スナイパー令嬢戦記〜お母様からもらった"ボルトアクションライフル"が普通のマスケットの倍以上の射程があるんですけど〜

シャチ

文字の大きさ
32 / 69

32話:ミリア危機一髪

しおりを挟む
私とルーナは二人一組で常に活動している。
最近ではだいたい3日間ぐらいは森や林に居るというような状態だ。
敵補給線の徹底的な破壊と、接敵した斥候の撃退が主な任務になっている。
「正面、斥候がいます」
「確認した…」

パスッ

もう引き金を引くのに躊躇はない。
軽装な斥候の頭に命中し吹き飛ぶ脳漿が見えてしまい目を伏せる。
最近は夜眠る時間が明らかに短くなっている。
脳裏に敵が吹き飛ぶ瞬間が浮かんでしまい目が覚めるのだ。
何度かルーナに抱きしめてもらって眠ることがあった。
ボルトを回転させて次弾を装填して、排莢された空薬莢を拾う。
この音だけは消せないわね…
「これで103人目ですね」
「なんで、毎日わざわざ林に入ってくるのかしらね」
もちろん偵察の為だろうけど。
もうすぐ日が暮れる。
帝国の斥候や輸送部隊の護衛達は夜にわざわざ火を焚いていた。
おかげでわかりやすく敵を確認できたので夜間でも銃撃を行っていたのだけれど、そのせいで帝国軍は夜でも火をたかなくなってしまった。

*****
「ルーナ、先に眠るわね」
夜になる前に夕食を取った後、先に眠るのは大体私から。
体内時計の感覚が間違いないルーナに起きていてもらい、交代で私が明けまでの寝ずの番をする。
「…ミリア様お待ちください。臨戦態勢を」
そういわれ私は地面に置いていた銃をすぐに手に取りギリースーツをかぶりなおす。
いつもは双眼鏡しか手に持っていないルーナが銃とナイフを取り出す。
「なにがあったの」
私はいつも以上の声の小ささでルーナに問いかけた。
「敵です、普通の斥候ではありません…」
「暗殺者の類ってこと?」
「えぇそうなりますミリア様絶対に動かないでください」
私が頷くとルーナは素早く私のもとを離れた。
敵の気配を私ではつかめないけれど、ルーナはつかんでいるらしい。
ルーナの持つナイフはあえて黒染めされており光をほぼ反射しない。彼女が少し距離をとれば夜の闇に紛れそして迷彩柄の服のせいでどこにいるかなんて追いかけられなくなる。
私はルーナに言われた通り木を背にしてしゃがみ込んだまま銃を持つ。
そして銃に迷彩柄の毛布をかぶせて完全に動かないように体勢を整えた。
この姿勢なら長時間動かないでいられる。

*****
しばらく時間がたったと思う。
カサッと斜め後方から落ち葉を踏む音がわずかにした。
近い!
体や首を動かさずに目線だけ動かし周囲を見渡すが何も見えない。
そう思っていた時、目の前に黒い塊が落ちてきてゆっくりと立ち上がる。
「貴様がアヤタルか!!」
細身だが背の高い男の双眼が私をとらえている。
きっとこの男私の事を探していたんだ。
最近私は王国軍内で”アヤタル”なんてたいそうな渾名をもらってしまっている。
私は慌てて銃を構えようとしたが衝撃を受けて銃が飛ばされてしまった!
男がライフルを蹴り飛ばしたようだ。
「その首貰った!」
漆黒の衣装を身に着けた男の手が上がる。
ルーナと同じように黒塗りにされたナイフが私の視界に入る。

バスッチューン!!
「ぐっ」
ライフルとは違う音が響いて男が突然膝をつく。
私は慌てて立ち上がり男が持っていたナイフを蹴り飛ばした。
それとほぼ同時にルーナの横顔が見えた。
ルーナは片手に銃を持ったまま男を殴りつけ、左手で持っていたナイフで喉を掻っ切った。
「!!」
「お嬢様ご無事ですか」
私は目の前の出来事が信じられないまま頷く。
「すぐに荷物をまとめて撤退しましょう」
そういわれルーナは蹴り飛ばされたライフルを拾って私に渡してくれる。
確かに危なかった。
まさか物語でしか聞いたことがないような暗殺者に狙われるなんて思わなかったもの…
私とルーナは急いで王国軍本陣へと戻ることにした。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

神様、ちょっとチートがすぎませんか?

ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】 未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。 本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!  おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!  僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇  ――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。  しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。  自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。 へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/ --------------- ※カクヨムとなろうにも投稿しています

義妹がピンク色の髪をしています

ゆーぞー
ファンタジー
彼女を見て思い出した。私には前世の記憶がある。そしてピンク色の髪の少女が妹としてやって来た。ヤバい、うちは男爵。でも貧乏だから王族も通うような学校には行けないよね。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

いきなり異世界って理不尽だ!

みーか
ファンタジー
 三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。   自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!

巻き込まれ召喚・途中下車~幼女神の加護でチート?

サクラ近衛将監
ファンタジー
商社勤務の社会人一年生リューマが、偶然、勇者候補のヤンキーな連中の近くに居たことから、一緒に巻き込まれて異世界へ強制的に召喚された。万が一そのまま召喚されれば勇者候補ではないために何の力も与えられず悲惨な結末を迎える恐れが多分にあったのだが、その召喚に気づいた被召喚側世界(地球)の神様と召喚側世界(異世界)の神様である幼女神のお陰で助けられて、一旦狭間の世界に留め置かれ、改めて幼女神の加護等を貰ってから、異世界ではあるものの召喚場所とは異なる場所に無事に転移を果たすことができた。リューマは、幼女神の加護と付与された能力のおかげでチートな成長が促され、紆余曲折はありながらも異世界生活を満喫するために生きて行くことになる。 *この作品は「カクヨム」様にも投稿しています。 **週1(土曜日午後9時)の投稿を予定しています。**

生贄にされた少年。故郷を離れてゆるりと暮らす。

水定ゆう
ファンタジー
 村の仕来りで生贄にされた少年、天月・オボロナ。魔物が蠢く危険な森で死を覚悟した天月は、三人の異形の者たちに命を救われる。  異形の者たちの弟子となった天月は、数年後故郷を離れ、魔物による被害と魔法の溢れる町でバイトをしながら冒険者活動を続けていた。  そこで待ち受けるのは数々の陰謀や危険な魔物たち。  生贄として魔物に捧げられた少年は、冒険者活動を続けながらゆるりと日常を満喫する!  ※とりあえず、一時完結いたしました。  今後は、短編や別タイトルで続けていくと思いますが、今回はここまで。  その際は、ぜひ読んでいただけると幸いです。

処理中です...