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素人モデル

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 今では少なくなりつつあるが、かつて「素人モデル」を売り物にしたヌード写真集が多数発売されたことがある。

 はっきり言ってこの手女性モデルの大半は相当にレベルが低いと言わざるを得ない。

 こう言っては失礼だが、容姿はせいぜい並みレベル、プロポーションも金を払って見るほどの価値が無いことがほとんどである。やはり選ばれた女性である芸能人とはレベルに大きな差がある。

 容姿もプロポーションも大したことが無い女性が有名写真家の被写体として嬉々とした表情を浮かべながらポーズを取っているのを見ると、どこまで自惚れているのかとすら思えてくる。

 プライベートの写真なら他人がとやかく言う筋合いではない。しかし、この手の写真集は密封状態で販売されているため立ち読みが不可能で、古本を含めて金を払って購入しないと中味を見ることができない。特定の人物の写真集であれば表紙で判断することもできないではないが、こういった写真集は複数人を掲載しているのが普通で表紙にはせいぜい一人か二人の顔写真しかない。

 もちろん、芸能人でも貧相な体つきの女性もいる。ただ、この場合は「名前が知られている女性芸能人」が裸になったということに価値があるのである。その大半は美人と言えるレベルであり、不細工を売りにしているような女性芸能人で脱ぐ者は皆無に近い。

 とは言っても、実際には脱いだ女性芸能人は貧相な体つきのことはあまりない。女性芸能人が次から次に写真集を出していた時代にはそれまでヌードはおろか水着にすらなったことが無かった芸能人も全裸を披露したが、「脱いだら凄かった」という場合がほとんどだった。「貧相な体つきでがっかりさせられた」というのはごく一部にすぎない。

 そもそも、トーク番組内で

「人様にお見せするような体ではありません」

 と言った女優がいたが、ある程度自信があるような体で無ければヌードになろうとは思わないし誘いも無いのだろう。

 ヌードが稀少であった時代には並みレベルの容姿やプロポーションでもそれなりの価値があったのかもしれない。今ではネットなどで無料で見られるものがいくらでもあるから、あまりにレベルが低いものでは金を払ってもらえないためか、男性週刊誌に数十名のヌードの一人として掲載されるくらいがせいぜいである。

 一部を除き、週刊誌のグラビアに採用されているのは「素人モデル」ではない。その多くはアダルトビデオ女優であり、彼女たちはスカウトされたか自ら応募した中から「選抜された」のであり、「素人モデル」とは言い難い。既に書いたが、「若い女性であれば誰でも構わない」ということは無く、「商品になる」容姿やプロポーションでなければそもそも選ばれることはあり得ない。グラマラスな体型で選ばれるということはあり得るだろうが、容姿が並みレベルにも達していなければ無理である。

 今ではカメラ雑誌も減少したが、かつては一般人の投稿写真が数多く掲載されていた。ヌードも少なかったけれど、撮影会と並び一般人女性を撮影したと思しきものも結構あった。容姿やプロポーションにおいて並みレベルとはいえないことが大半だったが、芝居がかったポーズを取ったり笑みを浮かべていないものが多く、その点は遥かにましだったと思う。スタジオ主催の撮影会のモデルは、かつては一般人の女性を募集して採用していたこともあったが、今ではアダルトビデオ女優を使っていることがほとんどである。プロの写真家ですらアダルトビデオ女優をヌードモデルに使うことが多い。名前を売るためにも有利だし、写真集でも出してもらえれば相当の収入になる。

 有名写真家が撮影した作品で「素人モデル」を使ったと称しているものについては、本当にそうなのか怪しいものもある。

 服を脱いで普通のポーズを取るくらいなら一般女性でもできるだろうが、カメラの前で女性同士が体を触り合ったり、性行為を想像させるようなことをしたり、自慰に耽ったりしている姿はよほどの覚悟が無いとできないと思う。自ら応募してきたモデルとは言っても、そこまでやれるものなのだろうか。
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