怪力悪役令嬢は冒険者になりたい!

タハノア

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自分達の物語に決着をつける編

134-まぁ!かわいい猫ちゃん!

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 翌朝アロイーン、リーシャー、ニーニャの騒ぐ声で目が覚めた。

「「「「3日間空腹にならないってどういうこと」ですか!」なの!」ですの!」
「常人は消化に3日かかるってだけよ、だからおすすめしないって言ったじゃない」

 夜どころか朝になってもお腹が減らなかったようで、疑問に思っていたところに魔力食料の効果について聞かされて、もめているようです。しかし私はアレを食べた後も普通に食事してましたけど……常人じゃないってことですわよね?流魔血に超消化能力が?それとも清潔の祝福による分解?どちらにしろ私はフードファイターに向いている体質ってことかしら?

「そんなことよりさっさと出発しましょうよ」
「そんなことって!食事ってもっとこう!とても大切なものでしょ!」

 レイグランド国民の食への情熱ってのを忘れていましたわ……食べなくて良いってのは楽しむ機会を失ったというデメリットになるのですね。

 その後もしばらくもめていたが和食をごちそうするということで手打ちになったようです。

 落ち着いたところでやっとエプロストリング家の屋敷に向けて出発しました。戦闘が起こることが予想されるため馬車は置いて徒歩での移動ということになりました。リーシャーさんが敵と遭遇したときの陣形の説明を始めた。

「いい?ニーニャ。防御力の高いアロイーンが前衛、両サイドをハルカさんとトモさんが固める。あなたは私の後ろよ。あなたのポジションが一番安全よ。ゆっくり狙いをつけて確実に魔法を当ててね。」

アロイーンさんが先頭でその後ろにリーシャーさんその左右を私とアリッサで固め護衛対象であるニーニャさんを最後尾に据える形で十字のような陣形だ。

 移動中はこれといった形もなく先頭がアローンさん最後尾が私という以外は適当に並んで歩いていく。

 道中は人はもちろん生き物すら居ないような感じでした。それほど離れた場所では無かったようで昼頃には街に到着した。

「ここも気配がまったくないね敵も居ないみたいですね」

 アロイーンさんですら気配を読み取れないことから軍を駐屯させたりもしていないようでした。いったい何のために住民を追い出したのだろう?

「よくわかりませんが敵が居ないのなら好都合ですこのまま屋敷まで行きましょう」

 ニーニャちゃんの言葉に皆が頷き襲撃があっても良いように武器を抜き戦闘準備をして慎重に進み始める。街から追い出されるときに抵抗した犠牲者であろうカラカラに乾燥した死体がいくつかあるだけだった。

 アリッサは「どう見ても一時間以上たってるわね」とだけいって通り過ぎていった。きっと光魔法と奇跡魔法の複合奥義の反魂身癒はんこんしんゆのことを考えていたのでしょうね。ゲームの仕様と同じだとしたら死後1時間で魂がホームポイントに強制的に戻るから蘇生できるのは死後1時間なんでしょうね。

 警戒も虚しく敵と一度も遭遇することなく屋敷が見えるところまでたどり着いてしまった。少し離れた建物の陰に身を隠しながら屋敷の様子をうかがう。屋敷の周辺には黒い鎧と槍を装備した兵士が巡回をしているようだ。歩いている前方しか見ていないザル警備なようで私達に気がついた様子はない。

「報告どおり槍を持っているな……」
「うわー本当だ短い槍2本だ」
「ラーバル様が不覚を取ったという相手の関係者でしょうか?」

 アロイーンさんたち3人は目の前の黒鎧とラーバルがやられたという噂を結びつけて怖がっているようだけど、ラーバルが傷を負ったのは首無しで動くグールの死んだふりに騙されただけですから2回目はないですよね?そうだ不安を取るためにも教えてあげましょうね。

「副団長が不覚を取ったのは首なしでも動く特殊なグールのせいだ、もうネタは分かっているから再戦すればかならず勝つだろう」
「私も騎士団の戦争に参加したときにその話聞いたよ~」

 アリッサに肩をパンチされて今は外国人のふりをしていたことを思い出した……

「騎士団の戦に参戦したのですか?」

 ニーニャちゃんが驚いたように聞き返してきた。

「ああ、俺はラーバル副団長の遊撃隊に参加した」
「私はもちろん衛生部隊よ~」

 どうやら3人は戦争に連続参戦するつもりだったことに驚いたようだった。怪我もないし疲れもないから別におかしな事でもないような気がしますけどね?

「そっそれよりも目の前の黒鎧のことに話を戻しましょう」

 ニーニャちゃんは脱線した私達の話題から目の前の問題に話を戻した。するとアリッサが彼らについての話を始めた。

「あ~そもそもアレ中身人間だよ~ラーバルさんが戦ったやつの中身は謎の黒い物体だったし、別物だよ」
「この距離で分かるのですか?」
「ふふふ!この子のおかげなんですよ~ご紹介しましょう!でてきていいよ~」

 アリッサが指示をするといつの間にか足元に尻尾が二本の三毛猫がちょこんと座っていた。

「まぁ!かわいい猫ちゃん!珍しい模様ですね!」
「この子は偵察を得意とする召喚精霊の猫又ちゃんです!」

 ふむ……ニーニャちゃんは猫好きですか。アローンさんとリーシャーは犬が好きそうですね。おっと関係ない話に脱線したわ。

 さて、猫又ですか確かゲームでは透明化した猫の視点で敵に見つからず偵察ができる召喚精霊だったよね。対人戦でよく使われていて、この猫や透明化スキル対策で通路に炎の壁を張り続けるのが定石だったわね。 

「透明化で偵察か!ハルカ、人質がいる場所がわかる?」
「うん!私に任せなさい!」

 ……狐面をしててもその下でドヤ顔してるってのが分かるって凄いわね。

「じゃ~ちょっと見てくる!」

 そう言うとアリッサは棒立ちになり動かなくなった。きっと猫又に視点を移して屋敷に潜入しているんでしょうね。

「ハルカさんは多彩ですね……」
「これに加えて回復もできるんでしょ?私の立場がないわ……」

 ニーニャちゃんとリーシャーさんは何だかしょんぼりとしている。そう言われるとアリッサって便利能力が多いスキル構成よね適正判定のときは恨めしく思ったわ。

「そうだないろいろ便利な能力を持っている」
「トモさんはどんな能力があるんですか?」

 私か……言ってしまって良いのだろうか?変に嘘ついてもすぐ辻褄が合わなくなるわよね。よし!全部話してしまえ。

「私は戦闘は格闘系がメインであとは鍛冶と魔道具制作それと金属の採掘もできる」
「格闘?あれ?剣は?」 
「剣は趣味だほとんどまともに使えない」

「「「剣は趣味?なんかそれ聞いたことある」」」

 あれ?やっぱり言わないほうが良かったのかしら?そんな事を思っているとな2つの気配が後方つまり私達が通ってきた方角からものすごい勢いで近づいてくる。

「何だ!?ものすごい殺気が近づいてくる!」
「陣形をハルカさんを最後尾にニーニャを側面に変更して戦闘準備!」

 私達は殺気に向かって陣形をとり敵に備えた。

 砂煙を巻き起こしながらすごい勢いで何者かが近づいてくる!
 
「やっと見つけたぞ!」

 そこには何故かめちゃくちゃ怒っているラーバルとドン引きしているファーダの二人が立っていた。二人の服はだいぶ汚れていて、ずいぶん疲れている様子だ。

 ラーバルを確認するとアローンさん達は構えていた武器をすぐに引っ込めた。

 うわー多分私への用事ですよね……

「副団長さんと臨時治安維持部隊の方じゃないですか何かご用ですか?」

 ファーダの名前を呼ばないように注意して何の用事か聞く。

「よくも騙してくれたわね!マルレ!」
「お嬢ラーバルさんに何したんですか……道中怖くてたまらなかったよ」
「「「やっぱり」マルレさん!」マルレリンド様!」

 うわ!バレてる!ヤバイヤバイ!

 助けてアリッサ!

 早く戻ってきてー!
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