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自分達の物語に決着をつける編
127-それぞれの戦争
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「助かった!生き延びた!」
ネスティエイン領の下級貴族であった青年は運良く生き残った。
これから辛い処遇を受けることになるだろうがあの悪魔と敵対するよりはずっと良い。
突如自軍の後ろに現れたあの悪魔……
見たこともない鎧に身を包み異様に長い剣を持った小柄な奴だった。顔にはおとぎ話の魔神のような厳つい顔を模した面をつけていた。
付随してきた騎士も怖かったがあれば別格だ。慌ただしい戦場の中で奴だけは落ち着いていた。ゆっくりと戦場を歩き剣の射程に入った仲間を容赦なく斬り殺していく。あれはヤバイと感じた周りの魔術師も集中して魔法を撃ちまくるがまるで効果がない。
魔法を浴びながらそれを無視してゆっくりとだが確実に近づいてくる。魔法の効果が無いとわかると他の仲間はさっさと前方へ逃げてしまったが、私は恐怖で足が動かなくなり立っているのが精一杯で逃げることができない。しかし奴は一歩一歩確実に近づいてくる。
私は奴の射程に入った……奴はゆっくりと剣を構える……その剣は動けない者にも容赦なく振り下ろされるだろう……
平民が領から逃げた事により私の地位が最下層へと落ちたことに気がついたときに、戦争で活躍すればなどと夢を見るべきではなかった……すぐに逃げるべきだった……
死を覚悟した私の耳に女副団長の指示する声が届いた。
私に恐怖を植え付けた奴はネスティエインの居る本陣向かい走り去っていった。
生き延びた……腰が抜けて杖を手放し放心している間に戦争は終わっていた。
恐ろしい……騎士団は悪魔を飼っている……
=====================
「死んでいるように見えても死んでいないことがかなりあります!どんなひどい状態でも必ず連れてきてください!」
私が隊長を務める騎士団衛生部隊に急遽援軍として参戦した動物の面をした白い服の女性はそう言って負傷したすべての団員を集めるように指示をした。
一度目の治療で彼女に格の違いを見せつけられた私はその要請に素直に従った。炎に焼かれ炭化した団員、氷の矢が心臓に突き刺さって瞳孔が開ききった団員……普段の我々なら死んだとして治療を行わないような者たちだ。
半信半疑で彼女のもとに運ぶと聞いたことない言葉を叫び魔法を発動する。
「ハンコンシンユ!」
すると、どう見ても死んでいた丸焼けの団員から炭化した皮膚が剥がれるように落ちると中から傷一つない体が出てきた……そしてすぐに呼吸をし始め目を開いた。
「あれ……俺は……生きてるのか?」
「定着確認!次!」
彼女は治療した相手が言葉を発したのを確認するとすぐに別の者のところへと駆け寄る。
氷の矢が突き刺さった団員も同様に復活していく。
違う……あれは治療なんかではない……
私は恐ろしさと嬉しさで感情を引っ掻き回されている。彼女はこう言って治療を続けていった。
「はぁ……殺すよりよっぽどヤバイことしてるよね私……」
私は何も見ていない……何も知らない……そうすることが一番だ。
=====================
味方を置き去りにして一人逃げ出した諸悪の根源は隠れるのに良さそうな農家を見つけて躊躇なく中へと入っていった。
「おい!ワシは領主ネスティエインだ!誰かいないのか!」
奥の部屋から一人の男が出てきた。ところどころ穴が空いている服を着ていることから農民の男だというのがわかる。
「よし!お前!できるだけ人を集めワシを城まで護衛しろ!」
体制を立て直すか……それとも財産を持って北へ逃げるか……どちらにしろすぐに城に行かなくてはいけないとネスティエインは考えている。
「護衛をできるほど人数がいません」
「誰でも良い!女でも子供でも魔法一発分の盾ぐらいにはなる!さっさとしろ!」
尊大な態度を取る男に農民は眉一つ動かさず返事をした。
「……少ないですが戦える者がいます……」
「よし!良いぞ!すぐに連れてまいれ!」
農民の男が奥の扉を開けた。
農具を持った男たちが奥の部屋からどんどん出てきてネスティエインを取り囲んだ。
「なんじゃ?こんな小さな家にこんなに大勢……」
「すいません領主様……ここはレジスタンスの集会所です」
ネスティエインの悪政に耐えかね秘密裏に組織されていたレジスタンス……彼は護衛を一人も連れず敵の中枢に飛び込んだのだ。
「レジスタンス!?まて!褒美じゃ!城まで護衛してくれれば褒美をやろう!」
農民たちは農具を構えながら一歩前へ進んだ。
「そうじゃ!お主らを貴族に取り立てよう!今からお主らは男爵じゃ!」
ネスティエインは取り繕う間に呪文を発動しようとするが初めて眼の前に迫った死の恐怖によって魔力変換がうまく行かず魔法を唱えることはできない……
「魔法を使うつもりだ!やれ!」
耕す畑を失った農具は、畑の代わりに諸悪の根源である男に振り下ろされた。
「まっぁ!!!嫌じゃ!まっ!ッグぅ」
声を発さなくなるまで農具はソレに振り下ろされた。
ネスティエインはこんな所に入らなければ……副団長を抑えるのに護衛を全員使わなければ……と思いながら血溜まりに崩れ落ちた。彼は自分の領地運営が悪かったなど一瞬たりとも思うことはなかった。
ついにネスティエイン領は終りを迎えた。
時を同じくレジスタンスの集会所の周りを黒いフードローブの集団が取り囲んでいた。
「どうやら我々の出番はなさそうだな、ザロット様に報告しに戻る」
「「了」」
護衛を連れていようがレジスタンスの集会所を避けようが、初めからネスティエインに逃げ場所などなかったのだ……
=====================
遊撃隊が敵陣の後方を抑えているころ、農都の宿屋で一人の男が目を覚ました。
いててて……
目が覚めると俺はベッドの上に寝かされていた。
俺は誰?ここはどこ?
えっと!俺はファーダ!ドレストレイル家の遠縁でトレイルに所属していて今は農都の治安を守っている!
ここは……どこだ?なんで俺は寝てるんだっけ?
「おーファーダ!目が覚めたか~」
部屋のドアが開き親父のディータが入ってきた。
「あれ?親父?俺何してたっけ?」
眠った時の記憶がないので頼りないが眼の前の父に聞いてみることにした。
「あークロービ人の追跡をして追いついたところで返り討ちにされたんだよ……体の具合はどうだ?」
「痛み一つないけど……俺が負けた?」
俺が負けた……おもいだせ……俺は何をしていた?
「そう変わった鎧のトモってひとに見事にやられてたよ手も足も出てなかったね、それで気絶してたからこの宿に寝かせておいたんだよ」
「なんだって!?俺は油断したのか?」
「いやフルバースト使ってたよ」
「嘘だろ……」
俺が負けた……鎧の男……
『興ざめだ!』
その声を思い出すと堤防が決壊するように記憶が蘇ってきた。
確か簡単に足を掴まれて空中に投げられて……
『一人でデュオ・イ・クロスできるのよすごいでしょ』
あああああああああああああああ!デュオ・イ・クロスを知っててあの話し方!
「あれお嬢だよ!親父!」
「お嬢ってマルレちゃんのことかい?」
「そうだよなんで気が付かなかったんだ!隣の白いのはアリッサちゃんか!」
「そっかマルレちゃん達だったのか、じゃあ後ろから斬られる心配はないから安心だなぁ~よかった!よかった!」
アホ親父は何言ってるんだ何も良くない!
「全然良くない!避難しているお嬢が戦争中に帰ってきてどうするんだ……」
「別に大丈夫でしょ!めちゃくちゃ強くなってたよ」
脳天気な親父は全く現状がわかっていない!
「いまその二人はどこに!」
「前線に援軍に行きたいって行ったからそれぞれの陣営あてに紹介状書いて渡して一番近い騎士団の駐屯地を教えてあげたよ」
「なっ!バカ!」
思ったより最悪なことになってる!
「親に向かってバカはヒドイなぁ」
「よく考えろ親父……ザロット様に守れと言われてるお嬢を前線に送り込んだんだぞ……」
「あ……」
やっと状況を飲み込めたようでどんどん親父の顔色が悪くなっていく……
「ファーダ……墓穴でも掘ってくるよ……後のことは任せたよ……」
「まて親父!幸か不幸かお嬢たちは正体を隠してるからザロット様との接触を阻止すれば、バレないで済むかもしれない!お嬢が出発したのは、いつだ!?」
「今朝だよ!」
「よし!まだ間に合うかもしれない!って今は何時頃だ!?」
「今はお昼すぎ!まだ戦争に決着はついてないと思うよ」
「すぐに出発する!」
すぐに枕元においてあった装備品に身につけて慌てて宿を飛び出す。
「父さんの命はおまえにかかってるんだ!がんばってくれよ~!」
アホ親父の最後の叫びを聞き流し急いで戦場へと向かう。流魔血を全開にして風よりも早く街道を走り抜けていく。
「クソ!間に合えよ!」
お嬢と違って清潔の祝福がない俺は体力をどんどん削りながら走りに走りなんとか日が落ちる前には騎士団の駐屯地にたどり着いた。
見えた!あれは騎士団の天幕!頼むから居てくれよ!急いで天幕の中に入り、とりあえず叫んだ。
「クロービから来た二人はどこですか!」
「ファーダくんじゃないですか、どうしたのですかそんなに息を切らして!」
天幕の中に居たのはお嬢の親友のラーバル騎士副団長だった。副団長がここにいるということは既に戦争は終わっているということか?しかしまだ兵士が動き回って居るからまだ終わってすぐだろう。
「クロービから来た二人に急ぎの用事があって追いかけてきました!何処に居ますか!」
「ああ、トモさんとハルカさんですね。お二人は大変活躍してくれました。やることを終えたらすぐに帰ってしまったようですよ」
うわ!間に合わなかった!入れ違いになったか!?ヤバイ!ヤバイ!ヤバイ!
「お嬢は何処へ行くとか言ってませんでした!?」
「お嬢?マルレが来ているのですか?」
「あっ!トモさんとハルカさんです!お嬢は関係ないです。」
ラーバルさんはギロリと目つきを変えた。怖い……なんで戦闘モードに……
「そういえばハルカさんの白いローブ……あれはアリッサ?ということは……」
ラーバルさんの眉間にぐぐっとシワが寄る……
「あれはマルレだったのですかー!」
ラーバルさんは急に立ち上がり机をバシッと叩くと大声で叫んだ。
心臓が飛び出るかと思ったよ!一体どうしちゃったの!
(ひどい……、……っだったのに)
小声でぼそっと言ったので聞き取れなかった。
「あの……ラーバルさん?二人の行き先は聞きましたか?」
ひぃ!鷹の目で睨まないで!
「ロットヴァルデ領に行くと言っていた……」
「そうですか!ありがとうございます!それじゃ失礼しますね!」
野生の勘がここからすぐに離れろと言っている!次の行き先もわかったしさっさと行こう!
「おい!まて!私も行くぞ!マルレに話すことがたっぷりあるからな!」
お……お嬢……一体何をしでかしたの……
ネスティエイン領の下級貴族であった青年は運良く生き残った。
これから辛い処遇を受けることになるだろうがあの悪魔と敵対するよりはずっと良い。
突如自軍の後ろに現れたあの悪魔……
見たこともない鎧に身を包み異様に長い剣を持った小柄な奴だった。顔にはおとぎ話の魔神のような厳つい顔を模した面をつけていた。
付随してきた騎士も怖かったがあれば別格だ。慌ただしい戦場の中で奴だけは落ち着いていた。ゆっくりと戦場を歩き剣の射程に入った仲間を容赦なく斬り殺していく。あれはヤバイと感じた周りの魔術師も集中して魔法を撃ちまくるがまるで効果がない。
魔法を浴びながらそれを無視してゆっくりとだが確実に近づいてくる。魔法の効果が無いとわかると他の仲間はさっさと前方へ逃げてしまったが、私は恐怖で足が動かなくなり立っているのが精一杯で逃げることができない。しかし奴は一歩一歩確実に近づいてくる。
私は奴の射程に入った……奴はゆっくりと剣を構える……その剣は動けない者にも容赦なく振り下ろされるだろう……
平民が領から逃げた事により私の地位が最下層へと落ちたことに気がついたときに、戦争で活躍すればなどと夢を見るべきではなかった……すぐに逃げるべきだった……
死を覚悟した私の耳に女副団長の指示する声が届いた。
私に恐怖を植え付けた奴はネスティエインの居る本陣向かい走り去っていった。
生き延びた……腰が抜けて杖を手放し放心している間に戦争は終わっていた。
恐ろしい……騎士団は悪魔を飼っている……
=====================
「死んでいるように見えても死んでいないことがかなりあります!どんなひどい状態でも必ず連れてきてください!」
私が隊長を務める騎士団衛生部隊に急遽援軍として参戦した動物の面をした白い服の女性はそう言って負傷したすべての団員を集めるように指示をした。
一度目の治療で彼女に格の違いを見せつけられた私はその要請に素直に従った。炎に焼かれ炭化した団員、氷の矢が心臓に突き刺さって瞳孔が開ききった団員……普段の我々なら死んだとして治療を行わないような者たちだ。
半信半疑で彼女のもとに運ぶと聞いたことない言葉を叫び魔法を発動する。
「ハンコンシンユ!」
すると、どう見ても死んでいた丸焼けの団員から炭化した皮膚が剥がれるように落ちると中から傷一つない体が出てきた……そしてすぐに呼吸をし始め目を開いた。
「あれ……俺は……生きてるのか?」
「定着確認!次!」
彼女は治療した相手が言葉を発したのを確認するとすぐに別の者のところへと駆け寄る。
氷の矢が突き刺さった団員も同様に復活していく。
違う……あれは治療なんかではない……
私は恐ろしさと嬉しさで感情を引っ掻き回されている。彼女はこう言って治療を続けていった。
「はぁ……殺すよりよっぽどヤバイことしてるよね私……」
私は何も見ていない……何も知らない……そうすることが一番だ。
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「おい!ワシは領主ネスティエインだ!誰かいないのか!」
奥の部屋から一人の男が出てきた。ところどころ穴が空いている服を着ていることから農民の男だというのがわかる。
「よし!お前!できるだけ人を集めワシを城まで護衛しろ!」
体制を立て直すか……それとも財産を持って北へ逃げるか……どちらにしろすぐに城に行かなくてはいけないとネスティエインは考えている。
「護衛をできるほど人数がいません」
「誰でも良い!女でも子供でも魔法一発分の盾ぐらいにはなる!さっさとしろ!」
尊大な態度を取る男に農民は眉一つ動かさず返事をした。
「……少ないですが戦える者がいます……」
「よし!良いぞ!すぐに連れてまいれ!」
農民の男が奥の扉を開けた。
農具を持った男たちが奥の部屋からどんどん出てきてネスティエインを取り囲んだ。
「なんじゃ?こんな小さな家にこんなに大勢……」
「すいません領主様……ここはレジスタンスの集会所です」
ネスティエインの悪政に耐えかね秘密裏に組織されていたレジスタンス……彼は護衛を一人も連れず敵の中枢に飛び込んだのだ。
「レジスタンス!?まて!褒美じゃ!城まで護衛してくれれば褒美をやろう!」
農民たちは農具を構えながら一歩前へ進んだ。
「そうじゃ!お主らを貴族に取り立てよう!今からお主らは男爵じゃ!」
ネスティエインは取り繕う間に呪文を発動しようとするが初めて眼の前に迫った死の恐怖によって魔力変換がうまく行かず魔法を唱えることはできない……
「魔法を使うつもりだ!やれ!」
耕す畑を失った農具は、畑の代わりに諸悪の根源である男に振り下ろされた。
「まっぁ!!!嫌じゃ!まっ!ッグぅ」
声を発さなくなるまで農具はソレに振り下ろされた。
ネスティエインはこんな所に入らなければ……副団長を抑えるのに護衛を全員使わなければ……と思いながら血溜まりに崩れ落ちた。彼は自分の領地運営が悪かったなど一瞬たりとも思うことはなかった。
ついにネスティエイン領は終りを迎えた。
時を同じくレジスタンスの集会所の周りを黒いフードローブの集団が取り囲んでいた。
「どうやら我々の出番はなさそうだな、ザロット様に報告しに戻る」
「「了」」
護衛を連れていようがレジスタンスの集会所を避けようが、初めからネスティエインに逃げ場所などなかったのだ……
=====================
遊撃隊が敵陣の後方を抑えているころ、農都の宿屋で一人の男が目を覚ました。
いててて……
目が覚めると俺はベッドの上に寝かされていた。
俺は誰?ここはどこ?
えっと!俺はファーダ!ドレストレイル家の遠縁でトレイルに所属していて今は農都の治安を守っている!
ここは……どこだ?なんで俺は寝てるんだっけ?
「おーファーダ!目が覚めたか~」
部屋のドアが開き親父のディータが入ってきた。
「あれ?親父?俺何してたっけ?」
眠った時の記憶がないので頼りないが眼の前の父に聞いてみることにした。
「あークロービ人の追跡をして追いついたところで返り討ちにされたんだよ……体の具合はどうだ?」
「痛み一つないけど……俺が負けた?」
俺が負けた……おもいだせ……俺は何をしていた?
「そう変わった鎧のトモってひとに見事にやられてたよ手も足も出てなかったね、それで気絶してたからこの宿に寝かせておいたんだよ」
「なんだって!?俺は油断したのか?」
「いやフルバースト使ってたよ」
「嘘だろ……」
俺が負けた……鎧の男……
『興ざめだ!』
その声を思い出すと堤防が決壊するように記憶が蘇ってきた。
確か簡単に足を掴まれて空中に投げられて……
『一人でデュオ・イ・クロスできるのよすごいでしょ』
あああああああああああああああ!デュオ・イ・クロスを知っててあの話し方!
「あれお嬢だよ!親父!」
「お嬢ってマルレちゃんのことかい?」
「そうだよなんで気が付かなかったんだ!隣の白いのはアリッサちゃんか!」
「そっかマルレちゃん達だったのか、じゃあ後ろから斬られる心配はないから安心だなぁ~よかった!よかった!」
アホ親父は何言ってるんだ何も良くない!
「全然良くない!避難しているお嬢が戦争中に帰ってきてどうするんだ……」
「別に大丈夫でしょ!めちゃくちゃ強くなってたよ」
脳天気な親父は全く現状がわかっていない!
「いまその二人はどこに!」
「前線に援軍に行きたいって行ったからそれぞれの陣営あてに紹介状書いて渡して一番近い騎士団の駐屯地を教えてあげたよ」
「なっ!バカ!」
思ったより最悪なことになってる!
「親に向かってバカはヒドイなぁ」
「よく考えろ親父……ザロット様に守れと言われてるお嬢を前線に送り込んだんだぞ……」
「あ……」
やっと状況を飲み込めたようでどんどん親父の顔色が悪くなっていく……
「ファーダ……墓穴でも掘ってくるよ……後のことは任せたよ……」
「まて親父!幸か不幸かお嬢たちは正体を隠してるからザロット様との接触を阻止すれば、バレないで済むかもしれない!お嬢が出発したのは、いつだ!?」
「今朝だよ!」
「よし!まだ間に合うかもしれない!って今は何時頃だ!?」
「今はお昼すぎ!まだ戦争に決着はついてないと思うよ」
「すぐに出発する!」
すぐに枕元においてあった装備品に身につけて慌てて宿を飛び出す。
「父さんの命はおまえにかかってるんだ!がんばってくれよ~!」
アホ親父の最後の叫びを聞き流し急いで戦場へと向かう。流魔血を全開にして風よりも早く街道を走り抜けていく。
「クソ!間に合えよ!」
お嬢と違って清潔の祝福がない俺は体力をどんどん削りながら走りに走りなんとか日が落ちる前には騎士団の駐屯地にたどり着いた。
見えた!あれは騎士団の天幕!頼むから居てくれよ!急いで天幕の中に入り、とりあえず叫んだ。
「クロービから来た二人はどこですか!」
「ファーダくんじゃないですか、どうしたのですかそんなに息を切らして!」
天幕の中に居たのはお嬢の親友のラーバル騎士副団長だった。副団長がここにいるということは既に戦争は終わっているということか?しかしまだ兵士が動き回って居るからまだ終わってすぐだろう。
「クロービから来た二人に急ぎの用事があって追いかけてきました!何処に居ますか!」
「ああ、トモさんとハルカさんですね。お二人は大変活躍してくれました。やることを終えたらすぐに帰ってしまったようですよ」
うわ!間に合わなかった!入れ違いになったか!?ヤバイ!ヤバイ!ヤバイ!
「お嬢は何処へ行くとか言ってませんでした!?」
「お嬢?マルレが来ているのですか?」
「あっ!トモさんとハルカさんです!お嬢は関係ないです。」
ラーバルさんはギロリと目つきを変えた。怖い……なんで戦闘モードに……
「そういえばハルカさんの白いローブ……あれはアリッサ?ということは……」
ラーバルさんの眉間にぐぐっとシワが寄る……
「あれはマルレだったのですかー!」
ラーバルさんは急に立ち上がり机をバシッと叩くと大声で叫んだ。
心臓が飛び出るかと思ったよ!一体どうしちゃったの!
(ひどい……、……っだったのに)
小声でぼそっと言ったので聞き取れなかった。
「あの……ラーバルさん?二人の行き先は聞きましたか?」
ひぃ!鷹の目で睨まないで!
「ロットヴァルデ領に行くと言っていた……」
「そうですか!ありがとうございます!それじゃ失礼しますね!」
野生の勘がここからすぐに離れろと言っている!次の行き先もわかったしさっさと行こう!
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