夢十夜

刑務所跡

　家の外で誰か話をする声が聞こえる。二階の窓を開けてみると二人連れが歩いていた。こちらを振り返ると怪物のような顔でびっくりするが、よく見ると近所の夫婦で怪物のメイクをしているらしい。

　それにしてもうちの周辺はすっかり変わった。元刑務所だったという周辺はすっかり空き地になり、元何があったのか想像するのも困難なくらいだ。

　夫婦は、「子の先に行くともっと変わったところがある」と教えてくれた。

　言われるままに出かけてみる。

　新しく鉄道が造られている。川を跨いだところのさらに上に鉄道と並行してロープウェイが造られている。スキーリフトのように人が椅子に乗って手元のリモコンで操作するようになっている。

　早速乗ってみる。結構面白い。下に線路が見えて見下ろす形になっている。

　向かい側から列車が来た。まずいと思ったが、急停車した。こちらは上であるからぶつかることは無いが、勝手に乗り回しているのを見つけたのだろう。

　乗務員が外に出てこちらに向かって大声で文句を言っている。女性の運転手である。勝手に乗り回したこちらが悪いのだから文句を言えた立場ではないが、誰でも乗れるように放置している方も悪いと自分勝手に思ってしまう。

　叱られるだけで許してもらえると思っていたが、「警察に通報する」と言っているのが聞こえる。本当にまずいことになってきた。