る。戸口の侍女ちゃんたちも、何やらニヤニヤしている。この空気が分からないほど鈍感な訳ではない。
とはいえ、にわかには信じがたい。
「あの、魔王殿」
ベンジャミンからの呼ばれ方が「様」から「殿」になっている。
「はい」
声が上ずってしまった。
だってこんな、いきなりそんな流れになるとか思わないじゃんね?!
「アイツと同じにはなりたくないのですが……」
と前置きする、歯噛みする顔も何やら可愛く見える。
「いや、しかし」
などと、出しかけた言葉を飲み込んで、ウロウロと歩きだす。煮えきらない様子に、周囲で侍女ちゃんたちが「きぃいぃっ」と、なっている。
マントを貸したり、侍女部屋に匿ったりしていたのだ。その間の様子や会話から、彼女らは察しているのだろう。
っていうか私が考えていることで合っているなら、むしろベンジャミンから、だだ漏れってことなんだけど。
私から言うしかないか。
「今夜、」
と、口火を切った。もう、もし私の予想が違っても良いや。
立ち上がり、胸を張る。
「私の寝室に来るが良い」
よっしゃ震えずに言い切った!
侍女ちゃんたちが「カッコいいーっ!」と、沸いてくれていた。
それは、まぁ……実際にそうだったりする。
私は。
「魔王様を討ち取ろうとする奸賊も牽制できますし、私も望まない結婚から逃れられて、ウィンウィンです」
さっぱりとした笑顔で紡ぐ言葉には、説得力がある。でも、ここはリリカの立場からすれば、リリカがベンジャミンと結婚するべきなのでは。
「リリカはどうするの」
「魔宮に戻って来たいです」
一辺の曇りもない瞳。本気で気に入ってくれているのだ、今の暮らしを。
「王都に追われず殺される不安もない日々を過ごせている、今が幸せなのです」
「リリカ……」
「このまま、侍女として雇い続けて下さい」
瞳が潤んでいる。涙をこらえてまで訴える言葉が、ここにいたい、などと。上司冥利につきるというものだ。
「魔王様、私どもも!」
と、扉がバーンと開いた。
このパターン、どっかで見たな。
「ここでお仕えしている日々を、私たちを、突き放さないで下さい!」
他の侍女ちゃんたちも、みんなが私に懇願してくれるのを見ていたら、私まで泣けてくる。彼女らを連れてきたこと、ここで働いてもらうことが間違いじゃなかったんだと肯定されて嬉しい。
「しないよ。今まで通り、働いてもらうから。ありがとう」
「魔王様~」
抱きつかれんばかりに喜んでもらえたら、そりゃ嬉しい。うっかり許しちゃう。
でも、王女と結婚とは別!
「とはいえ、あのさ。プラン2は、要らないんじゃないかな。結婚しなくても」
「いえ、要ります!」
と強い返事。
「両国の絆を深めるためにも、婚姻は重要です」
それは分からんでもない。
でもベンジャミンが嫌でしょうよ、こんな見た目が地味な、よりにもよって魔王だし。
と、思ったら。
「私も、私が魔王殿と婚姻を交わすことで物事が上手く運ぶのなら、これに越したことはありません」
どこまでも実直だ。
「いや、結婚なんて、真の愛を誓いあうモンじゃない……の……?」
言う言葉が段々萎んでしまった。
ベンジャミンが、顔を真っ赤にしているせいだ。
「え?」
ベンジャミンを見上げ、リリカを見る。戸口の侍女ちゃんたちも、何やらニヤニヤしている。この空気が分からないほど鈍感な訳ではない。
とはいえ、にわかには信じがたい。
「あの、魔王殿」
ベンジャミンからの呼ばれ方が「様」から「殿」になっている。
「はい」
声が上ずってしまった。
だってこんな、いきなりそんな流れになるとか思わないじゃんね?!
「アイツと同じにはなりたくないのですが……」
と前置きする、歯噛みする顔も何やら可愛く見える。
「いや、しかし」
などと、出しかけた言葉を飲み込んで、ウロウロと歩きだす。煮えきらない様子に、周囲で侍女ちゃんたちが「きぃいぃっ」と、なっている。
マントを貸したり、侍女部屋に匿ったりしていたのだ。その間の様子や会話から、彼女らは察しているのだろう。
っていうか私が考えていることで合っているなら、むしろベンジャミンから、だだ漏れってことなんだけど。
私から言うしかないか。
「今夜、」
と、口火を切った。もう、もし私の予想が違っても良いや。
立ち上がり、胸を張る。
「私の寝室に来るが良い」
よっしゃ震えずに言い切った!
侍女ちゃんたちが「カッコいいーっ!」と、沸いてくれていた。
0
あなたにおすすめの小説
『異世界ガチャでユニークスキル全部乗せ!? ポンコツ神と俺の無自覚最強スローライフ』
チャチャ
ファンタジー
> 仕事帰りにファンタジー小説を買った帰り道、不運にも事故死した38歳の男。
気がつくと、目の前には“ポンコツ”と噂される神様がいた——。
「君、うっかり死んじゃったから、異世界に転生させてあげるよ♪」
「スキル? ステータス? もちろんガチャで決めるから!」
最初はブチギレ寸前だったが、引いたスキルはなんと全部ユニーク!
本人は気づいていないが、【超幸運】の持ち主だった!
「冒険? 魔王? いや、俺は村でのんびり暮らしたいんだけど……」
そんな願いとは裏腹に、次々とトラブルに巻き込まれ、無自覚に“最強伝説”を打ち立てていく!
神様のミスで始まった異世界生活。目指すはスローライフ、されど周囲は大騒ぎ!
◆ガチャ転生×最強×スローライフ!
無自覚チートな元おっさんが、今日も異世界でのんびり無双中!
異世界転生おじさんは最強とハーレムを極める
自ら
ファンタジー
定年を半年後に控えた凡庸なサラリーマン、佐藤健一(50歳)は、不慮の交通事故で人生を終える。目覚めた先で出会ったのは、自分の魂をトラックの前に落としたというミスをした女神リナリア。
その「お詫び」として、健一は剣と魔法の異世界へと30代後半の肉体で転生することになる。チート能力の選択を迫られ、彼はあらゆる経験から無限に成長できる**【無限成長(アンリミテッド・グロース)】**を選び取る。
異世界で早速遭遇したゴブリンを一撃で倒し、チート能力を実感した健一は、くたびれた人生を捨て、最強のセカンドライフを謳歌することを決意する。
定年間際のおじさんが、女神の気まぐれチートで異世界最強への道を歩み始める、転生ファンタジーの開幕。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
異世界転生~チート魔法でスローライフ
玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています
ヤンデレ王子を闇落ちから救ったら愛執まみれの独占欲に囚われました
大江戸ウメコ
恋愛
幼い頃に精霊の祝福である未来視の力が開花し、「夫である第二王子ナハルドに殺される」という己の運命を知った伯爵令嬢ツィーラ。この悲惨な未来を変えるべく、ツィーラは彼を避けようとしたが、ひょんなことから婚約者に選ばれてしまった! ならば、ナハルドが将来闇落ちしないよう、側で彼を支えることを決意する。そんな努力の甲斐あって、ツィーラへの好意を隠さず伝えてくるほど、ナハルドとの関係は良好になった。だけど、彼の並々ならぬ執着心のすべてを、ツィーラはまだ知らなくて――
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者
哀上
ファンタジー
チートを貰い転生した。
何も成し遂げることなく35年……
ついに前世の年齢を超えた。
※ 第5回次世代ファンタジーカップにて“超個性的キャラクター賞”を受賞。
※この小説は他サイトにも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる