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仲間が増えた生活
寒い季節
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「んー、そうだね。じゃあ、新しい家を作ろうか。今ならお金もあるし、ある程度、良い家を建てられると思う。あまり大きすぎると建てられないから丁度いい大きさの家が良いね」
「二階建てより平屋の方が生活しやすいと思います。部屋の数は居間と寝室と物置、小部屋、作業室なんかも作ったら楽しいかもしれません。ニクスさんの趣味の部屋とかあってもいいんじゃないですか?」
「楽しそうだね。じゃあ、ルパとミアはどんな部屋が欲しい?」
「んーっと、私は勉強が出来て鍛錬も出来る部屋が欲しい」
ルパは文武両道なのか、どちらも好きなので強く賢くなっていく。
「私は……、お昼寝が出来るハンモックと料理が作れるキッチンが欲しいです」
「なるほど……。じゃあ、構想をまとめて作る家の内容を固めようか。冬の間は建てられないから、来年の夏から建てられるように準備していこう」
「はーい!」
ルパとミアは大きな声で返事をした。どうも、すでに嬉しそうだ。今の生活も悪くないが、もっとよくするために新しい家を建てるのも悪くない。
お湯に浸かり、体を温め、髪を桶に入れたお湯で洗う。石鹸を使い、汚れを落とした。汚れた水はプルスに燃やしてもらい、泉をなるべく汚さない。
全員が髪を洗い終えたら、さっと上がり、炎の衣を羽織り、体を冷やさないように心がける。そうすれば、お湯から出てもぽかぽかの状態を維持できた。プルスに体の表面についている無駄な水分を飛ばしてもらい、体を拭く手間を省く。
服も燃やしてもらい、においの素と汗や汚れなどを除去した。すると水で洗い、天日干ししたようないい香りが漂ってきた。ホカホカで温かく、着心地もいい。着替え終わったら両者を抱きしめ、家に帰った。
家の中で勉強をした後、歯を磨いて干し草のベッドで眠る。干し草は通気性がよく、寝汗などを蒸発させてくれるので結構寝心地がいい。まあ、フカフカのベッドで寝たいと言うのもわかるが、この干し草も悪くはなかった。
一一月が過ぎ、一二月がやって来た。
「ああー、寒い……。いー寒い、うー寒い、えーさむい、オー寒い」
ルパは僕に抱き着きながら呟く。
早朝、家の中で炭を燃やすと酸欠になるため、燃やし続けるわけにもいかず、僕たちは布団をかぶって眠っていた。布団から出なければ寒くないのだが、出れば極寒。
ルパは尻尾を出してわざと体を冷やし、僕に抱き着いてくる。ミアにキスされる前に起きてしまった。
そうなると、少々もったいないなと言う気持ちになるも、ルパが抱き着いてきたので僕も抱き着く。そのまま頬にキスをして見つめ合った。
「おはよう、ルパ。そんなに寒がりだったっけ?」
「べ、別にー。ちょっと冷えたから温まろうと思っただけ」
ルパは視線を反らし、呟いた。少しして頬にお返しのキスが飛んでくる。不意打ち攻撃のようで少々驚いたが、ルパにキスしてもらい良い気分になる。
「ありがとう、ルパ。すごく嬉しいよーっ」
「も、もう。抱き着きすぎだってば……」
僕とルパが抱き合っていると、背後から、ぬぅっと顔を出してくる雌猫が現れた。頬が風船のように膨れ、今にも破裂してしまいそうなほどだ。
「ルパちゃん、くっ付きすぎー。私もニクスさんの成分を補充したいよー」
「べ、別にこれくらい普通だし。私とニクスの仲なら、何ら問題ないもーん」
ミアとルパは朝っぱらから、言い合いを始め、取っ組み合いになる。仲が良いのは微笑ましいが、喧嘩はよくない。
「二人共、喧嘩をしたら駄目だよ。仲良くしないと、食事抜きだからね」
「ミア、大好きだよ」
「ルパちゃん、私も大好き」
ルパとミアは抱き合い、頬擦りし合う。両者共に、食事抜きが一番辛いお仕置きらしく、ある程度の喧嘩はこれでおさまる。
「二人共いい子いい子。喧嘩は基本駄目。意見を言い合うのは良いけど、相手を傷つけたり、罵倒したりするのはご法度だよ。言葉は心に傷をつけるから丁寧に使わないとね」
僕は仲直りした二名の頭を優しく撫でる。
「は、はい……」
ルパとミアは視線を下げ、潔く返事をする。
「愛情をいっぱいくれるニクスが悪い……」
「獣族をメロメロにしちゃうニクスさんが悪いです……」
ルパとミアはブツブツと呟き、僕の手を握る。両者とも、手が冷たく、寒そうだ。
僕は羽織っていた上着を脱ぎ、二名に掛ける。僕の温もりで温度が上がった上着になっており、両者とも頬を熱らせ、スンスンとにおいを嗅いでいる。
においを嗅がれるのは恥ずかしいが、嫌がっていないので気にする必要はない。
僕は木箱から炭を取り出し、囲炉裏の中央に置く。マッチで油の多い木の皮に着火させる。そのまま炭の中に燃えた木の皮を入れる。乾いた炭は火の力を受け、赤く燃える。その中に眠りこくっているプルスを入れると、暖かさが部屋を包んだ。
「よし。これで寒くない」
扉を開けると、外では雪が降っていた。鳥籠に来て雪が降る季節を経験するのは二度目だ。若草が生い茂る荒野も悪くないが、一面が真っ白に染まるのも神秘的で嫌いじゃない。
部屋の換気を行い、酸素を取り込むと、いったん寒くなったが、新鮮な空気に変わり、居心地がよくなった。
「ニクスさん。雪が降っていても鍛錬をするんですか?」
ミアはたわわな胸を弾ませながら近寄って来て、訊いてくる。
「うん。そのつもりだよ。雪の中での戦闘もあり得るし、状況が悪い時の戦いも経験できる。寒いと思った通りの動きが出来なくなるから、いい経験になるよ」
「なるほど……。言われて見たらそうですね」
「ミアは無理しなくてもいいよ。僕とルパは慣れているから、構わないけどミアは寒いの苦手でしょ。この環境にもう少し慣れてからでも構わないよ」
「いえ、私は家事が出来て戦えてニクスさんの欲求を受け止められる完璧なメイドになりたいので、一緒に鍛錬します!」
ミアは両手を握り合わせ、はっきりと言い放った。そこまで完璧なメイドさんがいるのかどうか疑い深いが、ミアならなれるかもしれない。そんな淡い期待を僕は持っている。
「二階建てより平屋の方が生活しやすいと思います。部屋の数は居間と寝室と物置、小部屋、作業室なんかも作ったら楽しいかもしれません。ニクスさんの趣味の部屋とかあってもいいんじゃないですか?」
「楽しそうだね。じゃあ、ルパとミアはどんな部屋が欲しい?」
「んーっと、私は勉強が出来て鍛錬も出来る部屋が欲しい」
ルパは文武両道なのか、どちらも好きなので強く賢くなっていく。
「私は……、お昼寝が出来るハンモックと料理が作れるキッチンが欲しいです」
「なるほど……。じゃあ、構想をまとめて作る家の内容を固めようか。冬の間は建てられないから、来年の夏から建てられるように準備していこう」
「はーい!」
ルパとミアは大きな声で返事をした。どうも、すでに嬉しそうだ。今の生活も悪くないが、もっとよくするために新しい家を建てるのも悪くない。
お湯に浸かり、体を温め、髪を桶に入れたお湯で洗う。石鹸を使い、汚れを落とした。汚れた水はプルスに燃やしてもらい、泉をなるべく汚さない。
全員が髪を洗い終えたら、さっと上がり、炎の衣を羽織り、体を冷やさないように心がける。そうすれば、お湯から出てもぽかぽかの状態を維持できた。プルスに体の表面についている無駄な水分を飛ばしてもらい、体を拭く手間を省く。
服も燃やしてもらい、においの素と汗や汚れなどを除去した。すると水で洗い、天日干ししたようないい香りが漂ってきた。ホカホカで温かく、着心地もいい。着替え終わったら両者を抱きしめ、家に帰った。
家の中で勉強をした後、歯を磨いて干し草のベッドで眠る。干し草は通気性がよく、寝汗などを蒸発させてくれるので結構寝心地がいい。まあ、フカフカのベッドで寝たいと言うのもわかるが、この干し草も悪くはなかった。
一一月が過ぎ、一二月がやって来た。
「ああー、寒い……。いー寒い、うー寒い、えーさむい、オー寒い」
ルパは僕に抱き着きながら呟く。
早朝、家の中で炭を燃やすと酸欠になるため、燃やし続けるわけにもいかず、僕たちは布団をかぶって眠っていた。布団から出なければ寒くないのだが、出れば極寒。
ルパは尻尾を出してわざと体を冷やし、僕に抱き着いてくる。ミアにキスされる前に起きてしまった。
そうなると、少々もったいないなと言う気持ちになるも、ルパが抱き着いてきたので僕も抱き着く。そのまま頬にキスをして見つめ合った。
「おはよう、ルパ。そんなに寒がりだったっけ?」
「べ、別にー。ちょっと冷えたから温まろうと思っただけ」
ルパは視線を反らし、呟いた。少しして頬にお返しのキスが飛んでくる。不意打ち攻撃のようで少々驚いたが、ルパにキスしてもらい良い気分になる。
「ありがとう、ルパ。すごく嬉しいよーっ」
「も、もう。抱き着きすぎだってば……」
僕とルパが抱き合っていると、背後から、ぬぅっと顔を出してくる雌猫が現れた。頬が風船のように膨れ、今にも破裂してしまいそうなほどだ。
「ルパちゃん、くっ付きすぎー。私もニクスさんの成分を補充したいよー」
「べ、別にこれくらい普通だし。私とニクスの仲なら、何ら問題ないもーん」
ミアとルパは朝っぱらから、言い合いを始め、取っ組み合いになる。仲が良いのは微笑ましいが、喧嘩はよくない。
「二人共、喧嘩をしたら駄目だよ。仲良くしないと、食事抜きだからね」
「ミア、大好きだよ」
「ルパちゃん、私も大好き」
ルパとミアは抱き合い、頬擦りし合う。両者共に、食事抜きが一番辛いお仕置きらしく、ある程度の喧嘩はこれでおさまる。
「二人共いい子いい子。喧嘩は基本駄目。意見を言い合うのは良いけど、相手を傷つけたり、罵倒したりするのはご法度だよ。言葉は心に傷をつけるから丁寧に使わないとね」
僕は仲直りした二名の頭を優しく撫でる。
「は、はい……」
ルパとミアは視線を下げ、潔く返事をする。
「愛情をいっぱいくれるニクスが悪い……」
「獣族をメロメロにしちゃうニクスさんが悪いです……」
ルパとミアはブツブツと呟き、僕の手を握る。両者とも、手が冷たく、寒そうだ。
僕は羽織っていた上着を脱ぎ、二名に掛ける。僕の温もりで温度が上がった上着になっており、両者とも頬を熱らせ、スンスンとにおいを嗅いでいる。
においを嗅がれるのは恥ずかしいが、嫌がっていないので気にする必要はない。
僕は木箱から炭を取り出し、囲炉裏の中央に置く。マッチで油の多い木の皮に着火させる。そのまま炭の中に燃えた木の皮を入れる。乾いた炭は火の力を受け、赤く燃える。その中に眠りこくっているプルスを入れると、暖かさが部屋を包んだ。
「よし。これで寒くない」
扉を開けると、外では雪が降っていた。鳥籠に来て雪が降る季節を経験するのは二度目だ。若草が生い茂る荒野も悪くないが、一面が真っ白に染まるのも神秘的で嫌いじゃない。
部屋の換気を行い、酸素を取り込むと、いったん寒くなったが、新鮮な空気に変わり、居心地がよくなった。
「ニクスさん。雪が降っていても鍛錬をするんですか?」
ミアはたわわな胸を弾ませながら近寄って来て、訊いてくる。
「うん。そのつもりだよ。雪の中での戦闘もあり得るし、状況が悪い時の戦いも経験できる。寒いと思った通りの動きが出来なくなるから、いい経験になるよ」
「なるほど……。言われて見たらそうですね」
「ミアは無理しなくてもいいよ。僕とルパは慣れているから、構わないけどミアは寒いの苦手でしょ。この環境にもう少し慣れてからでも構わないよ」
「いえ、私は家事が出来て戦えてニクスさんの欲求を受け止められる完璧なメイドになりたいので、一緒に鍛錬します!」
ミアは両手を握り合わせ、はっきりと言い放った。そこまで完璧なメイドさんがいるのかどうか疑い深いが、ミアならなれるかもしれない。そんな淡い期待を僕は持っている。
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