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第1章 第二の人生
プロローグ 死んで、生まれ変わって
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気温が暖かくなり、桜が咲き誇る春、俺は受かった高校へ行く為に通学バスを待っていた。
同じようにバスを待っている子達の楽しそうな話し声、鞄を持って徒歩で通学している人達、全てが新鮮に感じ期待が胸に満ちる感覚⋯⋯。
────それらを遮断するように俺は、スマホにイヤホンを繋げ、音を漏れない程度に大きくして耳に付ける。
鬱々とした気持ちのまま⋯⋯ただ、音楽を聴きながら静かに待つ。
十数分程すると右手側から赤い車体のバスが走ってきた。バス停に停るとゆっくりとドアが開いていく。
俺はバスの中へ乗り込み一番奥の席へ向かい、右側の席に座る。
バスが動き始めると俺は目を閉じ、聴いている音楽へ意識を集中させる。
────少しして目を開けると同時にバスが激しく揺れ俺は宙に浮かんだ、刹那の時間が何時間かのように長く感じた。
物事を理解できずにいた。周りを見ようと視線を動かした次の瞬間、体を強く打ち付けられ胸と腹部に強烈な痛みが走り、目の前が段々と赤く染まっていく。
俺の意識はゆっくりとフェードアウトする様に暗くなっていく。
(あぁ、何にも出来なかったなぁ。アイツに逢えたらちゃんとあや⋯⋯ま⋯⋯らな⋯⋯い────)
そこでブツリと意識が途切れた────。
(───真っ暗だ⋯⋯何も聞こえない、何も見えない、ここは何処なんだ。なんで、俺はこんな所に居るんだ)
何もない空間で静かにか細い糸を手繰り寄せるように記憶を辿っていく。
(俺は⋯⋯そうだ。受かった高校へ行く通学バスに乗っていたんだ。そしたら⋯⋯大きな衝撃と、轟音が響いて⋯⋯そうか、俺は事故に遭ったんだな)
事故の原因なんて分からない。ただ、最後に覚えてる事は赤く染っていく景色と激しい痛みだけ。
(俺は死んだのか。死ぬと魂は地獄か天国に行くなんて話を聞いた事があるけれど、実際はこんな感じなんだな。何も無い、ただ真っ暗な空間にいるだけ)
これからどうなるんだろうか、永遠にこの暗闇を彷徨うのだろうか⋯⋯。
(あぁ、なんだか考え事、をしていたら⋯⋯眠く⋯⋯なってきた⋯⋯死んでも、眠くなるん、だ⋯⋯な)
────誰かの声が聞こえる
「⋯⋯だ⋯⋯お⋯⋯たち⋯⋯子だ」
────うるさいな、ゆっくり眠れないだろ。
「俺たち⋯⋯だぞ」
────でも不思議だ。うるさいけど、なんだか落ち着く声。
その声の主が気になり、目をゆっくり開けると光が目に入り微かに痛みを感じる。
目が慣れ始め視界が鮮明になっていく。
ハッキリと見えるようになった時、目に入ったのは手を伸ばせば触れれる距離にいる男性と女性だった。
男性は俺をじっと見つめ、女性は見下ろす形で見ている。
(この感じ、それにこの視点⋯⋯もしかして、今この女性に抱かれてる?⋯⋯いやいやいや、どういう状況なんだよ。お、落ち着け⋯⋯落ち着くんだ)
軽い深呼吸をしたあと、男性が何かを喋っている事に気付いた。
声は曇ったように鮮明に聞こえないけれど、その内容は少しだけ理解できた。聞いたことも無い言語なのに⋯⋯。
「エリザ⋯⋯俺達⋯⋯子だ⋯⋯よく⋯⋯たな! ああ、息子よ⋯⋯産まれてきてくれてありがとう!」
(俺達の子⋯⋯産まれてきてくれて? 何を言ってるんだろう)
エリザというのはこの女性の名前だと分かる。
そして、この男性が喋っていた内容から考えるに⋯⋯俺は、生まれ変わったってことなのか?
酷く冷静な自分に驚いている。生まれ変わり、漫画やアニメでしか聞いた事がない⋯⋯その生まれ変わりを自分が実際に経験することになるなんて思ってもいなかった。
(この二人が俺の両親だってのはバカでも分かる。逆にこの流れで両親じゃなかったらクレームを入れたい所だね)
「クリス、大きな声を出しちゃダメよ。この子が驚いちゃう」
エリザと呼ばれていた女性が喋る。
「あぁ、すまん。嬉しくてつい」
クリスと呼ばれた男性がそう言うと女性は小さく笑う。
「気持ちは分かるわ。でも、もうちょっと考えてね。それより、この子⋯⋯静かね」
「そうだな。少し心配だ」
二人はどこか不安げな表情で俺を見つめる。
(そういえば、赤ん坊って産まれた後ってすぐに産声をあげるんだっけ?)
二人が不安そうな表情で見つめてくる理由にも納得し俺は心の中で小さく頷く。
泣いて安心させなきゃいけない。けど、泣くってどうやって泣けばいいんだろう。
(適当にやってみよう)
「ぅあ、うぁぁぁん!」
泣き真似を始めると同時に涙が流れ、声も自分の意思とは関係なく出た。
唐突なことでやった自分自身が困惑していた。
「おぉ、泣いたぞ⋯⋯!」
男性が大袈裟に言う。
「一安心ね。ねぇ、クリス⋯⋯この子の名前を考えてきてくれたんでしょ?」
「ああ! この子の名前は────」
「シャドウ、あまりイタズラをしちゃダメよ!」
母さんは洗濯物の下に潜り込んでいる俺に叱咤を飛ばす。
今の俺は自分の意思で体をコントロールする事が出来ず今みたいに幼稚な行動に出てしまう。
体が自動的に年齢にあった動きをしてるんだと思う。何故そうなるのか理由はもう考えない様にしている。
────俺が産まれてからあっという間に三年という年月が過ぎた。
この世界での俺の名前はシャドウ⋯⋯シャドウ・ディハイドと言う名前らしい。
(前世だったら酷すぎるキラキラネームだなぁ。正直恥ずかしい⋯⋯けど、この世界じゃ普通なんだろうな⋯⋯普通なんだよね?)
内心不安に思いながらもそれを振り払うように別の事へ頭を働かせる。
俺は三歳になったが、未だ立って歩くことが出来ずにハイハイで移動している。
「まあまあ、エリザ。子供はイタズラしてこそだろう? 怒らなくてもいいじゃないか」
父さんは笑顔で母さんを宥めるようにして言う。
「クリスってば、そんな風に甘やかしちゃダメよ! しっかりと叱る時は叱らないと、シャドウにもしもの事が起きてからじゃ遅いのよ!」
「それはそうだけどさ⋯⋯」
宥めていたはずの父さんが逆に母さんに叱られ始める。
母さんはしっかり者のようだけど、父さんは緩いせいかよく叱られている。
「ほら、シャドウ。早く出ておいで」
小さく声を出しながら母さんの元へハイハイで向かっていく。
「いやぁ、息子って可愛いなぁ!」
父さんは緩んだ笑顔でこちらを見つめている。正直この顔をしてる父親を見ていると心がほっこりする。
(それにしてもハイハイは移動しにくいな⋯⋯赤ん坊って、三歳なら立ったり、喋ったりすることが出来るって聞いた記憶があるけど、そこら辺はやっぱ個人差ってやつなのか)
「シャドウが立って歩く所を見るのが楽しみだな」
「そうね。周りの子はもう立ってる子もいるらしいけど、他所は他所、家は家。気長に待ちましょう」
「ああ、そうだな」
俺の不安をよそに両親は楽しげに会話を弾ませている。
(少し落ち着く為に、この世界の事について現状分かっている事を頭の整理も兼ねておさらいをしよっかな)
この世界は剣や魔法、魔獣や魔物がいる王道的なファンタジー世界だ。
この世界の言語は聞いた事もないはずなのに、何故かその言葉を理解出来る。けれど、文字は読むことが出来ない。
だからアニメとかでよくある展開で、本を見て独学でこの世界について学ぶという事が出来ない。
その代わり両親の日常会話を聞き、この世界について色々と学ぶことにした。
それで得た情報は、この世界には魔法が存在すること、魔法を扱うには魔力を消費すること、この魔力をこの世界ではマナと呼ぶということ。
そして、その為の魔力は産まれた時にその量が決まるらしい。
その魔力量は小さい時から鍛えていけば成長して大きくできるという事も両親の会話から学んだ。
(自分のマナがどれくらいなのか、今は分からないけど大きくなったら確かめてみたいな)
前世では無かった非日常な世界が今ここにあって、その非日常なこの世界でこれからを生きていくと考えただけで胸が高鳴る。
俺は期待に胸を膨らませ今日を過ごしていく⋯⋯。
同じようにバスを待っている子達の楽しそうな話し声、鞄を持って徒歩で通学している人達、全てが新鮮に感じ期待が胸に満ちる感覚⋯⋯。
────それらを遮断するように俺は、スマホにイヤホンを繋げ、音を漏れない程度に大きくして耳に付ける。
鬱々とした気持ちのまま⋯⋯ただ、音楽を聴きながら静かに待つ。
十数分程すると右手側から赤い車体のバスが走ってきた。バス停に停るとゆっくりとドアが開いていく。
俺はバスの中へ乗り込み一番奥の席へ向かい、右側の席に座る。
バスが動き始めると俺は目を閉じ、聴いている音楽へ意識を集中させる。
────少しして目を開けると同時にバスが激しく揺れ俺は宙に浮かんだ、刹那の時間が何時間かのように長く感じた。
物事を理解できずにいた。周りを見ようと視線を動かした次の瞬間、体を強く打ち付けられ胸と腹部に強烈な痛みが走り、目の前が段々と赤く染まっていく。
俺の意識はゆっくりとフェードアウトする様に暗くなっていく。
(あぁ、何にも出来なかったなぁ。アイツに逢えたらちゃんとあや⋯⋯ま⋯⋯らな⋯⋯い────)
そこでブツリと意識が途切れた────。
(───真っ暗だ⋯⋯何も聞こえない、何も見えない、ここは何処なんだ。なんで、俺はこんな所に居るんだ)
何もない空間で静かにか細い糸を手繰り寄せるように記憶を辿っていく。
(俺は⋯⋯そうだ。受かった高校へ行く通学バスに乗っていたんだ。そしたら⋯⋯大きな衝撃と、轟音が響いて⋯⋯そうか、俺は事故に遭ったんだな)
事故の原因なんて分からない。ただ、最後に覚えてる事は赤く染っていく景色と激しい痛みだけ。
(俺は死んだのか。死ぬと魂は地獄か天国に行くなんて話を聞いた事があるけれど、実際はこんな感じなんだな。何も無い、ただ真っ暗な空間にいるだけ)
これからどうなるんだろうか、永遠にこの暗闇を彷徨うのだろうか⋯⋯。
(あぁ、なんだか考え事、をしていたら⋯⋯眠く⋯⋯なってきた⋯⋯死んでも、眠くなるん、だ⋯⋯な)
────誰かの声が聞こえる
「⋯⋯だ⋯⋯お⋯⋯たち⋯⋯子だ」
────うるさいな、ゆっくり眠れないだろ。
「俺たち⋯⋯だぞ」
────でも不思議だ。うるさいけど、なんだか落ち着く声。
その声の主が気になり、目をゆっくり開けると光が目に入り微かに痛みを感じる。
目が慣れ始め視界が鮮明になっていく。
ハッキリと見えるようになった時、目に入ったのは手を伸ばせば触れれる距離にいる男性と女性だった。
男性は俺をじっと見つめ、女性は見下ろす形で見ている。
(この感じ、それにこの視点⋯⋯もしかして、今この女性に抱かれてる?⋯⋯いやいやいや、どういう状況なんだよ。お、落ち着け⋯⋯落ち着くんだ)
軽い深呼吸をしたあと、男性が何かを喋っている事に気付いた。
声は曇ったように鮮明に聞こえないけれど、その内容は少しだけ理解できた。聞いたことも無い言語なのに⋯⋯。
「エリザ⋯⋯俺達⋯⋯子だ⋯⋯よく⋯⋯たな! ああ、息子よ⋯⋯産まれてきてくれてありがとう!」
(俺達の子⋯⋯産まれてきてくれて? 何を言ってるんだろう)
エリザというのはこの女性の名前だと分かる。
そして、この男性が喋っていた内容から考えるに⋯⋯俺は、生まれ変わったってことなのか?
酷く冷静な自分に驚いている。生まれ変わり、漫画やアニメでしか聞いた事がない⋯⋯その生まれ変わりを自分が実際に経験することになるなんて思ってもいなかった。
(この二人が俺の両親だってのはバカでも分かる。逆にこの流れで両親じゃなかったらクレームを入れたい所だね)
「クリス、大きな声を出しちゃダメよ。この子が驚いちゃう」
エリザと呼ばれていた女性が喋る。
「あぁ、すまん。嬉しくてつい」
クリスと呼ばれた男性がそう言うと女性は小さく笑う。
「気持ちは分かるわ。でも、もうちょっと考えてね。それより、この子⋯⋯静かね」
「そうだな。少し心配だ」
二人はどこか不安げな表情で俺を見つめる。
(そういえば、赤ん坊って産まれた後ってすぐに産声をあげるんだっけ?)
二人が不安そうな表情で見つめてくる理由にも納得し俺は心の中で小さく頷く。
泣いて安心させなきゃいけない。けど、泣くってどうやって泣けばいいんだろう。
(適当にやってみよう)
「ぅあ、うぁぁぁん!」
泣き真似を始めると同時に涙が流れ、声も自分の意思とは関係なく出た。
唐突なことでやった自分自身が困惑していた。
「おぉ、泣いたぞ⋯⋯!」
男性が大袈裟に言う。
「一安心ね。ねぇ、クリス⋯⋯この子の名前を考えてきてくれたんでしょ?」
「ああ! この子の名前は────」
「シャドウ、あまりイタズラをしちゃダメよ!」
母さんは洗濯物の下に潜り込んでいる俺に叱咤を飛ばす。
今の俺は自分の意思で体をコントロールする事が出来ず今みたいに幼稚な行動に出てしまう。
体が自動的に年齢にあった動きをしてるんだと思う。何故そうなるのか理由はもう考えない様にしている。
────俺が産まれてからあっという間に三年という年月が過ぎた。
この世界での俺の名前はシャドウ⋯⋯シャドウ・ディハイドと言う名前らしい。
(前世だったら酷すぎるキラキラネームだなぁ。正直恥ずかしい⋯⋯けど、この世界じゃ普通なんだろうな⋯⋯普通なんだよね?)
内心不安に思いながらもそれを振り払うように別の事へ頭を働かせる。
俺は三歳になったが、未だ立って歩くことが出来ずにハイハイで移動している。
「まあまあ、エリザ。子供はイタズラしてこそだろう? 怒らなくてもいいじゃないか」
父さんは笑顔で母さんを宥めるようにして言う。
「クリスってば、そんな風に甘やかしちゃダメよ! しっかりと叱る時は叱らないと、シャドウにもしもの事が起きてからじゃ遅いのよ!」
「それはそうだけどさ⋯⋯」
宥めていたはずの父さんが逆に母さんに叱られ始める。
母さんはしっかり者のようだけど、父さんは緩いせいかよく叱られている。
「ほら、シャドウ。早く出ておいで」
小さく声を出しながら母さんの元へハイハイで向かっていく。
「いやぁ、息子って可愛いなぁ!」
父さんは緩んだ笑顔でこちらを見つめている。正直この顔をしてる父親を見ていると心がほっこりする。
(それにしてもハイハイは移動しにくいな⋯⋯赤ん坊って、三歳なら立ったり、喋ったりすることが出来るって聞いた記憶があるけど、そこら辺はやっぱ個人差ってやつなのか)
「シャドウが立って歩く所を見るのが楽しみだな」
「そうね。周りの子はもう立ってる子もいるらしいけど、他所は他所、家は家。気長に待ちましょう」
「ああ、そうだな」
俺の不安をよそに両親は楽しげに会話を弾ませている。
(少し落ち着く為に、この世界の事について現状分かっている事を頭の整理も兼ねておさらいをしよっかな)
この世界は剣や魔法、魔獣や魔物がいる王道的なファンタジー世界だ。
この世界の言語は聞いた事もないはずなのに、何故かその言葉を理解出来る。けれど、文字は読むことが出来ない。
だからアニメとかでよくある展開で、本を見て独学でこの世界について学ぶという事が出来ない。
その代わり両親の日常会話を聞き、この世界について色々と学ぶことにした。
それで得た情報は、この世界には魔法が存在すること、魔法を扱うには魔力を消費すること、この魔力をこの世界ではマナと呼ぶということ。
そして、その為の魔力は産まれた時にその量が決まるらしい。
その魔力量は小さい時から鍛えていけば成長して大きくできるという事も両親の会話から学んだ。
(自分のマナがどれくらいなのか、今は分からないけど大きくなったら確かめてみたいな)
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