怪力悪役令嬢は冒険者になりたい!

タハノア

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自分達の物語に決着をつける編

135-こじらせ女子

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 おち、おおお落ち着くのよ私!現状を確認しましょう!めちゃくちゃ怒っているラーバルが目の前にいるそして何故かわわからないけど、トモの中身がマルレだとバレている。怒っている理由は予想が正しければ非常にデリケートな問題だ。

 多分ラーバルは色恋沙汰を剣撃で叩きのめしてきた(告白を手合わせしてあなたが勝てたら考えると言って退けてきた)ため自分より強い剣士を無条件で好きになる呪いにかかっているのでしょう。

 そこに私が作り出した架空の人物”トモ”……クロービから来た凄腕の剣士でラーバルの兄弟以外でラーバルに剣で勝る男が現れた……そして戦が終わった後のあの手を握り自分に引き寄せてからの会心の微笑み……

 ラーバルは”トモ”に惚れている!そして経緯は不明だけどトモの中身がマルレだと知った!怒っている理由は十中八九これでしょうね……

 返答を間違えれば親友を失うどころか敵認定される非常に不味い場面です。

「なんとか言ったらどうなのですか!」

 早く早く!なにか言わなきゃ!ひねり出すのよ!

 まずは私は男だと名乗ってない部分から攻めて勘違いしたのはラーバルという負い目を与えましょう!そして正体がバレた事によりクロービのお土産を堂々と渡せるようになるのでそれで気を紛らわしてからの!謝罪!これしかないわ!

「私は一度も男だと名乗っておりませんわ!」

 ラーバルとだけわかり会える会話を展開する。周りの人たちにはきっと何かわからないだろうけどこの際その方が良い。

「たしかにそうですね……すべて私が悪いのです……」

 ラーバルはそう言うと目に涙をいっぱいためて今にも泣き出しそうになる。

 あれっれれれ?涙目?なんで涙目!?なんで!?なんでよぉぉ!

「よし!見つけたよ~!人質は地下の牢屋にいるよ!」

 意識が戻ったアリッサが人質の場所を伝えると同時に目の前に涙目のラーバルとオロオロしているファーダがいることに気がついたようだ。

「あれ?何この状況?」

 私はすぐにアリッサに駆け寄り戦後のラーバルの話から怒って追いかけてきたことや先程ラーバルに言った言葉やら、その前に考えていた謝罪まで流れを耳打ちした。

(お姉ちゃんのアホ!それって失恋したラーバルにそれはあんたが悪いって追い打ちをかけたようなものよ!)
(えええ!?私はそんなつもりでは!怒りが和らげばいいと思って……)
(つもりも何も事実よ!戦闘モードじゃないラーバルは純真無垢な乙女なのよ!)
(では私はどうしたら……)
(すべての非はお姉ちゃんにあるとしっかり認めて謝罪してその後にお土産を渡すのよ!)
(わかりましたわ!誠心誠意謝ります!)

 私はラーバルの前に行くと兜を外して次元リュックに収納し素顔をさらした。そして地面に両膝を付き座り地面に手をついて頭を下げた。

「すべて私のせいですわ!勘違いさせてあなたを傷つけてしまって本当に申し訳ありませんでした!」

 私は見事な土下座を披露した。頭を下げたままラーバルが言葉を発するのを待つ。

「マルレ……頭を上げてください。もう良いのです」

 ラーバルは涙が流れ落ちる前にハンカチを取り出し目尻に当て溢れそうな涙をそっと染み込ませた。

「私はまるで雑誌に乗ってた”こじらせ女子”そのものね……」

 アリッサは狐面とフードマントを取り次元ポーチにしまうとラーバルのそばに行き肩に手を置いて語りかけた。 

「ラーバルまだ雑誌読んでるの~止めたほうがいいよそれ!」

 雑誌に載っていた、こじらせ女子なるものと自分を重ねて落ち込むラーバルになんと声をかけていいかわからない。アリッサは内容を知っていたようで間に入ってくれるようだ。

「雑誌見て行動力がないとか書かれてたんでしょ!それでいきなり親に合わせるみたいな行動しちゃったんでしょ?」
「はい……アリッサの言うとおりです」
「やっぱりね、別に焦らなくていいのよ!あせって”こじらせ女子”から”だめんず症候群”に陥ってしまう子も多いのよ!」

 わー……ラーバルとアリッサが何の話をしているのかさっぱりわからない……これが女子力ってやつかしら?私は前世も含めて女性向け雑誌なんてほとんど読んだこともないわ……

「そうですわ、ラーバル様!焦らなくてもきっと素敵な男性が見つかりますわ!」
「そうです!気がついていないだけでずっと近くにいるなんてこともありますよ」

 ニーニャちゃんとリーシャーさんまで加わってしまったわ……

 私とアロイーンさんとファーダの3人は蚊帳の外に置かれ盛り上がる女子4人……

 おかしいわね……なんで私はあそこに加わっていないのかしら?屋敷に閉じこもって遊び相手がお兄様とファーダしか居なかったせいかしら?それとも読む本といえば剣術指南書遊びに行くと言ったら裏山の訓練所だったのがいけなかったのかしらね?

「マルレリンド様が男性でしたらねぇ……」
「「「それね!」」」

 うわ……でた”あんたが男だったら付き合いたい”!前世でもそれ言われたことあるわ!

「私は階段から落ちたときにお姫様抱っこよ!それに嫌がらせした子にガツンと言ってくれたし」

 そんな事もあったわね~懐かしいわアリッサとのいい思い出ね。

「はい!私もミノタウロスの斧が私の体にめり込む寸前に抱きかかえられて助けられました!」

 そういえばリーシャーさんが敵に背を向けたときに助けたわね。

「みなさんも知っているように私が囚われていた牢屋に突如現れて不安を打ち砕いてくれました」

 あれは私も攫われただけなんですけど……

「マルレは初見で私の剣をすべて受けきったのですよ!そしてあの戦争での活躍……敵兵が恐れをなして騎士団の本隊に飛び込むほどでしたわ!」

 防戦一方で手も足も出なかったのは私の方よ……それに戦争はラーバルに恐れをなしたのでは?

 4人はこちらをジトーっとした目で見て「はぁ~」と大きくため息を付いた。

「そんな目で見られても……私にどうしろと……」

 アリッサが「そうだ!」と言いながらパンと手をたたき話題を変えた。

「見てこの指輪!陽光の指輪って言うんだけどこれはマルレが作ってくれた魔力が増える魔道具なの!」

 私が送った指輪に「綺麗」「すごい機能です」「魔石が付いてませんわね」などと注目が集まっている。

 アリッサは「でしょ~」と言いながら私にチラチラと視線を送る……ああ!ラーバルへのお土産ね!会話についていけなくて思考停止してたわ!

「そうでした!クロービで作ったラーバル専用の武具があるのでした!」
「私専用の武具ですか!?」

 ラーバルはあのときのうっとりした表情ではなく少年のようなキラキラした目で私を見つめている!これは今までのことをチャラにするほど喜ばせることができるチャンスね!

「これがラーバル用に作った改造武具ですわ!」

 私は自信満々で次元リュックからラーバル用に作った改造武具を取り出した!
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