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一章 経験値として生きてます
10話 敗北のハンディ戦
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死んだ俺が目を覚ますのは、当然、いつもの畑だった。
夕暮れにも関わらずにせっせと農作物を作る俺(ぶんしん)が、この時ばかりは羨ましく思えた。
「……二人は大丈夫なのかよ!?」
今すぐにでも戻って、状況を確認すべきだろう。
畑の中で働く俺は無表情で、死んだような顔をしている。全く、俺(オリジナル)がこんなに焦っているのに、いい気なものだ。
間抜け面である。
もしかしたら、俺は役に立たずに死んでしまったのかと言う不安から、怒りを俺にぶつけるべく、分身の一人を軽く小突いた。
……。
滅茶苦茶虚しかった。
自分と同じ顔の相手に八つ当たり何て無意味な時間を取り戻すべく、急いで『ワリュウの渓谷』にもう一度、行かなければ――。
まさかとは思うけれど、クロタカさんとナツカさん。二人そろってあの化け物にやられているなんてことないよね……。
最悪の展開が脳裏をよぎる。
俺は二人が今も戦っているかもしれない領境に駆けだした。
一人、森の中を走っていると、
「リョータ!? 大将は?」
アイリさんたち撤退チームと鉢合わせになった。
そうか。死んでカラマリ領に戻った俺の方が早く帰ってきてしまったのか。
肩を貸していたサキヒデさんがバランスを崩して崩れ落ちるが、けが人よりも大将の方が心配のようである。
「分からないです。俺が囮になるって言ったんですけど、その、もしかしたら、失敗してしまって……」
足止めすら満足に行えない自分の弱さ。
もしも、これで二人が死んでしまっていたのならば、俺はどんな顔をして、アイリさん達と暮らせばいいのだろう。
下手したらカラマリ領にはいられない。
「俺、もう一度様子見てきます。もしかしたら、まだ、戦ってるかもしれないし」
「そっか。じゃあ、私も一緒に行くよ」
アイリさんがそう言って兵士から一匹、馬を譲り受けた。
助かった。
俺の脚ではどれだけ全力を出しても、その日のうちに領境に行けるかどうかも心配だったから。まあ、もしかしたら、道中ですれ違うのではないかと、密かに計算はしていたので、予定通りと言えば予定通りなのだけれど。
俺はアイリさんの後ろに跨った。
……。
アイリさんの腰細いなー。
これが緊急事態じゃなければ、もっと堪能したいのだけれど。
「ねぇ……」
「はい! なんでしょうか!?」
まさか、こんな状況下で下らないことを考えていることを見抜かれたのかと、少し汗が流れていく。
「あの武器のこと知ってるの?」
「まあ、少しだけですけど」
遠距離から引き金を引くだけで銃弾が飛ぶ、俺達の世界でもその気になれば手軽に入手できる殺傷能力の高い兵器であることを告げだ。
「そんな武器を相手に……大丈夫かな?」
アイリさんが、速度を上げる。
すると、ハクハ領のある方角から二つの影が現れた。近づくにつれてその二人が誰なのかが明確になっていく。
一人は赤く血に染まったクロタカさん。
もう一人はナツカさんだった。
二人の姿を見つけ、俺達は馬から降りて出迎えた。
「無事だったんですか……」
良かった。
クロタカさんも怪我をしてはいるみたいだけれど、でも、普通に動けるようだった。俺がしっかり足止めをしていれば、こんな怪我をしなくても良かっただろうに。
申し訳なさから頭を下げる。
「すいません」
「……なにをお前が謝っている? 謝るのはクロタカの方だ」
「え……っと」
「やはり、気付いていなかった。いいか? クロタカが――お前を殺したんだよ」
「は!?」
いや、てっきり俺はシンリに殺されたものだと思っていた。
だが、それは俺の勘違いだったようで、俺の決死のタックルが当たる前に意識を無くしたのは、シンリの前で戦っていたクロタカさんが殺したからだと言うことらしい。
どういうことなのか、俺は詳しく聞いた。
「いや、その……だな。クロタカはお前の血しぶきを目くらましに使ったんだよ。ついでに、味方を容赦なく殺して動揺も狙ったわけだ」
「経験値も渡さないし、逃げられるし、いい案だったでしょ? でも、次は倒したいなー」
クロタカさんが、俺を殺したことなんてどうでもいいと、大きく欠伸をする。あのままでは自分の命が危ないと気付いていたのか。
大人しく命令に従ってくれて良かったと、アイリに耳打ちをする大将。
「……まあ、上手く逃げれたみたいだからいいですけど!」
ハンディ戦。
カラマリ領は一位の相手に傷を負わせることなく、命からがら逃げだす結果で終わったのだった。
◇
「つまり、あの武器はお前の世界のモノだと言うことだな」
「はい……」
天守閣。
俺はとある話し合いに参加していた。
大将であるナツカさん。
参謀のサキヒデさん。
そしてアイリさんだ。
三人と話している議題は、何故、センリが俺が居た世界の武器を持っていたのかということだ。話し合いに参加と言うことになっているが――どうやら、少しだけ、俺を疑っているらしい。
主にサキヒデさんが。
「これまで、〈統一杯〉に置いて、呼び出される人間は一人だけ。つまり、その一人が、情報を流した可能性が高いですね」
「ちょっと、それってもしかして、俺を疑ってるんですか!? こっちは命を奪われたんですよ! 味方にですけど……」
「それも怪しいんですよね。いくら何でも、日頃から苦手意識を持っていたクロタカを助ける為に、自分が犠牲になりますか?」
「それは……」
まあ、言われてみれば確かにそうなんだけれども。
でも、ほら、俺って格好つけだし、目の前で人が死ぬのも、ちょっとは勘弁願いたい。その程度の気持ちで犠牲になったわけだ。
犠牲はちょっと言い過ぎか。
別に本当に死ぬわけでもないんだし。
痛い思いを済めばいいだけ。
それくらいなら、耐えてもいいかと思ったのだが。
「今思えば――自分から進んで経験値になることを受け入れるなんておかしいですよ!」
「えー」
それをお前が言いますか。
俺を殺して経験値にする契約を結ぶ発案者はあなたじゃないですか、サキヒデさん。
どうやら、拳銃で撃たれたことで、少し、思考が乱れてしまっているようだ。数日もすれば落ち着くだろうけど……。
「サキヒデ。それを言い出したらキリがないし、それに私たちがそのお陰でレベルが高いのも事実だ。未知の武器に怪我を負わされて悔しいのは分かるが、少しズレ過ぎだ」
「……しかし、大将!」
「今はそんなことを言っても仕方がない。仮にリョータが裏切者ならば、これから見張りを付ければいいだけだ」
「分かりました」
「リョータもそれでいいか?」
「俺は別に構わないけど……」
見張られても特になにもしてないしな。
「じゃあ、リョータはそれでいいとして、もしも裏切ってないのに、未知の武器を手にしてた場合はどうするの?」
アイリさんが手を挙げて発言する。
間の抜けた口調は話し合いの場にそぐわないが、話しの流れを戻すには十分であった。
「そう。それが問題だ。まさかとは思うが――私に一つ思い当たる節がある」
「奇遇だねー。私もあるよ?」
二人は互いの顔を見合わせる。
そして、アイリが言った。
「ハクハ領にも〈戦柱(モノリス)〉から呼び出された人がいることかな……。でも、それは考えられないんだけど」
「うむ。私も同じ意見だ。これまでの歴史で、〈統一杯〉に不思議な力を持った人間が現れないことはあったが、何人も現れたなど聞いたこともない。ましてや相手は連勝中のハクハ領だ。バランスが悪すぎる」
「……となると、たまたま似たような武器を作ったってことなのかな? リョータの話をきくと、日本って国と似てるみたいだし、可能性はあるよね」
「ああ。ともかく、今後ともハクハ領と戦う時は気を付けたほうがいいだろう」
結局、対策は俺の見張りだけか。
まあ、少なくとも未知の武器を持っていることを知り得ただけハンディ戦の成果と思おうと、ナツカさんが前向きに笑った。
◇
ハクハ領。
そこは森の中に位置するカラマリの城を和風とするならば、山の上に立つハクハの城は洋風の城と言うべきだろう。
城下町とも離れたその場所では、ハクハの主戦力たちが暮らしていた。
人が座るには、大きすぎる玉座。
そこに座っているのは、センリだった。
「あの男。この武器が何かを知っていたか……。となると、今回、〈統一杯〉で呼び出されたのは一人でないと言う訳か」
拳銃を眺めて呟く。
「少しはこの戦いも楽しくなりそうだ」
化け物と称される男は――嬉しそうに瞳を閉じた。
夕暮れにも関わらずにせっせと農作物を作る俺(ぶんしん)が、この時ばかりは羨ましく思えた。
「……二人は大丈夫なのかよ!?」
今すぐにでも戻って、状況を確認すべきだろう。
畑の中で働く俺は無表情で、死んだような顔をしている。全く、俺(オリジナル)がこんなに焦っているのに、いい気なものだ。
間抜け面である。
もしかしたら、俺は役に立たずに死んでしまったのかと言う不安から、怒りを俺にぶつけるべく、分身の一人を軽く小突いた。
……。
滅茶苦茶虚しかった。
自分と同じ顔の相手に八つ当たり何て無意味な時間を取り戻すべく、急いで『ワリュウの渓谷』にもう一度、行かなければ――。
まさかとは思うけれど、クロタカさんとナツカさん。二人そろってあの化け物にやられているなんてことないよね……。
最悪の展開が脳裏をよぎる。
俺は二人が今も戦っているかもしれない領境に駆けだした。
一人、森の中を走っていると、
「リョータ!? 大将は?」
アイリさんたち撤退チームと鉢合わせになった。
そうか。死んでカラマリ領に戻った俺の方が早く帰ってきてしまったのか。
肩を貸していたサキヒデさんがバランスを崩して崩れ落ちるが、けが人よりも大将の方が心配のようである。
「分からないです。俺が囮になるって言ったんですけど、その、もしかしたら、失敗してしまって……」
足止めすら満足に行えない自分の弱さ。
もしも、これで二人が死んでしまっていたのならば、俺はどんな顔をして、アイリさん達と暮らせばいいのだろう。
下手したらカラマリ領にはいられない。
「俺、もう一度様子見てきます。もしかしたら、まだ、戦ってるかもしれないし」
「そっか。じゃあ、私も一緒に行くよ」
アイリさんがそう言って兵士から一匹、馬を譲り受けた。
助かった。
俺の脚ではどれだけ全力を出しても、その日のうちに領境に行けるかどうかも心配だったから。まあ、もしかしたら、道中ですれ違うのではないかと、密かに計算はしていたので、予定通りと言えば予定通りなのだけれど。
俺はアイリさんの後ろに跨った。
……。
アイリさんの腰細いなー。
これが緊急事態じゃなければ、もっと堪能したいのだけれど。
「ねぇ……」
「はい! なんでしょうか!?」
まさか、こんな状況下で下らないことを考えていることを見抜かれたのかと、少し汗が流れていく。
「あの武器のこと知ってるの?」
「まあ、少しだけですけど」
遠距離から引き金を引くだけで銃弾が飛ぶ、俺達の世界でもその気になれば手軽に入手できる殺傷能力の高い兵器であることを告げだ。
「そんな武器を相手に……大丈夫かな?」
アイリさんが、速度を上げる。
すると、ハクハ領のある方角から二つの影が現れた。近づくにつれてその二人が誰なのかが明確になっていく。
一人は赤く血に染まったクロタカさん。
もう一人はナツカさんだった。
二人の姿を見つけ、俺達は馬から降りて出迎えた。
「無事だったんですか……」
良かった。
クロタカさんも怪我をしてはいるみたいだけれど、でも、普通に動けるようだった。俺がしっかり足止めをしていれば、こんな怪我をしなくても良かっただろうに。
申し訳なさから頭を下げる。
「すいません」
「……なにをお前が謝っている? 謝るのはクロタカの方だ」
「え……っと」
「やはり、気付いていなかった。いいか? クロタカが――お前を殺したんだよ」
「は!?」
いや、てっきり俺はシンリに殺されたものだと思っていた。
だが、それは俺の勘違いだったようで、俺の決死のタックルが当たる前に意識を無くしたのは、シンリの前で戦っていたクロタカさんが殺したからだと言うことらしい。
どういうことなのか、俺は詳しく聞いた。
「いや、その……だな。クロタカはお前の血しぶきを目くらましに使ったんだよ。ついでに、味方を容赦なく殺して動揺も狙ったわけだ」
「経験値も渡さないし、逃げられるし、いい案だったでしょ? でも、次は倒したいなー」
クロタカさんが、俺を殺したことなんてどうでもいいと、大きく欠伸をする。あのままでは自分の命が危ないと気付いていたのか。
大人しく命令に従ってくれて良かったと、アイリに耳打ちをする大将。
「……まあ、上手く逃げれたみたいだからいいですけど!」
ハンディ戦。
カラマリ領は一位の相手に傷を負わせることなく、命からがら逃げだす結果で終わったのだった。
◇
「つまり、あの武器はお前の世界のモノだと言うことだな」
「はい……」
天守閣。
俺はとある話し合いに参加していた。
大将であるナツカさん。
参謀のサキヒデさん。
そしてアイリさんだ。
三人と話している議題は、何故、センリが俺が居た世界の武器を持っていたのかということだ。話し合いに参加と言うことになっているが――どうやら、少しだけ、俺を疑っているらしい。
主にサキヒデさんが。
「これまで、〈統一杯〉に置いて、呼び出される人間は一人だけ。つまり、その一人が、情報を流した可能性が高いですね」
「ちょっと、それってもしかして、俺を疑ってるんですか!? こっちは命を奪われたんですよ! 味方にですけど……」
「それも怪しいんですよね。いくら何でも、日頃から苦手意識を持っていたクロタカを助ける為に、自分が犠牲になりますか?」
「それは……」
まあ、言われてみれば確かにそうなんだけれども。
でも、ほら、俺って格好つけだし、目の前で人が死ぬのも、ちょっとは勘弁願いたい。その程度の気持ちで犠牲になったわけだ。
犠牲はちょっと言い過ぎか。
別に本当に死ぬわけでもないんだし。
痛い思いを済めばいいだけ。
それくらいなら、耐えてもいいかと思ったのだが。
「今思えば――自分から進んで経験値になることを受け入れるなんておかしいですよ!」
「えー」
それをお前が言いますか。
俺を殺して経験値にする契約を結ぶ発案者はあなたじゃないですか、サキヒデさん。
どうやら、拳銃で撃たれたことで、少し、思考が乱れてしまっているようだ。数日もすれば落ち着くだろうけど……。
「サキヒデ。それを言い出したらキリがないし、それに私たちがそのお陰でレベルが高いのも事実だ。未知の武器に怪我を負わされて悔しいのは分かるが、少しズレ過ぎだ」
「……しかし、大将!」
「今はそんなことを言っても仕方がない。仮にリョータが裏切者ならば、これから見張りを付ければいいだけだ」
「分かりました」
「リョータもそれでいいか?」
「俺は別に構わないけど……」
見張られても特になにもしてないしな。
「じゃあ、リョータはそれでいいとして、もしも裏切ってないのに、未知の武器を手にしてた場合はどうするの?」
アイリさんが手を挙げて発言する。
間の抜けた口調は話し合いの場にそぐわないが、話しの流れを戻すには十分であった。
「そう。それが問題だ。まさかとは思うが――私に一つ思い当たる節がある」
「奇遇だねー。私もあるよ?」
二人は互いの顔を見合わせる。
そして、アイリが言った。
「ハクハ領にも〈戦柱(モノリス)〉から呼び出された人がいることかな……。でも、それは考えられないんだけど」
「うむ。私も同じ意見だ。これまでの歴史で、〈統一杯〉に不思議な力を持った人間が現れないことはあったが、何人も現れたなど聞いたこともない。ましてや相手は連勝中のハクハ領だ。バランスが悪すぎる」
「……となると、たまたま似たような武器を作ったってことなのかな? リョータの話をきくと、日本って国と似てるみたいだし、可能性はあるよね」
「ああ。ともかく、今後ともハクハ領と戦う時は気を付けたほうがいいだろう」
結局、対策は俺の見張りだけか。
まあ、少なくとも未知の武器を持っていることを知り得ただけハンディ戦の成果と思おうと、ナツカさんが前向きに笑った。
◇
ハクハ領。
そこは森の中に位置するカラマリの城を和風とするならば、山の上に立つハクハの城は洋風の城と言うべきだろう。
城下町とも離れたその場所では、ハクハの主戦力たちが暮らしていた。
人が座るには、大きすぎる玉座。
そこに座っているのは、センリだった。
「あの男。この武器が何かを知っていたか……。となると、今回、〈統一杯〉で呼び出されたのは一人でないと言う訳か」
拳銃を眺めて呟く。
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